(1) 新しく育成された3系統の有する新規形質,巨大胚(ge),中間モチ(du),モチ(wx)の利用特性試験を行った.
(2) LAEMMLIの方法に従い, SDS-PAGEによる各品種間の識別を試みた.精米のタンパク質を40以上の明瞭なバンドに分離できたが,相互の類似性が高く,これを系統分類等に利用するためには,さらに染色法や分画法の検討が必要と思われた.
(3) 巨大胚系統は,胚が大きく,粗脂肪含量が高い.研削式精米では,胚芽残存率が高いので.胚芽精米としての利用が考えられる.摩擦式精米では,胚芽が完全に除去されるが,歩留まりは約85%に低下した.アミロース含量は21.6%とやや高く,膨化性,米飯テクスチュアの点では,やや硬いウルチ米に近い傾向を示した.
(4) モチ系統は,外観および諸性質が通常のモチ米にきわめて近く,膨化によってデンプンが可溶化するので,液状食品等の用途に適していると考えられた.
(5) 中間モチ系統は,アミロース含量が10.9%とモチ・ウルチの中間であり,透光度がやや低い.米飯テクスチュアでは,付着性が大きく, H/Aが小さいというモチ性に近い傾向が認められた.糊化特性では,糊化温度がウルチに近いものの,最高粘度,ブレークダウン等がウルチの約50%であった.膨化性が良好で水溶性全糖の増加も少なく,スナック食品等の用途に適していると考えられた.
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