日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
35 巻, 9 号
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  • 大坪 研一, 中川原 捷洋, 岩崎 哲也
    1988 年 35 巻 9 号 p. 587-594
    発行日: 1988/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    (1) 新しく育成された3系統の有する新規形質,巨大胚(ge),中間モチ(du),モチ(wx)の利用特性試験を行った.
    (2) LAEMMLIの方法に従い, SDS-PAGEによる各品種間の識別を試みた.精米のタンパク質を40以上の明瞭なバンドに分離できたが,相互の類似性が高く,これを系統分類等に利用するためには,さらに染色法や分画法の検討が必要と思われた.
    (3) 巨大胚系統は,胚が大きく,粗脂肪含量が高い.研削式精米では,胚芽残存率が高いので.胚芽精米としての利用が考えられる.摩擦式精米では,胚芽が完全に除去されるが,歩留まりは約85%に低下した.アミロース含量は21.6%とやや高く,膨化性,米飯テクスチュアの点では,やや硬いウルチ米に近い傾向を示した.
    (4) モチ系統は,外観および諸性質が通常のモチ米にきわめて近く,膨化によってデンプンが可溶化するので,液状食品等の用途に適していると考えられた.
    (5) 中間モチ系統は,アミロース含量が10.9%とモチ・ウルチの中間であり,透光度がやや低い.米飯テクスチュアでは,付着性が大きく, H/Aが小さいというモチ性に近い傾向が認められた.糊化特性では,糊化温度がウルチに近いものの,最高粘度,ブレークダウン等がウルチの約50%であった.膨化性が良好で水溶性全糖の増加も少なく,スナック食品等の用途に適していると考えられた.
  • 田之上 隼雄, 穂原 関夫, 石畑 清武
    1988 年 35 巻 9 号 p. 595-603
    発行日: 1988/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    ヤマノイモをすり卸した「トロロ」の物性はその中に含まれる粘質多糖によるものと考えられている.そこで,oyopearl HW-65, HW-75, HW-40を連結したカラムを用いて粘質多糖の含量を求めた.
    「トロロ」の水抽出物は連結カラムによるゲルロ過で,粘質多糖と他の糖成分,蛋白に分離された.精製した粘質多糖標品で求めた回収率は101%となり定量性を確認できた.
    13種類のヤマノイモの「トロロ」についてゲルロ過法による粘質多糖の定量と物性測定を行い,次の結果を得た.
    (1) 供試したヤマノイモの粘質多糖の含量は126~911mg%で,長芋が低く,自然薯が最も高かった.
    (2) 粘質多糖の含量と「トロロ」の物性値(B型粘度計指度,引っ張り試験におけるS値, L値, S×L値)とに相関が認められ,そのなかで「トロロ」の糸をひく性質を示すL値との相関係数は0.87と最も高かった.
    これらの結果に基づき,加工適性種として自然薯,KaU-02, KaU-09, KaU-14を選定できた.
    終りに,本稿を草するにあたり,数々の御助言と御検閲を賜った鹿児島大学農学部永浜伴紀教授に厚くお礼を申し上げます.
  • 竹田 正久, 中里 厚実
    1988 年 35 巻 9 号 p. 604-609
    発行日: 1988/09/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    Rhizopus属の糸状菌が生産する酸を清酒醸造に応用することを目的に,白米を原料とした液体培地で, Rhizopus属の糸状菌の通気培養試験を行った.生酸に最適な培地として,精米歩合(白米/玄米×100) 75%の白米9%,リン酸-カリウム0.1%,硫酸マグネシウム0,05%,塩化カルシウム0.05%の液体培地を設定した.
    5l容量の容器(ジャーファメンター)に白米240gとミネラルを添加した溶液2.64lを加え, 120℃, 15分殺菌後, Rhizopus spp,を30℃で4日間の通気培養(回転数1200rpm,通気量4.0l/分)を行った. R. javanicus TUA055の培養後は,酸度が22~24mlで,有機酸組成はフマル酸10111~12327ppm,コハク酸2008~2478ppm,リンゴ酸1193~1706ppm,a-ケトグルタール酸732~925ppm,乳酸133ppm~486ppmであった.一方,乳酸生成株のR. tonkinensis TUA192の場合は,酸度が20.0ml,乳酸14671ppm,リンゴ酸124ppm,コハク酸77ppm,クエン酸27ppmであった.
