日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
40 巻, 1 号
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  • 夏堀 育子, 島田 博彰
    1993 年 40 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1993/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    種々の現行缶内面塗膜とレモンフレーバーとの関連を調べることを目的とし,以下のような分析及び統計解析処理を行った.塗膜を浸漬したレモンフレーバー溶液を加熱殺菌処理後,25℃で一週間遮光保存したものにつき,ポリマービーズを用いた吸着法により,溶液中のフレーバー成分を回収し,GC-MSにより定量分析を行った,得られた17成分のピーク面積比に対して,クラスター分析と主成分分析を適用したところ,次のような結果を得た.
    1) クラスター分析では,塗料形態が水性タイプの塗膜サンプルグループと溶剤タイプの塗膜サンプルグループにほぼ分類された.
    2) 主成分分析では,溶剤タイプと一部の水性タイプの塗膜サンプルグループと水性タイプの塗膜サンプルグループとにほぼ分類された.
    こうして得られた塗膜タイプ別の分類は官能評価により質の違いが指摘されてきた事実と一致した.さらに主成分分析でグループ化される主要因となった第二主成分軸には,みかん果汁の貯蔵中の異臭成分として重要であるといわれているテルピネン-4-オールやα-テルピネオールの量が寄与していた.
  • 渡辺 智子, 土橋 昇, 高居 百合子, 大政 謙次, 田中 浄, 鈴木 彰
    1993 年 40 巻 1 号 p. 7-16
    発行日: 1993/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    ナメコ栽培におけるO3暴露(対照区およびO3試験区:0.03ppm区,0.1ppm区,0.3ppm区)の影響を化学成分面から検討した.
    O3暴露により有意に増加した成分は,傘では水分,脂質,炭水化物,V.B1およびV.C,柄では水分およびV.C,全子実体では水分,脂質およびV.Cであった.O3暴露により有意に減少した成分は,傘では重量,タンパク質,灰分,Fe, Na, KおよびZn,柄では重量,灰分,KおよびZn,全子実体では重量,灰分,Na, KおよびZnであった.
    O3暴露濃度との間に有意な正の相関を示したものとして,傘では水分および脂質,柄では水分,タンパク質およびV.C,子実体では水分と脂質およびV.B2であった.O3暴露濃度との間に有意な負の相関を示したものとして,傘では重量,タンパク質,灰分,NaおよびZn,柄では重量,炭水化物および灰分,全子実体では重量,灰分,NaおよびZnであった.
    通常環境(対照区)の栽培において,ナメコの傘は柄に比較して,炭水化物以外のすべての一般成分,Fe, Na, K, Zn, V.B1, V.B2およびV.Cを多く含有していた.
  • 吉野 典生, 河口 隆二, 徳岡 敬子, 石谷 孝佑, 平田 孝
    1993 年 40 巻 1 号 p. 17-21
    発行日: 1993/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    ニンジンの二次代謝産物である6-MMの含有量と味との関連性を検討した.
    (1) 6-MMはODSカラムを用い60%メタノール/水で溶出することにより,単一ピークとして検出され,定量可能であった.
    (2) 6-MMの閾値は異味として60μg/ml,苦味として100μg/mlであった.
    (3) ほとんどの越冬ニンジン中に6-MMが検出されたが,その含有量(0~11.4μg/g)は苦味の閾値(100μg/ml)より低かった.
    (4) 以上の結果から6-MMが越冬ニンジンの品質に影響する可能性は低いと結論した.
  • 杉沢 博, 渡部 美保子, 中本 英喜, 田村 啓敏
    1993 年 40 巻 1 号 p. 22-27
    発行日: 1993/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    8種類の半導体ガスセンサーを用いて,36種類の試料化合物のヘッドスペースガスの測定を行った.測定結果と化合物との関連性を検討するため,測定値をクラスター分析によって分類した.各センサーは特定の化合物や化合物群に特異的応答は示さないものの,相対感度と有機性値,無機性値との相関が高いものがあった.複数のガスセンサーを使用して有機性,無機性との相関関係を検討することにより,化合物の物理化学的性質や香気特性を分類できる可能性が示唆された.
    終わりに臨み,本研究にご協力を頂いたフィガロ技研(株),香田弘史氏に深謝いたします.なお,本研究費の一部は文部省科学研究費によったもので,付記して謝意を表します.
