日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
36 巻, 5 号
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  • 加藤 司郎, 関 昌子, 金内 長司, 中瀬 崇
    1989 年 36 巻 5 号 p. 357-363
    発行日: 1989/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    塩漬大根の低塩貯蔵法として,窒素ガス充填法を用いると5~6%の食塩濃度でも12月から約6ケ月間常温貯蔵が可能であるが,気温が20℃を越えると酸敗した.この原因として,乳酸菌の関与が想定されたので,窒素ガス充填法および従来の開放したままの方法により塩漬大根を貯蔵し,それらの乳酸菌フローラの変化を調査した.漬込み当初は,両方法とも未同定の乳酸菌が105/ml存在したが,それらはpHおよび気温の低下と共に減少し40日後には1×103/ml以下となった.漬込み初期については両方法とも違いはないと思われた.漬込み中期から後期に生育する乳酸菌は,両方法ともL. curvatus, L. bavaricus, L. coryniformis subsp. torquens, L. coryniformis subsp. coryniformis, L.plantarum, L. brevisおよび未同定の数種であった.これらの内でH2Sを生成する. L, bavaricus,アルギニンよりアンモニアを生成するL. brevis,粘質物を生成するL. coryniformisなどは品質を劣化させる菌種と考えられるが,これらの生育は窒素ガス充填法においては,従来法に比べ著しく抑制された.すなわち,菌数は1/100程度であり, L, bavaricus, L. coryniformis subsp. coryniformisの増殖の開始時期は約1ケ月遅かった.これが低食塩においても従来法より酸敗が遅れ長期貯蔵を可能にしている理由の一つと考えられる.しかし,気温が20℃を越える漬込み後期においてはL.brevis, L. coryniformisおよびL. plantarumが105/ml~106/ml増殖してきて酸敗した.
  • 加藤 司郎, 関 昌子, 金内 長司, 中瀬 崇
    1989 年 36 巻 5 号 p. 364-368
    発行日: 1989/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    塩漬大根を低食塩濃度(5~6%)で窒素ガス充填法および従来の開放したままの方法により貯蔵し,両法の漬液に生育する乳酸菌を経時的に171株分離した.それらの内の109株はLactobacillus属の5種2亜種に同定された(L. curvatus, 27株, L. bavaricus, 20株,L. plantarum, 13株, L. brevis, 13株, L. coryniformis subsp. torquens, 10株, L. coryniformissubsp coryniformis, 26株).残りの菌株62株は既知種に同定できなかったが,いずれもLactobacillus属であり, 12群に区分された.
    本研究に御助言を賜りました東京大学応用微生物研究所駒形和男教授,実験に御協力いただきました理化学研究所微生物系統保存施設小迫芳正博士,埼玉県食品工業試験場八森豊場長,大島貞雄課長,北村英三主任,株式会社塩野の各位に深謝いたします.
  • 小野田 明彦, 小泉 武紀, 山本 健司, 古谷 正, 山川 秀人, 小川 浄寿
    1989 年 36 巻 5 号 p. 369-374
    発行日: 1989/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    低圧下のある2つの圧力間を変動させながら貯蔵する差圧式減圧貯蔵法をキャベツとカブに適用した.本貯蔵法の特徴と研究を通じて得られた結果を以下に要約する.
    (1) 本貯蔵法は,減圧したチャンバ内で設定した2つの圧力(P1, P2.)間を往復させながら貯蔵する方法である.経時的に圧力を変動させることによって,貯蔵期間中チャンバ内のO2補給やCO2ガス等の排除が容易に行われる.
    (2) 圧力P1, P2は,チャンバ内のO2濃度許容下限値を3%,下限値を10%とし,P1=100mmHg, P2=300mmHgに設定した.
    (3) 圧力がPlからP2に昇圧する過程で,チャンバ内は青果物の呼吸作用によってCO2ガスが蓄積されるが,その濃度と流入空気量, Pl→P2の時間(排気サイクル)等の関係についてキャベツを例に検討を行った.貯蔵温度0℃,上限圧力P2におけるチャンバ内のCO2ガス許容濃度4%,キャベツの呼吸量8mg/kg・hを条件に排気サイクルを計算した結果,本貯蔵装置では10時間となり,流入空気量は30ml/minと算出された.
    (4) キャベツとカブを供試し,本貯蔵法と一定圧力に保って貯蔵する定圧減圧貯蔵法との比較試験を行った.その結果,貯蔵中の減量,外観等の品質面,あるいは装置の取扱性等いずれも本貯蔵法が勝った.また,本貯蔵法の場合,貯蔵期間中真空ポンプは圧力をP2からP1に下げる時だけ作動すればよいため,連続的に作動する定圧減圧貯蔵に比べ,ランニングコストの面ではるかに経済的であった.さらに本貯蔵方式の場合,チャンバ内は青果物等の水分で飽和されやすいため,流入空気を加湿する必要はなかった.
