日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
39 巻, 6 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
  • 林 節男, 杉山 純一, 乙部 和紀, 菊池 佑二, 臼井 支朗
    1992 年 39 巻 6 号 p. 465-470
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    マスクメロンの打音信号が,果実表面を伝搬し,その伝搬速度が熟度と共に変化することから,伝搬速度を迅速に計測するシステムを開発し,メロンの熟度評価への応用を試みた.本システムは2つのマイク(ペア・マイク)の打音信号から,相互相関関数により,正確な時間差を求め,それとマイク問の距離から伝搬速度を算出している.本システムを用いた実験から以下の結論を得た.
    (1) ペア・マイク位置は試料の赤道面上,打点から45~90度の間が適している.
    (2) 試料表面からのペア・マイクの距離は1~4mmで再現性のある伝搬速度が計測可能であった.
    (3) 信号のサンプリング周波数が100kHzの場合,伝搬速度の計算のための解析データ長は62, 124, 256点よりも512点が適した.
    (4) 官能検査によると適熟の果肉の硬さは3mm径のプランジャーの貫入値で約250~700gfの範囲にある,
    (5) 伝搬速度と果肉の硬さの関係について,相関係数0.832が得られ,回帰直線から官能検査の適熟に対応する伝搬速度の範囲は37~50m/sであった.
    以上により本手法によるメロンの熟度の非破壊評価の実用性が明らかになった.
  • 児島 雅博, 村瀬 誠, 戸谷 精一, 杉本 勝之
    1992 年 39 巻 6 号 p. 471-476
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    手延べ麺と機械麺のグルテンの組織構造の差異を走査型電子顕微鏡によって検討した.
    α-アミラーゼ処理によって,澱粉粒の一部を除去することで,乾麺のグルテン組織は容易に観察できた.
    (1) 手延べ麺表面では繊維状になったグルテン組織が延伸方向に配向し,澱粉粒の一部が,この繊維状のグルテンによって保持されていた.一方,縦断面では,グルテンの澱粉粒を覆っていたと思われる帯状の構造が認められた.
    (2) 機械麺表面では規則的な組織構造は認められなかった.縦断面では,グルテンは澱粉粒を包み込むような球面状の構造を呈していたが,延伸方向に対する配向性は認められなかった.
    (3) ゆで麺を同様に処理して観察した結果,ゆで処理によってグルテンは若干膨潤するものの,手延べ麺のグルテンの繊維性,配向性及び機械麺のグルテンの球面状構造が認められ,乾麺でのグルテンの組織構造はゆで後においても保持されていることが明らかになった.従って,麺の組織構造は乾麺をα-アミラーゼ処理して観察することが適当と考えられた.
  • 荒木 忠治, 伊藤 修, 榊原 英公
    1992 年 39 巻 6 号 p. 477-482
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    前報の早生温州ミカン果汁に続き,オレンジ果汁香気成分の加熱処理による変化を検討した.供試果汁は,ハムリン,パインアップル,バレンシアオレンジの3種類と普通温州果汁である.
    1. 温州ミカンの生果汁では検出されず,加熱によって生成する成分はβ-テルピネオールおよびβ-ダマセノンであったが,オレンジ果汁では3品種ともこれらの成分は認められなかった.
    2. オレンジ果汁では, d-リモネン,リナロール,オクタナール,エチルブチレートなどの炭化水素,アルコール,アルデヒドおよびエステル類の主要成分は減少し,一方α-テルピネオールは増加した.温州ミカン果汁でのみ増加した成分は, 2-メチル-3-ブテン-2-オールおよび3-メチル-2-ブテノールであった.これら諸成分の変化について,オレンジ果汁は温州ミカン果汁に比べ変化の程度が少なかった.
  • 松山 惇, 新倉 達也, 林 周一, 桑田 紀代美, 清澤 功, 長澤 太郎
    1992 年 39 巻 6 号 p. 483-489
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    豆乳に各種乳酸菌およびビフィズス菌を接種, 37℃, 20時間培養し, その発酵性ならびに物性について観察した.また, 豆乳の加熱時間 (60~90℃, 30分間および100~120℃, 15分間), 植物性脂肪添加 (1~5%), 高圧均質化処理の有無による発酵豆乳の物性の変化について観察した.
