日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
35 巻, 8 号
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  • 下田 満哉, 波多野 昌二, 筬島 豊
    1988 年 35 巻 8 号 p. 521-527
    発行日: 1988年
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    培養液中の揮発性成分を分析することにより, Bacillus属細菌の同定を試みた.培地組成は,酵母エキス0.5%,グルコース0.5%,バクトトリプトン1.0%,リン酸水素ニカリウム3.66%,リン酸水素一カリウム0.54%を最適とした.培養は, 500ml容坂口フラスコで24時間往復振とう培養することにより行なった.培養液からの揮発性成分の分離,濃縮は培養上澄200mlをポーラパックRカラム(1.5ml)に通し,エーテル(1.5ml)で抽出,濃縮することにより容易に行なうことができた.シリカキャピラリーカラムを用いたGC分析により,約40~80個の揮発性成分(3~300ppb)が検出された.得られたガスクロマトグラムをクラスター分析に供したところ, 9種のBacillus属33個の試料は明瞭に分類された.またB. subtilis6菌株も完全に分類することができた.
  • 平 智, 木村 由美, 渡部 俊三
    1988 年 35 巻 8 号 p. 528-533
    発行日: 1988/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    カキ‘平核無’果実のはく皮乾燥脱渋に及ぼす果実熟度の影響を調査するために, 1986年9月25日(着色開始直前), 10月15日(50%着色), 11月5日(全面着色), 11月26日(過熟)の4時期に果実を採取してはく皮し,屋外で乾燥させた.(1) はく皮後の果重は果実の熟度が進むほど緩やかに減少した.(2) 脱渋に要した日数は未熟な果実ほど短かく, 9月25日収穫果で5日, 10月15日収穫果で15日, 11月5日収穫果で20日, 11月26日収穫果で30日であった.(3) 果肉のアセトアルデヒドはいずれの熟度の果実でもエタノールにやや先立って増加し,その増加・蓄積の時期はタンニン含量の減少する時期とよく一致していたこれらの物質の蓄積量は果実熟度が進むに従って急激に減少した.(4) 乾燥中,果肉の全糖含量は濃縮によりしだいに増加したが,ショ糖は逆に徐々に減少した.この傾向は未熟果ほど顕著であった.(5) 9月25日収穫果には白粉はほとんど形成されず,11月26日収穫果では個体によるばらつきが大きかった.10月15日, 11月5日収穫果でははく皮後20日頃より白粉が認められるようになり, 40日頃にはほぼ果面全体に形成された.白粉の糖組成はいずれの熟度のものでも果糖:ブドウ糖〓1:4であった.
  • 棚橋 勝道, 高野 克己, 松本 信二, 小原 哲二郎, 鴨居 郁三
    1988 年 35 巻 8 号 p. 534-540
    発行日: 1988/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    (1) 大豆TIは精製すると耐熱性が向上する.このため共存する大豆タンパク質がどのようにTIの耐熱性に影響するかを調べた結果,大豆タンパク質中の7Sおよび15SはTIの耐熱性に影響を与えず, 11Sを添加すると著しく耐熱性が低下することを明らかにした.
    (2) 11Sタンパク質添加によるTIの耐熱性低下の原因を解明するため,分子内のSH基の影響について検討した.まず11Sの主要構成アミノ酸およびSH基を持つシステインをTIに添加して耐熱性を試験したところ,システインを添加した場合のみ11S添加と同様に著しい活性の低下を示し,他のアミノ酸添加では全く影響が認められなかった.このため11S添加によるTI耐熱性の低下は, 11S分子中のSH基が関与していることが示唆された.
    (3) 次にシステインおよび11S分子中のSH基をPCMBで修飾し, TIに添加して耐熱性試験を行ったところ,無添加と同様の耐熱性を示し, TIの耐熱性に11S分子中のSH基が関与していることが明らかとなった.
    (4) DEAE-celluloseによりTIを分画し,得られた5種の精製TIについて, 11S添加による影響を比較検討したところ,いずれのTIにおいても11S添加により耐熱性の低下が認められたが, TIの種類によってその失活率は異なり, 11Sの影響の程度に差のあることが認められた.
