日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
36 巻, 3 号
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  • 内藤 茂三, 志賀 一三
    1989 年 36 巻 3 号 p. 181-188
    発行日: 1989/03/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    豆類もやしの栽培過程における付着微生物菌数と胚軸部の伸長に及ぼすオゾン処理の影響を検討した結果は以下のとおりである.
    (1) オゾン処理とオゾン水の併用区(E, F区)は生菌数の増殖が抑制され,大腸菌群はオゾン処理区(B188区: 0.02, C区: 0.2ppm),オゾン水散水区(D区:0.3~0.5ppm),オゾン処理とオゾン水の併用区(E,F区)のいずれにも著しく菌数の増殖が抑制された.
    (2) 胚軸部の伸長はいずれの試験区にも認められ,その伸長の程度はオゾン処理とオゾン水の併用区(E, F区)が一番高く,次いでオゾン処理区(B区: 0.02, C区 =0.2ppm),オゾン水散水区(D区)の順となった.
    (3) いずれのオゾン処理区も対照区に比較して著しくカタラーゼ活性が増加することを認めた.
    (4) 大部分のオゾン処理区(C~F区)は栽培初期にSOD活性が増加し,栽培期間中一定した活性を示した.
  • 高井 陸雄, 金沢 克夫, 村井 憲一, 小嶋 秩夫, 渡辺 尚彦, 酒井 夫, 青木 隆一
    1989 年 36 巻 3 号 p. 189-194
    発行日: 1989/03/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    単光束型の光音響分光測定装置を作成し小麦粉(薄力粉,強力粉),コーンスターチ,サツマイモデンプンに含まれる水分量を測定した.照射光にはハロゲンランプ光,および2種類のフィルターを透過した光を使用した.水分量の実測に先立ち,光源光の変調周波数ωと光音響信号強度Sとの関係を求あた.この結果, Sω-1.35となり,理論関数とほぼ一致した.さらに粉体試料を容器に充填する条件を求めたが,充填圧力が3.12kPa以下では,充填条件によらず一定の音響信号強度を得た.本実験で使用した粉体試料においては,水分量と音響信号強度は粉体の種類によらず同じ傾きを持つ直線式として表示することが可能であった.従って,光音響信号の強度をもとに水分を定量をすることが可能である.
  • 竹田 正久, 中里 厚実, 澤登 芳恵
    1989 年 36 巻 3 号 p. 195-201
    発行日: 1989/03/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    真性火落菌6株,火落性乳酸菌1株について,フマル酸1.13%を含むRhizopus javanicus TUA 055の培養液を清酒に加えて抗火落性試験を行った.
    アルコール15.5%の清酒の場合:ホモ醗酵型真性火落菌は, Rhizopus培養液8.8ml/100mlの添加(添加後はフマル酸993ppm,酸度3.2, pH 3.80)で,ヘテロ醗酵型火落性乳酸菌は, Rhizopus培養液4.6ml/100mlの添加(添加後はフマル酸518ppm,酸度2.3,pH 4.07)で増殖が抑制された.
    アルコール12.0%の清酒の場合:ホモ醗酵型真性火落菌は, Rhizopus培養液6.4~7.3ml/100mlの添加(添加後はフマル酸720~822ppm,酸度2.6~2.8,pH 3.65~3.61)で,ヘテロ醗酵型真性火落菌は,Rhizopus培養液4.5ml/100mlの添加(添加後はフマル酸514ppm,酸度2.1, pH 3.75)で増殖が抑制された.しかしこれらの菌株は,乳酸1619ppm添加,酸度3.0, pH 3.54で増殖することができた.
  • 小宮山 美弘, 辻 政雄
    1989 年 36 巻 3 号 p. 202-207
    発行日: 1989/03/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    高温(30℃)に貯蔵した‘ソルダム’スモモからAIS(Alcohol Insoluble Solid)を調製し,そのアミノ酸組成比を調べ, 3及び20℃貯蔵と比較検討した.(1) 熟期(未熟,適熟,完熟)を異にしたAIS含量は適熟期が若干低かったが, AISの全窒素含量は成熟に伴い増加した.(2) 貯蔵過程では, AIS含量の変化はみられなかったが,全窒素含量においては20℃で急増し,また遊離アミノ酸のうち, AlaとGluの組成比が貯蔵開始時期Ala及びF-Gluの組成比の増加は抑制された.(3) AISの蛋白態アミノ酸は18種類検出されたが,Gluが最も多く, CysとMetは著しく少なかった.成熟過程ではHy-proの減少を除いてほとんど組成の変化はなかったが,貯蔵過程ではHy-proが20℃で減少, 3と30℃で増加した.他のアミノ酸の変化も若干の増減がみられたが, AlaとGluの組成比も含め顕著な変化は認められなかった.終わりに,本研究に種々御助言賜りました大阪府立大学教授岩田隆先生に深謝します.