  • 宮尾 茂雄, 小川 敏男
    1988 年 35 巻 9 号 p. 610-617
    発行日: 1988/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    発酵漬物中の各乳酸菌群を簡易に選択計数するための培地としてPES培地を考案するとともにM-EnterococcusおよびM-LBS培地の選択効果について発酵漬物に関連の深い細菌を対象に検討を加えた.また,実際の発酵漬物を対象に,各乳酸菌群の挙動を以上の三種類の選択計数培地を用いた場合の有用性について検討を加え,以下の結果を得た.
    (1) Leuconostocの選択計数はLeuconostocのデキストラン生成およびグラム陰性菌の増殖阻止を考慮し,しょ糖とフェニルエチルアルコールを添加したPES培地を用い, 20℃, 3~4日間培養するのが適切であった.
    (2) Streptococcus, Pediococcusの選択計数はMEnterococcus培地を用い, 37℃, 3~4日間培養するのが適切であった.
    (3) Lactobacillusの選択計数は市販のLBS培地に酢酸および酢酸ナトリウムを添加したM-LBS培地を用い, 30℃, 4日間培養するのが適切であった.
    (4) キャベッを原料とした発酵漬物を調製し,発酵経過におけるミクロフローラの変遷をPES, M-Enterococcus, M-LBS培地を使用して調べたところ有効な結果を得ることができた.
  • 鄭 丙祥, 鈴木 平光, 早川 清一, 金 振昊, 西澤 幸雄
    1988 年 35 巻 9 号 p. 618-623
    発行日: 1988/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    ハトムギ中に存在する血漿コレステロール低下作用をもつ成分を明らかにするため,まず,ハトムギを脂溶性画分(総脂質)および非脂溶性画分(残渣)に分け,さらに,総脂質をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより3つの画分に分画した.これらの画分について,ラットを用いて降コレステロール効果を検討した.
    (1) ハトムギ残渣食群では,ラード食群に比べて体重増加量の低下(p<0.01)と共に血漿コレステロール値の低下(p<0.05)が認められた.
    (2) ハトムギの総脂質,中性脂質,糖脂質およびリン脂質食群の血漿コレステロール値は,ラード食群との間に有意差が認められなかった.
    以上の結果から,ハトムギの降コレステロール効果は,脂質成分には存在せず,非脂溶性成分中のアミノ酸組成やその成分の栄養価の低さなどの影響によるものと考えられる.なお,本研究結果は,ハトムギを原料とした食品製造において,脱脂ハトムギ粉末を用いることにより,血中コレステロール低下作用を有し,品質低下が起こりにくい食品を製造することができることを示唆している.
  • 酒井 信
    1988 年 35 巻 9 号 p. 624-629
    発行日: 1988/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    魚肉の定圧圧搾脱水実験を行い,その脱水速度を粘弾性体の変形速度として捉え,これを4要素モデルと比較検討した.この結果,脱水は速い過程と遅い過程の2つの過程で近似でき,みかけの脱水速度は圧力によりそれほど変わらないが,機構的には大きく圧力に依存することがわかった.すなわち,実験から求めた各要素の定数と圧力の関係は遷移領域を含む低圧側と高圧側で異なり,機構的には遅い過程の低圧側,両過程の高圧側において機構的には遅い過程の低圧側,両過程の高圧側においてこのモデルで近似されるが,遅い過程の高圧側の粘性係数のばらつきは激しい.また,速い過程の低圧側においては定数が圧力で変化し他の機構の複合などが予想される.一方,試料充填量と諸定数の関係は予測通りの関係になる.このように各々の脱水曲線は過程の違い,圧力による機構の違い,そして多大なばらつきの組合せから傾向をつかむ事が困難であったが,この解析により脱水の様子をよく捉えることができた.物質移動を変形に置き換えると言う多少の無理は避けられないものの大変有効な方法であるといえる.この知見を基に今後本来の物質移動の立場からの研究に道が開けると思われる.本研究を進めるに当り,有益なる助言ならびに試料を提供いただいた北海道大学水産学部羽田野教授に謝意を表します.
