日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
38 巻, 6 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • タイ国発酵米麺(Khanom Jeen)から分離した橙赤色乳酸菌L622株に関する研究(第1報)
    内村 泰, 高尾 哲也, 菊池 孝治, 新村 洋一, 岡田 早苗, 小原 直弘, Wiwut DAENGSUBHA, 小崎 道雄
    1991 年 38 巻 6 号 p. 465-475
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    タイ国で大量に製造・消費されている発酵米麺の製造工程中から,発酵に関与していると想定される乳酸菌の分離・同定を行った.
    乳酸菌は分離した全細菌の40~60%を占め,存在している球菌としてはStreptococcus lactis, S. thermophilus, Pediococcus acidilacticiであり,分離された桿菌の中で主なものは,Lactobacillus acidophilus, L. plantarum, L. reuteriであった.
    タイ国南部ソンクラの1工場より分離した乳酸菌の中に,非常に興味ある1株を見つけた.すなわち,橙赤色色素を強く生産する菌株である.この菌株は,L. plantarumで,培養条件によって色素生産に変化のあることをつきとめた.
  • 倉賀野 妙子, 木村 宏樹, 和田 淑子
    1991 年 38 巻 6 号 p. 476-483
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    クッキードウおよびクッキーの物性に小麦タンパク質の質の相違が関与しているか明らかにしたいと考え,薄力系および強力系小麦粉から単離したグリアジン,グルテニン及びグルテンを小麦澱粉に添加した合成粉を用いてクッキーを調製して検討した.
    いずれのタンパク質画分も,強力系のドウが薄力系に比して抵抗力のある流動変形しにくい物性となった.また,各タンパク質画分の特性はグリアジンがドウをなめらかに伸展させ,グルテニンは圧縮に抗する力が大きい弾性に富んだ硬いドウとなった.グリアジンとグルテニンの両者を含むグルテンのドウは,薄力系ではグリアジンによる希釈の効果が認められたが,強力系ではグルテニンの特性による支配が大きいと推察された.
    クッキーの膨化率及び形状も強力系と薄力系で異なった.グリアジンはクッキーの組織に空隙を生じ顕著な膨化を生じるが,強力系のグリアジンでは膨化率が薄力系より約10%低下した.グルテニンクッキーは,きめが粗く,焼成時ほとんど膨化が生じず,Spreadが大きく横拡がりの形状に焼き上がるが,強力系では薄力系より小さなSpreadを示した.グルテンクッキーはきめ,形状ともグルテニンの特性による影響が大きいと考えられた.クッキーの表面には,いずれのタンパク質画分についても強力系が薄力系に比し多くの起伏が認められた.
    グリアジンクッキーはやわらかいがもろさに欠ける要素を有するのに対して,グルテニンは硬いがもろいと評価される相反した特性を有し,グルテンクッキーは,薄力系,強力系とも両者の影響をともに受けていると推察された.いずれのタンパク質画分の破断特性値も強力系は薄力系の1.5-2.9倍を示して,強力系は薄力系に比し硬くもろさに欠けるクッキーとなる傾向を示した.
  • 豚肉の塩漬に関する研究(第5報)
    塚正 泰之, 福本 憲治, 峯岸 裕, 阿武 尚彦, 赤羽 義章, 安本 教傳
    1991 年 38 巻 6 号 p. 484-490
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    ハム,ソーセージの品質は塩漬条件ばかりでなく,煮熟条件によっても影響されることから,煮熟条件がハム,ソーセージの諸成分や食味に与える影響について検討した.
    塩漬肉を煮熟するときの温度,時間により,ソーセージのpH,残存亜硝酸根量,色調,遊離アミノ酸量,食味に種々の違いの生じることが認められた.
    煮熟によりソーセージのpHは上昇した.残存亜硝酸根は温度に依存して速やかに減少した.ソーセージの色調は亜硝酸塩添加系で優れていた.
    塩漬肉を55℃, 65℃, 80℃で煮熟を行なった結果,試料中の遊離アミノ酸量は,55℃で最も多く,65℃以上では,加熱分解により減少することが認められた.