  • 四宮 陽子, 清水 美保, 鈴木 美江, 島田 淳子
    1993 年 40 巻 1 号 p. 28-34
    発行日: 1993/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    米粉粒度による随伴空気量の変化を測定し,同時に粒度の異なる米粉を用いて発酵蒸しパンを調製して,粒度による随伴空気量の変化が発酵による膨化に対してどのように影響するかを検討し,次の結果を得た.
    1) 米粉はI. 208-295μm・II, 147-208μm・III. 104-147μm・IV. 61-104μm・V. 61μm以下の5区分に篩分けられた.篩分米粉は粒度が細かくなるにつれて蛋白質は減少し,脂肪・灰分・炭水化物および吸水量は増加した.
    2) 篩分米粉粒子の比表面積と直径30nm以下の細孔容積は,両者とも粒度が小さくなるにつれて増加し,区分IV・Vでは強力小麦粉程度の量であった.
    3) 随伴空気量は米粉粒度が小さくなるにしたがって増加したが,V区分では逆に減少してI区分と同程度になった.V区分以外の随伴空気量は,30nm以下の細孔容積の数倍の量であった.
    4) 粒度の異なる米粉で調製した発酵蒸しパンのローブ・ポリュームにはほとんど変化がなかった.
    5) 発酵蒸しパン内部の多孔質の気孔径分布は区分I以外はほぼ対数正規分布に近似された.米粉の随伴空気量は区分I以外は気孔総数と正の相関関係(r=0.999)にあり,気孔径中央値とは負の相関関係(r=-0.985)にあった.分布の標準偏差との相関関係は見られなかった.
  • 小島 一良, 安井 明美
    1993 年 40 巻 1 号 p. 35-41
    発行日: 1993/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    1.動物性食品中のヘム鉄は,塩酸酸性の80%アセトン抽出で,また,非ヘム鉄は1%塩酸80℃加温抽出の後,それぞれSep-Pak C18によるクリーンアップを併用し,原子吸光分析法で測定する分別定量法を確立した.
    2. ヘム鉄の総鉄量に対する比率は,各種食肉の筋肉部分では,鶏肉やカレイで50%以下と低かったが,豚肉や牛肉は55~82%と高かった.また豚レバーでは15~19%と低い比率であった.本法で求めた形態別の鉄量の合計値は,湿式分解による全鉄量と一致し,損失なく分別定量できることが確認された.
    3. 食肉加工品では一部の製品を除き,形態別の分別定量ができ,総鉄量に対するヘム鉄の比率は原料肉とほぼ同じ値であった.
  • 山内 宏昭, 兼重 寛, 藤村 昌樹, 橋本 慎一, 大宅 甲三, 平川 完, 小林 猛
    1993 年 40 巻 1 号 p. 42-51
    発行日: 1993/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    特異な物性変化を示すMW加熱後のパンについて,水分蒸発や温度変化のない系で保存した場合の物性変化について,モノグリ添加,無添加パン,デンプンゲル,グルテンゲルを用い,パン中の主成分であるデンプン,グルテンの関わりとその物性変化機構について検討した結果,以下のことが判明した.
    (1) MW加熱後短時間の急激なパンの硬化には,水分蒸発をともなうデンプンの軟化その後の硬化が関係しており,デンプンのゾルからゲルへの変化の寄与が大きい.
    (2) 初期の急激な硬化以後の比較的ゆるやかなパンの硬化は,パン中のデンプンの結晶化(老化)によると考えられる.
    (3) MW加熱パンの破断力の上昇には,デンプン,グルテンが同程度関与しており,前者はデンプンの糊化,溶出,ゾル化後の急激なゲル化によって,後者はグルテンネットワークの強化によってそれが起こると考えられる.
  • 永田 雅靖, 田中 喜之, 平井 正志, 西条 了康
    1993 年 40 巻 1 号 p. 52-55
    発行日: 1993/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    アリルイソチオシアネート(AITC)はカットキャベツのエチレン生成と褐変を抑制する.その抑制機構を調べるために,AITCおよびいくつかの阻害剤がエチレン生成と褐変に与える影響を比較した.AITCとタンパク質合成阻害剤のシクロヘキシミドのみが,カットキャベツのエチレン生成と褐変の両方を抑制した.
    フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)は,ポリフェノール生合成の律速酵素であり,組織が切断傷害を受けた刺激によって誘導されることが知られている.本実験では,カットキャベツに対するAITC処理が,PAL活性とともにPALタンパク質量も抑制することを見いだした.これらの結果から,AITCはカットキャベツ中でPAL誘導の阻害剤として作用しているものと考えられた.