  • 広末 トシ子, 松沢 睦子, 入江 逸子, 川井 英雄, 細貝 祐太郎
    1988 年 35 巻 9 号 p. 630-633
    発行日: 1988/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    市販されているハーブ48種類について,蒸留水,エタノールおよびエーテル抽出を行い,それぞれの抽出物について,リノール酸メチル・エタノール溶液を基質として,チオシアン酸法およびGRIEWAHN法により酸化防止力を測定し, BHAの効力との比較によって,効力の有無の検討を行った.その結果,水抽出物ではホワイトオークに強い効果が,レモンベルベナにBHAとほぼ同程度の効果が認められた.エタノール抽出物については,ボルドー,キャットニップ,ホワイトークおよびトンカビーンズの効果が特に強く,リンデン,マートル,マグワートおよびサザンウッドにBHAとほぼ同程度の効力が認あられた.エーテル抽出物では,ボルドー,ペニーロヤルおよびホワイトオークにBHAとほぼ同程度の効力が認められた.
  • 中里 厚実, 本間 拓, 竹田 正久
    1988 年 35 巻 9 号 p. 634-639
    発行日: 1988/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    速醸もとで用いられている乳酸の代りに,乳酸生成株のRhizopus tonkinensis TUA 192の培養液およびフマル酸生成株のR. javanicus TUA 055の培養液の使用を検討した. Rhizopus培養液を添加して,仕込初期のpH3.84~4.02で腐造乳酸菌の増殖を抑止した.もろみ仕込では, 0.8l中に培養液(酸度20.3~24.3ml) 0.2~0.26lを含む酸度6.1~6.6mlの汲水を用いた速醸もとを使用した.乳酸使用と同様に腐造乳酸菌の増殖はみられなかった.もろみ上槽後の有機酸組成比に乳酸使用のものと若干異なるが,風味には差異がなかった.
  • 朱 玉灼, 荒川 信彦, 倉田 忠男, 松原 護, 宅野 雅巳
    1988 年 35 巻 9 号 p. 640-646
    発行日: 1988/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    A dehydrating device called contact-dehydrating sheet, is known to have an excellent capacity in dehydrating foodstuffs when it comes in contact with them. The effect of the sheet treatment on the color of bigeye tuna muscle was studied. Samples of 1.5cm thick were dehydrated by covering the sample slab with the sheet on the top side. After dehydrating for 5, 12h, 1, 2, 3 and 5 days at 3°C, each of the sample slabs wassliced horizontally along the treated side into 3 layers of equal thickness. It was found that the distribution of water removal in tuna muscle was more uniform than what occurred in beef and this uniformity might be due to less adipose and connective tissues. The ratio of metmyoglobin formation inupperlayerof dehydrated sample was the same with that of control and gradually increased with the prolonged treatment time. The iron content of samples rose from about 0.8 to 1.1mg% during the 5-day period dehydration. However, there was not much difference in redness of bigeye tuna muscle with the controls at varied iron content in this range. This phenomenon was thought to be due to the particular pattern of color (Mb) change in bigeye tuna muscle. This pattern was not significantly influenced by the formation of metmyoglobin.
  • 杉山 純一
    1988 年 35 巻 9 号 p. 647-653
    発行日: 1988/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 落下強度試験(Drop test)
    山口 尹通
    1988 年 35 巻 9 号 p. 654-655
    発行日: 1988/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
  • 高野 博幸, 木内 幹, 垣内 典夫, 山崎 恵, 大宮 あけみ, 徳岡 敬子, 鍋谷 浩志, 吉武 充, 鈴木 敦士, 鈴木 健, 原口 ...
    1988 年 35 巻 9 号 p. A46-A53
    発行日: 1988/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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