日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
38 巻, 7 号
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  • 土井 豊彦, 佐藤 加代子, 神崎 幹雄, 松本 清
    1991 年 38 巻 7 号 p. 575-580
    発行日: 1991/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    糖の定量法として古くから用いられ我国で蔗糖を含む乳製品の糖定量の公定法となっているレイン・エイノン法の欠点を補うため改良を行った.すなわち一定量のフェーリングA液に試料を加え,十分に反応させた後,残った過剰量の2価の銅イオンに対し過剰量のヨウ化カリウムを加える.遊離したヨウ素をチオ硫酸ナトリウム標準液で滴定し,試料の代わりにイオン交換水を用いて得られた滴定値との差から,検量線を使って糖の量を算出する方法である.この方法は滴定を常温で行ない,また澱粉指示薬を使うヨウ素滴定法であるので作業性も良く終点も鮮明であった.反復試験も良好であった.さらに,添加回収試験では,同一人が実施した場合の比較で,レイン・エイノン法に比べ改良された.なお,この方法は乳糖以外の還元糖を含む,あるいは操作中に還元糖を生じる可能性のある試料に適用する場合は,測定値が過大になりすぎるので注意を要する.
  • 食品の匂い用語のキャラクタリゼーションに関する研究(第5報)
    伊東 裕子, 土肥 由長, 亀田 弥, 下田 満哉, 筬島 豊
    1991 年 38 巻 7 号 p. 581-587
    発行日: 1991/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    抽象的匂い用語を具体的匂い用語の説明因子と考えて,アンケート調査で得られた両者間の反応パターン行列を数量化理論第III類とクラスター分析により解析した.
    (1) 具体的匂い用語は,その類似性に基づいて解析した結果と比べて内容的により明瞭に分類された.
    (2) 数量化理論第III類により得られたカテゴリウェイト(抽象的匂い用語)とサンプルスコア(具体的匂い用語)の二元配置図によると,抽象的匂い用語と具体的匂い用語の対応付けが可能であった.
  • 食品の匂い用語のキャラクタリゼーションに関する研究(第6報)
    伊東 裕子, 土肥 由長, 亀田 弥, 下田 満哉, 筬島 豊
    1991 年 38 巻 7 号 p. 588-594
    発行日: 1991/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    23個の具体的匂い用語群について,13個の抽象的匂い用語群がどのように関与しているのかを明らかにした.
    (1) 具体的匂い用語群A~Fは“不快臭”と意味付けることができたが,これらは抽象的匂い用語群9(悪臭)で特徴付けられた.
    (2) 用語群G~Jには“動物性食品の匂い・脂臭さ”を表す用語が分類され,寄与の大きかった抽象的用語群は1(広がりのある),2(丸みのある・穏やかな),11(甘い・暖かい)であった.
    (3) 各パネル間で最も一致度の高かった用語群で“焦げ臭”を表すK群は7(刺激性)と13(乾いた)の寄与が大きかった.また,「温泉臭」を主とするL群は,特徴のある反応を示さなかったが,共通する抽象的用語群は9であった.
    (4) “揮発性の高い匂い”と意味付けられた用語群M~Oの分類には抽象的用語群7と8(活気のある・生き生きとした)の寄与が大きく,その他に10(冷涼感)または13(乾いた)のウェイトが大きかった.
    (5) 用語群P~Tは“植物性の匂い”と意味付けることができたが,これらのグループに共通する抽象的用語群は1, 2, 3(軽い・爽やかな)及び8であった.
    (6) “乾いた匂い”と意味付けられた用語群U~Wには13(乾いた)の寄与が著しく大きく,加えて4(平坦な・特徴のない)への反応が共通して認められた.
  • 佐藤 吉永, 長谷川 伸一, 大津 俊広, 滝口 俊男, 鈴木 義久, 柴田 柾樹
    1991 年 38 巻 7 号 p. 595-600
    発行日: 1991/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    チューインガムに使用されるチクル樹脂が含有するトリテルペンアルコールの酢酸エステルについて詳細に検討した結果,既に報告されているα-アミリンアセテート,β-アミリンアセテート,ルペオールアセテートに加えて,新たにψ-タラキサステロールアセテート,タラキサステロールアセテート,オィファ-7, 24-ジェン-3β-オールアセテート,チルカラ-7, 24-ジェン-3β-オールアセテートを主に1H-NMRスペクトルより同定した.
    いずれも鎖状トリテルペンであるオールトランス-エポキシスクアレンより閉環反応によって生成したダンマレニルカチオンから生合成される環状トリテルペンであった.
