日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
38 巻, 2 号
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  • コロニーカウントによる融合の証明
    岡田 憲幸, 新国 佐幸, 真鍋 勝
    1991 年 38 巻 2 号 p. 79-85
    発行日: 1991/02/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    実用株納豆菌で細胞融合を行った.問題点は融合株の識別にある.(1)バクテリアは低水分活性に弱いこと,(2)アミノ酸マーカーを用いた場合,カザミノ酸が制限されるため,プロトプラスト再生に限界があること,(3)混釈法で簡便かつ確実に行えることなど,前報の知見をもとに以下のごとく行った.
    (1) 関口らの再生刺激物質ポリビニルピロリドン再生培地を基本に,高張剤こはく酸ナトリウムの0.5Mから0.2Mへの低下,カザミノ酸500mg/l添加,ビオチン添加を特徴とする納豆菌核酸塩基要求株用の新再生培地(NP)を採用した.
    (2) 三浦菌と高橋2号菌よりアデニン要求株,ウラシル要求株を作出し,新再生培地でマーカーが発現されることを確認した.復帰変異率は,MN-1株(アデニン要求株)10-6レベル,TN-2株(ウラシル要求株)10-5レベルであった.
    (3) NP再生培地におけるプロトプラスト化後のコロニー出現率は,リゾチーム未処理で出現する数を基準とすると100%をはるかに越えた.100%を越えるのは,リゾチーム処理で鎖状菌が分断された後再生するためと考えられる.
    (4) NP再生培地と納豆菌核酸塩基要求株を用い,プロトプラストの形成,その再生,復帰変異試験,融合の対照試験,融合株の検出の5項目の並行試験により,実用株納豆菌で融合が起きていることを確認した.復帰変異分を差し引いた融合率は,融合処理後のプロトプラスト再生数に対しおよそ0.02%であった.
  • 有坂 將美, 吉井 洋一, 今井 誠一
    1991 年 38 巻 2 号 p. 86-93
    発行日: 1991/02/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    糯米菓製造における製造条件と澱粉の糊化,老化及び崩壊の程度との関係を0.04%ラウリル硫酸ナトリウム溶液による分散性で推定した.
    (1) 蒸米澱粉の糊化の程度は,浸漬水の水分が多くなるにつれ,また蒸し時間が長くなるにつれ高まった.そして,それは蒸気圧0.2kg/cmcm2で蒸すときに高かった.
    (2) 杵式製餅機,ミキサー式製餅機,練り式製餅機で調製した餅生地の澱粉の崩壊程度はそれぞれ76.8%,84.3%, 83.0%であった.
    (3) 5℃で冷却したときにおける餅生地澱粉の糊化の程度は,1日間で急激に低下し,その後は徐々に低下した.5~30℃で24時間冷却したときにおける餅生地澱粉の糊化の程度は,冷却温度間で相違がなかった.しかし,10℃以上では,強い結合の老化区分が温度の上昇とともに増大した.
    (4) 水分20~35%の乾燥餅生地を30℃で24時間放置した場合,澱粉の糊化の程度は生地水分30%及び35%のときが,水分20%及び25%のときよりもやや低かった.
  • 塩田 芳之, 松浦 康, 畑中 千歳
    1991 年 38 巻 2 号 p. 94-101
    発行日: 1991/02/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    アズキは貯蔵すると煮熟しにくくなるが,このことにペクチンが関係するかどうかを知るため,アズキを5℃および30℃に2年間貯蔵し,煮熟前ペクチン性多糖(HXSP),熱水可溶(煮液)ペクチン性多糖(HWSP),熱水不溶(煮熟後)ペクチン性多糖(HWIP)を調整し,酸性多糖画分(II, III, IV)について分析した.
    (1) 5℃および30℃貯蔵区のHWSPは原料アズキに対し,それぞれ0.65%, 0.60%で5℃区が多く,HWIPは1.98%, 2.32%で30℃区が多かった.
    (2) 酸性多糖画分のうち,III/II比はHXSPおよびHWIPでは30℃区の方が高く,HWSPでは逆に5℃の方が高かった.いずれの画分も30℃区の方がウロン酸含量が低かった.また,貯蔵によりペクチン質の低分子化の傾向が認められ,その傾向は30℃区の方がやや強かった.
