日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
39 巻, 10 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
  • 香田 隆俊, 市 隆人, 吉光 稔, 二本木 淑恵, 関谷 次郎
    1992 年 39 巻 10 号 p. 839-844
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル オープンアクセス
    自然条件に関係なくシソ色素を工業的に安定生産することを目的として,赤チリメンジソから誘導した培養細胞を用い,色素生産の検討を行った.
    植物にはその植物に適した培養条件があり,しかも分化,増殖,1次代謝物生産・2次代謝物生産に適したそれぞれの培養条件がある.本研究では,培養細胞の増殖率および色素生産性を向上させるため植物生長調節物質,炭素源,窒素源,無機イオンについて検討し,最適培養条件を設定した.細胞選抜により色素生産に適した高色素生産株を得,この培養細胞を100lのジャーファーメン夕ーにて培養し,シソ色素を得た.この色素は,シソ生葉より得られた色素と近似したHPLCパターンを示し,その主色素成分は,質量分析の結果,シソ生葉中の色素と同様にマロニルシソニンおよびシソニンであると示唆された.
  • 香田 隆俊, 市 隆人, 関谷 次郎
    1992 年 39 巻 10 号 p. 845-849
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル オープンアクセス
    自然条件に関係なくシソ色素を工業的に安定生産することを目的として,赤チリメンジソから誘導した培養細胞を用いた生産検討を行った.また,得られた色素の性状についてシソ生葉より抽出した色素と比較し,植物組織培養によって得られた色素の食品用赤色色素としての利用の可能性を検討した.
    植物細胞の培養を100lスケールのジャーファーメンターによるプラントテストとして行い,シソ色素を得た.次に,得られた色素について性状,色調,耐熱・耐光性,安全性などの色素を行ったところ,シソ生葉より得られた色素と大差はなく,食品用赤色色素として満足できる色調,耐熱・耐光性,安定性を有していることが解った.
    培養細胞より得られた色素の更に詳細な安全性の確認を行うとともに,生産効率の向上を進あることにより,本色素を食品用着色料として工業的に安定生産できる可能性が高いと考えられる.
  • 香田 隆俊, 市 隆人, 関谷 次郎
    1992 年 39 巻 10 号 p. 850-856
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル オープンアクセス
    クサギの果実中に生産される色素は,天然界には珍しい構造を有した鮮やかな青色色素である.この色素は,果実の表皮に極微量しか存在しないため,栽培あるいは自生している果実を原料として,大量かつ安定して生産することは困難である.そこで,クサギ青色色素を植物組織培養法を利用して生産し,その色素の性状,耐熱・耐光性,安全性を調べ,食品用着色料としての実用性を検討した.クサギ培養細胞は, NAA2×10-6M,庶糖3.0%を含むLS培地(pH5.8)中で, 30001xの光照射下で培養することによって鮮やかな青色色素を生産した
    培養細胞由来の色素の色調は,クサギ果実より得られた色素とほとんど同じ色調を有し,現在市販されているクチナシ青色素と比べると鮮明な色調であり,スピルリナ色素より黄色味のある食用青色1号に近い青色を呈した.また,分光照射試験においても培養細胞由来の色素とクサギ果実より得られた色素は,ほぼ同じ退色傾向を示した.クサギ色素は,緩衝液中ではスピルリナ色素と比べて熱,光共にかなり安定であったが,クチナシ青色素と比べると耐光性面では劣っていた.しかし,モデル飲料中の試験においても,培養細胞由来のクサギ色素の安定性は,クチナシ青色素より耐熱性・耐光性共にかなり劣っていたが,安定化剤を併用することによりクチナシ青色素と同程度まで改善された.また,突然変異原性も有していなかった.これらのことにより,培養細胞由来の色素が食品用着色料として有用であることが明らかになった.
  • 米飯の食味に関する研究(第1報)
    田島 真, 堀野 俊郎, 前田 万里, 孫 鍾録
    1992 年 39 巻 10 号 p. 857-861
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル オープンアクセス
    (1) 米粒の胚乳の外層(サピオ層)の水抽出物には,単糖,二糖に加えてマルトオリゴ糖が含まれていた.
    (2) 外層(サピオ層)に含まれる遊離アミノ酸の組成は,米粒全体のそれと異なっていた.
    (3)マルトオリゴ糖は,水抽出過程で酵素反応により生成するものと見られた.