  • 土井 豊彦, 神崎 幹雄, 渋谷 美雪, 松本 清
    1991 年 38 巻 7 号 p. 601-607
    発行日: 1991/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    酸化錫半導体ガスセンサーを使って,生乳の異常風味の検出を試みた.測定装置として細管の中を試料を一定流速で流しておき,流れの中に気体を吹き込み,恒温水の中を通過した後再び,試料と気体を分離し,気体の流れの中に置いたセンサーで測定する方法を使用した.その結果,気体として窒素ガス(99.9%)を使用すると空気を使った場合より相当に高い感度が得られた.また,気体や試料の流量を一定に保ち,恒温水の温度を一定にすると,良好な反復精度で実施できることが確認された.センサーとして特性の異なる2種を使ってにおいの区別も可能だった.また,正常品と異常品の判別精度は人が官能的に行う場合とほぼ同等と推定された.
  • 山下 純隆, 太田 修明, 末永 光
    1991 年 38 巻 7 号 p. 608-613
    発行日: 1991/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    消泡剤等を添加することなくキウイフルーツ酢及びカキ酢の生産を図るために,織布を担体とした固定化酢酸菌を用いて,空気中の酸素を直接摂取させる方式のバイオリアクターによる連続発酵条件について検討し,次の結果を得た.
    (1) 酢酸菌は木綿製織布を通して流し込むだけで容易に固定化され,固定化後の担体上での増殖も良好であった.また,5ヶ月以上安定的な酢酸発酵が可能であった.
    (2) 合成培地を用いて酢酸濃度45g/lが生産されるときの酢酸生成速度は最大49.7g/l・hであり,担体容積を含めたリアクターの総容積当りに換算した場合でも,最大13.7g/l・hに到達した.
    (3) 果実酒から酢酸濃度45g/lの果実酢が生産されるときのリアクターの総容積当りの酢酸生成速度は,キウイフルーツ酢では7.4g/l・h,カキ酢では5.2g/l・hであった.
  • 本多 芳彦, 橋場 炎, 阿彦 健吉, 高橋 洋志
    1991 年 38 巻 7 号 p. 614-619
    発行日: 1991/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    ベンチスケールに比べてカラム容積が5.3倍の横型回転カラムリアクターを製作し,これに合わせて固定化β-ガラクトシダーゼ量,流量を5.3倍,すなわち,カラムでの平均滞留時間をベンチスケールと同一にしてスケールアップ効果について調べた.また,このリアクターに還元脱脂乳(7℃)を通液し,約16~20時間反応で乳糖分解率70~80%の乳糖分解乳を得るための条件についても調べた.
    (1) ベンチスケールとパイロットスケールの回転カラムリアクターの反応速度は同一回転数で同じ値を示した.すなわち,本パイロットプラントの回転カラムリアクターに対しても通常のスケールアップ則が適用できることが見出され,回転数が21rpm以上では,スケールアップによってもベンチスケールと同様な流体混合状態が保持されることが分かった.すなわち,回転カラムリアクターのスケールアップは比較的容易であるといえた.
    (2) 還元脱脂乳の循環流量が600l/h以上において乳糖分解率は一定になり,流量にも物質移動の影響が無視できる下限値が存在することが分かった.
    (3) 16~20時間後の乳糖分解率は還元脱脂乳濃度12~13% (w/w)で最大値を示した.
    (4) 乳糖分解率は乳糖負荷の上昇と共に低下し,12%還元脱脂乳での乳糖分解率は乳糖負荷20~34で70~80%であった.
  • 本多 芳彦, 橋場 炎, 阿彦 健吉, 高橋 洋志
    1991 年 38 巻 7 号 p. 620-625
    発行日: 1991/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    ファイバー状固定化β-ガラクトシダーゼの洗浄法として横型回転カラムリアクター内でのバブリング洗浄法および横型洗浄機による洗浄法の二通りについて検討し,以下の結果を得た.
    (1) 回転カラムリアクター内において空気流量400Nl/minでバブリング洗浄し,繰り返し実験を行った場合,固定化β-ガラクトシダーゼの付着蛋白質量は繰り返し数6回目まで22μg/mg以下であった.しかし,この値はその後急激に増加し,10日目で82μg/mgとなり,それとともに乳糖分解率は低下した.また,ファイバー状の固定化β-ガラクトシダーゼの良好な流動・撹拌を達成するためには,この量を洗浄液の体積に対して0.008g/cm3以下にしなければならないことが判明した.この場合多量の洗浄液を要すことになり,実用上不可能であることが分かった.
    (2) 横型洗浄機で洗浄し,36回繰り返し実験を行った場合,付着蛋白質量はほぼ20μg/mg以下となり,また,乳糖分解率は71~80%となった.したがって,この洗浄法は回転カラム内でのバブリング法に比べて効果的な手法であることが示された.
