日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
38 巻, 9 号
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  • ヤマノイモの利用に関する研究(第2報)
    田之上 隼雄, 下薗 英俊
    1991 年 38 巻 9 号 p. 751-757
    発行日: 1991/09/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    Dioscorea alata L., D. opposita THUNB., D.japonica THUNB.に属するKaU-09,つくねいも,じねんじょについて,それぞれの水抽出液をSDS-エタノール処理とイオン交換処理して粘質多糖を精製し,ヤマノイモの種による粘質多糖の化学的性質と粘性挙動を比較検討した.
    (1) 糖組成
    精製粘質多糖(P6)の糖含量はMan.として53~55%で,種による差は極めて少なかった.糖組成はいずれもMan.が主で,約90%を占めた.その他の糖としてAra., Glc., Gal.が含まれ,微量であるがXyl.,Rham.が検出された.三種の多糖ともアセチル化され,糖残基一つにつき二つのアセチル基の存在が確認された.
    (2) アミノ酸組成
    精製粘質多糖中に蛋白質は2.0~2.2%含まれた.構成アミノ酸はAsp., Glu.が最も多く,Ala., Ser.,Gly.も比較的多量含まれた.構成アミノ酸の種類およびその含量ともにヤマノイモの種による差は認められなかった.
    (3) 粘性挙動
    SDS-エタノール処理のみで精製した粘質多糖(P5)の相対粘度にヤマノイモの種の違いによる影響は認められなかった.
    P5をイオン交換処理した精製粘質多糖(P6)では,粘性変化が著しく,この画分については,ヤマノイモの種による相違が確認された.すなわち,溶媒が水の場合,KaU-09の相対粘度が高く,0.1M NaClでは,つくねいも,じねんじょの方が高かった.濃度と還元粘度との関係から0.1M NaCl中での粘質多糖の分子間相互作用は,つくねいも,じねんじょがKaU-09より高いと推測された.
  • スイートコーンの呈味と香気に関する研究(第1報)
    宮西 俊彰, 土本 伸二, 小倉 素子, 飯尾 鉄臣
    1991 年 38 巻 9 号 p. 758-764
    発行日: 1991/09/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    'ゴールデンアーリパック'の成熟の進展に伴う種実中の呈味と香気に関与する成分の量的変化を,穂軸中心部10cmの種実を対象として検討した.
    (1) 本品種の種実の水分含量は,成熟とともに速やかに減少した.収穫適期の水分含量は,乾燥スイートコーン粉末への加工を目的とする場合,70~74%(湿量基準)の範囲にあった.
    (2) 種実中の遊離糖,遊離アミノ酸含量も,成熟とともに急速に減少した.一方,でん粉(でん粉と水溶性多糖類)含量は逆に増加した.蛋白質含量は成熟期間中ほぼ一定であった.全種実中の固形成分量は成熟とともに直線的に増加した.なお,固形成分量増加はでん粉量の増加が主体であった.
    (3) 種実中の香気成分前駆体(S-MMS)含量と,成熟日数の関係は直線関係にあり,成熟に伴い急速に低下した.収穫適期のS-MMS含量は150~250μ mol/100g乾物重であった.また,本品種の成熟に伴う全種実中のS-MMS量は収穫適期付近で最大量に達することを認めた.
    (4) 本品種の収穫適期は種実中の成分が,激しく変化している時期にあり,可能な限り,迅速な収穫作業が望まれる.
  • 坂田 完三, 河合 滋, 八木 昭仁, 伊奈 和夫, 川村 吉也
    1991 年 38 巻 9 号 p. 765-769
    発行日: 1991/09/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    非破壊多成分同時分析が可能な13C-NMRを用いて食酢の分析を行った.
    (1) 各種の食酢のスペクトルはそれぞれの食酢の原料や製法の特徴を示すものであった.
    (2) 13C-NMRスペクトルのシグナルを帰属する過程で,従来の分析では報告されていない成分1, 3-プロパンジオールが,約0.1%も含まれることを明らかにすることができた.
    (3) 香気成分として報告されていた2, 3-ブタンジオールは0.1%以上も含有されるリンゴ酢の主成分であることを明らかにした.
    (4) 13C-NMR分析法は試料中にある濃度以上含まれる成分を,一枚のチャート上に半定量的に表示することができるため,品質管理の面からも有用であることが示唆された.
