日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
40 巻, 7 号
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  • 酒井 昇, 藤井 敦夫, 半澤 保
    1993 年 40 巻 7 号 p. 469-477
    発行日: 1993/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    食品に遠赤外線を照射した場合の,食品内の熱移動について,理論及び実験による検討を行い,以下の結果を得た.
    (1)数学モデルとして,エネルギー浸透モデルと表面熱吸収モデルを誘導し数値計算を行ったが,両者の結果の間に大きな差は認められず,遠赤外線の浸透性はこの系では温度分布に影響しないことが分かった,
    (2)試料内の熱移動について数値計算を行い,温度分布を求めた.実測値と比較したところ,両者に良好な-致が得られ,試料内温度分布を予測できることが分かった,
    (3)遠赤外線ヒーター温度及び食品回りの熱伝達は,食品表面温度と内部との温度差に影響するが,これらの影響について定量的な予測が可能であることが分かった.
  • 宮尾 茂雄, 新藤 哲也, 宮森 清勝, 有田 俊幸
    1993 年 40 巻 7 号 p. 478-484
    発行日: 1993/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    すり身を高圧処理した場合のすり身中の微生物の生残および細菌の栄養細胞におよぼす高圧処理の影響について検討を加えたところ以下の結果を得た.
    (1)高圧処理後短時間のうちに生菌数の急速な減少が見られ,特に300~400MPaの圧力処理によりすり身に存在している大部分の微生物は死滅した.また,微生物叢におよぼす高圧処理の影響をみたところ,真菌,グラム陰性菌,グラム陽性菌の順に死滅しやすい傾向が認められた.
    (2)それぞれ耐圧性の異なる菌株を分離し,同定をおこなったところ,200MPaまで耐圧性がみられたものはMoraxellasp.,300MPaまで耐圧性がみられたものはAcinetobactercalcoaceticus,400MPaまで耐圧性がみられたものはStreptococcusfaecalis,600MPaまで耐圧性のみられたものはCorynebacteriumsp.であった.この結果からすり身中の細菌の高圧に対する感受性はかなり異なることが明らかとなった.
    (3)それぞれ耐圧性の異なる4種類の菌株を用い.高圧処理後,自動培養記録装置を用いて30℃における増殖曲線を調べたところ,増殖開始時期が無処理のものより遅れる傾向が見られ,特にS.faecalisの場合は400MPa処理のもので約20時間,Corynebacteriumsp.の場合は600MPa処理のもので約15時間増殖開始時期が遅れた.
    (4)細菌懸濁液を高圧処理し,菌体外に漏洩してきたミネラル類を測定したところ,いずれの菌株においても漏洩が認められたが,特にFe,Mgの漏洩が著しかった.
    また,細菌の栄養細胞からの漏洩物質のうち260nm吸収物質,RNA様物質および糖の漏洩について調べたところ,いずれの物質の場合も高圧処理したものの方が無処理のものに較べ漏洩量は多く,特にRNA様物質や糖は無処理のものと比較して漏洩量は約10~20倍に達していた.したがって,以上のことから高圧処理により細胞膜が何らかの損傷を受けていることが推察された.
  • 猶原 順, 真部 正敏
    1993 年 40 巻 7 号 p. 485-489
    発行日: 1993/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    5カ月間,5℃で低温貯蔵した温州ミカン果実よりポリガラクツロナーゼ(PG)を単離し諸性質を調べた.この酵素は,基質のペクチン酸を分解して還元糖を生成するが減,反応液の粘度はきわめて緩慢に低下することより,エキソ型ポリガラクツロナーゼ(exo-PG)である可能性が高い.このPG活性は,温州ミカン果皮の新鮮物1グラム当たり137.3ユニットであった.本PGはpH2.9と4.5付近で活性が高く,また,60℃に15分間の処理で活性は約50%に減少した.本PGを分子量100000~6000の基質に作用させたところ,その反応速度は低分子量の基質ほど高かった.
  • 細胞内デンプンの糊化に関する研究(第1報)
    藤村 知子, 釘宮 正往
    1993 年 40 巻 7 号 p. 490-495
    発行日: 1993/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    細胞内デンプンの糊化の機構を明らかにするために,細胞内のデンプンを糊化することなく小豆の子葉細胞を分離する方法を検討し,分離した子葉細胞及び単離デンプンを用いて,それらの加熱糊化に伴って生ずる理化学的性状変化について検討を行った.
