日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
34 巻, 5 号
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  • 内面材プラスチックフィルムへの香気成分の収着に関する研究(2)
    池上 徹, 下田 満哉, 小山 正泰, 筬島 豊
    1987 年 34 巻 5 号 p. 267-273
    発行日: 1987/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    モデルフレーバー溶液をパウチ(ポリエチレンテレフタレート(PET)/アルミ箔(Al)/ポリエチレン(HDPE, MDPE, LDPE, LLDPE), PET/Al/無延伸ポリプロピレン(CPP), PET/Al/エチレンビニルアセテート(EVA))に充填し,香気成分の内面材プラスチックフィルムへの収着挙動について検討した.
    (1) 各香気成分の内容液及び内面フィルムからの回収量を経時的に追跡し,分配比(内面フィルム中の量/内容液中の量)を求めたところ,充填後20日目まではほぼ直線的に増大したが,それ以降はほぼ一定値を示した.
    (2) 分配比は官能基の種類によって最も大きな影響をうけた.同族体では炭素数の増加に伴い分配比は著しく増大することを示した.
    (3) CPPはいずれの香気成分についてもHDPEより分配比が大きく,香気成分の収着が著しい.
    (4) PEではテルペン系炭化水素類,テルペンアルコール類,エステル類,カルボニル化合物の間で分配比にかなりの差がみられるものの,フィルムの密度と各化合物の分配比との間に高い負の相関が認められ,PEの結晶化度が香気成分の収着に大きく影響を与えていることが強く示唆された.
    (5) LLDPE, EVAの2種類のフィルムでは,第4級炭素あるいは酢酸ビニルユニットを有していることから分配比とフィルムの密度との間には相関は認められなかった.
  • 吉田 博, 菅原 龍幸, 林 淳三
    1987 年 34 巻 5 号 p. 274-281
    発行日: 1987/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    シイタケをペプトン・グルコース液体培地で培養し,子実体形成に伴うコロニー各部位の低分子炭水化物,高分子炭水化物および有機酸の動態を検討した.
    (1) 発育過程における菌糸体,子実体菌柄部ならびに菌傘部の遊離糖含量は,乾物重量100g当り,3.4~7.8g, 3.7~5.2g, 4.3~6.6gに,遊離糖アルコール含量は,1.6~4.7g, 7.7~9.9g, 6.6~7.1gにあり,その含量変化のパターンは部位により挙動を異にした.菌糸体ならびに子実体よりトレハロース,マンニトール,アラビトール,グルコース,フルクトースおよびグリセロールが同定され,主要成分はトレハロース,マンニトールおよびアラビトールであった。菌糸体中のトレハロース,マンニトールおよびアラビトール含量は子実体形成期に急減傾向を示し,転流炭水化物としての役割を担っていることが推測された.
    (2) 発育過程における多糖成分含量は,乾物重量100g当たり,菌糸体で53.5~59.3g,菌柄部で48.7~51.6g,菌傘部で38.3~39.5gであり,その含量は,菌糸体>菌柄部>菌傘部の順序であった.酢酸可溶多糖は菌糸体の発育に伴い増加したが子実体形成期に入ると減少し,この画分は貯蔵炭水化物としての役割を持ち,子実体形成期には転流炭水化物に代謝されて子実体形成に関与していることが示唆された.また,菌糸体中のキチンも子実体形成に関与することが知られた.熱アルカリ可溶多糖,アルカリ可溶・酸不溶多糖,熱ギ酸可溶多糖およびアルカリ可溶・酸可溶多糖は顕著な含量変動を示さず,細胞壁構成成分としての役割を担っているものと考えられた.