  • 春日 敦子, 青柳 康夫, 菅原 龍幸
    1993 年 40 巻 1 号 p. 56-63
    発行日: 1993/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    キノコ150種のエタノール抽出物についての抗酸化能のスクリーニングを行ったところ,その約3分の1に何らかの抗酸化能の存在が示唆され,そのうち27種に特に強い抗酸化効果が認められた.それらは分類上から,イグチ科に属しており,そのなかでもヌメリイグチ属に高い抗酸化能が認められた.
    抗酸化効果の原因物質を明らかにするために,トコフェロール同族体の測定を行った.キノコのトコフェロール含量は,平均150μgと非常に低含量であり,その主たる抗酸化成分とは考えにくい.
    石油エーテル,ジエチルエーテル,エタノールにより順次抽出した抽出液についての抗酸化力試験の結果から,アミタケやオオギタケなどはどの抽出溶媒でも効果が認められ,種々の成分が存在していると推測された.他のキノコでは石油エーテル抽出物に効果が認められないことから極性の高い溶媒に抽出される成分が多いと推測された.
    油系で効果の認められたキノコはエマルジョン系でも抗酸化効果が認められ,溶媒の違いによる活性成分の抽出性も油系の場合とほぼ一致していた.
  • 森口 貴代
    1993 年 40 巻 1 号 p. 64-68
    発行日: 1993/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    佃煮原藻ヒトエグサの酢酸エチル可溶部が有する強い抗酸化活性の佃煮調味加工条件における安定性を検討した.
    (1) 市販佃煮の酢酸エチル可溶部の抗酸化活性はヒトエグサより大きい.これは,ヒトエグサ,醤油,砂糖,水のみから作った佃煮調味加工品モデルでも同様であった.
    (2) ヒトエグサ酢酸エチル可溶部の抗酸化活性は,加熱,pHの変化,食塩や砂糖の添加等の条件下で,ほぼ不変であった.
    (3) ヒトエグサ酢酸エチル可溶部の抗酸化活性は醤油の添加によって増大した.
    (4) 醤油の酢酸エチル可溶部に抗酸化活性を確認したが,ヒトエグサと比べてその活性は非常に小さかった;
    (5) ヒトエグサと醤油の脂溶性抗酸化物質は,相互作用によって強い抗酸化活性を示す事が示唆された.
  • 有福 一郎, 垣内 利仁, 小堀 真珠子, 篠原 和毅
    1993 年 40 巻 1 号 p. 69-74
    発行日: 1993/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    豆味噌,麦味噌および米味噌粕残渣からアルカリ(0.1 N NaOH)および酸(0.1 N HCl)抽出物を調製し,単芽球/マクロファージ様細胞株(U-937およびU-M)に作用させた結果,特に麦および米味噌粕をアルカリ抽出し,透析して得れる非透析性水溶性画分にU-M細胞のニトロブルーテトラゾリウム(NBT)還元能を高める作用が認められた.また,麦味噌粕アルカリ抽出物の非透析性水溶性画分は抗体分泌能を有するハイブリドーマ細胞株,HB4C5のIgM抗体分泌作用を促進することおよび米味噌粕アルカリ抽出物の非透析性画分がTリンパ球系細胞株,MOLT-3細胞を活性化することが認められた.
  • 松本 伊左尾, 秋本 隆司, 今井 誠一
    1993 年 40 巻 1 号 p. 75-82
    発行日: 1993/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    発酵室温(30, 35, 40, 45℃)及び納豆菌の接種菌数(102, 104, 106/蒸熟大豆1g)を異にした納豆の発酵を行い,納豆の品質と直接関係のある外貌,納豆菌数,硬度及び色調を経時的に調べ,次の結果を得た.
    1. 外貌観察より,発酵中の納豆はいくつかのステージを経ることが分かった.低い室温でかつ接種菌数の少ないものほど発酵は遅れた.逆に高い室温ほど発酵は進み,接種菌数が多いものほど早く過発酵しやすかった.
    2. 納豆の品温は,設定室温あるいはその近辺まで一旦低下し,蒸熟大豆の表面が光沢をおび,濡れたようになった(「照り」の観察)頃より上昇し,蒸熟大豆の表面が白色の菌膜状の物質で覆われて(「菌膜」の観察)から最高値に達した.そして,最高値をしばらく保った後,品温は徐々に低下した.品温の上昇開始より品温の最高値までの時間は,接種菌数より室温の影響が大きく,高い室温で発酵させたものほど短かった.