    (1) 豆乳におけるビフィズス菌の発酵性は, 乳酸菌よりも良好であった. ビフィズス菌の単独培養によって酸度, 細菌数を充分高めることができたが, 発酵豆乳カードの物性は, 市販ヨーグルトとは異なっていた.
    (2) 豆乳を60~90℃, 30分間および100~120℃, 15分間加熱し,B. longumを用いて発酵したところ, 60~90℃では発酵性にほとんど差異が認められなかったが, 100℃以上では, 酸度の上昇が劣っていた. また, カードのかたさは, 110℃までの加熱において増加傾向を示した.
    (3) 脂肪添加豆乳にB. longum+L,bulgaricus+S. thermophilusを接種し, 混合培養したところ, 脂肪添加量の相違によって発酵性ならびに物性に顕著な差異は認められなかった.
    (4) 脂肪添加豆乳の高圧均質化未処理と処理による発酵性ならびに物性について, 高圧均質化処理発酵豆乳ではカードのかたさが, 未処理のものに比較して著しく低下した.
  • 小沢 好夫, 宇田 靖, 川岸 舜朗
    1992 年 39 巻 6 号 p. 490-495
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    PTCCのメタノール溶液をSilica gel plate上にスポットし, 5日間放置することにより生成する黄色色素は脱炭酸を伴う芳香族化により生成したβ-カルボリン骨格を有することが明らかとなった.
    一方塩漬け大根より抽出した粗色素液はSephadex LH-20カラムクロマトグラフィーを用いることにより3画分に分かれた.このうち一つの画分は鮮黄色を呈しており,再クロマトグラフィーによりF-1 [λmax(MeOH) nm 270, 290, 380], F-2 [λmax (MeOH)nm 270, 290, 350]の2個のフラクションに分かれた.F-1はPTCC由来の鮮黄色色素とよく一致しており,β-カルボリン骨格を有することが明らかとなった.
    PTCCから調製した鮮黄色色素は,鉄(II)及び銅(II)などの金属イオンに影響された.また変異原活性は有しないと考えられた.
  • 担子菌類菌糸体の食用化に関する研究(第2報)
    吉田 博, 藤本 水石, 林 淳三
    1992 年 39 巻 6 号 p. 496-503
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    ヤナギマツタケの栄養世代における栄養要求性を基礎培地を設定して静置培養法により検討した.
    (1) 本菌は広範な炭水化物を炭素源として利用できるが,その要求性は炭水化物の種類によりかなり相違していた.キシロース,グルコース,フルクトース,ラクトース,マルトース,デキストリン,グリコーゲン,ペクチン,可溶性デンプンは良好な炭素源であった.
    (2) 有機態窒素であるペプトン,ソイトン,酵母エキス,肉エキス,カザミノ酸は良好な窒素源であった.無機態窒素のうちアンモニウム態窒素は比較的良好な菌糸体生長を示したが,硝酸態窒素での生長は良好ではなかった,グリシン,アラニン,アスパラギン酸,グルタミン酸,セリンは良好な窒素源であり,これらのアミノ酸は単独で比較的良好な効果を示した.
    (3) 燐酸カリウムおよび硫酸マグネシウムは栄養生長に不可欠であり, 30mg/lの濃度で最大生長に達した.硫酸亜鉛も生長促進効果を示し,3mg/lの濃度で最大生長に達した.
    (4) チアミンは栄養生長に不可欠であり,30μg/lの濃度で最大生長に達した.しかし,チアミンの単独添加では栄養生長は不十分であり,他の8種のビタミン類(ニコチンアミド,リボフラビン,パントテン酸,ピリドキシン,葉酸,シアノコバラミン,ビオチン,イノシトール)の添加により栄養生長は促進された.
    (5) 核酸塩基類(アデニン,グアニン,シトシン,チミン,ウラシル,オロット酸)の添加により栄養生長は促進された.
  • 石井 智恵美, 津久井 朝野, 倉田 元子, 表 美守
    1992 年 39 巻 6 号 p. 504-507
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    アカザのクロロフィラーゼにおよぼす添加物の影響を検討した.酵素反応液中の添加物濃度は10mMと20mMとした.
