日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
37 巻, 10 号
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  • 大久保 一良, 曽根 清秀, 小杉 敏行, 本間 正, 六川 功一, 矢野 明次
    1990 年 37 巻 10 号 p. 751-757
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    回収「ゆ」区分の粗分画のための予備的検討として,アルコールへの溶解性について調べた結果,濃縮後の水への不溶化と50%アルコールへの可溶化が回収「ゆ」粗分画の最初の手段であることがわかった.そこでこの予備的検討の結果に基づいて回収「ゆ」の粗分画を試みた.その結果,回収「ゆ」を水不溶化(ISF), 50%エタノール不溶化(AIF),その可溶画分の硫酸アンモニウム飽和下層(LL),上層(UL)および浮遊(FF)の各画分に分けることができた.その収量からISFとULが全体の47.2%を占める主画分であり,窒素,蛋白および糖質の各含量からISF, AIF, LLおよびFFが窒素画分であり, ULが非窒素画分であった.但し,LLの窒素はほとんどが非蛋白態窒素であった.
    さらにラットの成長に及ぼす窒素画分の影響を10%カゼイン食に各画分を添加した飼料で調べた.その結果,窒素代謝には異常が見られなかったが,ラットの成長促進効果がいずれの窒素画分にもみられ,脂肪蓄積等の異常な解剖所見はみられなかった.
    次に,非窒素画分ULの影響を調査べた結果,窒素画分で最も効果の高いと思われたLL画分に匹敵するラット成長促進効果のあることがわかった.
  • 徳元 正和, 金城 清郎
    1990 年 37 巻 10 号 p. 758-764
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    パイナップル缶詰の褐変化原因菌Gluconobacter oxydans OPE-107を用いて,褐変化に関与している物質について検討を行い,以下の結果を得た.
    (1) パイナップル果実,パイナップルジュース及びGP培地に褐変化原因菌であるG. oxydans OPE-107を培養すると,果実,ジュース及び培地ともに加熱前の変化は認められないものの,加熱後には,それぞれ褐変化がみられた.
    (2) GP培地を用いたG. oxydans OPE-107培養中の培地変化では,培養二日目からpHの大幅な低下がみられ,かつ,加熱後の褐変色素生成がみられた.また,培養液の吸収スペクトル測定では,加熱前には変化はみられないものの加熱後においては440nmに吸収極大が現れ,かつ,褐変化した.
    (3) 褐変化に関与している糖は,グルコース,フラクトース,サッカロースの3種類であり,これらの糖は,褐変化原因菌G. oxydans OPE-107によって酸化的に代謝され,褐変色素前躯体になると考えられる.褐変色素の前躯体は,アミノ酸もしくはタンパク質の存在下で加熱により褐変色素を生成する.
    (4) 供試した全てのアミノ酸は褐変化に関与することが示された.その中でもとくにグリシン,リジン,トリプトファンが最も強い褐変度を示した.また,タンパク質もアミノ酸同様に褐変化に関与していることが示された.
  • 数野 千恵子, 西島 基弘, 三浦 洋, 鴨居 郁三
    1990 年 37 巻 10 号 p. 765-772
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    シロタモギタケから抽出した水溶性多糖LU-1について精製及び分画を行ない, P-1, P-2, P-3の3つの画分を得た.今回はそれらのうちP-1について構造解析を行なった.
    (1) LU-1は約18%のタンパクを含有する他,ほとんどが中性糖で構成されていることが分かった.その構成糖はマンノース,ガラクトース,グルコースであり,モル比は1.0:1.9:2.6であった.
    (2) LU-1をプロナーゼで処理し,除タンパク後,Sephacryl S-400を用いたゲルろ過により, P-1, P-2,P-3の3つの画分を得た.
    これらのうちP-1はゲルろ過,電気泳動,超遠心分析により, P-1は均一物質であることを確認した.
    (3) P-1はマンノース,ガラクトース,グルコースが1:2:5のモル比で構成され,平均分子量約470000でβ結合を優位とするグリカンであり,分子内はグルコースの(1→3)結合をcoreとし,グルコースの非還元末端と,マンノースを非還元末端に持つガラクトースの(1→6)結合の分枝を持つ構造であることを推定した.
