日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
37 巻, 5 号
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  • 中西 載慶, 松土 俊秀, 堀 郁郎, 小宮山 美弘, 横塚 弘毅
    1990 年 37 巻 5 号 p. 323-330
    発行日: 1990/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    キウイフルーツのワイン原料への利用の観点から,貯蔵後のキウイフルーツの果実硬度とその成分含量の関係について調べた.貯蔵後の果実硬度は貯蔵前に比べ,かなり広い範囲に分布し,硬度の低下の程度は個々の果実においてかなり異なっていたが,貯蔵後の果実中のいくつかの成分含量(pH値,滴定酸度,各有機酸含量,可溶性蛋白質量および遊離アミノ酸量等)は,果実硬度と密接に関係していることが明らかとなった.それ故,貯蔵(追熟)後のキウイフルーツにおける果実硬度の測定は,原料キウイフルーツの選択に際し,その品質を簡・迅速に把握するための1つの方法として有効であるものと考えられた.
  • 辻 昭二郎, 中谷 文子
    1990 年 37 巻 5 号 p. 331-337
    発行日: 1990/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    寒天やゼラチンのゲルの食感と関連した物性を従来法と異なる多点測定多重バイト試験法で比較検討した.
    (1) 1%粉寒天および5%ゼラチンゲルのみかけのかたさやこわれ易さなどの物性の差をバイト率10~50%の多点測定多重バイト試験法の10バイトの経過曲線の変化で比較した.
    (2) 5%ゼラチンゲルはバイト率50%でも大きな破壊がなかったが, 1%寒天ゲルはバイト率40%では大きく破壊した.バイト率とバイト数の増加にともなうプランジャーの仕事量の累計値との関係を示す回帰式の勾配とバイト率との関係でもこれらのゲルの物性の差を示すことができる.
    (3) 試料の多点測定多重バイト試験法における10回目のバイトのプランジャーの仕事量と1回目のバイトのプランジャーの仕事量の比のバイト率にともなう変化を比較すると,寒天,ゼラチンおよび両者を混合したゲルなどの変形またはこわれ易さと関連した物性の差がよく示された.
    (4) ゼラチンを主体として寒天を混合したゲルおよび寒天を主体としゼラチンを混合したゲルなど2種類の特徴的なゲルの物性の差もバイト率の増加にともなう多点測定多重バイト試験法のプランジャーの仕事量の変化でよく示された.
    (5) ゼラチン,寒天および両者を混合したゲルの物性の差はバイト率30%における多重バイト試験法の各種のパラメーターの比較によっても簡便に推定できる.
  • 間野 康男, 大西 正男, 佐藤 晴彦, 中西 創, 前本 政道, 伊藤 精亮
    1990 年 37 巻 5 号 p. 338-345
    発行日: 1990/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    北海道産のライ麦4品種から脂質を抽出して,その脂質クラス,構成脂肪酸およびステロールの組成を調べて,以下の結果を得た.
    (1) 全脂質の収量は1.6~1.9%であった.そのうち中性脂質画分がどの品種でも約70%を占め,その中ではトリアシルグリセロール(TG)が最も多く含まれていた.
    (2) 糖脂質画分は全脂質の11~14%で, 7種の脂質クラスから構成されていた.そのうち,主なものは共通してジグリコシルジアシルグリセロール,モノグリコシルジアシルグリセロールおよびセレブロシドであった.また,リン脂質組成比は全脂質の16~18%であった.リン脂質クラスとしては8種類が見出され,主成分はホスファチジルコリン(PC),ホスファチジルエタノールアミン(PE),ホスファチジルイノシトールおよびリゾホスファチジルコリン,とくにPCであった.
    (3) 全脂質の構成脂肪酸の組成には,ライ麦の品種の違いによる異同はほとんどなく,多い方からリノール酸(約60%),次いでパルミチン酸,オレイン酸およびリノレン酸であった. TGの構成脂肪酸の組成は全脂質のそれを反映しており,またグリセロ糖脂質, PCおよびPEでは, TGよりもさらにリノール酸の含量が高かった.
