日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
35 巻, 11 号
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  • 三木 英三, 義田 守, 山野 善正
    1988 年 35 巻 11 号 p. 735-741
    発行日: 1988/11/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    製めん工程中,とくに混捏およびねかし工程中の生地の密度を測定することによって,生地への空気の取込みおよび生地からの脱気について調べた.また,生地中の空気含有量がめんのレオロジー的性質に及ぼす影響についても検討し次の結果を得た.
    (1) 混捏により生地密度は減少し,空気が生地に取り込まれることが明らかとなった.この取り込まれ方およびその量には,生地のレオロジー的性質が影響すると考えられる.
    (2) 手による混捏では生地の密度にほとんど変化が見られず,混捏中にほとんど空気を取り込まないか,あるいは取り込んだ空気を再び押し出していると考えられる.
    (3) 生地をねかすと,時間とともに密度は増加した.生地を強制的に脱気すると密度は増加することから,ねかし中に生地から脱気が生じていると考えられる.生地のねかし中の脱気量は,混捏中に取り込まれた空気量が多い程より多かった.
    (4) 圧延により生地密度はほとんど変化が見られず,脱気は生じていないと考えられる.
    (5) 生地のねかしにより,茄めんの緩和弾性率は増加するが,これは生地からの脱気によって組織が密になったことによると言える.
  • 辻 昭二郎
    1988 年 35 巻 11 号 p. 742-747
    発行日: 1988/11/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    もち米とうるち米ののりの加熱条件と添加物によるみかけの物性変化を,多水準の加熱条件で,多重バイト試験法で測定し,そのパラメーターで解析した.
    (1) 0.095%パルミチン酸ナトリウムを含む液中で加熱したもちおよびうるち米粉ののりの多重バイト試験法によるみかけの弾性的要素と関連するパラメーターは加熱98℃では無添加の場合に比し大巾に上昇した.
    (2) 0.095%りん酸液中で加熱したもちおよびうるち米粉ののりの多重バイト試験法によるみかけの弾性的要素と関連するパラメーターは加熱98℃では無添加の場合に比し大巾に低下した.
    (3) これらの添加物と加熱温度と加熱時間の変化にともなう米粉ののりの物性変化は,もち米とうるち米の米粉ののりで大きく異なった.これは,もちとうるちの米粉ののりののり化温度とからんだのり化特性の差に起因しているものと推定された.
    (4) もちとうるちの米粉ののりの添加物と加熱条件にともなう物性変化は,多重バイト試験法によるのりのみかけの弾性的要素と関連するパラメーターに対するのりのみかけの粘性的要素と関連するパラメーターの比の値の変化でもその内容がよく示された.
    (5) 米粉ののりに対する食塩添加の影響ももちとうるちの米粉ののりではかなり異なった.このことからも,米粉ののりに対する添加物の影響もそれぞれの米粉ののりの加熱条件によるのり化特性と大きく関連していることが推定された.
  • 辻 昭二郎
    1988 年 35 巻 11 号 p. 748-754
    発行日: 1988/11/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    でん粉のりの加熱条件によるレオロジカルな物性が大きく異なるコーンとワキシースターチについて,多水準の加熱条件ででん粉のりを作成し,添加物を加えた場合の加熱条件ででん粉のりを作成し,添加物を加えた場合と無添加の場合について,既報の多重バイト試験法ででん粉のりの物性の変化を解析した.
    (1) 濃度2.0~8.8%のコーンおよびワキシースターチを98℃で60分加熱したのりのみかけの弾性的要素と関連するパラメーターの値を比較すると,とくに濃度5%以上でコーンスターチののりはこの値が大巾に大となり,ワキシースターチとその物性がかなり異なった.
    (2) でん粉のりのみかけの粘性的要素と弾性的要素とその関連を解析するため,でん粉濃度4.4%の水準を採用し,加熱温度は70, 80, 98℃の3水準,加熱時間は10, 20, 30, 40, 60分に変えて,2つのでん粉のりの物性変化を測定し比較した.
    (3) 2つのでん粉のりの加熱条件にともなうみかけの物性変化は,多重バイト試験法によるみかけの弾性的要素や粘性的要素と関連するパラメーターやその比で極めてよく解析でき,コーンとワキシースターチではそののりのレオロジカルな物性に大きな差があることがよく示された.
    (4) 1%食塩添加によりでん粉ののり化とゲル化が抑制されたが,この影響もコーンとワキシースターチおよびそれらの加熱条件で大きく異なった.