    (5) 11S分子表面および内部のSH基の反応性を比較検討するため, N-ethylmaleimide (NEM)により20℃および50℃で11S中のSH基を修飾し,これをTIに添加して耐熱性への影響を試験したところ,表面および分子内部のSH基はそれぞれ同様にTIの耐熱性に影響をおよぼしていた.
  • 棚橋 勝道, 高野 克己, 松本 信二, 鴨居 郁三, 小原 哲二郎
    1988 年 35 巻 8 号 p. 541-544
    発行日: 1988/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    トリプシンの基質(BAPA)に対するKm値を2倍にするTI力価をLINEWEAVER-BURKのプロットより求め,これをKt値として加熱されたTIのトリプシン親和性の変化および大豆加工食品中に残存するTIのトリプシン親和性について試験し,以下の結果を得た.
    (1) 食品加工用の中国大豆よりDEAE-celluloseにより分画した5種のTIについてKt値を測定したところKt値には差異が見られ, CB-1, CB-2は約15~19unit, CB-3, CB-4は約30unitであったが, CAは約100unitと最も親和性が低かった.
    (2) TIを100℃, 15分間加熱処理した後のKt値は,未加熱TIに比べてCB-4 (1.5倍)以外はいずれも1.1倍と,トリプシンに対する親和性の低下は僅かであった.しかし, 11Sを添加して加熱した場合は, Kt値がCB-4では5倍となり親和性が大きく低下し,その他のTIもKt値は1.5-1.9倍を示した.
    (3) 大豆加工食品中に残存するTIの多くは,加工工程中で加熱処理されていることからそのKt値を測定したところ,豆乳中TIはトリプシンのKm値を2倍にする,すなわちKt値は30unitであったが,他の食品中のTIは500unitまで添加してもトリプシンのKm値は変化せず,トリプシン親和性が著しく低下していることが推察された.
    (4) そこでトリプシンとBAPAをあらかじめ反応させた溶液中に,食品中より抽出したTIを100unit添加したところ,豆乳中TIの添加によってトリプシンとBAPAの反応は停止したが,他の食品中TIの添加ではその反応に変化は見られなかった.
  • 堤 将和, 李 在根
    1988 年 35 巻 8 号 p. 545-551
    発行日: 1988/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    低温加熱食品製造に関する基礎実験として, 1% Gly, 2% NaCl, 2% EtOH共存下における低温殺菌について検討した.
    (1) S. typhimuriumの場合,非加熱ではGly,NaCl, EtOHあるいはGlyとNaClとEtOH共存下においても本菌の増殖がみられた.
    (2) GlyとNaCl共存の場合, 55℃で30分間の加熱でもS. typhimuriumは生残した.しかし, EtOH単独あるいはGlyとEtOH, NaC1とEtOH, GlyとNaClとEtOH共存下, 55℃で20分間以上加熱すると本菌の増殖は認められず,また生残菌も確認されなかった.
    (3)上記薬剤共存下でS. typhimurium を55℃で30分間加熱し,菌体漏洩物質の測定を行った.その結果, GlyとNaClは菌体成分の漏洩を促進したが,EtOH は逆に阻害した.菌体成分の漏洩量と殺菌効果との関係はみられなかった.
    (4) P. vulgaris, A. hydrophila, S. cerevisiae,K, fragilisは薬剤非共存下, 55℃で30分間の加熱で死滅した.しかし, E. coliとB. subtilisは同条件の加熱でも生残した.
    (5) E. coliはGlyとNaCl共存下, 55℃で30分間の加熱で増殖できなかったが,菌は生残していた.GlyとNaClとEtOHの共存下,同条件の加熱で本菌は死滅した.
    (6) B. subtilisはGlyあるいはGlyとEtOH,GlyとNaCl, GlyとNaClとEtOHの共存下, 55
    (31)堤・他:薬剤共存下における低温殺菌551℃で30分間の加熱で増殖できなかったが菌は生残していた.この結果は,おそらく胞子の生残であろうと推定した.
  • 福田 靖子, 並木 満夫
    1988 年 35 巻 8 号 p. 552-562
    発行日: 1988/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
  • 杉沢 博
    1988 年 35 巻 8 号 p. 564-572
    発行日: 1988/08/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 35 巻 8 号 p. 575-586
    発行日: 1988/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 35 巻 8 号 p. A40-A45
    発行日: 1988/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
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