    (4) 構成4-デスメチルステロールについては,遊離のステロール,アシルステロールでもシトステロールが最も多く,次いでカンペステロールであり,両者で全体の約90%を占めていた.同様の傾向がステロール配糖体においても見られた.
  • 三宅 正起, 稲葉 伸也, 前田 久夫, 伊福 靖
    1990 年 37 巻 5 号 p. 346-354
    発行日: 1990/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    酸用カンキツのユズおよびジャバラを用い,ハンドプレッサー,円盤回転搾汁機ならびにインライン搾汁機で搾汁を行い,搾汁と品質特性について検討した.
    (1) ジャバラがユズに比べて重量で約1.2倍も重く,種子はユズの27~28個に対し,ジャバラは全く認められず無核であった.
    (2) ジャバラの搾汁率は円盤回転搾汁機で27.5~30.1%,インライン搾汁機で32.2~41.7%を示したが,ユズは円盤回転搾汁機で12.3~14.3%,インライン搾汁機では8.8~10.2%(フィニッシャー処理)であった.
    (3) 可溶性糖含量は,ジャバラの黄色果が3.15~3.21%で最高値を示し,還元糖比率(ぶどう糖+果糖:しょ糖)がほぼ2対1となった.酸度はユズの5.69%が最高で,そのうちクエン酸が85%以上を占めた.
    (4) インライン搾汁機で処理したユズ果汁のペクチン含量は,ジャバラに比べ緑色果で4~5倍,黄色果で70~100倍に増加した.
    (5) 果汁の精油含量は,ジャバラ,ユズとも円盤回転搾汁機が他の方式に比べて2~5倍も高い値を示した.
    (6) 香気成分は,ジャバラ,ユズともmyrcene, dimonene, γ-terpineneなどテルペン系炭化水素が90%以上を占め,特に,ジャバラではmyrceneが40%以上,ユズではd-limoneneが約80%を占めた.
  • 五百蔵 良, 林 俊郎, 小原 直弘, 小崎 道雄
    1990 年 37 巻 5 号 p. 355-362
    発行日: 1990/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    Streptococcus bovis No.148によるdextransucrase(DS‐ase)産生条件とその酵素によるロイクロース生産条件について調べた.
    (1) S.bovisはグルコースあるいはショ糖を含む培地でDS-ase産生を示し,この酵素産生にはさらにCO2を必須的に必要とした.
    (2) S. bovisがグルコース培地で産生したDS-aseをセファデックスゲル吸着法により精製し,得られた精製酵素を用いてロイクロース生産に及ぼす温度,pH,金属イオン,ショ糖濃度,並びにフルクトース添加の影響を調べた.酵素反応温度20~40℃の範囲においては消費されたショ糖に対するロイクロースの収率にはほとんど変化がなく, 5%ショ糖の反応系で25~27%の収率を示した.ロイクロースの収率はS. bovisのDSaseの作用最適pH5.5において最大を示し, pHが両側にずれるに従い漸減する傾向がみられた.Ca2+はロイクロース生産を促進し,一方Mn2+は多少抑制する傾向を示した.ショ糖濃度8%まではショ糖濃度を高めるに従って対容量当りのロイクロースの収量は増加するが,対消費ショ糖当りの収率はショ糖濃度2%の時が最大(約30%)であった.酵素反応系にフルクトースを添加するとロイクロースの収率が高まり,添加量を増加させるに従い収率も高まる傾向がみられ,一方デキストランの生産は著しく抑制された.10%のショ糖を含む反応系にショ糖に対しモル比で1:2の割合でフルクトースを添加した時のロイクロースの収率は消費ショ糖に対して約70%になった,
  • 松浦 基, 根岸 晴夫, 吉川 純夫
    1990 年 37 巻 5 号 p. 363-368
    発行日: 1990/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    肉乾中に含まれる高濃度のシュクロースがテクスチャーにどのような影響を及ぼしているかを知るために,豚モモ肉のスライス肉に種々の濃度のシュクロース及びグルコースを添加して, 乾燥中の重量変化と乾燥後の乾燥肉の硬さを調べた, 乾燥肉の柔らかさは,肉中に多量の糖類を添加した為ばかりではなく,添加した砂糖の種類によって影響を受けることが明らかとなった.