  • 原 征彦, 渡辺 真由美, 阪ロ 玄二
    1989 年 36 巻 5 号 p. 375-379
    発行日: 1989/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    清涼飲料として市販されている茶飲料類(乳または酸を含むものを除く)にボツリヌス菌芽胞を接種し,菌の増殖,毒素産生の有無を調べた.茶飲料としては紙容器入り紅茶飲料2種缶入り煎茶,缶入りウーロン茶の計4種を選んだ. A型ボツリヌス菌5株,同B型菌5株の芽胞を均等に混合し各飲料に接種し,嫌気状態下で一定期間保ち,保存後の菌数を計測したところ菌数の顕著な減少を認め,生残菌は全て耐熱性芽胞であった.保存後の各被験材料をマウス腹腔内に投与したがマウスの斃死はみられず,保存期間中に毒素の産生はないものと考えられた.各飲料に接種された芽胞数の経時的増減を調べたところ煎茶以外は1月以内に激減しやがて零になる傾向を示した.煎茶に関しては芽胞接種後加熱処理を加えたところ上記と同様の経過を示した.さらに紅茶飲料をタンニン画分と非タンニン画分とに2分し,それぞれに芽胞を接種したところ非タンニン画分では菌数の減少がみられなかったが,タンニン画分では菌数は急減した.以上の結果より,清涼飲料として標準的な茶抽出濃度をもつ低酸性の茶飲料類はボツリヌス菌芽胞に対する抗菌活性をもち,その活性はタンニン(ポリフェノール)成分に由来することがわかった.
  • 佐藤 吉永, 滝口 俊男, 鈴木 義久, 野原 武男, 前田 健二
    1989 年 36 巻 5 号 p. 380-387
    発行日: 1989/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は菓子類の香気を評価する方法の開発の一環として,菓子を食べるときに口から出る香気が周囲の人に与える影響を測定し,菓子の香味を向上させ,商品価値のある菓子を開発することにある.本報においては単品香料および調合香料を用いて,各香料を添加した試験液をろ紙に吸収させSP内で拡散させる方法,および賦香したチューインガムをそしゃくして口腔から揮散する香気成分をSP内で拡散させる方法によって行った.
    (1) 香気の拡散量の測定方法は, SP内の一定の距離における香気をシリカゲル吸着-GC分析法によって濃縮し分析を可能とした.そしてSP内で拡散する香気を再現性良くピーク面積として各成分を比較することができた.
    (2) 香気の拡散速度は一定の距離において人の嗅覚によって識別試験を行い, 17種類の単品香料について拡散性の速い香料,中程度の香料,遅い香料の3段階に分けることができた.
    (3) SP法は香気の拡散性を測定する装置として充分に活用されることが確認された.
  • 堀内 久弥, 佐田 朋存
    1989 年 36 巻 5 号 p. 388-394
    発行日: 1989/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    アミロペクチン糊が長時間流動性を示すのに対して,それを主体とするもち生地が急速に硬化する現象が両者の濃度の相違によるものではないかと考え,高濃度アミープで分散させたワキシーコーンスターチをアミロペクチン糊とみなし,3日間冷蔵後の5~45%糊の剛性率を3種類の測定機を使用して測定した.剛性率は20%を境に低濃度側で濃度の2乗に比例し,高濃度側では17乗に比例して急増した.アミロペクチンが20%以上で硬化し,その増加が急激であり,また同程度の弾性率が白玉もちより低濃度で得られることから,もち生地の硬化現象はアミロペクチン自体の老化によるものと考えた.
    アミロペクチン糊の硬化には低温度での時間依存性があり,硬化時間と濃度の間に双曲線的な関係を認め,濃度から硬化時間が推定できた.またアミロペクチンのゾルからゲルへの移行過程を弾性率の周波数依存性から示した.さらにアミロペクチン糊の硬化時の白濁現象が相した.さらにアミロペクチン糊の硬化時の白濁現象が相顕微鏡による観察の結果から推察した,
  • 植松 恒美, 石井 謙二
    1989 年 36 巻 5 号 p. 395-399
    発行日: 1989/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    Florisil処理した落花生油(10ml)を単独,またはアミノ酸(アラニン,バリンおよびプロリン各10mmol)とともにWhatman No.42濾紙に吸着させ,50℃のふらん器中に60日間放置した.
    落花生油単独では褐変しないが,アミノ酸が共存する料で最も顕著であった.
    保温中に落花生油のIVは低下し, 60日後には32~38に減少し油の重合および開裂が進行したことを示した.保温20日の酸化油では相対的にリノール酸の減少が認められ,油の不飽和度(不飽和脂肪酸/全脂肪酸)も減少した.保温中に落花生油のPOVおよびTCは増加し,30日で最大値を示した. TBA価は落花生油単独の場合の方がアミノ酸共存試料より高い値で推移した.