  • 福本 憲治, 塚正 泰之, 朝井 大, 藤間 能之, 赤羽 義章, 安本 教傳
    1989 年 36 巻 3 号 p. 208-213
    発行日: 1989/03/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    豚肉を塩漬し,加熱処理した後の塩漬風味の変化と塩漬温度・時間の関係及び塩漬風味形成に対する亜硝酸塩の必要性について通常処理肉と無菌化処理肉を用いて調べた.
    通常処理肉に亜硝酸塩を添加し, 15℃で塩漬すると短時間で塩漬風味が形成された.一方,亜硝酸塩無添加系では風味は悪く, pHも大きく低下した.残存亜硝酸根量は塩漬温度が高いほど速く減少した.無菌化処理肉に亜硝酸塩を含む塩漬剤を添加するのみで塩漬風味を形成させることができた.このことから,塩漬風味の形成に亜硝酸塩が直接関与していることが示唆された.
  • 山下 民治, 米田 達雄
    1989 年 36 巻 3 号 p. 214-221
    発行日: 1989/03/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    デンプンをスケトウダラすり身に対し10%添加したかまぼこの物性に及ぼすデンプンの種類や加熱条件などの影響について検討を行い,次の結果を得た.
    (1) かまぼこのゼリー強度が最大になる加熱温度(Tm)は,モチゴメデンプン添加区は75℃,コメやタピオカデンプン添加区は75~80℃,モチトウモロコシデンプン添加区は80℃,アミロメイズデンプン添加区は85℃,ジャガイモやコムギ,サツマイモ,トウモロコシ,クズデンプン添加区は90℃であった.
    (2) 魚肉すり身に添加したデンプンの糊化開始温度は,デンプン糊の糊化開始温度に比べて8~15℃高かった.
    (3) それぞれのデンプンを含むかまぼこをTmで加熱し続けたときに起るゼリー強度低下や圧出水分率の増加は, Tmが85~90℃にあるデンプン添加区よりも,75~80℃にあるものの方が大きかった.
    (4) Tmで40分間加熱したとき,ゼリー強度が最も大きかったのは,ジャガイモ,アミロメイズ,サツマイモ,トウモロコシデンプン添加区であり,次いでクズ,コムギ,コメ,タピオカデンプン添加区の順で,モチゴメ,モチトウモロコシデンプン添加区が最も小さかった.
    (5) それぞれのデンプンを含むかまぼこを,加熱温度を122℃にして, FO=4の条件で加熱したときのデンプンの種類によるゼリー強度や軟らかさの大小の順位は,Tmで加熱したときのそれらの物性の大小と同じ順位であった.
  • 河野 澄夫, 椎名 武夫, 太田 英明, 岩元 睦夫
    1989 年 36 巻 3 号 p. 222-230
    発行日: 1989/03/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    果汁,トマトピューレなどの液状食品の保存及び輸送容器として用いられつつあるドラム缶式無菌バッグの耐振動衝撃性について解明するとともに,ドラム缶内無菌バッグのクラックやピンホールの防止策について検討し,次の結果を得た.
    (1) ドラム缶式無菌バッグは,大分県杵築市から神奈川県海老名市までの1200kmの輸送中にクラックを生じ,著しい場合にはピンホールを生じた.損傷程度はトラック・フェリー輸送より貨車輸送において著しかった.
    (2) 無菌バッグの損傷は輸送中の振動に伴って生じる同バッグの屈曲現象による疲労破壊で,上下振動より水平振動によって生じやすかった.
    (3) クラックの発生率は,緩衝処置を施すことによって低減でき,特に半円状の発泡スチロール板を用いた緩衝方式3 (C区)で緩衝効果が最も高かった.この場合,1200km以上の貨車輸送及びトラック・フェリー輸送の両輸送区においてもクラックやピンホールは発生しなかった.
    (4) トラック・フェリー輸送より貨車輸送において多く損傷が発生する現象は貨車の水平振動がドラム缶の内容物の水平振動と共振を起こすことが原因であった.
