市販エビスカボチャ果肉を厚さ2mm,直径2cmの円板状にしたものをブランチング処理,凍結貯蔵および凍結乾燥貯蔵することによってカロチノイドがどのような変化をうけるかをカロチノイドの組成別に調べた.
(1) ブランチング処理後にはすべてのカロチノイド組成において変化はなかった.
(2) 凍結処理によってカロチノイド量は減少したが,これはルテインが減少したためであり, β-カロチンの損失は認められなかった.
(3) 凍結貯蔵ではカロチノイドの減少にともない,ルテインではなくβ-カロチンが減少し, 3ヵ月後には32%の損失が認められた.
(4) 凍結乾燥処理によってカロチノイド量, β-カロチン量ともに変化はなかった.
(5) 凍結乾燥貯蔵においてβ-カロチンの損失は, 30℃ 1ヵ月, 2ヵ月, 3ヵ月貯蔵ではそれぞれ15%, 20%,53%に達した.しかし0℃貯蔵ではβ-カロチンの損失は3ヵ月後でもわずか10%に留まった.凍結乾燥品は腐敗する心配はないがカロチノイドの損失をおさえるためには低温で貯蔵することが大切であることがわかった.
(6) 生果の総カロチノイド量は15.5mg/100gでその内訳は48%のルテイン, 18%のアンテラキサンチン,14%のビオラキサンチン, 12%のβ-カロチン, 3%のゼアキサンチン, 2%のα-クリプトキサンチン,トロレインとネオキサンチンであった.
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