  • 浅野 三夫, 大久保 一良, 山内 文男
    1991 年 38 巻 9 号 p. 770-775
    発行日: 1991/09/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    大豆の温水浸漬によるオリゴ糖の浸出挙動をTLCおよびHPLC分析を行って検討した結果,
    浸漬温度上昇によって浸出するオリゴ糖は増加し,その中の糖は,主にシュクロース,ラフィノース,およびスタキオースであった.
    50℃以上で浸出する各オリゴ糖の比率は,ほぼ一定でシュクロース,ラフィノースおよびスタキオースの比が63:6:31であった.また,浸漬時間を増してもオリゴ糖の浸出量は増加するが,その比率は,ほぼ一定であった.
    胚軸からのオリゴ糖含量は,全粒からのそれに比べてコントロール(80%エタノール抽出)の場合で1.8倍,温水浸漬の場合で2.9倍多かった.またその組成もスタキオースが多かった.
    温火浸出物のメタノール可溶区分からは,84%のシュクロース,同不溶区分には86%のスタキオースが含まれており,浸出物からシュクロース主体のものと,スタキオース主体のものに粗分画出来ることが分かった.
    血液型の遺伝を連想させるサポニンAの型とAb型を含む24種類の大豆のオリゴ糖含量を調べた結果,Ab型大豆の方がAa型大豆に比べ,その含量値が高く,特にシュクロースの平均値で約4%高かった.また,各型の中では,各オリゴ糖の比率がほぼ一定していた.
  • パーボイルド米に関する研究(第2報)
    伊藤 和彦, 川村 周三
    1991 年 38 巻 9 号 p. 776-783
    発行日: 1991/09/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    生もみを原料としてパーボイリング処理を行った玄米の搗精特性および精米品質等を明らかにした.主な搗精特性は以下のとおりである.
    (1) パーボイルド米と無処理玄米の消費電力量を比較すると研削および摩擦式搗精法ともパーボイルド米が大きい値を示した
    (2)パーボイルド米について見ると研削式搗精ではパーボイリング処理条件が強くなると(糊化度および糊化積算温度の増加)所要搗精時間が短縮され消費電力量が増加した.増加の程度は糊化度が30%を越えると大きくなった.一方,摩擦式搗精では糊化度の増加に伴って所要搗精時間および消費電力量は直線的に低下した.しかし,糊化度60%の場合でも無処理玄米に比較して約1.5倍に相当する所要電力を示した.
    精米の品質等は以下のとおりである.
    (1) パーボイルド米から調製した精米の温度は無処理玄米の場合に比較して最大5℃高かった.
    (2) 砕粒率は糊化度が40%以下では高い値を示したが糊化度が50%を越えると無処理区よりも低い値を示した.
    (3) 糊化度の上昇に伴って容積重,流動性が低下,吸水率が増加した.
    (4) パーボイリング処理によって精米の白度が大きく低下し,褐変が進んだ.
  • 岡崎 尚, 鈴木 寛一, 前重 静彦, 久保田 清
    1991 年 38 巻 9 号 p. 784-788
    発行日: 1991/09/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    ジャガイモの蒸煮中における硬さの変化を,85℃~105℃の温度範囲で測定し,速度論的解析を行った.
    (1) 1個のジャガイモの中央部に近い柔組織を試料にすることによって,安定した硬さの試料を得ることができた.
    (2) 加熱初期の昇温中にジャガイモの硬化現象が観察されたが,比較的高い蒸煮温度(95℃~105℃)において顕著であった.
    (3) ジャガイモの軟化は,機構の異なる2段階より成っていた.それぞれを軟化の前期と後期として軟化速度を擬一次反応に近似して解析したところ,それぞれEa=171kJ・mol-1およびEa=123kJ・mol-1となった.また,硬さが初期値の約1/10になったところで後期の軟化が始まった.
    (4) 後期の軟化開始時間と処理温度との間に次の関係が成立した.log t=8.85-6.33×10-2・T (tは後期の軟化開始時間(s), Tは蒸煮温度(℃))この式から計算される100℃の後期の軟化開始時間は330sとなり,文献の最適蒸煮時間に近い値であった.