    保温中に褐変酸化油は蛍光を生じ, 338~343nmの励起波長で411~421nmに蛍光を検出した.その蛍光強度は褐変進行とともに強くなった.しかし,落花生油単独試料からは蛍光は検出されなかった.
  • 岡本 存喜, 竹尾 忠一
    1989 年 36 巻 5 号 p. 400-402
    発行日: 1989/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    近赤外分光分析装置により,ウーロン茶・緑茶の水分の定量を試みたところ,次の結果が得られた,
    (1) 水分の吸収に帰属される1940nmのフィルターを含む数枚の干渉フィルターを用いて検量線を作成し,茶の水分を定量した.その結果,茶種ごとの検量線を用いて測定した近赤外線法による値と乾燥法による値は,相関係数および標準誤差が,ウーロン茶で0.998・0.17%,緑茶で0.996・0.10%であり,近赤外線法による水分測定値は,従来法と良い一致をみた.
    (2) 異種茶の検量線を用いての近赤外線法による水分測定値は常圧乾燥法による値との誤差が大きく,これは粒度の差によるものと考えられた.
  • 小野田 明彦, 大森 定夫, 椎名 武夫, 星野 健一
    1989 年 36 巻 5 号 p. 403-408
    発行日: 1989/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    トマトとメロンを供試して,貯蔵中の減圧下のチャンバ内ガス組成を分析した.また,その結果をもとに減圧下における両品目の呼吸量を算出した.まず,減圧下のチャンバ内から直接空気をサンプリングするための器具を試作し,この器具を介してガスタイトシリンジでサンプリングを行った.サンプリングしたガスをガスクロマトグラフにかけて,O2, CO2, N2及びC2H4についてそれぞれ分析を行った.
    分析値をもとに両品目の呼吸量(CO2排出量)を算出した結果,トマトは減圧下では常圧下の1/30~1/40,メロンも同様に1/20程度の呼吸量になっており,減圧による呼吸作用の抑制効果は顕著であった.
  • 亀井 俊郎, 佐藤 順, 杉本 泰子, 鈴木 直子, 野田 勝彦
    1989 年 36 巻 5 号 p. 409-416
    発行日: 1989/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    L. leichmanniiを用いた牛乳・調製粉乳中のビタミンB12の測定条件につき検討し,以下の結果を得た.
    (1) 接種用培地の前培養時間は5時間,接種菌液濃度はOD520=0.01,本培養時間は25時間,波長520nmでの測定が最適と思われた.測定時間は従来の32~44時間から30時間に短縮された.
    (2) 保存菌株の継代培養は毎日実施する必要はなく,1カ月間隔でも活性の低下は認められなかった.416日本食品工業学会誌 第36巻 第5号 1989年5月(60)
    (3) 新試験法により添加回収実験を試みたところ,良好な結果を得た.
    (4) 日内・日間分析精度を求めたところ従来法と比較して小さい値を得た.
  • 村田 克己, 小林 秀行, 日下部 功, 寺元 裕子, 村上 和雄
    1989 年 36 巻 5 号 p. 417-423
    発行日: 1989/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    Soymilk curd was prepared by using three kinds of proteinases having soymilk-clotting activity (subtilisin, thermolysin and bromelain) as a coagulant followed by lactic acid fermentation. Among these fermented soymilk curds, the curd made with thermolysin showed a little higher moisture content than the others. On the other hand, the curd made with bromelain had a little higher protein recovery and yield than the others. In order to estimate the extent of proteolysis in fermented soymilk curd, analyses were made on electrophoretic patterns, the ratio of water soluble nitrogen to total nitrogen, and free amino acid content. The results of these experiments showed that thermolysin and subtilisin hydolyzed the protein in fermented soymilk curd more than bromelain did. None of the soymilk curd which was fermented for 2 weeks developed bitterness or rancidity. The fermented soymilk curd made with thermolysin was slightly superior in texture (smoothness) to that made with the others. The results of this study suggest that thermolysin, as compared with subtilisin and bromelain, is more suitable for making fermented soymilk curd with respect to proteolysis and texture (smoothness).
  • 杉山 純一, 林 徹, 堀内 久弥
    1989 年 36 巻 5 号 p. 424-427
    発行日: 1989/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 遠藤 金次
    1989 年 36 巻 5 号 p. 428-433
    発行日: 1989/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • ボツリヌス菌 (Clostridium botulinum)
    芝崎 勲
    1989 年 36 巻 5 号 p. 434-435
    発行日: 1989/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
  • 1989 年 36 巻 5 号 p. A24-A29
    発行日: 1989/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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