  • 塚正 泰之, 福本 憲治, 一宮 まさみ, 杉山 雅昭, 峯岸 裕, 赤羽 義章, 安本 教傳
    1992 年 39 巻 10 号 p. 862-869
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル オープンアクセス
    冷凍豚肉を解凍した時に遊離するドリップの一般性状と利用方法について検討した.
    (1) ドリップの主体は筋細胞内液で一部細胞外液が含まれている.一般組成は水分とタンパク質で全体の99%を構成し,タンパク質の含有量は,ももドリップの8.8%からロースドリップの12.0%までの範囲である.
    (2) ドリップの一般性状は筋肉部位によって異なり,ばら肉のそれはロース肉ともも肉のドリップの中間的な性状を示す.核酸関連物質,有機酸などは肉の部位毎の特徴をそのまま示している.
    (3) ドリップ自体を塩せきすると経時的に遊離アミノ酸が増加し,食味が向上することが確認された.
    (4) ソーセージに解凍ドリップを復元添加するとドリップ自体の塩せきの有無に関わらず食味および色調が顕著に向上することが判明した.
  • 沖縄におけるとうふようの製造に関する研究(第7報)
    安田 正昭, 坂口 真樹, 音成 洋充, 奥浜 真時, 金城 さきえ, 本郷 富士弥, 当山 清善
    1992 年 39 巻 10 号 p. 870-877
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル オープンアクセス
    豆腐乾燥工程における微生物のはたす役割を明らかにするために,プロティナーゼ活性の高い細菌を分離し,分離菌株による細菌接種区と細菌非接種区(特別には細菌を接種しない従来法による区)における豆腐の乾燥過程におけるタンパク質や窒素成分の変化等について比較検討した.
    (1) プロティナーゼ活性の高い細菌Bacillus TYO67がとうふよう製造過程で分離された.
    (2) 純粋培養で生育させた分離菌株を接種した区と非接種区における豆腐の乾燥過程における純タンパク質量の変化を調べたところ,いずれの区においても乾燥の経時的変化に伴い減少した.乾燥豆腐の純タンパク質量は細菌接種区の方が細菌非接種区に比べて低い値を示し,前者の方が後者に比べてタンパク質の分解がより進行していることがわかった.
    (3) 細菌接種区と細菌非接種区におけるタンパク質の水溶化率, 4% TCA可溶性窒素量及び75%エチルアルコール可溶性窒素量の総窒素量に対するそれぞれの比率及び遊離アミノ酸量を調べたところ,これらの数値は両区いずれの場合にも乾燥の経時的変化に伴い増大した.特に,細菌接種区におけるこれらの数値は細菌非接種区に比べて高い値を示した.各遊離アミノ酸量及びアミノ酸組成は細菌接種区と細菌非接種区では異なる傾向を示した.
    (4) 細菌接種区と細菌非接種区の乾燥豆腐をそれぞれ調製し,とうふようの製造試験を行ったところ,細菌接種区では細菌非接種区に比べて熟成時間が短縮された.豆腐の乾燥工程における細菌のはたす役割は「前発酵」として意義づけられた.
  • 女性の食行動に影響をおよぼす要因(第1報)
    渡辺 雄二, 恵良 聡子, 粟野 久美子, 大澤 清二, 青木 宏
    1992 年 39 巻 10 号 p. 878-886
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル オープンアクセス
    女性の食行動と肥満意識の関係を調べるために,アンケート調査,身体計測および面接調査を行い,次の結果を得た.
    (1) “自分の体型を太っている”と思う者,すなわち,肥満意識をもつ者は,アンケート調査対象者の約6割を占めた.
    (2) 肥満意識をもつ者は,もたない者に比べて,やせるために何でもやってみたいと思う意識が強く,食事の時に品目や量,カロリーを気にする反面,食物が目の前にあるとすぐに手を出し,食べるのも早い傾向がある.また,自分の体型について,他人からほめられたいという願望が強い.
    (3) 身体計測値の平均値を比較すると,肥満意識をもつ者は,もたない者に比べて身長で2.7cm低く,体重で4.3kg重く,皮下脂肪厚で, 8.8mm多いことがわかった.
    (4) 面接調査の結果から,肥満意識をもつ理由では“自分の姿を鏡で見て”が,肥満意識をもたない理由では,“標準体重に比べて”が最も多いことがわかった.また,肥満意識をもつ者は,間食を食べる頻度が多く,いわゆる,ながら食いに類するような摂食行動をする傾向があった.
    以上の結果から,女性の食行動に肥満意識が深く関わっていることが認められた.