  • 大久保 一良, 小杉 敏行, 本間 正, 六川 功一, 矢野 明次
    1989 年 36 巻 3 号 p. 231-236
    発行日: 1989/03/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    大豆から「ゆ」区分を調製して,収量と窒素含量,蛋白質成分組成およびその分子量を調べた結果,試料大豆の5.7%の固形分が「ゆ」に移行し,分子量55, 38, 15.5kDに相当する主蛋白質成分を含む7パンドがゲル電気泳動分析で検出され,大豆ホエー区分とは明らかに異なった泳動パターンであった.これらの蛋白質成分は限外ろ過における10kDフィルターで回収することができる予備的結果が得られた.さらに,豆腐製造工場における廃液「ゆ」から透析法と限外ろ過法で効率良く蛋白質区分を回収することができた.
  • 小泉 幸道, 鈴木 忠邦, 中山 利夫, 橋口 和典, 柳田 藤治
    1989 年 36 巻 3 号 p. 237-244
    発行日: 1989/03/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    壷酢製造における振り麹の役割について,実際に鹿児島県姶良郡福山町で,工業生産規模の仕込みを行い検討した.
    (1) 振り麹添加の有無による発酵への影響については,振り麹有りではアルコール生成及び酢酸発酵は順調に行われたが,振り麹無しではアルコール生成は早く,生成量も多く,以後の酢酸発酵の開始が遅れ,発酵期間も長かった.過剰なアルコールは,酢酸菌による酢酸発酵を阻害することが分った.
    (2) 振り麹添加の有無による有機酸生成の影響については,酢酸以外の有機酸については,乳酸の含量が一番多く,振り麹有りの方が振り麹無しのものより,乳酸は多かった.この他に,コハク酸,ピログルタミン酸,ピルビン酸,リンゴ酸の生成がみられた.
    (3) 振り麹添加の遅延による発酵への影響については,振り麹の散布が遅い程アルコール生成が早く,その生成量も多く,以後の酢酸発酵は順調に行われなかった.
    (4) 振り麹の代替として,発泡スチロール板を表面に浮かせて,壷酢製造を行った所,仕込み後20日目で取り除いたものは,順調に酢酸発酵は行われたが, 90日間の発酵期間中,発泡スチロール板を浮かせたものは,酢酸発酵は行われなかった.
    (5) 仕込み時に酵母を添加した所,添加菌数が多いとアルコール生成は多く,以後の酢酸発酵は行われなかった.酵母無添加でアルコール発酵を行った後,酢酸菌を添加して酢酸発酵を行ったものは,無添加と比較して酢酸発酵に差はみられなかった.
    仕込み直後に行われる振り麹は,仕込み初期の急激なアルコール生成を抑えると同時に,種々のカビや産膜酵母等の混入防止の役割と,乳酸菌群から酵母菌群さらに酢酸菌群へのフロラの推移を司どり,壷酢製造における重要な役割を果していることがわかった.
  • 松本 晴美, 丸山 良江
    1989 年 36 巻 3 号 p. 245-249
    発行日: 1989/03/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    市販ほうとう17種の性状および物性について検討を加え,以下の結果を得た.
    (1) 市販ほうとうは形状および成分に大きな差が見られ,幅は5~10mm,厚みは1.6~2.8mm,水分量は24~35%,食塩量は0.2~1.7%,タンパク質量は生めん中に6.7~9.4%,原料小麦粉に換算すると8.4~11.8%であった.
    (2) ほうとうの標準的な形状および成分は幅が5~6 mmあるいは7~8mm,厚みは2mm,水分量28~30%,食塩量0.8~1.1%,タンパク質量(原料小麦粉中)9~10%であると判断された.
    (3) ゆで後の形状増加はゆで前に比べて幅が1.2~1.5倍,厚みが1.2倍で,引張り強度は3~4g/mm2の範囲にあった.
    (4) 17種のほうとうから5種を選択し,ゆで時間をかえてほうとうの水分量および物性値を測定した. 5種のほうとうの食感的に好ましいゆで時間は試料により13分から20分まで幅が見られたが,その時の水分含量は67~68%であった.
    (5) 物性試験において, 5試料のせん断強度および引張り強度はいずれも水分含量への依存性が高かったが, 4試料でせん断強度の方が水分含量との相関係数が大きかった.
    (6) 5種のほうとうの水分含量68%での物性値を比較すると,せん断強度と引張り強度とに正の相関が見られた.
  • 藤野 安彦
    1989 年 36 巻 3 号 p. 250-256
    発行日: 1989/03/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 目黒 煕
    1989 年 36 巻 3 号 p. 257-262
    発行日: 1989/03/15
    公開日: 2010/06/23
    ジャーナル フリー
  • 岩元 睦夫
    1989 年 36 巻 3 号 p. 263-265
    発行日: 1989/03/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 岩元 睦夫
    1989 年 36 巻 3 号 p. 265
    発行日: 1989/03/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1989 年 36 巻 3 号 p. A13-A15
    発行日: 1989/03/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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