    乾燥中の肉の重量の減少は一次反応に従っていたので乾燥速度の算出が可能であった.また,乾燥速度とモル濃度の間には直線関係が成立した.この直線の勾配から,シュクロースはグルコースに比べて乾燥中の肉の重量減少速度をより大きく減速させることが示された.
    加熱によってミオシンBの濁度は急速に増加し,凝集体の形成を示唆したが,糖類は生じる凝集体の形成速度と度合いも減少させた.ただし,両指標とも,シュクロースの効果はグルコースのそれよりも大きかった.
    以上の結果から,肉乾中のシュクロースには,乾燥速度を減少させ,均一な乾燥を行いやすくし,加熱による凝集体形成を阻害する作用がある為に,乾燥肉は柔らかいテクスチャーを有するものと推定した.
  • 宮代 龍次
    1990 年 37 巻 5 号 p. 369-374
    発行日: 1990/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    生醤油中に存在するステビオサイド分解酵素を精製し,その酵素化学的性質について検討を行い,次の結果を得た.
    (1) 精製酵素はポリアクリルアミドゲル電気泳動によって単一のバンドを示し,生醤油透析液に対して1200倍に精製された.
    (2) 分子量はゲル濾過法で184000, SDS-電気泳動法で90000であり, 2個のサブユニットから構成されていると考えられた.
    (3) 本酵素の作用至適pHは5.0であり,酵素活性はpH5.0以下において安定であった.
    (4) 本酵素の作用至適温度は55℃であり,酵素活性は50℃以下において安定であった.
    (5) 本酵素の活性はAgN03, CuCl2, PbCl2, HgCl2, FeCl3, AlCl3, SDSおよびPCMBによって阻害された.
    (6) 本酵素はβ-グルコシダーゼ結合に作用し, β-グルコシダーゼ(β-D-glucoside glucohyolase, EC 3.2.1.21)であると考えられたが,基質特異性は高く,ソホロースに対してよく作用した.
    (7) 本酵素のステビオサイドに対するKm値は9.71mMであった.
  • 浅野 三夫, 大久保 一良, 山内 文男
    1990 年 37 巻 5 号 p. 375-379
    発行日: 1990/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    温水浸漬による不快臭味成分低減効果をより詳しく検討するため,大豆を種皮,胚軸および子葉の各部位別に分け,それぞれ温水浸漬しん出物中の配糖体成分をTLCおよびHPLC分析を行って検討した.
    (1) 温水浸漬によってしん出した各重量あたりの配糖体成分含量は胚軸が最も多く,その量は対照(70%エタノール抽出から調製された配糖体成分)の53%であった.
    (2) 温水浸漬による不快味成分低減効果は,豆類などのアク抜き剤として用いられているNaHCO3 (1~5%)添加とほぼ同じ効果であった.
    (3) 温水浸漬によってしん出した配糖体成分のTLC分析の結果は対照に比べて,イソフラボノイド系のバンドが少なく,サポニン系のバンド,特に不快味の強い,サポニンAグループ成分が主体であり,それは胚軸で顕著であった.
    (4) 同上配糖体成分のHPLC分析からAグループ成分中でも不快味の強いAaおよびAb成分が胚軸に顕著に検出され,また胚軸にはU1 U2を含む未確認成分も多かった.
    (5) 温水浸漬から調製した胚軸配糖体成分をセファデックスLH-20で分画し, TLCとHPLCで分析した.さらに標品との同定を試みた結果,未確認成分のU1およびU2は,それぞれ不快味を持つグリシティン7-β-Oグルコシドとダイジンであることが明らかになった.
  • 橋永 文男, ザレブ ハーマン, 長谷川 信
    1990 年 37 巻 5 号 p. 380-382
    発行日: 1990/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    ユズ種子のリモノイドをトリス緩衝液(pH8)で抽出し,高速液体クロマトグラフィーで分離したのち,紫外吸収検出器で定量した.
