小麦小ぶすま中の無機成分(Fe, Zn, Cu, Mn, Na,K, Mg, Ca, P)の全含有量を測定し,さらにその中の食物繊維と無機成分の関係を調べた.
食物繊維は, PROSKY変法により非水溶性食物繊維(IDF)および水溶性食物繊維(SDF)に分けてその含有量を測定し,さらにその無機成分の含有量を測定した.Ca, Pは誘導結合プラズマ(ICP)発光分析法,その他の無機成分は原子吸光分析法を用いた.
また, SDFと無機成分の関係をより正確に検討するために, IDF〓液をゲル濾過のカラムを用いて分画し,各分画液について糖,タンパク質(その分解物も含む)および無機成分を測定した.糖はフェノール硫酸法により測定し,タンパク質は254nmの吸光度を測定した.
結果は次の通りである.
(1) 小麦小ぶすま中の無機成分の含有量(乾重量あたり)は, Fe: 82μg/g, Zn: 71μg/g, Cu: 6.7μg/g,Mn: 83μg/g, Na: 23μg/g, K: 5.78mg/g, Mg:1.06mg/g, Ca: 0.45mg/g, P: 5.57mg/gであった.
(2) 小麦小ぶすま中のIDFは15~16%, SDFは4.8~6.5%であった.
(3) IDF中のFe, Zn, Cuの含有量は元の小麦小ぶすま中の含有量のそれぞれ54~73%, 27~28%, 21~25%を占め, IDF中のこれらの成分は可溶化されないため人体へ吸収されないと考えられる.
(4) ゲル濾過によるIDF〓液の分画の結果,糖の大部分が単糖であることがわかった. PROSKY変法による酵素処理を行わない小麦小ぶすま抽出液についても同様の分画を行ったが,単糖以外にオリゴ糖,多糖がかなり存在し, IDF〓液中の糖は酵素処理による分解物が多く含まれることがわかった.タンパク質についても同様の結果が得られた.また, IDF〓液の各分画液について無機成分を測定した結果,無機成分の溶出位置はSDFの多糖の溶出位置とは異なり,無機成分はSDFにはほとんど吸着されていないと考えられた.
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