  • 数野 千恵子, 西島 基弘, 三浦 洋, 鴨居 郁三
    1990 年 37 巻 10 号 p. 773-778
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    シロタモギタケの熱水抽出画分を, Sephacryl S-400ゲルで分画したP-2及びP-3について,ゲルろ過,超遠心分析,電気泳動により均一物質であることを確認した後,構造解析を行なった.
    (1) 物理的性質は,旋光度〔a20D及び赤外吸収スペクトルの結果から, P-2及びP-3共にβ結合を優位とする構造であることがわかった.これらの平均分子量はP-2約108000, P-3約16000であった.
    (2) 構成糖については, P-2はマンノース,ガラクトース,グルコースから成り,そのモル比は1.0:2.3:1.4であり, P-3はマンノース,ガラクトースが1.0:3.1からなるグリカンであることがわかった.
    (3)過ヨウ素酸酸化,スミス分解,メチル化分析及び酸部分分解-メチル化分析の結果, P-2はマンノースの非還元末端,グルコース(1→3),ガラクトース(1→6),グルコース(1→3)(1→6),ガラクトース(1→2)(1→6)の比がおおむね3:2:4:1:2であることがわかった.
    以上, P-2はグルコースの(1→3)結合をcoreとしガラクトースの(1→6)結合の枝の中に,さらにガラクトースの(1→6)結合の枝を持ち,いずれも非還元末端にマンノースを有する構造であることが推察された.
    P-3はマンノースの非還元末端,ガラクトース(1→6),ガラクトース(1→2)(1→6)がおおむね1:2:1であり, P-3はガラクトースの(1→6)結合をcoreとし,ガラクトースの(1→6)結合の枝を持ち,いずれも非還元末端にマンノースを有する構造であることが推察された.
  • 厄による素麺の脂質構成の変化とその影響
    新原 立子, 米沢 大造
    1990 年 37 巻 10 号 p. 779-785
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    (1) 厄前および厄後の素麺の脂質を添加して調製した乾麺についてゆで麺の物性を測定した結果,厄後の脂質によりかたさが増し,凝集性が小さくなりヤング率が増加した.これらの変化は素麺自体の厄による変化と同様であった.
    (2) 素麺から抽出した総脂質を単純脂質,糖脂質およびリン脂質に分画し,厄による極性脂質の量的な減少について調べたが大きな変化はみられなかった.
    (3) 脂質の各画分について厄による変化がゆで麺の物性に与える影響を調べた結果,脂質変化の影響は単純脂質画分の変化が主体で厄による極性脂質画分の影響はほとんど認められなかった.
    (4) 厄後の単純脂質画分は,厄前のものに比ベトリグリセリドが約17%減少し,脂肪酸が3.5倍に増加し,モノグリセリド及びジグリセリドが若干増加した.
    (5) 以上の結果から,手延べ素麺の厄現象の主原因は貯蔵中の脂質変化であることが確認されたが, 極性脂質の加水分解の直接的な影響はほとんど認められず, 遊離脂肪酸の大幅な増加がデンプン粒の膨潤やグルテンの性質に与える影響によるものと推察した.
  • 工藤 重光, 打田 悌治, 尾島 聡, 大久保 一良, 藤波 博子, 海老根 英雄
    1990 年 37 巻 10 号 p. 786-792
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    味噌中の配糖体成分組成とその含量および味噌の品質に及ぼす配糖体成分の影響について検討し以下の結果を得た.
    (1) 各種味噌における配糖体のTLCパターンを比較した結果,豆味噌のTLCパターンは,米味噌および麦味噌のそれとは著しい差が認められ,豆味噌には,特異的な成分がみられた.
    (2) 大豆のイソフラボン成分であるダイジン・ゲニスチンは,甘米味噌において,ほとんどが配糖体のままで存在しているのに対し,豆味噌においては,全て分解されていた.他の味噌は,同じ種類の味噌でも分解率にバラツキがあった.
    (3) 辛口米味噌中の大豆サポニンBb含量は,乾物当たり16~173mg%に広く分布し,平均57mg%であった.
    (4) 大豆サポニンBb含量と香り及び色との間に有意な相関が見られ,大豆サポニン含量が高いほど色および香に対する官能評価が低い傾向が認められた.
