エチレン処理(20℃ 1日)したバナナ果実を20℃に2日おいて帯緑黄色になったものをポリエチレン袋(厚さ0.03mm)で密封包装,あるいはエチレン除去剤封入密封包装処理し, 12℃及び20℃に保持して,商品性保持期間及び揮発性成分生成に対する影響を調べた.
20℃においては,有孔ポリエチレン袋包装(対照)では早く追熟し, 3日後には完熟に達したが,その後果皮が褐変して, 6日で商品性を失った.密封包装するとエチレン除去剤の有無にかかわらず,袋内酸素濃度は1~2%,炭酸ガス濃度が約10%になった.密封包装により有孔に比べて2日程度黄化が遅れ,褐色斑点が発生せず,単なる密封では10日,エチレン除去剤封入では15日までよい外観を保ち,以後果肉に水浸状障害が発生した.有孔包装ではバナナ香気が早く発達したが,密封区では保持初期にエチルアルコール,エチルアセテート及びアセトァルデヒドが多く生成し香気のバランスをくずした.単なる密封包装ではイソアミルアセテート及びイソブチルアセテートなどのバナナ香気に関与する成分が十分発達しないまま10日ぐらいで障害が現れたが,エチレン除去剤封入すると10日以後これらの揮発性成分生成は増加して,エチルアルコール及びエチルアセテートなどが徐々に減少し,風味がよくなった.
12℃においては包装の有無にかかわらず,果皮の黄化が緩慢で,完全には緑色が抜けず,15日後水浸状障害を起こした.
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