    (5) 0.1%パルミチン酸ナトリウム添加の影響も,コーンとワキシースターチで大きく異なった.パルミチン酸ナトリウム添加の影響も2種のでん粉の加熱条件によるのり化とゲル化の特性と大きく関連していることが推定された.
    (6) 0.1%りん酸添加の影響も加熱条件によって大きく異なった.一般に高温ではでん粉のみかけの粘弾性は化がわずかながら促進される傾向が示された.
    (7) 添加物によるでん粉のりのレオロジカルの変化は,添加物の影響(作用条件を含む)と加熱条件によるでん粉ののり化とゲル化などの影響が交錯した形で示されることが,多重バイト試験法で測定したパラメーターの解析から推定された.
  • pHと脱塩の影響
    大友 英生, 浜松 一美, 堀 悦子, 桑田 有
    1988 年 35 巻 11 号 p. 755-762
    発行日: 1988/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    CMCカラムを用いて牛乳ホエーからのβ-LGの除去を試み,次の知見を得た.
    (1) 牛乳ホエー中のβ-LGを効率的にCMCに吸着させ,除去するには,ホエーの脱塩が効果的であった.ホエーの処理量は,電導度指標での脱塩が80%程度の日撮大となったが,99%といった過度の脱塩は, β-LGのCMCへの選択的吸着性を弱めた.
    (2) β-LGのCMCへの選択的吸着性はホエーのpHの影響を受け, pH4.0以下,及び5.0以上では選択的吸着性が弱まった.また.至適pHは,ホエーの脱塩度によって異なった.
    (3) 脱塩度82%のホエーを, pH4.6としてCMCカラムに供したところ. CMCの約30倍量のβ-LG除去を画分と,高純度のβ-LG (CMC吸着)画分を得た.前者のβ-LG含量は,分画前の約1/4まで低下した.4種主要ホエータンパク質(Ig, BSA, α-LA, β-LG)に占める後者のβ-LG比は92.6%であった.
    (4) (3)に示したβ-LG除去画分は溶解性,熱安定性に優れていた. β-LG画分は,標品として用いた凍結乾燥β-LGとほぼ同等の溶解性,熱安定性を示し,変性がほとんど進行していないことが示唆された.本研究の概要は,第34回日本食品工業学会(1987,富山)において発表した.
  • 増田 亮一, 橋詰 和宗, 金子 勝芳
    1988 年 35 巻 11 号 p. 763-770
    発行日: 1988/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    枝豆の場合収穫時の品温が高く,収穫から冷凍処理までの時間が長いと品質低下(全糖,アミノ酸,外観)が大きくなる.そこで,開花後30日目の“玉すだれ”を用い,収穫からブランチングまで26℃,相対湿度64~68%で保存し,その時間が品質低下に及ぼす影響を呈味成分含量と官能評価との関連から調べ,収穫からの貯蔵が品質に及ぼす影響を検討した.
    (1) 糖はスクロースが収穫直後に約3g/100g FW含まれ,時間とともに急激に減少し24時間で半分,48時間後には3分の1に低下した.他に,ガラクトピニト一ルの減少が見られた.遊離アミノ酸は収穫直後に約1.2g/100g FW含まれ, 24時間後80%に減った.呈味性のアラニン含量は0.3g/100g FWと多く, 24時間で3分の2に低下した.グルタミン酸含量は0.2g/100g FWで,時間とともに急激に減少し24時間で2分の1となった.デンプン含量は1.5g/100g FWで,貯蔵中に増加した.タンパク質含量は6g/100g FWで,貯蔵に伴う増加は明らかではなかった.
    (2) 官能検査では貯蔵に伴い甘味,香り,テクスチャー,総合の評価が低くなった.収穫後8時間までは差がみられなかった.収穫24時間後では3時間後との間に甘味,旨味,香り,総合評価で有意な差が認められた.貯蔵中のスクロース,グルタミン酸含量と,官能検査の甘味,旨味,総合評価間ではいずれの組み合せも高い相関を示した.
    (3) 2日遅れて収穫した枝豆(開花後32日)は呈味成分含量が若干増した.しかしながら,収穫直後の香りの評価が低く,貯蔵中に香りやテクスチャーの変化は見られなかった.枝豆の品質評価では呈味成分のみならず,香気成分,テクスチャー等も重要である.以上の結果から,冷凍枝豆の場合,収穫後短時間であっても貯蔵の影響が大きいことが明らかとなった.収穫後常温に放置すると10時間で甘味,旨味の低下が識別される程となるため,呈味成分を充分保持した冷凍枝豆とするには,常温では8時間以内にブランチングし冷凍するのが望ましい.