  • 高浜 昭博, 久世 次郎, 岡野 智子, 秋山 恭子, 中根 俊恵, 高橋 裕司, 小林 猛
    1991 年 38 巻 9 号 p. 789-796
    発行日: 1991/09/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    B. natto No. 7のレバンスクラーゼによるラクトスクロースの生産について検討した.また本酵素を硫安沈澱,疎水クロマトおよびイオン交換クロマトグラフィー等により精製し,その性状を明らかにした.
    (1) 本酵素の分子量は,SDS-PAGEより約55kDaであった.また等電点電気泳動よりpIは4.9であった.
    (2) 本酵素の性状は,至適pH 6.0~6.2,最適温度35℃を示し,活性はpH 5.5~7.0および35℃以下で安定であった.
    (3) 本酵素のスクロースおよびラクトースに対するKmは,それぞれ0.21Mおよび0.42Mであった.また,ピンポン型の反応機構で反応初速度は整理できた.
    (4) ラクトスクロースの収量は,各250mMのスクロースおよびラクトースの混合溶液で反応させた場合,30~32%であった.
    (5) ラクトスクロースの生成過程のシミュレーションを行った結果,フルクトースが実測値からずれた.これはフルクタンの生成に起因するものと推定された.
    (6) ハイドロキシアパタイトに固定化したレバンスクラーゼの至適温度は約15℃高温側にシフトした.
    (7) 固定化酵素によるラクトスクロースの生産を検討した結果,もとの酵素に比較してその収量は低下した.一方,レバンの生成量は,固定化酵素の方が多かった.
  • 加地 浩章, 池辺 哲朗, 筬島 豊
    1991 年 38 巻 9 号 p. 797-803
    発行日: 1991/09/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    エチレン等の各種代謝ガスを除去し,酸素を2~3%,二酸化炭素を3, 8, 13, 18%の4段階設定したPCA(Perfectly Controlled Atmosphere)貯蔵法,及び30μm厚のLLDPEフィルムとエチレン・アセトアルデヒド除去剤を併用するフィルム包装貯蔵法を青梅'鴬宿'に対して適用した.環境ガス組成と品質との関係について検討し以下の結果を得た.貯蔵温度は20℃とした.
    (1) PCA貯蔵中のエチレン排出は無包装に比べ非常に遅れ,その検出開始は3% CO2区から18%区までそれぞれ15, 19, 23, 23日目であった.
    (2) PCA貯蔵,フィルム包装貯蔵ともに顕著な緑色保持効果が認められ,二酸化炭素濃度が高いほど黄化が抑制された.
    (3) 貯蔵中,外観的に4種類の障害が発生したが,無包装の場合に認められた障害はPCA貯蔵とフィルム包装貯蔵では抑制された.フィルム貯蔵では19日目に低酸素あるいは高濃度アセトアルデヒドによると考えられる果実内部の褐変が発生した.PCA貯蔵では18%CO2区で二酸化炭素障害が発生したが,13%以下では23日目まで障害の発生は認められなかった.
    (4) 貯蔵解除後に流通期間として2日間を要すると仮定すると,鮮度保持期間はフィルム包装貯蔵で12日間,PCA貯蔵3% CO2区及び8%区で15日間,13%区で19日間,そして18%区では12日間と判断された.
  • 松浦 基, 根岸 晴夫, 吉川 純夫
    1991 年 38 巻 9 号 p. 804-810
    発行日: 1991/09/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    糖存在下で製造した乾燥肉のテクスチャーが柔らかい原因を解明するために,種々の濃度のグルコースまたはシュクロースを含むスライス肉を加熱・乾燥し,加熱・乾燥中の筋肉蛋白質の生化学的性質の変化,水分含量の変化およびテクスチャーの変化を調べた.
    筋肉蛋白質の変化(Ca-ATPase活性および高塩濃度溶液に対する可溶化率)速度と水分含量の減少速度の対数値と糖濃度の間には直線関係が成立し,この直線の傾きから各々の指標に対する糖類の添加効果が算出可能であった.いずれの変性速度の場合もシュクロースの添加効果がグルコースのそれの約2倍の値を示し,同濃度で比較するとシュクロースの方がグルコースよりも効果的であることが示唆された.また,各指標に対する糖類の添加効果は,シュクロース,および,グルコースの場合ともCa-ATPase活性の失活防止に対する効果が最も大きく,次いで可溶化率の低下速度に対する効果,水分含量の減少速度に対する効果の順になった.
