日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
37 巻, 12 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
  • 早生 好孝, 高橋 秀臣
    1990 年 37 巻 12 号 p. 935-939
    発行日: 1990/12/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    (1) トリ肉,スケトウダラすり身およびコイ肉のタンパク質分散系に,オレイン酸やリノール酸を添加し,pHを12,温度を40~50℃とした曳糸性を示す原液を直径0.1mmの紡口より酸性凝固浴中に押し出し水洗することで,これらのタンパク質の繊維を得ることができた.
    (2) 凍結乾燥したスケトウダラすり身繊維のオレイン酸残存率を測定したところ,約80%が繊維中に認められた.またLAL含量は85mg/100gタンパク質であった.
    各種凍結乾燥タンパク質繊維の強度および伸度を測定し強じん性を比較したところ,動物性タンパク質繊維は大豆タンパク質繊維より高い強じん性を備えていることが示された.
    (3) 走査型電子顕微鏡によるスケトウダラすり身タンパク質繊維の微細構造を調べたところ,本繊維の構成単位は縦方向に配列されており,その直径は500~700Åと筋原繊維と超原繊維の間にあることがわかった.
  • 辻 政雄, 小宮山 美弘
    1990 年 37 巻 12 号 p. 940-945
    発行日: 1990/12/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    ‘ソルダム’スモモの30℃下における追熟抑制現象を解明する手掛かりとしてエセホン処理の影響を検討した.エセホン処理は, 300ppm及び600ppm濃度のものに5分間浸漬した.
    (1) エチレンは,貯蔵1日後に300ppm区では1.1μl/kg/h, 600ppm区では3.6μl/kg/hが検出されたが,その後両者とも徐々に減少した.
    (2) 呼吸は,クライマクテリックパターンは見られなかったが,その呼吸量は無処理のものに比較して増加した.
    (3) 果実の軟化は,エセホン処理により促進されたが,600ppm区の方が300ppm区より顕著であった.
    (4) 果皮の赤色化は,エセホン処理により促進され,その濃度が高いものほど顕著であった.しかし20℃貯蔵のものに比較すると,着色速度は遅かった.一方,果肉ではエセホン処理によっても着色が見られず,アントシアニン合成経路のkey enzymeであるPAL活性は減少傾向であった.
    (5) 滴定酸度と糖含量は,エセホン処理しても無処理のものと大きな差異は見られなかった.
  • 楊 栄華, 杉沢 博
    1990 年 37 巻 12 号 p. 946-952
    発行日: 1990/12/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    スダた果汁の揮発性成分を明らかにするため,スダチ果汁から連続蒸留抽出法により揮発性成分を分離し,その揮発性成分をGCおよびGC/MSにより分析し,炭化水素化合物26種,含酸素化合物74種を同定した.また,含酸素部について,果皮精油と比較し,リナロール,シトロネロールの含量が少なく, α-テルピネオール,デカナール及びドデカナールの含量が多いことが判明した.さらに,果皮精油に見られなかった(E)-2-ヘプテナールと(E)-2-オクテナールなどの不飽和アルデヒドを含む29成分を果汁精油において同定した.含酸素部にスダチ果汁の特徴的香気が存在するため,この画分をシリカゲルカラムにより4つの画分に分画し,その最もスダチ果汁の香りに近いFr. 1について, GC/MS分析及びGC-Sniffingを行った結果,デカナール,ドデカナール及びオクチルアセテートなどの直鎖状アルデヒド及びエステル化合物がスダチ果汁の甘い香りに寄与していると考えられる.
  • 衛藤 英男, 西村 明良, 高澤 令子, 八木 昭仁, 斉藤 和秀, 坂田 完三, 木島 勲, 柴田 正人, 伊奈 和夫
    1990 年 37 巻 12 号 p. 953-958
    発行日: 1990/12/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    1) 沢わさびおよび西洋わさびの特徴的な香気成分を逃すことなく濃縮できる凍結濃縮法を検討した.
    2)わさび類の酵素反応の時期について検討し,凍結粉砕物の水抽出物をそのまま凍結濃縮し,その後に酵素反応を行わせる方法が良いことが分かった.