  • 小柳津 周
    1988 年 35 巻 11 号 p. 771-775
    発行日: 1988/11/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    遊離グルコサミンを粉末型,水溶型,無水型で加熱褐変させた試料,あるいはBGAをエタノール及びメタノールで分別した褐変物質,あるいは,TLC分画した画分の抗酸化性ならびにその性状について測定した結果は,次のとおりである.
    (1) もっとも強い抗酸化性を90℃, 1時間加熱褐変した粉末型のType Gで認めた.
    (2) エタノールあるいはメタノールによる分別では,不溶区でより強い抗酸化性を認めた.
    (3) TLCにより得た画分の抗酸化性は,分画前のものよりもすべて減少した.
  • 桑原 祐二, 大塚 暢幸, 真部 正敏
    1988 年 35 巻 11 号 p. 776-780
    発行日: 1988/11/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    キュウリピクルスに低メトキシル及び高メトキシルペクチン,プルラン,キトサンを加え,ピクルスのテクスチャーとペクチン組成に及ぼす影響について検討した.
    (1) 低メトキシル及び高メトキシルペクチン,プルランを添加しても,キュウリピクルスの硬度に及ぼす影響はほとんどみられなかった.
    (2) キトサンでは添加量が増加するにつれてピクルスの硬度は増大し,キトサン添加の効果が明らかに認められた.
    (3) キトサンの添加量が増すにつれてPSPは減少し,これとは反対にHSPとSSPは増加した. TPに占めるHSPとSSPの比が高くなるに従ってキュウリピクルスの硬度は高まった.
  • 真部 孝明
    1988 年 35 巻 11 号 p. 781-785
    発行日: 1988/11/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    二酸化炭素による渋ガキの脱渋に伴う果実内への二酸化炭素の吸着と放出について検討した.
    (1) 容内にカキ果実を入れ,二酸化炭素ガスを吹き込んだのち密閉すると,容器内は急激に減圧となった.脱渋に採用される23℃前後では,吹き込み後2~6時間の間最大の減圧状態を保ち,その後徐々に常圧に戻った.
    (2) 無処理の西条ガキ果実内の二酸化炭素量は7ml/100g前後で,二酸化炭素脱渋処理を23℃で2日間行った果実には55~60ml/100g含まれていた.
    (3) 西条ガキ果実からの二酸化炭素放出量は,熟度の進むに従って少なくなり,同一採取日であっても,着色の進んだ果実の方が少なかった.また,室温(18~21℃)に1日放置した果実の二酸化炭素放出量は,採取直後に比較して約1/2の値を示した.
    (4) 二酸化炭素脱渋後,カキ果実から放出される二酸化炭素量は,処理時の二酸化炭素濃度が高い場合程多く,開放したのちの減少速度は速かった.果実からの二酸化炭素放出は開放後1時間までは急速であったが,その後は緩やかで,6時間後も脱渋処理前の最大5倍前後の高い値を示した.
  • 北田 善三, 佐々木 美智子, 山添 胖
    1988 年 35 巻 11 号 p. 786-789
    発行日: 1988/11/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    ワイドボアーカラムを用いた食品中のBHT, BHAの分析条件を検討した.その結果,魚介乾製品ではCBP1とCBP20が,バターではCBP1がそれぞれ有効であり,サラダ油では検討した3種のカラムのどれを使用しても分析は可能であった.添加回収実験を行ったところ,魚介乾製品の BHTが81.1%, バターのBHAが83.7%であった以外は90%以上の回収率が得られた.次に,炭化水素類によるBHT, BHA,フルオレンへの妨害の有無を調べたところ, CBP1ではBHTがn‐C15の, DB17では BHT がn-C17とi-C19の,CBP 20ではフルオレンがn‐C23の妨害を受けることが明らかになった.
  • 中林 敏郎
    1988 年 35 巻 11 号 p. 790-801
    発行日: 1988/11/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
  • 芝崎 勲, 小林 昭一
    1988 年 35 巻 11 号 p. 802-805
    発行日: 1988/11/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 35 巻 11 号 p. A64-A69
    発行日: 1988年
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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