  • 大鶴 勝, 西村 公雄, 牧田 登之, 良辺 文久, 角田 隆巳
    1991 年 38 巻 7 号 p. 626-628
    発行日: 1991/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    Three groups of rabbits were given water, normal oolong tea or strong oolong tea. There were no significant differences in the various indices for lipid metabolism and those related to the liver and pancreas functions in the blood serum among the groups of animals at 130 days of the experimental period. It was suggested that chronic consumption of oolong tea was in no way harmful at least in this animals species at the dosages employed in the present study.
  • 橋永 文男
    1991 年 38 巻 7 号 p. 629-632
    発行日: 1991/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    カンキツ果実におけるリモノイド化合物の苦味を軽減する基礎的資料を得るために果実でのノミリンの代謝を研究した.ユズ果実の果皮に直径1.4cmの切れ目を作り,その中心部のアルベド部分に14C-ノミリン(375000cpm)をシリンジで注入した.一定期間後,その代謝産物を酢酸エチルで抽出し,TLCによって同定した.
    放射能の回収率は注入部で19.5%,注入部及び種子以外の全果実部で71.4%であった.また注入後の時間が長いほどノミリンの代謝割合が増加したが,全リモノイドの回収率は変わらなかった.ユズ果皮において,ノミリンはノミリン酸,デアセチルノミリン及び微量のオバクノンに代謝された.したがってユズ果実中(種子以外)では主にノミリン酸とデアセチルノミリンに変換することが明らかになった.
  • 小松 一郎, 安田 俊隆, 福永 健治, 鈴木 鐡也, 鈴木 聡, 高間 浩蔵
    1991 年 38 巻 7 号 p. 633-639
    発行日: 1991/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    3種類のイカ(アカイカ[Ommastrephes bartrami],スルメイカ[Todarodies pacificus],アルゼンチンマツイカ[Ilex argentinus])の外套筋から脂質を抽出し,精製イワシ油に対する過酸化抑制能を過酸化物価(PV),カルボニル価(CV)を指標に比較・検討した.その結果,いずれのイカ総脂質抽出物もイワシ油の過酸化を有意に抑制し,中でもアルゼンチンマツイカのそれが最も強い抗酸化能を示した.アルゼンチンマツイカから調製したリン脂質画分を用いて精製イワシ油に対する抗酸化性を調べた結果,明らかな抗酸化性を示した.その抗酸化能は脂質,脂肪酸の違い,あるいは単にトコフェロール組成の違いで説明出来るものではなく,リン脂質画分が深く係わっていることが示唆された.
  • 山内 清, 村田 寿, 大橋 登美男, 芳賀 聖一, ピアソン
    1991 年 38 巻 7 号 p. 640-646
    発行日: 1991/07/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    5群(各10羽)の廃鶏(白色レグホーン種,約17月齢)に屠殺前10日間,それぞれ酢酸dl-α-トコフェロール(ATA)を0, 500, 750, 1000, 2000mg/kg飼料の水準で補給した市販肉専用鶏用飼料が給与された.廃鶏へのα-トコフェール(α-Toc)補給の結果は,多量のα-Tocが主として卵黄に蓄積され,また飼料α-Tocが骨格筋組織と細胞内顆粒膜に取り込まれることを示した.しかしながら,廃鶏肉のα-Toc濃度は肉専用鶏に比較して有意に低かった.そして,2000mgATA/kg飼料を給与した廃鶏肉でも,冷蔵中,そのTBA値で示される脂質酸化を容易に受けた.廃鶏の筋肉と細胞内顆粒膜において,α-Tocに対する高度不飽和脂肪酸(PUFA)あるいはPUFA>18:2(二重結合を3個あるいはそれ以上有するPUFA)のモル比が比較的高いことは,廃鶏肉の脂質酸化の受けやすさに関係しているようであった.
  • 加藤 司郎, 北村 英三, 山本 さやか, 大島 貞雄
    1991 年 38 巻 7 号 p. 647-650
    発行日: 1991/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    YM培地中において,S. servazziiおよびD. hanseniiの生育に伴う,pH,エタノール,還元糖などの経時変化を大気下および酸素2%下の静置培養で検討した.同時に,S. servazziiの生成する主な香気成分についても分析した.両酵母の生育に伴って,還元糖が消費され,エタノールが生成し,pHは低下した.D. hanseniiの場合,エタノールの生成は僅かであった.両酵母とも酸素2%下より大気下の静置培養の方が生育は速やかであった.D. hanseniiの培養では,細胞密度が高くなると培地のpHは徐々に上昇した.初期段階に於て,S. servazziiD. hanseniiより速やかに生育したが,発酵が進むと細胞密度はD. hanseniiの方が高くなった.S. servazziiの生育に伴う主な香気成分は,Acetaldehyde, Ethyl Acetate, Ethanol, nPropanol, iso-Butanol, iso-Amyl Acetate, isoAmyl Alcoholなどであった.
  • 小崎 道雄
    1991 年 38 巻 7 号 p. 651-661
    発行日: 1991/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
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