    煮熟条件をかえて調製した試料の食味について,官能検査を実施した結果,亜硝酸塩使用の有無も食味の評価に影響を及ぼすことが認められた.
  • 菅原 悦子
    1991 年 38 巻 6 号 p. 491-493
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    ポーラスポリマーを用いたカラム濃縮法によりみその香気濃縮物を得,これをGC及びGC-MS分析し,みその香気にとって重要であると考えられる甘い香気成分についてさらに詳細に検討した.その結果,みその甘い香気成分として新たにHEMFを同定した.HEMFは強く甘い香気を持ち,しょうゆの特有香気成分で,しょうゆの熟成中に酵母により生産される化合物であると報告されている.HEMFはみそにおいても熟成中に生成している可能性が高く,みその香気にも極めて重要な役割を持つ化合物と考えられた.そこでHEMF含量の少ないみそ懸濁液にこの化合物を添加し,無添加のものと官能検査を実施して比較した.その結果,HEMF添加みそ懸濁液が有意にみそ様の香気が強いと評価され,みその香気への寄与が高いことがより明らかとなった.
  • 橋本 俊郎, 田所 洋弌
    1991 年 38 巻 6 号 p. 494-498
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    塩漬けによる大根のヒドロキシ桂皮酸類の変化をHPLC分析により調べた.生大根から抽出されたヒドロキシ桂皮酸類の大部分はp-クマロイルリンゴ酸で次がフェルロイルリンゴ酸であり,遊離態のヒドロキシ桂皮酸(p-クマール酸)の量は抽出した総ヒドロキシ桂皮酸の2%以下だった.短期間(7日間)の塩漬け大根では総ヒドロキシ桂皮酸量が増加し,中でも遊離ヒドロキシ桂皮酸の増加率が高かった.長期間(2及び8ヵ月)の塩漬け大根では,遊離のヒドロキシ桂皮酸(p-クマール酸,フェルラ酸,コーヒー酸)が主要なものとなり,分離した総ヒドロキシ桂皮酸量に占める割合は2ヵ月貯蔵大根で90%前後,8ヵ月貯蔵で98%になった.
    生大根で主要成分であるエステル態ヒドロキシ桂皮酸類のほとんどは,塩漬け中に加水分解されて遊離態のヒドロキシ桂皮酸類に変わるものと考えられる.
  • 伊藤 嘉奈子, 山田 高司, 五島 義昭, 柘植 治人
    1991 年 38 巻 6 号 p. 499-506
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    ゆで麺の粘弾性や滑らかさなどが麺の品質に重要であり,これには蛋白質よりも澱粉の性質の影響がはるかに大きいといわれることから,本研究では特に澱粉に着目し,その理化学的性質について検討した.また,製麺試験を行い,製麺適性を比較した.
    (1) アミロース含量,損傷度,溶解度・膨潤力については,5種の小麦澱粉の間に顕著な差異は認められなかった.
    (2) チホク澱粉は,他に比べて粘度の上昇が急激で,最高粘度も最も高く,ブレークダウンが大きい.このことからチホクは,他に比べて糊化の際に膨潤,崩壊しやすいソフトな澱粉であることがわかった.
    (3) ゆで麺の引っ張り試験において,ASWは破壊応力,伸長率共に優れていることを確認した.また伸長率は乾麺よりも生麺の方が高く,破壊応力においては生麺よりも乾麺の方が強い.
    (4) テクスチュロメーターによる硬さおよび粘着力の測定では,ヒヨク,ASW,フクワセ,ホロシリの順に硬かった.また粘着力は,ASWが最も粘りが強く,フクワセ,ヒヨクがそれに次ぐ粘りであった.ホロシリは粘着力がほとんど無いといってよい.
    (5) 官能試験の結果,色,外観についてはフクワセ,ヒヨクが共にASWより高い評価であった.また,食感については,粘弾性でフクワセの評価が高く,各項目を総合すると今回の実験では,岐阜県産のフクワセ,ヒヨクが良い評価を得た.