    3. 納豆菌数は誘導期,対数期を経て「菌膜」が部分的に溶けた(「菌膜消化」の観察)頃,定常期に至る変化を示した.納豆菌の生育は,同室温であれば接種菌数の多いものほど,同一接種菌数では高い室温で発酵させたものほど速かった.ただし,最高菌数(室温30℃は発酵30時間の菌数)は室温45<30≦35〓40℃の順であった.
    4. 納豆の硬度は,発酵30時間まで増加し続け,同室温であれば接種菌数の多いものほど,同一接種菌数ならば高い室温で発酵させたものほど高くなった.
    5. Y値は,「照り」の観察された以後より上昇し,最高値を示した後,室温30℃・接種菌数102/gで発酵させたものを除き低下した.x値・y値は,Y値のほぼ逆の消長を示した.また,蒸熟大豆の黄色が消失し,灰緑色を呈する期間はz値が高く推移した.
    6. 通常の納豆の発酵時間である18~20時間の外貌,硬度及び色調より,室温35℃・接種菌数102~106/g,室温40℃・接種菌数102~104/gで発酵させたものが品質的に好ましいと判断された.
  • 秋本 隆司, 松本 伊左尾, 今井 誠一
    1993 年 40 巻 1 号 p. 83-90
    発行日: 1993/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    発酵室温(30, 35, 40, 45℃)と納豆菌の接種菌数(102, 104, 106/蒸熟大豆1g)を異にして納豆の発酵を行い,プロテアーゼ・γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-GTP)・レバンスクラーゼ(L.S)活性,及び窒素溶解率・同分解率,糸引き度を経時的に測定し,次の結果を得た.
    1. プロテアーゼ活性は,基質pH5.7<10.0≦7.0の順に高く,かつ発酵30時間まで増加し続けた.同室温では接種菌数の多いものほど生成開始が速く,以後の活性も高かった.同一接種菌数では高い室温ほど生成開始は速かったが,以後の単位時間あたりの増加は低い室温で発酵させたものほど大きかった.
    2. 窒素溶解率・同分解率は,発酵30時間まで増加し続けた.同室温では接種菌数が多いものほど増加開始が速く,以後の値も高かった.同一接種菌数では高い室温ほど増加開始が速かったが,以後の窒素溶解率・同分解率の単位時間あたりの増加は室温45℃で発酵させたものが他に比べて低かった.
    3. γ-GTP活性は,発酵30時間まで増加し続けた.同室温では種菌数の多いものほど生成開始が速く,以後の活性も高かった.同一接種菌数では高い室温ほど生成開始は速かったが,以後のγ-GTP活性の単位時間あたりの増加は室温45℃が他に比べて低かった.
    4. L.Sは,誘導期から対数期にあたる頃に生成が確認され,最高値を示したのち低下した.L.Sの生成開始及び最高値に達する時期は,同室温では接種菌数の少ないものほど遅く,同一接種菌数では低い室温が遅かった.また,最高値は室温45<40<30<35℃の順に高く,L.S活性の単位時間あたりの低下は高い室温で発酵させたものほど速かった.
    5. 糸引き度の増加開始は室温が低く,接種菌数の少ないものほど遅かった.室温30℃で発酵させたものは発酵30時間まで増加し続け,接種菌数の多いものほど高かった.室温35~45℃で発酵させたものは,最高値に達した後,接種菌数の多いものではわずかに低下し,最高値に達するまでの時間は,室温が低く接種菌数の少ないものほど遅かった.
    6. 通常の室出し時間である18~20時間でのL.Sを除く酵素活性及び成分は,同室温では接種菌数の多いものほどいずれも高く,同一接種菌数ではプロテアーゼ活性が室温30~40℃, γ-GTP活性,窒素溶解率・同分解率及び糸引き度が室温35, 40℃でそれぞれ発酵させたものが他の室温のそれより高かった.
  • 小此木 成夫, 冨田 守, 福渡 康夫, 田村 吉隆, 溝田 輝彦
    1993 年 40 巻 1 号 p. 91-98
    発行日: 1993/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
  • 佐川 泰久, 武田 善行
    1993 年 40 巻 1 号 p. 99-100
    発行日: 1993/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
  • 武田 善行
    1993 年 40 巻 1 号 p. 100
    発行日: 1993/01/15
    公開日: 2011/02/17
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