    (5) 脱皮大豆使用味噌と丸大豆使用味噌について官能検査スコァーおよび大豆サポニンBb含量に関して分散分析をした結果,脱皮大豆使用味噌の官能評価は有意に高く(危険率<0.01) Bb含量も有意に低かった(危険率<0.05).
  • 池上 徹, 永嶋 一史, 下田 満哉, 筬島 豊
    1990 年 37 巻 10 号 p. 793-798
    発行日: 1990年
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    各種香気成分を添加した試料溶液をPET単層ボトル(300ml)に無菌的に充填し,香気成分の容器への収着並びに貯蔵中の変化についてガラス瓶及びパウチと比較,検討した.
    (1) 2カ月間の貯蔵により容器に収着された香気貯蔵の分配比(容器からの回収量/内容液からの回収量)はいずれも0.7以下と小さかった.しかしながら分配比はテルペン炭化水素類で最も大きく,同族列においては香気成分の構成炭素数の増加に伴い増大した.
    (2) 脂肪族アルデヒド類は溶存酸素により酸化され,各々対応する炭素数を有するカルボン酸を生成した.一方,環状構造をしたアルデヒド類は貯蔵中安定に存在し,その残存率はパウチあるいはガラス瓶と比較して同程度であった.
    (3) テルペンアルコール類の残存率に及ぼす溶存酸素の影響は認められなかった.
    (4) エチルエステル類はPETボトル,パウチ,ガラス瓶いずれの容器を用いても加水分解反応を受けたが,内面フィルムへ収着されやすいパウチでエステルの残存率,加水分解率ともに最小であった.
  • 郭 信子, 上田 悦範, 黒岡 浩, 山中 博之
    1990 年 37 巻 10 号 p. 799-804
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    温州ミカン果実を1℃, 8℃, 20℃に貯蔵し,貯蔵に伴う異臭生成に関係の深い物質であるジメチルサルファイド(DMS)術挙動を調べた. DMSはミカン果実貯蔵に伴って空隙中に蓄積したが,貯蔵温度が高いほど高濃度であった. DMSの前駆物質であるメチオニン-S-メチルスルフォニウム(MMS)の果汁中の含量も貯蔵温度が高いほど多かった. 21種類のカンキツについて調べた結果, MMS含量及び果実空隙中術DMS濃度は温州ミカンが特に大きい値を示した.温州ミカン果汁を加熱した場合のDMSの生成量について調べたところ,貯蔵温度が高い果実の果汁で多かった.
  • 斎藤 昌義, 石橋 恵美子, 平 春枝
    1990 年 37 巻 10 号 p. 805-809
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    屠殺時に採血し調製した豚血漿蛋白質を乳化性食品へ利用することを目的として,これを市販されている他の動物性蛋白質(牛血漿粉,卵白粉,卵黄粉,全卵粉,カゼイン,ホエー粉)と乳化特性を比較した.
    (1) 血漿蛋白質は, pH 3, 0.2M NaCl溶液及びpH7,水溶液の乳化条件の乳化活性は各試料中最高であった.しかし,卵黄粉よりもよい乳化活性を発現させるためには, pHやイオン強度の条件を適切にする必要があった.
    (2) 血漿蛋白質の乳化容量は,卵白粉に次いで大きかった,血漿蛋白質を乳化剤とした場合,加熱に対するエマルションの安定性は高いが,凍結に対しては安定性は低かった.
    (3) 血漿蛋白質は,乳化条件と,利用する食品の形態によって,実用上の利点が多いことが示された.
    (4) 血漿蛋白質の表面疎水性,表面圧は,同様に乳化特性の優れている卵黄粉よりも著しく低く,これらの要因は,血漿蛋白質の高い乳化特性には,重要ではないと考えられた.
  • 内藤 茂三
    1990 年 37 巻 10 号 p. 810-813
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    小麦粉にオゾン濃度0.05~50ppm,流量100l/分,温度10℃,1~6時間処理を行ない,小麦粉へのオゾン処理が生地の粘弾性に及ぼす影響を検討し,次の結果を得た.