    加熱・乾燥による肉のテクスチャー変化を糖類の存在の有無で考察すると,糖非存在下では,筋肉蛋白質の変性速度が水分の減少速度よりも大きいために加熱・乾燥中に変性が進行し,乾燥肉のテクスチャーは硬いものとなるが,糖存在下では,筋肉蛋白質の変性速度よりも水分の減少速度の方が大きいために筋肉蛋白質の変性が進行する前に乾燥が終了し,乾燥肉のテクスチャーは柔らかいものと考えた.
    ただし,糖の種類とその濃度によって各種変化速度の減速度合いが異なっており,用いた糖や添加する濃度が異なると乾燥肉のテクスチャーは異なっていた.
  • 岸 雅代, 宇賀神 功, 増田 豊, 鵜澤 昌好
    1991 年 38 巻 9 号 p. 811-816
    発行日: 1991/09/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    市販バニラアイスクリーム及び原材料の乳製品と卵黄について,全自動高速アミノ酸分析機により遊離アミノ酸を定量した.
    (1) バニラアイスクリーム11試料の遊離アミノ酸総量は94~338μg/gで,主要な遊離アミノ酸はグルタミン酸,タウリン,フォスフォエタノールアミンであった.
    (2) アイスクリームを価格帯により4グループに分類し,価格の高い順にスーパープレミアムタイプアイスクリーム,プレミアムタイプアイスクリーム,通常のアイスクリーム,ラクトアイスとした.価格帯の高いグループほど遊離アミノ酸総量が多かった.遊離アミノ酸のパターンは,スーパープレミアムタイプアイスクリームのみ他のグループと異なっていた.これは,卵黄由来の遊離アミノ酸によると推定された.
    (3) 原材料の遊離アミノ酸総量は,生クリーム,バタ一,脱脂濃縮乳,脱脂粉乳,卵黄が,各々,65, 42, 470, 1196, 4697μg/gであった.バニラアイスクリームに使用されている乳製品は製造工程中の加熱履歴が異なるが,無脂乳固形分当たりの遊離アミノ酸総量も組成もほとんど変わらなかった.スーパープレミアムタイプアイスクリーム以外のグループの遊離アミノ酸組成は,乳製品と類似していた.
  • 鮫島 邦彦, 崔 一信, 石下 真人, 早川 忠昭
    1991 年 38 巻 9 号 p. 817-821
    発行日: 1991/09/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    粗アクチニジンを市販のキウイフルーツから抽出,調製した.骨格筋アクトミオシン中のミオシンとアクチンは粗アクチニジンによって分解された.粗アクチニジンによる骨格筋ミオシン分子内の分解部位は,α-キモトリプシンによるそれとほぼ同じであった.また,粗アクチニジンはコラーゲンも分解した.牛モモ肉を粗アクチニジン溶液に浸漬した場合,4℃で6時間後の生肉,加熱肉とも切断強度の低下を示した.これらの22時間後の試料のSEM観察においては,筋肉の構造がもろくなっていることが確認された.以上の結果から,キウイフルーツに含まれるタンパク質分解酵素アクチニジンは食肉軟化剤として有効であることが明らかになった.
  • 橋本 俊郎, 小島 均, 佐竹 秀雄
    1991 年 38 巻 9 号 p. 822-825
    発行日: 1991/09/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    らっきょう漬の製造法の改善のため,生ラッキョウの塩漬時の食塩濃度を低食塩区(3%,6%)と高食塩区(12%,20%)に分けて室温下に8週間貯蔵し,2週目ごとに調味加工して食味品質の比較を行った.
    食塩濃度12%以上の区では微生物の生育が強く抑制され,成分の変化が少なかった.しかし,低食塩区では微生物が旺盛に増殖して塩漬4週目で乳酸菌が107/ml,酵母が106/ml台に達し,漬液の濁度の増加,pHの低下,乳酸及びアルコールの生成をもたらした.低食塩区のうち3%区の塩漬らっきょうを原料とした製品品質は劣ったが,6%区の塩漬らっきょうの場合は良好であった.この時の脱塩時間は高食塩区の場合のほぼ1/10となり,脱塩に要する水量を著しく減少することができた.3%区の漬液中の乳酸量は塩漬4週目で0.4%に達したが,6%区では0.22%とおよそ半量に留まり,乳酸発酵が適度に抑制されたものと思われる.