  • 松山 惇, 平田 秀樹, 山岸 努, 林 恵一, 平野 優子, 桑田 紀代美, 清澤 功, 長澤 太郎
    1992 年 39 巻 10 号 p. 887-893
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル オープンアクセス
    ビフィズス菌の単独培養,または乳酸菌との混合培養による発育性ならびに大豆オリゴ糖の資化性について観察した.
    (1) 豆乳中におけるビフィズス菌の発育性について,24時間培養後のpHは,いずれの菌も4.53~4.76まで低下し,酸度は, 0.67~0.90%まで上昇した.また,培養20時間後の菌数は,いずれの菌種も10 3個のオーダーで増加し,豆乳中におけるビフィズス菌の増殖性はきわめて良好であった.
    (2) B. breveおよびB. longumL. acidophilusとの混合培養では,ビフィズス菌数,生酸性は単独培養時のそれらを上回ったが,L. acidophilusの菌数は単独培養時のそれよりも低い傾向を示した.
    (3) ビフィズス菌による豆乳中のガラクトオリゴ糖の資化性は,特にスタキオースに対して優れていた.また,生成したグルコースは発酵に利用されたが,フルクトースおよびガラクトースは蓄積される傾向がみられた.
    (4) スクロース,ラフィノースまたはスタキオースを添加したMGLP培地において, B. breveの発育性は,スタキオース添加培地で優れていた.さらに,これらの糖を2種類または3種類含有する培地では,後者の方が良好な発育性を示した.
  • (第1報)ゲル強度と添加処方との関係
    市川 朝子, 荒木 千佳子, 中島 利誠, 島田 淳子
    1992 年 39 巻 10 号 p. 894-900
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル オープンアクセス
    ゼラチン濃度2~5%,アスコルビン酸およびりんご酸2%水溶液中へ分子量の異なる4種類のキトサン(A:分子量20~30万, B: 4~6万, C: 1~3万, D:約2000)を0.25~1%濃度で添加し,調製したゲルについて,強度や保水性の物性変化を検討した.
    (1) ゲルの破断応力-破断歪に対して,ゼラチン濃度と共にキトサンの種類の影響が明らかにされ,分子量の小さいキトサンDの添加の場合に,両者の物性パラメーター値が共に増大し,ゼラチンーキトサン間の相互作用により,強靭なゲルを形成することを示唆した.
    (2) ゼラチン2%でアスコルビン酸溶液を用いて調製したゲルのクリープ測定による粘弾性の解析で,添加量の増大に伴い,キトサンAでは弾性率の上昇傾向を,一方,キトサンB, CおよびDでは粘性率の低下傾向を示した.
    (3) ゲルの離漿率に関しては,キトサンの種類として分子量の大きいものほど低減の効果がみられ,ゼラチン濃度5%でキトサンA 1%をアスコルビン酸溶液に加えた場合には,離漿率は約1%まで抑えられた.
  • 斎藤 昌義, 門間 美千子, 千國 幸一
    1992 年 39 巻 10 号 p. 901-906
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル オープンアクセス
    血漿蛋白質のプロテアーゼ阻害活性を,食品の加工中および貯蔵中におけるプロテアーゼによる品質低下の防止に役立てることを検討した.
    1) 血漿蛋白質はトリプシン, α-キモトリプシン,エラスターゼを阻害したが,阻害活性は,同濃度の卵白粉よりも低かつた.
    2) 血漿蛋白質をイオン交換クロマトグラフィーで分画したところ,阻害活性の高い画分を調製することができた.
    3) 血漿蛋白質の阻害活性は酸に対しては不安定であった.また, 80℃ 30分間の加熱では, pH3, 7, 9いずれにおいても阻害活性は,約3分の1に低下した.ペプシンにより血漿蛋白質の加水分解を行ったが,阻害活性は約50%残っていた.
    4) 以上のことから,阻害を目的とするプロテアーゼの性質を明らかにし, pH,加熱処理などの条件を適切に設定したり,分画により阻害活性の高い素材を調製することで,血漿蛋白質のプロテアーゼ阻害活性を利用した食品素材の開発が可能と考えられた.
  • 渡部 伸夫, 寺田 久屋, 一色 賢司
    1992 年 39 巻 10 号 p. 907-912
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル オープンアクセス
    HPLCによるカテキン類(5成分)とメチルキサンチン類(3成分)の一斉分析を検討した結果,分離カラムとしてTOSOH ODS -80 Tsを用い, 20mMリン酸緩衝液及びアセトニトリルによるグラジェント溶出法により精度よく分離分析することが出来た.緑茶およびウーロン茶とそれらの市販缶詰飲料のカテキン類とメチルキサンチン類の分析を行ったところ以下の結果が得られた.
