日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
35 巻, 4 号
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  • 望月 てる代, 黒崎 敏晴
    1988 年 35 巻 4 号 p. 221-225
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    キウイフルーツ(モンティ種)果実の生育・貯蔵中における成分,特にデンプンの生成と分解について組織化学的方法による検鏡を行うとともに,関連糖質の含有量の変化とあわせて検討した.
    果実組織中のデンプン粒は,透過型電子顕微鏡下において受粉後14日より果肉部および果心部に観察された.しかし光学顕微鏡下においてデンプン粒は果肉部に受粉後28日より,果心部に受粉後63日より観察された.生育中に果実中のデンプン粒の粒子は大きくなり,その数も増加した.果実の貯蔵中にデンプン粒が減少する傾向が認められ,特に果肉部より果心部において著しかった.
    デンプン含有量は生育に伴って増加し,受粉後160日に8.3%に達し,その後の果実貯蔵中にデンプンは加水分解されて急激に減少した.このようなデンプン含有量の変化は,組織化学的観察によるデンプン粒の変化や糖分析値ともよく一致することが確認された.
  • 亀井 俊郎, 佐藤 順, 児玉 優子, 小俣 洋子, 野田 勝彦
    1988 年 35 巻 4 号 p. 226-234
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    細菌検査の迅速法としてのマルサスシステムを市乳の二次汚染の管理に適用し,次の結果が得られた.
    (1) 検出時間と最初に存在した生菌数の対数値とは直線的関係となったが,検出時間は菌の種類によって異なった.同一菌数レベルでも,最も検出時間の短いE. cloacaeと最も長いS. aureusとでは,約10時間の差があった.従って,本システムで汚染菌種が未知の検体中の菌量を推定することは,不可能であった.
    (2) 検出時間は試料採取量により大きく変化した.試料採取量を1mlから5mlにすることにより, S. aureusは約8時間, Pseudomonasは1~4時間, B. cereusは0~2時間, E.. cloacaeは約1時間の検出時間の短縮が可能であった.
    (3) 最適パラメーターは1st Difference Threshold:0.5μS, Base Line Threshold: 0,4μSであった.
    (4) 牛乳の増菌試験において,コンダクタンス法と従来法とは,前培養後1時間以内に97%, 4時間以内に98%, 9時間で99%一致した.またl0ml容セルを使用した場合でも,試験開始後概ね25時間で検出可能であった.
  • 西堀 すき江, 川岸 舜朗
    1988 年 35 巻 4 号 p. 235-241
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    クッキー焙焼中における加熱生成物の変化についてクッキーの原材料の面から検討した.
    (1) 紫外部吸収の測定では,クッキーを焙焼すると加熱時間の増加にともなって波長281-295nm付近の吸収が高くなり,この変化はクッキー原材料の一つである糖の影響を強く受けていることが分かった.
    (2) 最も変化の顕著であった波長283nmを検出波長として,焙焼したクッキーからの加熱生成物についてHPLCで検討すると1-10のピークが得られた.特にピーク3, 5, 6のピークが顕著であった.また,ピーク6は標品のHMF保持時間とが一致し, HMFであると推定された.
    (3) ピーク5はクッキーの加熱初期段階に生成され, 20分後までは一定増加するがその後増加が緩慢になった.ピーク6は最初の生成量は少ないが, 30分を過ぎると急激に増加した.
    (4) ピーク6は糖に由来する加熱生成物であることが分かった.また,ピーク5は糖に卵白を添加したときに増加する生成物であることが認あられた.
  • 菅野 道廣, 森田(中野) 満樹, 吉田 克子, 今井 淳
    1988 年 35 巻 4 号 p. 242-245
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    高コレステロール食ラットの血清及び肝臓コレステロール濃度に及ぼすリンゴおよびブドウ搾汁かすの影響をペクチン,セルロースと比較した.若齢ラットにこれらを10%レベルで含む飼料を30日間与えた.両果実かすとも,ペクチンには劣るものの,セルロースよりは優れた血清コレステロール濃度上昇抑制作用を発揮し,とくにブドウかすでその効果が大きかった.血糖の上昇も抑える傾向にあった.これらの結果はリンゴかすとともに, ブドウかすも血清脂質像改善のための食物繊維として有用な素材であることを示している.