  • 阿知和 弓子, 賀田 恒夫, 並木 和子
    1991 年 38 巻 9 号 p. 826-830
    発行日: 1991/09/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    亜硝酸とモルホリンとの反応によるニトロソモルホリン生成に及ぼすレモンジュースの影響について検討した.
    (1) ニトロソモルホリン生成に対しレモンジュース添加では,in air系で約26%, in N2系で約16%, 2倍濃縮のin air系で約36%, in N2系で約35%の抑制効果が認められた.
    (2) アスコルビン酸はin air系2mMで約5%, 5mMで約23%, 10mMで約57%, 20mMで100%, in N2系2mMで約22%, 5mM系で約57%, 10, 20mMで100%の抑制効果を示した.
    (3) クエン酸及びヘスペリジンは抑制効果が認められなかった.
    (4) レモンジュースに含まれるアスコルビン酸に相当する濃度の抑制効果は7.4%あることからレモンジュースにはアスコルビン酸以外の抑制効果を持つ物質の存在が推定された.
  • スイートコーンの呈味と香気に関する研究(第2報)
    宮西 俊彰, 土本 伸二, 小倉 素子, 飯野 鉄臣
    1991 年 38 巻 9 号 p. 831-834
    発行日: 1991/09/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    (1) 'メローゴールド'および'ジュビリー'種実の水分含量は成熟に伴い減少した.ただ,その減少はやや緩慢であり,かつ,成熟とともに鈍化した.
    (2) 'メローゴールド'と'ジュビリー'とも,種実の水分含量が同程度であれば,遊離糖含量はほぼ同程度の値を示した.
    (3) 成熟に伴い種実中の香気成分前駆体(S-MMS)含量は速やかに減少するが,品質によりその状況に差が認められた.'ジュビリー'種実では成熟とともにS-MMS含量は急速に減少した.
    (4) 両品種とも,その収穫適期は成熟途上にあり,種実成分が著しく変化する時期でもあった.
    (5) 'ジュビリー'収穫後,貯蔵時も種実中のS-MMS含量は速やかに減少した.これに伴い加熱香気も明らかに劣化した.従って,収穫後,迅速なブランチング処理等の加工処理が必要である.
  • 工藤 重光, 打田 悌治, 大久保 一良
    1991 年 38 巻 9 号 p. 835-841
    発行日: 1991/09/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    大豆食品の味を改善するために,大豆中の不快な苦味・収斂味の主成分である大豆サポニンの酵素的分解について検討した.Aspergillus niger 54株を用い,大豆サポニン分解酵素生産菌を検討した.その結果,全供試菌株のなかで,最も高い分解能を有するAspergillusniger 7122を選択した.大豆サポニンの酵素分解物をTLCおよびHPLC分析で調べた結果,大豆サポニンAグループは,ソヤサポゲノールAのC-22位に結合した糖鎖の末端の糖部において部分脱アセチル化されていた.また,ソヤサポゲノールBとEが,検出されていることから,他の大豆サポニンは,グルクロナイド結合部位で加水分解されていることがわかった.また,この結果から,ソヤサポゲノールEをアグリコンとする新規大豆サポニンの存在が,示唆された.また,主サポニンであるBbの加水分解に対する至適pHは,5.0~5.5でありpH 4.0~6.0および40℃以下で安定であった.
  • 林 信行, 早川 功, 藤尾 雄策
    1991 年 38 巻 9 号 p. 842-849
    発行日: 1991/09/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    バレル温度・原料供給量・スクリュー回転数をパラメータとした種々の条件下で剥皮丸大豆のエクストルーダー処理を行い,押出し物のテクスチャー測定を行った.組織強度はKramer Shear Cellを参考に製作したBlade Shear CellによるBlade Shear Forceの測定によって行い,縦横の切断力比を配向性を表すOrientation Indexとした.また組織化率を表す指標としてIntegrity Indexを参考にPhysical Structure Indexを導入した.これら3種の測定値は運転条件によって大きく変化する吐出物のテクスチャーを的確に表現した.組織化のための主要な因子はバレル温度であり,良好な組織化物は150℃ないしは160℃の時に得られた.原料供給量が増加すると配向性を表すOrientation Indexも増加し,溶融試料の流れの状態が組織の配向に関与していることが示された.スクリュー回転数の増加に伴うPhysical Structure Indexの増加から組織化温度に達しない130℃の温度条件下ではバレル内部での摩擦熱の発生が示された.