    (3) Sepharose CL-6Bによるゲル濾過の結果,各画分とも2~3成分からなり,HXSPとHWIPのIIを除いてはすべて低分子成分が多かった.
    (4) 各画分の中性糖組成に貯蔵温度による差はほとんど認められなかった.いずれもキシロースを多量に含み,ほかにアラビノース,ガラクトース,少量のラムノース,フコース,マンノースおよびグルコースが含まれていた.
    (5) ヘミセルロースについては両貯蔵区に含量差はなく,ウロン酸含量および中性糖組成も同様であり,重合度は約85であった.
    (6) IVは大部分が分子量約1万の低分子成分からなり,ウロン酸含量は低く,キシロースを多量(全中性糖の86%)に含んでいた.
  • 巽 清, 西谷 紹明, 井門 和夫, 川西 悟生
    1991 年 38 巻 2 号 p. 102-106
    発行日: 1991/02/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    プロセスチーズの加熱溶融性(Meltability: Melt性)におよぼす熱の影響を調べるために,プロセスチーズを単純化したモデルチーズを用いて一連の検討を加えた.
    モデルチーズを80℃で加熱保持すると,保持時間が増すにつれてMelt性が低下した.又,この現象には常に不溶性タンパク量の増加が伴っており,両者間には強い負の相関が認められた(r=-0.92).この不溶性タンパクは,チーズ中で脂肪球表面に吸着したタンパクが加熱保持されることにより変性,不溶化を起こすことにより生ずるものであり,これがモデルチーズのMelt性低下に係わっているものと考えられる.
  • 数野 千恵子, 西島 基弘, 三浦 洋, 鴨居 郁三
    1991 年 38 巻 2 号 p. 107-115
    発行日: 1991/02/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    熱水抽出後の残渣を,0.1M水酸化ナトリウム,次いで0.5M水酸化ナトリウムで抽出した.抽出物は除タンパク後,それぞれゲルろ過による分画・精製を行ない,0.1M水酸化ナトリウム抽出物からはP-4を,0.5M水酸化ナトリウム抽出物からはP-5を得た.P-4及びP-5については,ゲルろ過,及び電気泳動により単一性を確認した.
    それぞれの旋光度及び赤外吸収スペクトルからβ優位の結合であることが推察された.P-4の分子量は約105000, P-5は約90000であった.
    P-4の構成糖は,mannose, galactose, glucoseであり,そのモル比は1.0:1.8:4.2であり,P-5はglucanであった.
    P-4は過ヨウ素酸酸化及びスミス分解,メチル化分析,部分酸加水分解の結果,glucoseの(1→3)結合の直鎖をcoreとし,glucose及びgalactoseの(1→6)結合の分枝を持ち,galactoseの非還元末端はmannoseであることを推定した.また,P-5は過ヨウ素酸酸化,スミス分解,メチル化分析の結果,glucoseの(1→3)結合の直鎖をcoreとし,(1→6)結合の短い枝のある構造であることを推定した.
  • 松井 利郎, 桑原 滋, 伊福 靖, 下田 満哉, 筬島 豊
    1991 年 38 巻 2 号 p. 116-121
    発行日: 1991/02/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    柑橘果皮油のテルペンレス化を目的として,減圧(4~5mmHg)の蒸留法の適用を試みた.モデル系を用いて,以下のことを明らかにした.
    1) リモネンとシトラール2成分系で,リモネンの分別蒸留を試みたところ,沸点はリモネン濃度の低下とともに上昇し,特に体積分率が0.4以下で顕著であった.
    2) リモネン,リナロール,シトラール3成分系においては,リモネンの濃度は60℃まで顕著に減少し,それ以上ではほぼ一定となった.一方,リナロールの沸点は61℃であったことから70℃付近までは含有率が顕著であったが,それ以降では含有率は急激に低下した.従って,目的とする組成のテルペンレスオイルを作製するには抽出温度の設定が重要となることが明らかとなった.
    つぎに実試料のテルペンレス化を試み,以下のことを明らかにした.