  • 飯田 文子, 小林 三智子, 赤羽 ひろ, 中浜 信子
    1988 年 35 巻 4 号 p. 246-251
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    原藻・製造法の異なる5種の寒天について,固有粘度,イオウ含量,ゲルの融点と力学特性との関係を検討するため実験を行った.力学特性については,静的および動的粘弾性定数,破断特性値を得,比較検討し,次のような結果を得た.
    1) 各試料の固有粘度は, 1.67~2.59 (100ml/g)であった.固有粘度の大きな試料ほど破断応力,破断エネルギーが大きく,また,ゲルの融点も高い値が示された.ゲルの融点は, 81.6~84.6℃であった.
    2) 各試料のイオウ含量は, 0.22~0.44%であった.同一原藻のオゴノリ試料では,イオウ含量の少ないものが弾性率の値が大きかった.しかし,固有粘度が最も小さいテングサ試料は,イオウ含量が少なくても弾性率も小さかった.
    3) 7~30℃の温度範囲において,動的弾性率は,温度上昇に伴って増加あるいはほとんど変化しないエントロピー的弾性挙動を示した.30℃を超えると弾性率は低下することが認められた.
  • 鴻巣 章二, 渡辺 勝子, 郡山 剛, 白井 隆明, 山口 勝己
    1988 年 35 巻 4 号 p. 252-257
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    ホタテガイ閉殻筋(貝柱)の特徴的な味の構成成分を解明する目的で,エキス成分の詳細な分析と,分析値に基づいて調製した合成エキスのオミッションテストを行い,次の結果を得た.
    (1) エキス成分の遊離アミノ酸としては,多量のGly(貝柱100g中1925mg,以下同様), Tau(784mg),Arg(323mg), Ala(256mg), Glu(140mg)が含まれ,これら5種のアミノ酸で全遊離アミノ酸の97%を占めていた.核酸関連物質ではAMP(172mg)が主成分であった.その他の含窒素成分としては多量のグリシンベタイン(339mg)のほか,ホマリン,トリゴネリン,トリメチルアミンオキシド,トリメチルアミンを認めた.これらの含窒素成分によるエキス窒素(764mg)の回収率は96%に達し,エキス中の主要窒素成分の分布はほぼ完全に解明し得たと判断された.
    (2)無窒素成分としては,多量のグリコーゲン(4890mg)と少量のコハク酸(10mg)を認めた.無機イオンではNa+(73mg),K+(218mg),Cl-(95mg),PO43- (213mg)が主な成分であった.258日本食品工業学会誌 第35巻 第4号 1988年4月(38)
    (3) 上記の分析値に基づいて調製した合成エキスを用い,3点識別法によりオミッションテストを行った結果,Gly, Glu, Ala, Arg, AMP, Na+, K+, Cl-が呈味有効成分と判定された.本研究は,文部省科学研究費特定研究『食品機能』の補助金を得て行ったものであり,記して謝意を表する.
  • 越智 知子, 土屋 京子, 青山 稔, 丸山 武紀, 新谷 勲
    1988 年 35 巻 4 号 p. 259-264
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    α及びδ-Tocをクッキーの生地に無水物換算で50mg/100g添加し,ばい焼及び保存におけるこれらの安定性及び抗酸化効果について検討した.
    (1) α及びδ-Tocは,いずれもばい焼により約20%損失した.保存中における損失率は,αがδ-Tocよりも相当高かった.保存中における損失は,全粉乳の配合割合が増えるにつれて減少した.この傾向は全卵にも認められ,その効力は全粉乳と同等であった.