  • 上田 成子, 桑原 祥浩, 平位 信子, 佐々木 弘子, 菅原 龍幸
    1991 年 38 巻 6 号 p. 507-514
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    食用植物類101種107検体とキノコ類60種の計167検体のTry-P-1に対する抗変異原活性をSal. typhimurium TA 98株を用いて検討した結果以下の成績がえられた.
    1. 試験した試料のうちTry-P-1に対して強い抗変異原活性を示したものはレモンバーム,タイム,フキノトウ,モミジガサ,オレガノ,ツクシ,シロザ,ギョウジャニンニクおよびエストラゴンの9種であった.
    2. 食用植物類の科別分類では,キク科,シソ科,アブラナ科,セリ科植物に抗変異原活性がみられるものが多かった.また,香辛野菜類については,試験した全てが抗変異原活性を有していた.キノコ類については,45%の試料で抗変異原性がみられたが,野菜類に比してその活性は弱いものであった.
  • 李 榮淳, 本間 清一
    1991 年 38 巻 6 号 p. 515-519
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    アジア諸国の穀醤16種と魚醤4種を電気透析にかけ,非透析性画分のFe(II)キレート能を測定した.方法は0.1mM硫酸鉄(II)を含むpH4酢酸緩衝液によるゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)にかけ,溶出画分の鉄濃度を測定した.
    その結果,鉄錯体はメラノイジン画分と非着色画分に検出された.醤油のFe(II)キレート能は,穀醤は0.11~1.95mg/ml,魚醤は0.13~0.50mg/mlであり,穀醤は一般に魚醤よりキレート能が大きい.穀醤のキレート能が醤油の色素濃度(450nmにおける吸光度)と相関しなかったことは鉄錯体が非着色画分にも検出されたことと関連があると推定した.
  • 長井 直士, 西山 千春, 矢野 俊正
    1991 年 38 巻 6 号 p. 520-526
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    比表面積の異なるアルギン酸カルシウムを用いて,水蒸気や,変異原性物質(Trp-P-1, Glu-P-1)の収着特性に与える表面微細構造の影響を調べた.比表面積の変化は,0度における水蒸気や変異原性物質の平衡収着等温線にはほとんど影響を与えなかったが,その速度過程は比表面積の変化により大きく変化した.アルギン酸カルシウムキセロゲルの比表面積の増大により,水蒸気や変異原性物質の見かけの拡散係数は数十倍に増大する結果となった.
  • アグレバンテ ジョセフィン, 松井 年行, 北川 博敏
    1991 年 38 巻 6 号 p. 527-532
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    エタノール及びエチレン処理による追熟バナナの軟化,呼吸,ペクチンメチルエステラーゼ,ポリガラクチュロナーゼ活性の効果と全ペクチン,水溶性ペクチン全量の変化について検討した.果皮色の着色,全可溶性固形物(全糖として)と酸度も同様に測定した.エタノールはバナナの追熟を促進したが,エチレンより効果は少なかった.エチレン及びエタノール処理とコントロール果実の呼吸ピークは貯蔵後4, 8, 11日に各々見られた.果実はCO2ピークのすぐ後で可食熟度となり,この時の処理区の硬度はコントロールと同じようになった.果実が軟化するにつれて,ポリガラクチュロナーゼ活性は増大し,全ペクチンは減少,水溶性ペクチンは増大した.ポリガラクチュロナーゼ活性はクリマクテリック前期で低く,クリマクテリックで増大し,後期で前期の17~18倍に達した.コントロールは追熟が遅く,ポリガラクチュロナーゼ活性は処理果実よりも常に低かった.ペクチンメチルエステラーゼ活性と硬度の減少との関係は少なかった.全可溶性固形物は追熟中20~22%に増大し,その増大はエチレン処理で最も早く,コントロールで最も遅かった.硬度は各区においてわずかに増大した.