    3) レモン果皮油のテルペンレス化は60℃, 30分間で最大となり,リモネン含量は約1/26に減少した.一方,シトラールは50℃でテルペンレス化を行ったとき最も効率よく濃縮され,全体の約27%を占めた.
    4) バレンシアオレンジ果皮油においては,香気寄与の高いリナロールの含量が50℃, 30分間の蒸留で約7倍となり,より芳香性に富むオイルを得ることができた.
  • 吉田 博, 藤本 水石, 林 淳三
    1991 年 38 巻 2 号 p. 122-129
    発行日: 1991/02/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    クリタケの栄養世代における栄養要求性(無機塩類,ビタミン類,核酸関連物質,植物ホルモン)を基礎培地を設定して静置培養法により検討した.
    (1) 燐酸カリウムおよび硫酸マグネシウムはクリタケの栄養生長に不可欠であり,添加量の増加に伴い生育速度ならびに菌糸体収量は増加し,30mg/lの濃度で最大生長に達した.硫酸亜鉛も生長促進効果を示し,3mg/lの濃度で最大生長に達した.
    (2) チアミンは栄養生長に不可欠であり,添加量の増加に伴い生育速度ならびに菌糸体収量は増加し,30μg/lの濃度で最大生長に達した.しかし,チアミンの単独添加では栄養生長は不十分であり,他の8種のビタミン類(ニコチンアミド.リボフラビン,パントテン酸,ピリドキシン,葉酸,シアノコバラミン,ビオチン,イノシトール)の添加により栄養生長は促進された.
    (3) 核酸塩基(アデニン,グァニン,シトシン,チミン,ウラシル,オロット酸),ヌクレオシド(アデノシン,グアノシン,シチジン,イノシン,ウリジン,チミジン),ヌクレオチド(アデニル酸,グアニル酸,シチジル酸,ウリジル酸)は生長促進効果を示したが,核酸塩基類,ヌクレオシドおよびヌクレオチド間の効果には顕著な差は認あられなかった。
    (4) IAA, NAAおよびGA3は1mg/lの濃度で若干の生長促進効果を示したが,IAAおよびNAAは10mg/lの濃度で逆に生長阻害作用を示した.
  • 金 万浩, 三木 英三, 山野 善正
    1991 年 38 巻 2 号 p. 130-135
    発行日: 1991/02/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    中国の伝統食品の一つである乾豆腐の品質に及ぼす製造工程中の圧搾条件,豆乳の濃度及び凝固温度の影響について検討し次の結果を得た.
    (1) 圧密試験機による豆乳ゲルの圧搾過程の見かけのクリープ曲線は,試験した圧力3100~31000kg/mm2で約7分後にほぼ平行となり,12分以後に時間軸に対して平衡状態に近づいた.
    (2) 乾豆腐の引張り強度及び硬さとガム性は圧力9300kg/mm2までは急激に増大し,水分含量は急激に減少した.
    (3) 乾豆腐の物性値は,高い圧力で圧搾するほどより長時間にわたって増大した.乾豆腐では,設定圧力に固有の蛋白粒子間の空隙量が存在することが考えられた.圧力と圧搾時間を変えて作った乾豆腐の物性と水分含量の間には高い負の相関がみられた.
    (4) 乾豆腐の物性値は凝固温度90℃で最高値を示した.
    (5) 豆乳濃度は,大豆と水の比を1:10とした場合に良品質の乾豆腐が得られた.
  • 廣田 耕太郎, 橋本 篤, 本多 太次郎, 清水 賢, 渡辺 敦夫
    1991 年 38 巻 2 号 p. 136-143
    発行日: 1991/02/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    物性の異なる湿潤粉体層の遠赤外線乾燥を行った.また,赤外線乾燥に関する伝熱モデルを設定し,恒率乾燥速度,湿り平衡温度の推算を試みた.そして,以下の結論を得た.
    (1) 粉体の放射率が大きいほど,すなわち湿潤粉体層表面の放射率が大きいほど,その恒率乾燥速度は大きく,湿り平衡温度は高くなった.
    (2) 遠赤外線乾燥において,被乾燥物質の光学物性(粉体の放射率,水の放射率)を考慮した恒率乾燥速度と湿り平衡温度の推算方法を確立した.