    3) ω-メチルスルフィニルアルキルイソチオシアナート類は, ω-メチルチオアルキルイソチオシアナート類あるいは,それらの配糖体から酵素的に変換され生成することが分かった.
  • 加藤 丈雄, 田原 豊之, 杉本 勝之, 佐藤 泰
    1990 年 37 巻 12 号 p. 959-964
    発行日: 1990/12/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    スターターとして乳酸菌を接種して種々の条件下で熟成を行った発酵ソーセージの肉蛋白質の分解状態について検討した.
    1) 乾燥熟成を行った発酵ソーセージにおいては,熟成に伴って遊離アミノ酸が増加したが,ソーセージの水分が約40%に減少にするとその増加は停止した.
    2) 真空包装によって高水分状態で熟成を行ったソーセージの遊離アミノ酸は一定の割合で増加し, 4週間後に466μmol/gとなった.これは6カ月間乾燥熟成を行ったソーセージの遊離アミノ酸量に相当した.
    3) 遊離アミノ酸組成, SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果から,熟成促進効果は高水分状態によ,蛋白分解酵素反応が低下しないことにより得られると考えられた.
    4) 真空包装を利用して高水分状態で発酵ソーセージを熟成する方法は熟成期間の短縮に効果的と思われた.
  • 五十部 誠一郎, 植村 邦彦, 野口 明徳
    1990 年 37 巻 12 号 p. 965-970
    発行日: 1990/12/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    利用拡大が求められているブナザケ身肉を材料として2軸エクストルーダーによる組織化物の製造を試み,その構造や蛋白変化を検討した.
    1) ブナザケ身肉から2軸エクストルーダー処理により組織化物を得た.冷却ダイを用いた場合,小麦粉の添加により組織化物の繊維性が改善された.金型を用いると,材料単体から安定して大型の組織化物を得られた.
    2) 冷却ダイを用いたシート状の組織化物を得る場合,小麦粉の添加は内部材料の粘弾性の低下をもたらし,さらに蛋白成分間に多糖類が点在することで,繊維状の蛋白部位間の癒着を防ぎ,より蛋白部位が延伸されて繊維性の改善に寄与したことが示唆された.
    3) ブナザケ身肉の蛋白質は煮沸による前処理及び2軸エクストルーダー処理により可溶性及び各蛋白画分のピークの減少が認められた.特に小麦粉添加の場合の可溶性の低下傾向は2軸エクストルーダー内部での多糖類と水分の分離凝集による蛋白成分の濃縮による反応促進の可能性がある.
  • 白 晋和, 上田 悦範, 岩田 隆
    1990 年 37 巻 12 号 p. 971-977
    発行日: 1990/12/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    エチレン処理(20℃ 1日)したバナナ果実を20℃に2日おいて帯緑黄色になったものをポリエチレン袋(厚さ0.03mm)で密封包装,あるいはエチレン除去剤封入密封包装処理し, 12℃及び20℃に保持して,商品性保持期間及び揮発性成分生成に対する影響を調べた.
    20℃においては,有孔ポリエチレン袋包装(対照)では早く追熟し, 3日後には完熟に達したが,その後果皮が褐変して, 6日で商品性を失った.密封包装するとエチレン除去剤の有無にかかわらず,袋内酸素濃度は1~2%,炭酸ガス濃度が約10%になった.密封包装により有孔に比べて2日程度黄化が遅れ,褐色斑点が発生せず,単なる密封では10日,エチレン除去剤封入では15日までよい外観を保ち,以後果肉に水浸状障害が発生した.有孔包装ではバナナ香気が早く発達したが,密封区では保持初期にエチルアルコール,エチルアセテート及びアセトァルデヒドが多く生成し香気のバランスをくずした.単なる密封包装ではイソアミルアセテート及びイソブチルアセテートなどのバナナ香気に関与する成分が十分発達しないまま10日ぐらいで障害が現れたが,エチレン除去剤封入すると10日以後これらの揮発性成分生成は増加して,エチルアルコール及びエチルアセテートなどが徐々に減少し,風味がよくなった.
    12℃においては包装の有無にかかわらず,果皮の黄化が緩慢で,完全には緑色が抜けず,15日後水浸状障害を起こした.