    (1) 缶詰飲料は通常家庭で飲用する状態と比較して(+) -カテキン含有量は多いが,その他の成分は少なかった.
    (2) 同じF0=5.0の加熱殺菌処理でもレトルト処理に比べHTST処理の方が(+) -カテキンの増加は少なく,その他のカテキン類の減少も少なかった.
    (3) 茶葉よりカフェインは熱湯によって短時間で溶出されたが,カテキン類はカフェインと比較すると溶出されにくかった.
    (4) ギャバロン茶缶詰は, (-) -エピガロカテキンが多く(-) -エピガロカテキンガレートは少なかった.
    (5) 茶類缶詰飲料を55℃で6週間貯蔵すると,メチルキサンチン類はほとんど変化しなかったが,カテキン類は若干減少する傾向にあった.
  • 辻 啓介, 市川 富夫, 田辺 伸和, 小畑 裕士, 阿部 士朗, 樽井 庄一, 中川 靖枝
    1992 年 39 巻 10 号 p. 913-918
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル オープンアクセス
    小麦紅麹の血圧降下作用を幅広い食品に利用するために,有効成分の抽出方法と性質を検討した.エタノール抽出した後,酢酸エチル, n-ブタノールで脂溶成分を除去した水抽出物A,熱水で抽出した抽出物B,小麦紅麹をアセトン浸漬したのち熱水で抽出した抽出物Cを紅麹換算で0.1%飼料に添加して, SHRに15日間摂食させた.その結果,全て同じレベルの血圧降下がみられた.また,小麦粉のみから成る液体培地で培養した培養物にも降圧作用が認められた.これらの結果から,次の点が示された.
    (1) 紅麹の有効成分は,熱水で容易に抽出される.
    (2) 作用物質は,水,エタノールに可溶, n-ブタノール,酢酸エチルに不溶である.
    (3) 液体培養物にも降圧作用がある.また,その強さは,菌体量(グルコサミン含量)とパラレルであると推定される.
  • 辻 啓介, 市川 富夫, 田辺 伸和, 阿部 士朗, 樽井 庄一, 中川 靖枝
    1992 年 39 巻 10 号 p. 919-924
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル オープンアクセス
    紅麹を用いてパン,味噌,醤油,素麺の4種の食品を製造した.これらを半合成飼料に添加し,高血圧自然発症ラット(SHR)に15日間与え,血圧に及ぼす影響を検討し,以下の結果を得た.
    (1) 材料に対し5%の割合で紅麹を用いた紅麹食パンの乾燥粉末は, SHRの血圧上昇を抑さえた.
    (2) 麹使用量の約4分の1を紅麹にして醸造した紅麹味噌の噴霧乾燥物は.対照の味噌粉末がSHRの血圧を上げたのに対し,上昇を抑制した.
    (3) 麹使用量の4分の1を紅麹にして製造した紅麹醤油の噴霧乾燥物は, SHRの血圧を降下させた.しかし,脂質代謝に対しては影響を与えなかった.
    (4) 素麺の原料である中力粉に対し紅麹を3%添加して製造した紅麹素麺は降圧作用を有したが, 2分50秒の湯通しを行うとその効果は半減した.これは,水溶性である降圧成分が湯通しにより溶出したためと考えられる.
  • 永田 雅靖, 山下 市二
    1992 年 39 巻 10 号 p. 925-928
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル オープンアクセス
    従来の方法では,トマト果実のクロロフィルとカロテノイド含有量はそれぞれ別の方法で分析されてきた.著者らはトマト色素を同時に定量する簡便な方法を検討した.
    試料に含まれるすべての色素をアセトンーヘキサン(4:6)で一度に抽出し,上層の663nm, 645nm, 505nm, 453nmの吸光度を分光光度計で同時に測定する.これらの値から著者らの提案した式を用いてクロロフィルa, b,リコペン, β-カロテンの含有量を推定するにとができる.
    本法を用いて熟度の異なるトマト果実を分析した.また,同じ試料を従来の方法で分析した.その結果,クロロフィル含有量はMACKINNEY法,リコペン含有量は木村らの方法とほぼ同じ値であった.これにより,本法の有効性が確認された.