    (1) ファリノグラフの各特性値には,オゾン処理による影響は認められなかった.しかし,エキステンソグラフによる測定の結果では,中力粉,薄力粉はいずれもオゾン濃度0.5ppm以上の処理により伸長抵抗が増加し,薄力粉はオゾン濃度0.05ppm,中力粉はオゾン濃度5.0ppmの処理により伸長度が減少した.
    (2) 小麦粉にオゾン処理を行なうと,処理直後において酸化が促進され,生地を形成した時にグルテンが強固になり,つまり他の酸化剤と同様に生地内でSS架橋が非処理に比較して早く形成されるので,伸長抵抗の増大そして伸長度の低下として表われたものと考えられる.
  • 細川 誠, 榊原 英公, 矢島 泉, 林 和夫
    1990 年 37 巻 10 号 p. 814-818
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    (1) 官能評価では,背肉部と腹肉部のにおいに大差はなかったが,血合肉部は煮干し様のにおいが強かった.うま味とこく味は,腹肉部より背肉部に強く,血合肉部では非常に弱かった.
    (2) 背肉部と腹肉部の香気成分組成に大きな差異はなく,炭化水素類,アルデヒド類およびエーテル類などが若干腹肉部に多かった.血合肉部にはアルコール類,アルデヒド類および一部のフラン類など脂質の酸化生成物と思われる成分が多かった.
    (3) 背および腹肉部と異なる血合肉部特有のにおいは,脂質の酸化生成物の割合が高いことによると思われる.また背肉部と腹肉部の風味の違いは,香気成分組成の差に由来するよりむしろ他の呈味に影響をおよぼす成分によるのかもしれない.
  • 梶本 五郎, 嘉ノ海 有紀, 吉田 弘美, 芝原 章
    1990 年 37 巻 10 号 p. 819-822
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    油脂に添加したBHAの熱分解と熱分解に対する没食子酸およびチオジプロピオン酸の効果について検討した.
    (1) 加熱によりBHAは次第に減少するが,その減少割合はオリーブ油およびやし油で高く,大豆油,とうもろこし油中では低い.脂肪酸メチル中でのBHAの熱分解は,ステアリン酸メチル中で最も高く,次いでオレイン酸メチル,リノール酸メチルの順であった.
    (2) BHA 2-異性体は3-異性体に比べて熱安定性は高い.
    (3) BHAの熱分解は没食子酸の添加でかなり防止できた.
    (4) BHAは油脂の酸化生成物である酸化酸(石油エーテル不溶性の酸化脂肪酸)により容易に分解した.酸化酸によるBHAの分解を没食子酸およびチオジプロピオン酸の添加で防止できた.
  • 金丸 芳, 宮本 悌次郎
    1990 年 37 巻 10 号 p. 823-829
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    ブラウンマスタードとその辛味主成分であるイソチオシアン酸アリル(AIT)について5種の細菌に対する増殖阻害作用を検討し,両者の阻害作用の関係をも検討した.マスタードは脱脂後,水で練ってミロシナーゼを作用させ, 70%エタノールで抽出し,上清を20%マスタード抽出液とした. AITは70%エタノールに溶解し,抽出液中のAITと等濃度になるように調整した.細菌は抽出液またはAITを添加した肉エキス培地で30℃,振盪培養した.マスタード, AIT共に濃度に応じてlag timeを延長し,場合によっては定常期の濁度を低下させた.増殖を24時間阻止する濃度は, S. aureusはマスタード0.138%, AIT 14.5ppm, E. coliはマスタード0.104%, AIT 12.3ppm, Pro. vulgarisはマスタード0.064%, AIT 6.5ppm, Ps. fragiはマスタード0.043%, AIT 3.6ppm, Ps. aeruginosaはセスタード0.089%, AIT 7.2ppmであった.また,マスタードの阻害はほとんどそれに含まれるAITの作用によるものと示唆された.なお,マスタードはE. coliS. aureusに対しては0.8%で静菌的であったが, Ps. aeruginosaに対しては0.2%でも殺菌的であった.
  • 渡辺 乾二
    1990 年 37 巻 10 号 p. 830-837
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 安井 明美
    1990 年 37 巻 10 号 p. 838-839
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 37 巻 10 号 p. 840-847
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 37 巻 10 号 p. A37-A40
    発行日: 1990/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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