    (1) フィチル側鎖を持つα-トコフェロールを添加してクロロフィラーゼ活性を測定したが, α-トコフェロールはその酵素活性にはほとんど影響を及ぼさなかった.
    (2) 両極性物質であるレシチンの界面活性に着目し検討を行ったところ,約2倍に活性が上昇した.
    (3) 生体内の酸化還元反応に関与する物質であるメナジオンを添加して検討を行ったところ,添加物の濃度が低い時は反応を促進したが,その濃度が高い時は反応を阻害した.
  • 山崎 賀久, 大坪 研一, 岩崎 哲也
    1992 年 39 巻 6 号 p. 508-513
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    簡易な米品質評価手法であるアルカリ崩壊度,ゲルコンシステンシーの2つの試験方法を新形質米に適用した.
    (1) 粳米のアルカリ崩壊度は北海系統と「ホシユタカ」が大きく,北陸系統と「ササニシキ」が小さかった.糯米は粳米より崩壊度が小さかった.
    (2) ゲルコンシステンシーの試験条件は「水酸化カリウム濃度0.2N,試料米粉量100mg(乾物換算)」が適当であった.
    (3) アルカリ崩壊度)ゲルコンシステンシーとアミログラム特性値との間に高い相関が認められ,新形質米の簡易な品質評価手法と考えられる.
    (4) 通常のジャポニカ種の評価のためには上記の試験条件では不充分であり,別途条件を検討する必要がある.
  • 矢野 昌充, 長谷川 美典
    1992 年 39 巻 6 号 p. 514-518
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    キウイフルーツの流通方法改善の資料とするため,市販果実のエチレン生成と追熟の状況を調べた.
    (1) 国内産のばら売り,パック売りとも,購入後10日を経過してもエチレンを生成して正常に追熟した果実はほとんどなく,大部分はエチレンを生成しないか生成しても軟腐病によるものであった.
    (2) 軟腐病が極めて少なかったニュージーランド産果実では14%の果実がエチレン生成を伴う正常な追熟をしたが,大部分は追熟しなかった.卸売市場から直接購入した果実では購入後35日経過後も数%の果実しか追熟しなかった.
    (3) パック包装内部には50ppmを上回るエチレンが検出される例があった. 8.6~57.6μl/kg/hのエチレン生成量を持つ果実を1個を非密封パック内に入れただけでも0.5~5ppmのエチレンが蓄積することが観察された.
    (4) 購入10日後,食べ頃の硬さ,酸含量となったのは全購入果実の約40%に過ぎず,しかも大半が軟腐病罹病果であった.
  • 加納 哲, 橋本 信宏, 伊藤 芳直, 土井 梅幸, 丹羽 栄二
    1992 年 39 巻 6 号 p. 519-523
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    (1) スターター乳酸菌としてL-12, Lp-47-3,およびLp-4をスケトウダラすり身に添加し,発酵過程における乳酸菌数, pH,およびゲルのテクスチュアの変化を追跡し,発酵カマボコの製造条件を検討した.
    (2) L-12をすり身に対して終濃度2.5×108cells/g,CSL 0.5% (W/W)添加し30℃, 30時間発酵を行うことにより,発酵カマボコはpH 4.5,乳酸菌数1.3×109cells/g,破断強度1791g,破断歪8.9mmを示す最も良好なものとなった.
    (3) 本カマボコはすり身の坐りと乳酸発酵による酸の生成を利用してタンパク質をゲル化させたものであり,従来にない新しいタイプのものである.さらに塩すり身を加熱した市販のカマボコに比べ,酸味が強く独特の味を持つものであった.
  • 藤井 淑子, 久山 純子
    1992 年 39 巻 6 号 p. 524-530
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    ケーキバッターの膨脹の可能性を減圧膨脹法によって測定した.小麦粉あるいは小麦澱粉で調製したスポンジケーキバッター(25℃)の気泡の内部圧の増大による膨脹は,小麦粉バッターより小麦澱粉バッターのほうが顕著に大きかった.これらのスポンジケーキバッターをオーブン内で60℃あるいは70℃に加熱したとき,ケーキバッター成分の熱変性による気泡の膨脹の抑制は小麦澱粉バッターより小麦粉バッターのほうが顕著であった.におけるより小麦澱粉バッターのほうが,より顕著に高その結果,ケーキバッターの膨脹挙動は小麦粉バッターく安定で,継続的であった.