  • 李 忠富, 沢村 正義, 矢野 広章, 楠瀬 博三
    1990 年 37 巻 12 号 p. 978-980
    発行日: 1990/12/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    フルフラール(FUR), 5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)および数種の果汁成分とユズ果汁の褐変との関連性および褐変に対するそれら成分間の相乗効果について調べた.それら成分の添加実験の結果から,ユズ果汁の褐変は主としてアスコルビン酸(AA)によるものであるが,種々の果汁成分間の相乗効果によって褐変が助長されることが明らかとなった.また,比較的高濃度のFURおよびHMFはアミノ酸などの果汁成分との間に褐変に対する相乗効果がみられたが,本実験においては, 10mg/100ml以下のFURおよび0.5mg/100ml以下のHMFは果汁中に存在しても褐変に影響を及ぼさないことを明らかにした. 37℃, 18ヵ月貯蔵したユズ果汁においては, AAがほぼ完全に分解され, FURおよびHMFの生成量はそれぞれ0.5および22mg/100mlであった.
  • 中村 誠
    1990 年 37 巻 12 号 p. 981-983
    発行日: 1990/12/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    One hundred five colonies were isolated as 5, 5, 5-trifluoro-DL-leucine resistant strains from Zygosaccharomyces rouxii KS by ethylmethanesulfonate treatment. Four strains producing higher amounts of iso-butyl and iso-amyl alcohols than the parent strain were selected from the resistant strains. Barley miso fermented by T-10, one of the selected strains, contained higher concentrations of iso-butyl and iso-amyl alcohols than that by the parent strain.
  • 石井 智恵美, 鈴木 敦子, 倉田 元子, 表 美守
    1990 年 37 巻 12 号 p. 984-987
    発行日: 1990/12/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    アントシアニン色素の熱安定性を明らかにするため,ナス果皮の凍結真空乾燥粉末およびこの粉末より0.1%塩酸-メタノールで抽出した粗色素液を用いて検討した.色素抽出液のアントシアニンの熱分解は50℃と60℃で,また凍結乾燥粉末のそれは100℃, 120℃で行い,経時的なアントシアニンの残存率を測定した.得られた結果はアントシアニンの分解の速度論的データ(k, 4△G, Ea, △艾H, △S)を用いて示した.
    1) 0.1%塩酸-メタノール液中の総アントシアニンの褪色は,熱安定性を検討する上で変化が明確であり再現性も良い.特にナスニンは光の影響を受けにくかった.
    2) 凍結真空乾燥粉末を用いた場合は, 100℃, 120℃加熱とも60分までは総アントシアニン残存率,反応速度とも大きな変化が見られなかった.加熱時間が120分になると, 120℃加熱において速やかなナスニンの分解が観察された.
  • 中山 照雄, 木全 智裕, 大井 淳史
    1990 年 37 巻 12 号 p. 988-996
    発行日: 1990/12/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    3魚種(カッオ,ハマチ,キワダ)の生および加熱肉を用いて,魚肉のテクスチャーについての官能検査結果と機器測定結果の相関関係を調べた.円柱状プランジャーを使用し歪50%で発生する力,大変形(歪30~70%)での弾性率は官能検査での硬さと相関があり(P<0.01),針入度,円柱状プランジャーを使用し歪50%で発生する力,大変形(歪30, 70%)での弾性率は官能検査での汁気と相関があった(P<0.01).板状プランジャーの使用では筋隔膜の影響で相関が低かった.クリープ挙動はバネR1,フォークト模型R2,スライダーP, ピストンNを使って解析した.魚肉を加熱するとR1+R2の占める割合(%)が増大, Pの占める割合(%)が減少し,生肉では塑性が,加熱肉では弾力性が特徴であった.回復歪R1の占める割合(%)は官能検査での弾力性および身のしまりと相関があった(P<0.05).ハマチ肉の高脂質含量は,加熱試料の官能検査でのカッオ,キワダ肉とのテクスチャーの差の一因と考えられた.
  • 平成2年度学会賞
    前田 弘
    1990 年 37 巻 12 号 p. 997-1002
    発行日: 1990/12/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
  • 相上 紘二
    1990 年 37 巻 12 号 p. 1003-1006
    発行日: 1990/12/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 37 巻 12 号 p. A44-A45
    発行日: 1990/12/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
feedback
Top