日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
37 巻, 4 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
  • 西谷 紹明, 玉置 公恵, 景山 良治, 巽 清, 井門 和夫
    1990 年 37 巻 4 号 p. 243-247
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    分離大豆蛋白質(SPI)を乳製品に利用するため,微生物の培養によるSPIの大豆臭の除去を検討した.
    (1) ワイン酵母,ケフィール酵母,焼酎用麹をそれぞれ接種し培養させることによってSPIの大豆臭は低減し,不快でない発酵臭が付与された.この発酵臭は,乳製品に利用した場合,違和感があるものではなかった.
    2) 大豆臭を特徴づけていると考えられるヘキサナール,ヘキサノール,1-オクテン-3-オールは上記微生物の培養により減少した.
    (3) 培養物の溶解度は,全てのpHで低下していた.これは,加熱殺菌や噴霧乾燥のためと考えられた.ケフィール酵母,焼酎用麹の培養物では等電点付近のpH4~5での溶解度が上昇していた.
  • 加藤 丈雄, 板谷 龍憲, 野瀬 正敏, 田原 豊之, 杉本 勝之, 佐藤 泰
    1990 年 37 巻 4 号 p. 248-255
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    乳酸菌を利用した非加熱殺菌タイプのセミドライ発酵ソーセージを調製し,発酵中の微生物的・化学的変化について検討した.
    (1) 乳酸菌を約107/g添加して37℃で発酵を行うと, 16時間後に乳酸菌は108/g以上に増加し, 14日間の熟成後においても優勢な菌叢を維持した.
    (2) 原料肉に由来する大腸菌群,ブドウ球菌は熟成中に効果的に生育阻止された.
    (3) ソーセージのpHは乳酸菌の生産する乳酸によって,発酵16時間後に約5.0となり,熟成中にも若干低下し, 7日後には4.7となった.また,ソーセージの水分活性は14日後に約0.92となった.
    (4) 遊離アミノ酸組成,及びSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動の変化から,乾燥・熟成中に肉蛋白質が分解することが認められた.
  • 伊奈 和夫, 高澤 令子, 八木 昭仁, 伊奈 郊二, 木島 勲
    1990 年 37 巻 4 号 p. 256-260
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 沢わさび茎,葉の特徴的な香りを明らかにする目的で香りの成分を分析した.
    (2) 茎,葉抽出物中のω-Me-S-NCS類のアリル芥子油に対する含有比は根茎のそれよりも高く,茎,葉の香りの特徴との相関が考えられた.
  • 高野 克己, 鴨居 郁三, 小原 哲二郎
    1990 年 37 巻 4 号 p. 261-265
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    米糠ホスファチジン酸ホスファターゼ(PAPase)を分離・精製し,その性状を明らかにした.
    (1) 米糠PAPaseを疎水性アフィニティクロマトグラフィー,イオン交換クロマトグラフィー,ゲルろ過およびクロマトフォーカシングによって精製した結果,その比活性は抽出液に比べ222倍に上昇した.
    (2) 米糠PAPaseはpH 5.0, 60℃で最大活性を示し,その活性はpH3.0~8.0および40℃以下で安定であった.また,活性に対する各種試薬の影響を試験したところ, Ni2+, Mg2+およびPCMBによって大きく活性が低下した.
    (3) ゲルろ過法にて分子量を測定したところ,本酵素の分子量は約280000と推定され,その等電点は5.3であった.
    (4) 米糠PAPaseの反応速度と基質濃度との関係について検討した結果, Km値は1.25×10-3Mと推定された.
  • 固定化生地試料の澱粉粒酵素分解処理後の走査電子顕微鏡観察
    二瓶 佳寿子, 鳥潟 康雄, 影山 實
    1990 年 37 巻 4 号 p. 266-269
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    生地中のグルテン組織の観察の障害となっていた澱粉粒をα-アミラーゼ分解法により一部除去し,組織を電子顕微鏡で観察した.その結果,混練の進行に伴いグルテンが次第に澱粉粒を取り囲み,ついには覆い包んでしまう一連の様子が観察された.
