酸用カンキツのユズおよびジャバラを用い,ハンドプレッサー,円盤回転搾汁機ならびにインライン搾汁機で搾汁を行い,搾汁と品質特性について検討した.
(1) ジャバラがユズに比べて重量で約1.2倍も重く,種子はユズの27~28個に対し,ジャバラは全く認められず無核であった.
(2) ジャバラの搾汁率は円盤回転搾汁機で27.5~30.1%,インライン搾汁機で32.2~41.7%を示したが,ユズは円盤回転搾汁機で12.3~14.3%,インライン搾汁機では8.8~10.2%(フィニッシャー処理)であった.
(3) 可溶性糖含量は,ジャバラの黄色果が3.15~3.21%で最高値を示し,還元糖比率(ぶどう糖+果糖:しょ糖)がほぼ2対1となった.酸度はユズの5.69%が最高で,そのうちクエン酸が85%以上を占めた.
(4) インライン搾汁機で処理したユズ果汁のペクチン含量は,ジャバラに比べ緑色果で4~5倍,黄色果で70~100倍に増加した.
(5) 果汁の精油含量は,ジャバラ,ユズとも円盤回転搾汁機が他の方式に比べて2~5倍も高い値を示した.
(6) 香気成分は,ジャバラ,ユズともmyrcene, dimonene, γ-terpineneなどテルペン系炭化水素が90%以上を占め,特に,ジャバラではmyrceneが40%以上,ユズではd-limoneneが約80%を占めた.
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