低圧下のある2つの圧力間を変動させながら貯蔵する差圧式減圧貯蔵法をキャベツとカブに適用した.本貯蔵法の特徴と研究を通じて得られた結果を以下に要約する.
(1) 本貯蔵法は,減圧したチャンバ内で設定した2つの圧力(P
1, P
2.)間を往復させながら貯蔵する方法である.経時的に圧力を変動させることによって,貯蔵期間中チャンバ内のO
2補給やCO
2ガス等の排除が容易に行われる.
(2) 圧力P
1, P
2は,チャンバ内のO
2濃度許容下限値を3%,下限値を10%とし,P
1=100mmHg, P
2=300mmHgに設定した.
(3) 圧力がP
lからP
2に昇圧する過程で,チャンバ内は青果物の呼吸作用によってCO
2ガスが蓄積されるが,その濃度と流入空気量, P
l→P
2の時間(排気サイクル)等の関係についてキャベツを例に検討を行った.貯蔵温度0℃,上限圧力P
2におけるチャンバ内のCO
2ガス許容濃度4%,キャベツの呼吸量8mg/kg・hを条件に排気サイクルを計算した結果,本貯蔵装置では10時間となり,流入空気量は30ml/minと算出された.
(4) キャベツとカブを供試し,本貯蔵法と一定圧力に保って貯蔵する定圧減圧貯蔵法との比較試験を行った.その結果,貯蔵中の減量,外観等の品質面,あるいは装置の取扱性等いずれも本貯蔵法が勝った.また,本貯蔵法の場合,貯蔵期間中真空ポンプは圧力をP2からP1に下げる時だけ作動すればよいため,連続的に作動する定圧減圧貯蔵に比べ,ランニングコストの面ではるかに経済的であった.さらに本貯蔵方式の場合,チャンバ内は青果物等の水分で飽和されやすいため,流入空気を加湿する必要はなかった.
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