  • 上敷領 広美, 長谷川 喜代三, 的場 輝佳
    1991 年 38 巻 9 号 p. 850-857
    発行日: 1991/09/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    透過モードによる水溶液中のタンパク質の近赤外(NIR)分光測定に対する食品成分,pH,温度の影響を調べた.モデルタンパク質として牛血清アルブミンを使用し,水を対照にしてNIR測定を行った結果,二次微分スペクトルにおいて,タンパク質に特徴的な鮮明な吸収帯が,1692, 1738, 1856, 2056, 2170, 2286nmに観察された.これらの吸収帯の中で,2170nmにおける吸収帯は,塩類,糖類,アミノ酸,ペプチド,油脂,変性剤が存在した時も,またpHや温度が変化した時も有意な影響は受けなかった.これらの結果から,近赤外分光測定によるタンパク質の測定に対して,2170nmにおける波長を選択することが必要であることが示唆された.
  • 中村 哲郎, 宿野部 幸孝, 土岐 良一, 下田 幸三, 吉田 友衛, 桑水流 守
    1991 年 38 巻 9 号 p. 858-863
    発行日: 1991/09/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    カゼインの有効利用を目的として,種々の平均ペプチド鎖長(APL)を持つカゼイン加水分解物をエンド/エキソ型プロテアーゼで調製し,これらの分解物によるStreptococcus thermophilusへの発育促進効果を調べた.また,試作調製物と市販の6種のペプトンの発育促進効果をS. thermophilusを用いて比較した.得られた結果を以下に要約した.
    (1) 発育促進効果を種々のAPLを持つカゼイン分解物で比較したところ,1.5のAPLを持つ分解物がS. thermophilusの発育促進に最も効果があった.この分解物の遊離アミノ酸含量は約50%であった.
    (2) 国産の市販ペプトンには,S. thermophilusに対する発育促進効果があまり見られなかったが,これは,APLが長いこと及びビタミンのような発育促進因子が不足しているためと思われる.
    よって,APLが1.5で豊富なビタミンを含有している試作調製物はS. thermophilusの培養に非常に有効なペプトンであると判断した.
  • 安井 健
    1991 年 38 巻 9 号 p. 864-870
    発行日: 1991/09/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    C3植物とC4植物との間の炭素安定同位体比の違いを利用した原材料の判別法を餅製品に適用するため,原料であるもち米ととうもろこし澱紛の炭素安定同位体比の変動と判定基準について検討した.44都道府県から収集した1986年産水稲もち56品種108試料および陸稲もち15品種24試料,合計132試料の炭素安定同位体比の平均値(標準偏差)は-25.86‰ (-0.530‰),変動の範囲は-24.4‰から-27.3‰であった.一方,とうもろこし澱粉54試料,うちもちとうもろこし澱粉10試料の炭素安定同位体比の平均値(標準偏差)は-10.26‰(-0.338‰),変動の範囲は-9.6‰から-11.1‰であった.このことから,検体の炭素安定同位体比が-24.2‰より大きい場合にはもちとうもろこし澱粉が混和されている可能性があると判定できる.また,製品中に3%のもちとうもろこし澱粉が混和されれば検出できる.
  • 松井 年行, 吉田 裕一, 北川 博敏
    1991 年 38 巻 9 号 p. 871-873
    発行日: 1991/09/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    メロン'Honey Dew', 'IW-57'と'銀泉'種の3品種の酸性インベルターゼ活性と糖含量の変化との関係を明らかにすると共に本酵素の性質について検討した.可溶性画分における酸性インベルターゼの最大活性は,'Honey Dew'種と'銀泉'種で開花後20日,'IW-57'種で40日であった.'Honey Dew'種と'IW-57'種の最大ショ糖含量は開花後45日,'銀泉'種で40日であった.ショ糖含量の増大は,インベルターゼの最少活性と一致した.しかしながら,インベルターゼ活性の増大は,還元糖の増大傾向とは一致しなかった.
  • 近田 文弘
    1991 年 38 巻 9 号 p. 874-880
    発行日: 1991/09/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
  • 加藤 秋男
    1991 年 38 巻 9 号 p. 881
    発行日: 1991/09/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
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