    (3) 恒率乾燥速度,湿り平衡温度の実験値と計算値とは良く一致した.
  • 平 春枝, 田中 弘美, 斎藤 昌義
    1991 年 38 巻 2 号 p. 144-152
    発行日: 1991/02/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    (1) 大豆奨励品種を主とした60品種・7系統(105試料)を,全国の22国公立農業試験場の圃場で1980年に栽培し,遊離型全糖の実測値を用いて遊離糖合計,ショ糖,ラフィノースとスタキオースの合計,スタキオースの各値の算出を行なった.
    (2) 遊離型全糖(実測値)は遊離糖合計値(実測値)と高い相関を示すことから,遊離型全糖値を用いて遊離糖合計値を算出した.全試料における両値の比率の平均値は100.3%を示した.
    (3) 遊離型全糖値(実測値)はショ糖値(実測値)と高い相関を示すことから,遊離型全糖値を用いてショ糖値を算出した.全試料における実測値と計算値の比率は100.5%を示した.
    (4) ラフィノースとスタキオース合計値は,遊離糖合計値(計算値)よりショ糖値(計算値)を差引き,0.84を乗ずることにより算出した.全試料における実測値と計算値の比率の平均値は99.5%を示した.
    (5) スタキオース値は,遊離糖合計値(計算値)よりショ糖値(計算値)を差引き,0.68を乗ずることにより算出した.全試料における実測値と計算値の比率の平均値は,100.3%を示した.
  • 渡辺 慶一, 斎藤 忠雄, 広田 才之, 高橋 文次郎, 藤下 典之
    1991 年 38 巻 2 号 p. 153-159
    発行日: 1991/02/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    メロンの果肉色が異なる9品種を供試し,果肉のカロチノイド組成をカラムクロマトグラフィー,薄層クロマトグラフィー(TLC)及び高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定した結果,橙色系,淡橙色系,緑色系,白色系の各品種のカロチノイドは含量及びその種類に相異があり,以下のような結果を得た.
    (1) 橙色系の'Iroquois', 'Blenheim Orange', 'Birde Red', 'Quincy'及び'Tiffany'は主要な色素β-カロチンを9.2から18.0μg/g含有していた.そのほか少量のフィトフルエン,α-カロチン,ζ-カロチン及びキサントフィル類が検出された.
    (2) 淡橙色系の'Hale's Best'ではβ-カロチンを4.0μg/g含有していた.そのほか少量のフィトフルエン,α-カロチン,ζ-カロチン及びキサントフィル類が検出された.
    (3) 緑色系の'Earl's Favourite','福の香'及び白色系の'Barharman'では微量のβ-カロチンとキサントフィル類が検出された.
  • 木田 安子, 本多 直美, 内田 三香子, 国定 由利香, 福田 満
    1991 年 38 巻 2 号 p. 160-165
    発行日: 1991/02/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    貯蔵ジャガイモの生理状態とアスコルビン酸量の関係を明らかにするためにジャガイモのアスコルビン酸量とアスコルビン酸の合成・代謝に関与する数種の酵素活性すなわちL-グロノ-γ-ラクトンオキシダーゼ,モノデヒドロアスコルビン酸還元酵素,デヒドアスコルビン酸還元酵素,ペルオキシダーゼ,アスコルビン酸オキシダーゼ,ポリフェノールオキシダーゼについて調べた.アスコルビン酸量は最初の1ヶ月の間に急激に減少し,その後は徐々に減少した.数種の関連酵素活性も最初の1ヶ月の間に著しく変化したのでそれらは貯蔵イモのアスコルビン酸量に影響していると考えられる.貯蔵温度の変化はこれらの変化にあまり影響を与えなかった.ジャガイモのアスコルビン酸量の著しい変化は貯蔵温度とは関係なく休眠の初期に生ずることをこの研究は示した.
  • 相島 鐵郎
    1991 年 38 巻 2 号 p. 166-174
    発行日: 1991/02/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
  • 田島 眞
    1991 年 38 巻 2 号 p. 175-176
    発行日: 1991/02/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
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