    ユズ種子は他の多くのカンキツに存在するリモノイドをすべて含んでいた.そのうち主要なリモノイドはリモニンであり,全リモノイドの32%を占め,続いてノミリン,イチャンゲンシン,デアセチルノミリンであり,それぞれ200μg/g以上を含んでいた.酸性リモノイドは少量であったが,ノミリン酸,デアセチルノミリン酸,イソリモニン酸,イソオバクノン酸の4種が含まれていた.
    またユズはイーチャンチーに特異的に存在するイチャンゲンシンを多く含み,遺伝的にイーチャンチーを一方の親にもつ雑種であろうことが化学的に裏付けられた.
  • 北田 善三, 富田 晋, 島田 吉隆, 池田 義照, 塩川 俊男
    1990 年 37 巻 5 号 p. 383-389
    発行日: 1990/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    生肉の肉種鑑別法として用いられている免疫血清反応,薄層等電点電気泳動及びHPLCの3法について比較検討し,以下の結果を得た.
    (1) 免疫血清反応法では,鴨肉や卵黄が抗鶏血清とも反応し,鶏肉使用と誤認する恐れはあるものの,反応が鋭敏で特異性が高く,異種肉の微量混入などの鑑別が可能であった,
    (2) 薄層等電点電気泳動法では,多少の熟練を要するものの一度に約20試料が処理できる利点がある.しかし,各種肉単品やひき肉,ハンバーガーパティーの主原材料肉の鑑別は可能であっても,微量混入肉の鑑別は困難であった.
    (3) HPLC法では熟練を必要とせず,合いびき肉などでは両者の混合割合の定量化が可能であった.しかし薄層等電点電気泳動法と同様に,微量混入肉の鑑別が困難であった.
    (4) 操作の手軽さ,装置の普及状況などから判断して今後はHPLC法を用いた肉種鑑別がもっと盛んに行われるようになると考えられるが,その場合にも必ず免疫血清反応法による確認が必要である.
  • 小川 浩史, 福本 治次, 山本 憲二, 矢野 俊博, 栃倉 辰六郎
    1990 年 37 巻 5 号 p. 390-395
    発行日: 1990/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    α-D-Mannosidase of kiwifruit was purified from flesh by ammonium sulfate fractionation and column chromatography on DEAE-cellulose, hydroxylapatite, Sepharose CL-6B and Con A-Sepharose 4B. The purified enzyme was almost homogeneous on disc gel electr phoresis. Its molecular weight was estimated to be 86000 by gel filtration and 83000-85000 by SDS-polyacrylamide gel electrophoresis. The pH optimum was found to be 5.0-5.5, The enzyme was stable in the pH range of 6.5-7.5, and up to 55°C during 10 min incubation. It showed Km value of 6.7mM for p-nitrophenyl α-D-mannoside. Its activity was stimulated by Zn2+. It catalyzed the hydrolysis of ovalbumin glycopeptide and yeast mannan.
  • 加藤 丈雄, 志賀 一三, 野坂 浩志, 勝峰 千佳子, 佐藤 泰
    1990 年 37 巻 5 号 p. 396-402
    発行日: 1990/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    Under aerobic condition, starter lactic acid bacteria could not inhibit the growth and enterotoxin production of Staphylococcus aureus in the fermented sausage. But, by the combination of starter cultures and anaerobic incubation using nitrogen gas atmosphere or vacuum-packaging, S. aureus was markedly inhibited and no longer could initiate growth even when the sausages were exposed to aerobic condition. When the inoculum level of S. aureus was 10 5 or 10 6 cells/g, enterotoxins were not detected in the sausage.
  • 製造秘伝の科学的解析と技術展開
    安田 正昭
    1990 年 37 巻 5 号 p. 403-409
    発行日: 1990/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
  • 太田 英明
    1990 年 37 巻 5 号 p. 410-411
    発行日: 1990/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 37 巻 5 号 p. A17-A20
    発行日: 1990/05/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
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