  • 混釈法によるプロトプラスト再生と融合体検出
    岡田 憲幸, 秋本 隆司, 新国 佐幸, 真鍋 勝
    1990 年 37 巻 4 号 p. 270-277
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    従来細胞融合におけるプロトプラストの再生は重層法か塗抹法で行われ,混釈法での報告はみられない.塗抹法で行われた理由は,培地表面で再生させ,次いで最少培地にレプリカし融合体を検出する, 2段階法をとっていたためである.混釈法で可能とするには,再生と融合体検出を1段階で行う必要がある.従来の再生培地を改良し,このことを可能とする新再生培地を作った.混駅法で行うと投入菌数に対するプロトプラスト再生率は250~2800%を示し, 100%をはるかに越えることが分かった.すなわち混釈法で何ら問題なくプロトプラストの再生が可能であるのみでなく,圧倒的な有利さで再生することが示された.プロトプラストが効率よく再生するのは,高張剤濃度を従来の半分以下に下げたことに加えて,混釈法では,プロトプラストが高張剤や再生刺激物質に完全にとり囲まれるためと考えられる.また従来再生率100%を目標に再生方法が検討されてきたが,再生率100%は改善の余地があると考えられる.融合の事実を実証するには,一連の並行実験の各段階でコロニーの計数が必要であり,しかもプロトプラストの活性低下を招かないようすばやく行わなければならない.混釈法によれば,多数のシャーレを迅速簡便に処理でき,この要求を易に満たすことができる.以上,混釈法は,単に可能であるのみでなく,再生に有利であり,かつ迅速簡便にできることから,重層法や塗抹法より優れていると結論される.
  • 大村 芳正, 武知 博憲
    1990 年 37 巻 4 号 p. 278-280
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    脱皮大豆を60~70℃の温水で浸漬処理することによって,大豆臭の少ない豆乳の製造法を検討し,次の結果を得た.
    脱皮大豆を水浸漬後,磨砕する前に70℃の温水に5分間浸漬した.この処理により,豆乳のn-ヘキサナール量は未処理の1%に減少し,官能による大豆臭はほとんど感じられなくなった.また,豆乳固形分の損失は未処理の10%程度であった.この温水処理条件では,大豆臭に関与する酵素のうち,リポキシゲナーゼ活性は残存したが,ヒドロパーオキシドリアーゼ活性はほとんどみられなかった.
  • 坂根 康秀, 有田 昇, 下川 小百合, 伊東 裕子, 筬島 豊
    1990 年 37 巻 4 号 p. 281-286
    発行日: 1990年
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    カットキャベツを鮮度保持剤等を用い貯蔵し,品質変化を調べた.
    1) エチレン・アセトアルデヒド除去剤(以下除去剤と略記)を用いた場合,対照に比べエタノールの雰囲気濃度が約半分になった.除去剤を用いず,‘はやどり’50gを厚さ0.07mmのポリエチレン袋に入れ, 5℃に貯蔵すると7日目には24ppmのエタノール濃度であったが,カットニンジンを共存させると7日目に148ppmのエタノール濃度となった.よって両者を同時にポリエチレン等に包装するのは好ましくないことが判明した.
    2) ショ糖エステルで洗浄すると初期の生菌数は対照に比べ少なくなるが,貯蔵温度を10℃とした場合にはその後の増殖を抑制する効果は認められなかった.
    3) 褐変は雰囲気中のエチレン,アセトァルデヒドよりも酸素濃度に大きく依存しているため除去剤を用いる効果は低かった.ショ糖エステルは褐変を抑制したが,日数が経過するとエタノール濃度が高くなった.
  • 渡辺 英夫, 鈴木 修
    1990 年 37 巻 4 号 p. 287-292
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    数種類のα-アミラーゼ阻害剤の効果, α-アミラーゼ作用を抑制した場合の発芽処理麦の特性について実験を行い次の結果を得た.
    1) 従来の色素でん粉法に若干の改良を加えた簡便方法によりα-アミラーゼ活性の測定を行い,阻害剤の影響を比較した.硝酸銀,硝酸銅, EDTA,硫酸ヒドラジンは, 0.1Mでα-アミラーゼに対し高い阻害効果を示した.特にEDTAは, α-アミラーゼそのものに対する阻害剤で取り扱いも容易なことから,利点が認められた.
    2) 発芽処理麦から調製した小麦粉,小麦でん粉のアミログラム特性,フォーリングナンバー値は阻害剤を添加することにより健全麦からのものに類似したものとなったことから,発芽処理麦ではでん粉そのものはそれ程障害を受けていないが生地等になって初めて活性化したα-アミラーゼの作用を受け糊化特性の劣化を呈することが確認された.