    (3) 発育過程における有機酸含量な,乾物重量100g当たり,菌糸体で0.8~3.1g,菌柄部で1.4~1.5g,菌傘部で2.7~2.9gであった.菌糸体の有機酸含量は発育に伴い増加したが子実体は顕著な含量変動は示さず,その挙動を菌糸体と異にした.菌糸体ならびに子実体より11種類の有機酸が同定され,主要成分はピログルタミン酸,リンゴ酸,クエン酸およびフマル酸の4成分であったが,その分布パターンは部位により特徴を有していた.また,シュウ酸の蓄積は菌糸体および子実体ともにみられなかった.
  • 山口 直彦, 平野 真由美, 山口 幸寛
    1987 年 34 巻 5 号 p. 282-287
    発行日: 1987/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    アスコルビン酸ステアリン酸エステル(AS)を用い,その抗酸化力をリノール酸及びラードについて測定すると同時にトコフェロール(Toc)及び含窒素化合物との併用試験を行い次の結果を得た.
    (1) ASはリノール酸に対してほとんど抗酸化力を示さなかったが,ASとToc, Gly間には著しい相乗性が認められた.
    (2) ASは実験に用いた12種のアミノ酸のすべてと相乗性を示し,なかでもメチオニン,ヒスチジン,チロシン及びアスパラギン酸との併用によって誘導期間は著しく延長した.
    (3) Gly及びグリシン系ペプチドの抗酸化力の比較ではジペプチドの効力が最もすぐれていた.これらの化合物とASとの相乗性に関しても,ジペプチドとの間に最も強い効力が認められた.
    (4) ASはラードに対してもほとんど抗酸化力を示さないが,dl-α-Toc,レシチンとの併用によって誘導期間は延長し,特に,3者の混合物を使用することによってラードの酸化安定性は著しく向上した.
  • 吉田 博, 菅原 龍幸, 林 淳三
    1987 年 34 巻 5 号 p. 288-297
    発行日: 1987/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    ヒラタケ子実体の発育過程ならびに収穫後における低分子炭水化物,高分子炭水化物および有機酸の動態を菌傘部,菌柄部,菌柄部基部の3部位より検討し,以下の結果を得た.
    (1) 発育過程における菌傘部,菌柄部,菌柄部基部の遊離糖含量は,乾物重量100g当たり,6.8~15.6g,10.1~27.2g, 9.3~24.9gに,遊離糖アルコール含量は,3.0~3.8g, 3.2~3.6g, 1.0~2.9gにあり,その含量変化のパターンは部位により異なった.遊離糖,遊離糖アルコールとしてトレハロース,マンニトール,グルコース,フルクトース,アラビトールが同定され,主要成分はトレハロースとマンニトールであった.発育過程および収穫後の各成分の含量変化パターンはそれぞれ異なり,また,部位により挙動を異にした.収穫後における各成分含量は減少の傾向にあったが,マンニトールは,貯蔵3日後までは増加し,以後は減少する含量変化パターンをとり,他の糖・糖アルコールとその挙動を異にした.
    (2) 発育過程における菌傘部,菌柄部,菌柄部基部の多糖成分含量は,乾物重量100g当たり,40.3~44.3g,47.3~50.2g, 54.2~55.8gであり,その含量は,菌柄部基部>菌柄部>菌傘部の順序にあった.6種の多糖画分中,熱ギ酸可溶多糖,アルカリ可溶・酸可溶多糖,熱アルカリ可溶多糖,アルカリ可溶・酸不溶多糖は発育過程ならびに収穫後において漸減傾向を示し,他の多糖画分とその挙動を異にした.
    (3) 発育過程における菌傘部,菌柄部,菌柄部基部の有機酸含量は,乾物重量100g当たり,3.6~4.4g, 4.5~5.1g, 6.0~7.4gであり,その含量は,菌柄部基部>菌柄部>菌傘部であった.各部位より同様の11種類の有機酸が同定され,その分布パターンは,菌傘部,菌柄部,菌柄部基部でそれぞれ異なっていた.各部位ともに,発育過程中は顕著な含量変動は示さなかったが収穫後は急増傾向を示した.