  • 朝田 仁, 鈴木 寛一
    1992 年 39 巻 10 号 p. 929-933
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル オープンアクセス
    たれ類の増粘剤として多用される化工澱粉であるヒドロキシプロピルリン酸2澱粉について, 5種類の化工澱粉糊化液の流動特性を澱粉濃度,リン酸架橋度,由来澱粉種との関係で検討した.澱粉濃度3~5wt%の範囲では,化工澱粉糊化液は降伏値を持たない擬塑性流体として挙動した.コンシステンシー係数Kおよび流動挙動指数nの値は,リン酸架橋度の増加に伴い減少したが, logKおよびnの値は,いずれも澱粉濃度に対しては一次関数的に増加した.しかし,流動挙動および流動パラメータKおよびn値の澱粉濃度依存性は,由来澱粉種により差異があることを認めた.
  • 白醤油醸造に関する研究(第2報)
    山本 泰, 今泉 英之, 東 和男, 好井 久雄
    1992 年 39 巻 10 号 p. 934-938
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル オープンアクセス
    乳酸菌を添加した白醤油諸味中で生成される酢酸と乳酸によって酵母の生育に起因する湧きを防止することを目的として, P. halophilus C-6-8のクエン酸代謝に伴う酢酸の生成とZ. rouxii B2の生育抑制条件について,白醤油MJ培地を用いて検討した.
    (1) Z. rouxiiの生育を99%以上阻害するのに必要な酢酸はpH 4.6では0.2%であった.
    (2) P. halophilusはクエン酸添加培地で旺盛に生育し,クエン酸1モルから1.8~2.0のモルの酢酸を生成した.
    (3) P. halophilusZ. rouxiiの混合培養において, Z. rouxiiの生育を抑制するためには, Z. rouxiiが10 5/mlに達する前にP. halophilusが先行して生育し, 70mg/100ml以上の非解離型酢酸を生成することを必要とした.
  • 清澤 功, 松山 惇, 新井 千秋
    1992 年 39 巻 10 号 p. 939-944
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル オープンアクセス
    大豆ならびにビフィズス菌および乳酸菌発酵豆乳の水および80%メタノール抽出液の抗突然変異性について調べた.抽出液の抗突然変異性は, Escherichia coli B/r WP 2 trp-のN-methyl-N'-nitroso-N-nitro-soguanidine (MNNG)による誘発突然変異に対する阻害性によって観察した.加熱した水浸漬大豆の水抽出液では, 100℃, 40分以上加熱すると抗突然変異性が高まった.豆乳の80%メタノール抽出液を1プレート当たり20~60μl添加した場合, 22~24%の抗突然変異性を示した.発酵豆乳の80%メタノール抽出液について, Bifidobacterium breveおよびB. longumではそれぞれ46.4および35.1%となり,未発酵豆乳の21.3%より高い抗突然変異性を示した. B. adolescentisおよびB. bifidumではそれぞれ24.0および5.2%となった.しかし, B. infantisでは突然変異を高める傾向が認められた.乳酸菌では, Streptococcus lactisが26.6%となり,未発酵豆乳より高かった. S.thermophilus, Lactobacillus acidophilusおよびL. bulgaricusでは,いずれも低くなった.
  • 瓜谷 郁三, 竹内 若子, 小島 禎子, 佐々木 美帆, 内藤 修子, 永田 和子, ガルシァ バーヒリオ・V
    1992 年 39 巻 10 号 p. 945-950
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル オープンアクセス
    サトイモ(Colocasia)石川早生品種にみられる水晶芋におりて,水晶部の蛋白質量は非水晶部の10~30%程であり, SDS電気泳動からみて,その減少は特に貯蔵蛋白質(2種類)に顕著にみられた,フィリピン産のカランバ品種は外見的に石川早生品種に酷似し,その塊茎中には水晶芋が現いだされ,更に電気泳動図も一致してりた. Xanthosoma属のサンフェルナンド品種における蛋白質含量は石川早生品種よりも多く,電気泳動図は似てりたが,貯蔵様蛋白質は3種類存在していた.カランバ品種が減病害を受けると,貯蔵蛋白質は減少し,他の可溶性蛋白質の増加がみられた.キャッサバ根には貯蔵様蛋白質が4種類存在し,生理的変質や微生物的変質を受けると,それらの成分の減少がみられるなど,蛋白質代謝は激しく変動した.
  • 平田 孝
    1992 年 39 巻 10 号 p. 951-952
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル オープンアクセス
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