    (2) α-Toc添加の場合,ばい焼直後の油脂のPVは高い.しかし,全粉乳及び全卵の配合割合が増えるにつれて, PVは低下した.また,保存中におけるPVの増加も全粉乳及び全卵の配合により抑制された.
    失が軽減された.
    終りに,本研究に対しご協力ならびに有益なご助言を得た(財)日本食品油脂検査協会理事兼松弘博士並びに実験に協力を得た(財)日本食品油脂検査協会牛草寿昭氏,師田和美本学卒業生に深謝する.
  • 菊池 栄一, 小林 秀行, 日下 部功, 村上 和雄
    1988 年 35 巻 4 号 p. 265-270
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    pH4.5からpH6.8の範囲におけるレンネット・カゼイン溶液(濃度約30%)に,シリンジ式ノズルを用いて一種のずり応力を与えると, pH5.3~5.4付近において配向性をもった糸状組織物が得られた.この現象から,レンネット・カゼインの配向性におよぼすpHの影響を検討した.
    イ) pH4.5からpH6.8の範囲にわたるレンネット・カゼインの容積変化と上清側へのタンパク質画分の移行度との関係から,レンネット・カゼインの水和度の最も大きいところは, pH5.3~5.4付近である.
    ロ) レンネット・カゼイン中のカルシウム/リンの比率および水和度を表わすペレット容積の変化から,レンネット・カゼインのpHによる形態的変化はA, B, Cの3領域に大別される.
    ハ) 上記のB領域の範囲に入るpH5.4以上からアルカリ側に進むに従って,カルシウムおよびリンの上清部への移行は減少する.
    二) レンネット・カゼインの配向性は,カゼインの水和度が高く,カゼインからのカルシウム,リンの離脱の終末点に相当するpH5.3~5.4とよく一致する.
  • 金子 成延, 沖谷 明紘, 早瀬 文孝, 加藤 博通
    1988 年 35 巻 4 号 p. 271-277
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    Changes in chemical and functional properties of gelatin were investigated on reaction with vaporized hexanal to reveal the reaction mechanism between oxidized lipids and proteins. Among the amino acid residues of gelatin, only lysine and hydroxylysine residues decreased on the reaction. The analysis of UV spectrum suggested that almost all of theε-amino groups in the decreased amino acid residues were modifed to alkyl-substituted pyridinium rings, i. e, , 1-(5-carboxy-5-aminopentyl)-2-pentyl-3, 5-dibutylpyridinium betaine.Gelatin was not assumed to polymerize on the reaction with hexanal. These results suggested that the hexanal-induced polymerization of proteins did not always require the cross-linking involving lysine residues. The solubility of gelatin decreased as the modified lysine and hydroxylysine residues increased. When the extent of such modifcation reached to 57%, a remarkable decrease in solubility occurred. On the other hand, the emulsifying activity of the modified gelatin increased as compared with that of the unmodified gelatin when the extent of the modification was 4 or 27%, but decreased at a 57 or 71% modification.
  • Joko SULISTYO, 田谷 直俊, 舟根 和美, 木内 幹
    1988 年 35 巻 4 号 p. 278-283
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    The quality characteristics of natto starter affects the quality of natto such as flavor, taste and the production of sticky materials. In order to get good natto starter, Bacillus natto isolated from commerical natto starters was transferred from nutrient agar slant and incubated on three solid media; soybean extracts agar, phytone agar and nutrient agar. Natto manufactured with the starters of soybean extracts agar and phytone agar contained high amounts of organic acids and amino acids, but natto manufactured with the starter of nutrient agar contained low amounts of those components. The quality of the former two natto were of high grade, while that of the latter natto was of low grade. It was proved that transferring B. natto from nutrient agar slant to soybean extracts agar slant or phytone agar slant was effective to get good quality of natto starter.
  • 神山 かおる, 西成 勝好
    1988 年 35 巻 4 号 p. 284-288
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
  • 真鍋 勝, 野口 義恭
    1988 年 35 巻 4 号 p. 289-292
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 35 巻 4 号 p. A15-A21
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
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