  • 浅野 三夫, 大久保 一良, 五十嵐 正倫, 山内 文男
    1987 年 34 巻 5 号 p. 298-304
    発行日: 1987/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    不快味を中心とした豆腐の品質に及ぼす脱皮,脱胚軸および生しぼりの影響について検討し,次の結果が得られた.
    (1) 豆腐の蛋白質と脂肪含量および蛋白質組成におよぼす脱皮,脱胚軸および生しぼりの影響はほとんど見られなかった.
    (2) 電子顕微鏡(SEMとTEM)で豆腐の微細構造を調べた結果,豆腐A(全粒豆腐)では脂肪球の集合が見られたのに対し,豆腐BとC(脱皮・脱胚軸豆腐)では,より均一に分散している脂肪球が観察された.
    (3) テクスチャー分析の結果,硬さについては,もめん,きぬ豆腐どちらも,豆腐C>豆腐B>豆腐Aの順であった.
    (4) 特に呈味性に関与するサポニン画分について,TLCとHPLCで検討した結果,最も不快味の強い,Ab成分を主成分とするサポニンAグループに脱皮・脱胚軸の影響が見られ,脱皮・脱胚軸豆腐にはこれらの成分が少なかった.
    (5) 工場規模で豆腐を製造し,官能検査で調べた結果,色,味,滑らかさ等における全粒豆腐と脱皮・脱胚軸豆腐間に有意の差がみられ,脱皮・脱胚軸豆腐の方が,評点が高かった.
  • みそ成分の研究(第3報)
    片桐 充昭, 清水 純夫, 貝原 弘道, 片桐 千代
    1987 年 34 巻 5 号 p. 305-308
    発行日: 1987/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    先に報告した筆者らの抽出および定量法によって,糸引納豆,干納豆,寺納豆,浜納豆,と金山寺みその脂肪酸エチル,遊離脂肪酸,グリセリド型脂肪酸および有機酸の分析を試みた.その結果を次に述べる.
    (1) 高級脂肪酸のエチルエステルは糸引納豆には検出できなかった.寺納豆,浜納豆には少量存在した.また,木内らの報告と同様,糸引納豆中のグリセリドの分解はほとんど見られなかった.
    (2) 浜納豆の主要不揮発性有機酸は乳酸であり,その含量は470.1mg/100gであった.寺納豆には少量存在し,糸引納豆および干納豆には乳酸はほとんど検出されなかった.
    (3) 糸引納豆の揮発性有機酸は酢酸(124.7mg/100g),プロピオン酸(28.4mg/100g),イソ酪酸(44.1mg/100g),イソ吉草酸(46.7mg/100g)であった.寺納豆,浜納豆のイソ酪酸,イソ吉草酸は糸引納豆より少なく,寺納豆のイソ吉草酸は糸引納豆の1/20以下であった.
    (4) 金山寺みその有機酸の主なものは乳酸と酢酸であり,イソ吉草酸は検出されなかった.
  • 魚介類有効栄養成分利用技術開発委託事業報告V
    丹羽 栄二, 加納 哲, 中山 照雄
    1987 年 34 巻 5 号 p. 309-312
    発行日: 1987/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    マイワシドレスからソーセージを試作した.
    (1) 製品の食感とレオメータパターンはかまぼこよりソーセージに類似した.
    (2) すり身の坐り,pH上昇,ピロリン酸ナトリウム添加は製品のジェリー強度JSを増加した.
    (3) 小麦粉,コーンスターチ,小麦たん白.乾燥卵白,大豆たん白の添加はJSを増加したが,なかでも後3者の効果は優れた.
    (4) 真空カッティングは製品の退色,脂質の酸化およびイワシ臭の発生を抑制した.