    3) EDTA等の阻害剤を使用することにより,発芽小麦の潜在的なビスコグラム最高粘度,フォーリングナンバー値をでん粉の単離,トルエン処理等を行うことなく測定する可能性が認められた.
  • 川井 英雄, 鷹野 真二, 兼次 忠雍
    1990 年 37 巻 4 号 p. 293-297
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    豆乳類をJASに準じて,豆乳(1),調製豆乳(II),果汁入り豆乳飲料(III),穀物粉末等を加えた豆乳飲料(IV)の4種に分類した.調製豆乳については,食塩などの調味料を添加したもの(II-I),植物油脂を加えてあるもの(II-2),油脂とトコフェロールを添加してあるもの(II-3)に細分した.
    これらの豆乳類について,一般成分組成を検討した.K, Na, Ca, Mg, Fe, Cu, Cd, Pbの含有量の測定を原子吸光法で行った.各々の元素の含有量は湿重量基準値換算し, K: 41~243mg/100g, Na: 0.6~98.0, Ca: 4.5~94.8, Mg: 4.1~23.6, Fe: 0.06~0.70, Cu: 0.02~0.17, CdとPbは検出限界以下であった. I, II-1, II-2, II-3, III, IVのリノール酸含量はそれぞれ1.30±0.06g/100g, 1.15±0.05, 1.83±0.20, 2.03±0.12, 0.33±0.11, 1.30±0.09であった.トコフェロール(α,β,γ,δ)の含量を高速液体クロマトグラフィーにより定量した.総トコフェロール含量は, I~IVでそれぞれ1.7~3.3mg/100g, 2.4~2.9, 3.5~4.7, 23.4~30.8, 0.5~1.2, 2.0~4.0であった.
  • 小川 浩史, 福本 治次, 矢野 俊博, 山本 憲二, 栃倉 辰六郎
    1990 年 37 巻 4 号 p. 298-305
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    キウイフルーツに含まれる各種グリコシダーゼ活性について検索した結果,強いβ-ガラクトシダーゼ活性を見いだした.本酵素をミキサー処理により得られる抽出液より,硫安分画,イオン交換,ゲル濾過等のカラムクロマトグラフィーにより,電気泳動的に単一蛋白にまで精製し,その性質について検討した.本酵素の分子量は約145000であった.至適pHは3.5付近で, pH3.5~5.0で安定であった.また,熱に対しては37℃まで比較的安定であり,反応の至適温度は45℃であった.反応速度と基質濃度との関係について検討したところ,P-NP-β-ガラクトシド,ラクトース,ラクチュロースに対するKm値は各々0.6mM, 5.3mM, 6.7mMであり,高濃度の条件下では基質阻害を示した. Hg2+およびp-CMBにより活性は阻害されたが,他の金属イオンやSH試薬・キレート剤などでは阻害されなかった.さらに,キウイフルーツの結実過程におけるガラクトース含量と本酵素活性とに相関関係が認められた.
  • 瓜谷 郁三, 竹内 若子
    1990 年 37 巻 4 号 p. 306-310
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    石川早生の子いもには時折いわゆる水晶芋が見いだされ,親いもとの接触部位(下部)が半透明の状態を示す.その部位の細胞は高張溶液下で原形質分離を誘起し,上部の細胞と同様に生きているが,デンプン粒を持たず,反対に水分を多量に含み,そのため半透明に見えることを知った.蒸煮後には下部は上部にくらべ余りにも軟らかくなり,水晶芋は栄養・食品上,品質が落ちることがわかった.水晶芋では,デンプン粒の有無から下部と上部の比重差を生じ,水に浸漬すると下部を上にして垂直の姿勢をとるが,健全芋は水中で水平の姿勢をとることを見いだし,これを基にして組織を破壊することなく水晶芋と健全芋を識別する簡便法を提示した.サトイモ畑での生育状況とそこから収穫した子いもの観察から,地上部の生育のわるい畑からの子いもに水晶芋が多く発生することを知った.
  • 大澤 俊彦
    1990 年 37 巻 4 号 p. 311-319
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 中村 良, 邨田 卓夫
    1990 年 37 巻 4 号 p. 320-321
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 邨田 卓夫
    1990 年 37 巻 4 号 p. 321
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 37 巻 4 号 p. A14-A16
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
feedback
Top