  • 長井 直士, 撫本 弥生, 矢野 俊正
    1991 年 38 巻 6 号 p. 533-539
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    比表面積の異なる馬鈴薯澱粉の試料を調製し,種々の物性に与える表面微細構造の影響を調べた.糊化後乾燥し調製した馬鈴薯澱粉への見かけの水蒸気拡散係数は,試料の比表面積の変化によって変化しなかったが,native馬鈴薯澱粉への見かけの拡散係数はその平均粒径に依存した.一方,溶解度,膨潤度,液体の吸収能,香気成分の吸着能,エマルジョンの安定化能は,馬鈴薯澱粉試料の比表面積の増加によって大きく変化した.
  • 羅 正仁, 長島 裕二, 田中 宗彦, 田口 武, 天野 慶之
    1991 年 38 巻 6 号 p. 540-544
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    超音波処理したキハダ普通筋および血合筋肉糊の熱ゲル化反応を調べた.超音波処理における水溶液のpHと温度は,熱ゲル化に影響を与えた.熱ゲル化を促進する超音波処理の至適pHおよび温度は,それぞれ5.7付近および30℃であった.両筋肉アクトミオシンの変性では,超音波処理によってMg-, Ca-, EDTAATPase活性は著しく減少した.加熱によるMgATPase活性の変動は,超音波処理で速められるが,キハダ普通筋と血合筋の間で著しく相異した.
  • 山内 清, 村田 寿, 大橋 登美男, 片山 英美, ピアソン , 岡田 俊久, 山倉 努
    1991 年 38 巻 6 号 p. 545-552
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    5群(各6羽)の肉専用鶏(45日齢,雄)に屠殺前2週間,それぞれ酢酸dl-α-トコフェロール(ATA)を0, 100, 250, 500, 1000mg/kg飼料の水準で補給した市販配合飼料が給与された.ATAの補給は,その水準に対応した骨格筋,細胞内顆粒膜,肝臓および脂肪組織のα-トコフェロール(d-Toc)量の増加並びに骨格筋と細胞内顆粒膜の高度不飽和脂肪酸(PUFA)/α-TocあるいはPUFA>18:2(二重結合を3個あるいはそれ以上有するPUFA)/α-Tocのモル比の減少を生じ,胸肉と腿肉の冷蔵中の酸化安定性を増大された.PUFA>18:2/α-Tocのモル比が200あるいはそれ以下であった胸肉と腿肉は,生挽肉の状態で0℃, 5日間に亘って,その2-チオバルビッール酸(TBA)値は約0.1以下を示し,脂質酸化に対して非常に安定であった.しかし,加熱肉の場合,高ATA補給(1000mg/kg)鶏の肉でも,冷蔵中TBA値は増大し,脂質酸化の進行を抑制することが困難であった.
  • 鈴木 平光, 早川 清一, 大坪 研一
    1991 年 38 巻 6 号 p. 553-555
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    一軸エクストルーダー(バレル温度180℃,回転数240rpm)を用いて,グレインソルガムを膨化し,蛋白質の栄養価の変化を正味窒素利用率により明らかにした.膨化により,ソルガム蛋白質の栄養価は向上した.また,酵母抽出物によりリジンを補足した膨化物は,単に膨化したものよりも高い栄養価を示した。これらの結果は,グレインソルガムの蛋白質の栄養価は,膨化及び制限アミノ酸の補足により改善できることを示している.
  • 李 榮淳, 本間 清一
    1991 年 38 巻 6 号 p. 556-562
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    アジア諸国から穀醤と魚醤を合計20種を収集し,電気透析にかけ,非透析部に残存する食塩とメラノイジン色素量を測定した.その結果,電気透析によりいずれの醤油も食塩は0.045%以下になったが,メラノイジンは穀醤1種と魚醤2種を除き81%残存した.
    これらの醤油試料に鉄(II)イオンを加えると可視部の吸光度は増加し,EDTAを加えると減少することから,これらの醤油中のメラノイジンはキレート能のあることが示唆された.
  • 差スペクトル法の利用
    東野 哲三
    1991 年 38 巻 6 号 p. 563-569
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 金子 精一
    1991 年 38 巻 6 号 p. 570-574
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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