  • 李 榮淳, 本間 清一, 相田 浩
    1987 年 34 巻 5 号 p. 313-319
    発行日: 1987/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    アジア8カ国で生産された醤油(穀醤)16試料と魚醤6試料のメラノイジンを焦点電気泳動とゲル濾過高速液体クロマトグラフィー(HPGPC)で分析した.焦点電気泳動によると,醤油はpH 2.5~3.5に主要な6バンドをみとめたが,魚醤では1試料をのぞき明瞭なバンドが形成されなかった.醤油にはpH 4以上に等電点をもつメラノイジン成分がみとめられたが,グルコースとグリシンから調製したモデルメラノジンにはそれがなかった.殆んどの醤油の泳動パターンは同じであったが,醤油,魚醤とも原点から泳動され難いメラノイジン成分があり,分子量の大きい傾向のものが多かった.カラメル添加の醤油はHPGPCのピーク巾が広くなる傾向を示した.醤油は魚醤より平均分子量が大きく,色調も濃い傾向を示した.魚醤のpHは醤油より高い傾向を示した.
  • 平田 明弘, 増田 哲也, 木村 貞司, 大武 由之
    1987 年 34 巻 5 号 p. 320-329
    発行日: 1987/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    大豆油,ココヤシ油,ラードならびに牛脂の給与が,鶏卵卵黄のトリアシルグリセロール(TG)の組成および構造に及ぼす影響を調べた.短鎖飽和脂肪酸は卵黄脂質の生成に利用されなかったが,卵黄TGは一般に飼料油脂の脂肪酸組成を反映するところがあった.大豆油区,ラード区および牛脂区の卵黄TGはいずれもC50,C52およびC54のTGを主な構成成分としていた.ココヤシ油区の卵黄には,かなりの量のC44からC50までのTG種が含まれ,反面C52とC54の成分は試験区中で最も少なかった.大豆油区の卵黄脂質は他の飼料区のものに比べて,(モノエン酸を含むTGの量が少なく,ジエン酸を含むTGが多かった.ココヤシ油区の卵黄脂質は,他の飼料区に比べてS2Mが最も多くU3成分が最も少なかった.ラード区と牛脂区とのTG種の分布パターンは類似していた.いずれの飼料区の卵黄脂質にあっても,飽和脂肪酸はTGの1-位置に優先的にエステル化し,これに対して2-位置は顕著に不飽和脂肪酸で占められ,3-位置にはC16:1とともにC18:1が多かった.このような鶏卵卵黄のTG内における脂肪酸の位置的分布の種属的特異性は,飼料中の油脂の違いにかかわらず変化が認められなかった.(C50はアシル炭素原子数50のTGで,他はこれに準ずる.また,Sは飽和脂肪酸,Mはモノエン酸,Uは不飽和脂肪酸をあらわす.)
  • 納豆に関する研究(第4報)
    菅野 彰重, 高松 晴樹
    1987 年 34 巻 5 号 p. 330-335
    発行日: 1987/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    納豆の発酵において,大豆の主要な酸であるクエン酸とショ糖から遊離するグルコースは同時期に分解し,このときアセトインと2, 3-ブタンジオールが蓄積し,発酵12時間後に最高に達し(アセトイン:495, 2, 3-ブタンジオール:748mg/100g,乾燥重量値),その後減少した.酢酸は発酵の後半に次第に増加し,保存中には不規則に変化した(100~573mg/100g).プロピオン酸は発酵中期に現れ,保存中は保存温度の上昇に対応して増加した(8~65mg/100g).三種の分岐鎖脂肪酸(イソ酪酸,2-メチル酪酸,3-メチル酪酸)は発酵12時間後に始めて検出され,以後次第に増加した.これらの酸類は25℃の保存中には著しい増加を示し(15日保存後の含有量;イソ酪酸:313, 2-メチル酪酸:373, 3-メチル酪酸:131mg/100g), 5℃あるいは15℃の保存ではほとんど変化しなかった.
  • 山崎 恵
    1987 年 34 巻 5 号 p. 336-343
    発行日: 1987/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
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