  • 井村 直人, 松田 脩
    1992 年 39 巻 6 号 p. 531-535
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    インスタントコーヒーにレギュラーコーヒーの持つ香りを付与することを目的として,湯による抽出に先立ち,粉砕した焙煎コーヒーを充填したカラムに水蒸気を導入し,香気成分を含む凝縮液を得た.供給する水蒸気の流量によって,香気成分の回収率は変化し,最大の回収率を与える流量が存在した.またこの流量において得られた凝縮液を添加し凍結乾燥したコーヒーはその他の条件で得られたものに比べ,コロンビア産のコーヒーに特徴的な花のような香りが強く,品質的に最もレギュラーコーヒーに近いと評価された.一方水蒸気にさらされたコーヒーの湯による抽出液に含まれる酸の量と,凝縮液に含まれる酸の合計は,水蒸気未処理のコーヒー抽出液に比べて多く,水蒸気処理によって新たに酸が生成していることが明かとなった.また官能的にも凝縮液を添加したコーヒーは酸味が強いと評価された.
  • 井村 直人, 松田 脩
    1992 年 39 巻 6 号 p. 536-542
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    連続式のスクリューコンベアタイプの装置においてコ一ピーの流れと向流的に水蒸気を供給することによって,焙煎し粉砕したコーヒーから揮発性の香気成分や酸を短時間に回収することができた.揮発性成分の回収は,コーヒーの系内滞留時間よりもコーヒーの温度に依存した.得られる水蒸気凝縮水に含まれる酸の総量と,処理後のコーヒー中に含まれる酸の総量の和は,滞留時間が5分の場合,未処理の物とほぼ同等であり,水蒸気処理による酸の生成はほぼ抑制された.水蒸気の流量を増加させ,多くの凝縮水を得ると,硫黄化合物の回収量が著しく増加し,この凝縮水を添加したコーヒーは官能的に通常のレギュラーコーヒーに近いと評価された.この硫黄化合物がレギュラーコーヒーのフレーバーをインスタントコーヒーに再現するための重要なファクターであると考えられる.水蒸気処理コーヒーの官能的な劣化は30分を経過すると明らかに認められ,その酸の量も90分後から顕著に増加した.
  • 豆腐,凍り豆腐製造における豆乳の凝固に関する研究(第6報)
    小原 忠彦, 唐沢 秀行, 山口 哲哉, 神田 幸忠, 小杉 敏行
    1992 年 39 巻 6 号 p. 543-554
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    トルク計測を応用した自動豆乳凝集装置を開発し,関連した要因について検討した.豆乳の凝集に伴う撹拌トルクの立ち上がりから,凝集剤の適量が自動的に決定可能な装置である.塩化カルシウムの安定した添加により生成する豆乳凝集物は,凍り豆腐の中間体である豆腐(豆腐生地)に成型され,凍結と乾燥後,最終製品である凍り豆腐に製造された.豆乳濃度,反応温度,凝固剤濃度を変えて,試験を行い,最適な豆乳凝集条件を詳細に検討した.トルク変化と豆腐,ならびに凍り豆腐の品質との関係についても検討した.本装置による一連の凝集,並びにプレス試験により以下の点が明らかになった.(1)本装置では,必要凝集剤量の決定と豆乳撹拌の制御が自動的におこなわれる(2)最適豆乳濃度は凍り豆腐製品の保水性の観点から5約%が最適である. (3)54~70℃の範囲では,温度が高いほどプレス時間は短く,かつ豆腐は硬くなるが,一方,凍り豆腐製品の保水性は減少する.適温は60~65℃である. (4)塩化カルシゥムの最適濃度は,本試験条件下では約10mMであった.これらの知見により,工程の半自動化が可能となり,また安定した良質な製品作りが可能となった.
  • 荒木 忠治
    1992 年 39 巻 6 号 p. 555-563
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
  • 好井 久雄
    1992 年 39 巻 6 号 p. 564-570
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
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