    小豆を,0.01M塩酸及び0.04M水酸化ナトリウム溶液で順次処理した後,裏ごしを行うことによって,子葉細胞を得た.この子葉細胞を加熱して得られた細胞試料中の崩壊細胞及び損傷細胞を除く完全細胞の割合は90.7%であったことから,ここで調製した子葉細胞は細胞内デンプンの糊化を調べる試料として適切であると考えられた.この子葉細胞を加熱した場合,デンプンの糊化に伴う偏光十字の消失割合,溶解度及び膨潤力は単離デンプンの場合と比べて一定の温度範囲で低かった.また,加熱後に子葉細胞をホモジナイズすることにより細胞壁を壊した場合にも,細胞から取り出したデンプンの偏光十字の消失割合,溶解度及び膨潤力は,ホモジナイズ処理した単離デンプンに比較して低かった.以上の結果から,細胞内デンプンの加熱による糊化は,単離デンプンと比較して抑制されることが明らかとなった.
  • 東出 敏男, 奥村 一, 川村 吉也, 久松 眞, 山田 哲也
    1993 年 40 巻 7 号 p. 496-505
    発行日: 1993/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    米酢の二次沈澱物について,主に組成分析を行い,その結果に基づいて二次沈澱発生様式を推察し,その防止法の検討を行った.
    (1) 米酢の二次沈澱物の主成分は蛋白質であった.この沈澱物からクロロホルムーメタノ―ル混液により,約37%の褐変成分が抽出された.その二次沈澱物のアミノ酸組成は,米酢の原料として使用した米の蛋白質特有のパターンと使用した酵素に特有のパターンの中間的なアミノ酸パターンを示したことから,二次沈澱物が単に米に由来するだけでなく酵素蛋白も関与しているものと推定された.
    (2) 沈澱防止方法として多糖類,合成高分子,吸着剤及び蛋白凝集剤を検討したところ,キサンタンガム,CMC,ポリアクリル酸ソーダ及び80℃でのベントナイト処理にその効果がみられた.一方,分画分子量13000の濾過膜を使用した限外濾過装置で濾過した米酢の場合も二次沈澱の発生は防止された.
    (3) キサンタンガム, CMC,ポリアクリル酸ソーダは米酢に溶解するので,添加すれば米酢中に残存することになるが,ベントナイトの使用に関しては米酢にはほとんど溶解しないので米酢中への残留は無視できる.また,この点に関し限外濾過法も有効である.従って,限外濾過法か80℃でのベントナイト処理法が米酢の二次沈澱防止の最も有効な方法であることが分かった.
  • カットニンジンの生理・化学的変化に関する研究(第2報)
    阿部 一博, 吉村 公一
    1993 年 40 巻 7 号 p. 506-511
    発行日: 1993/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    本実験はエチレンの連続通気処理ならびに包装内への封入処理がカットニンジンの苦味の発現に及ぼす影響を調べたものである.
    1.縦切り(8分割),輪切り(厚さ1cm)のカットニンジンをプラスチック容器に密封し,100ppmのエチレンを含む空気を連続通気し20℃に貯蔵したところ,両カット区とも苦味や渋みが貯蔵1日から発生するとともに,切断面には褐変を伴ったピッティング障害が発生した.また,両カット区とも苦味の原因物質であるイソクマリンを多量に生成し,フェノール物質含量も急増した.しかし無切断のニンジンとエチレンを含まない空気を連続通気したカットニンジンにおいては苦味は発生せず,イソクマリンやフェノール物質の急激な変化も起こらなかった.
    2. 縦切り(4分割)のカットニンジンをポリェチレ
  • 斎藤 昌義, 新藤 哲也, 門間 美千子, 千国 幸一
    1993 年 40 巻 7 号 p. 513-518
    発行日: 1993/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    1.血漿蛋白質の鉄結合能はホエー粉より高く,卵白粉より低い値を示した.血漿蛋白質の鉄結合能を食品素材として利用することが可能と考えられた.また,市の血漿粉は実験室規模で調製した血漿蛋白質より鉄結合能が低い値であった.
    2.血漿蛋白質をイオン交換クロマトグラフィーで分画すると,トランスフェリンを含む画分の鉄結合能が高く,飽和度は低い値を示した.この画分が鉄結合能を活用した利用に適していることが示された.
    3.血漿蛋白質溶液を貯蔵した場合,鉄結合能は中性,アルカリ性領域で安定であった.一方,血漿蛋白質溶液を加熱処理した場合,鉄結合能は酸性領域の方が安定であった.
    4. 血漿蛋白質をペプシンで加水分解すると,鉄結合能は容易に低下した.
  • 佐野 芳仁, 伊東 成起, 村松 俊輔, 兎束 保之
    1993 年 40 巻 7 号 p. 519-524
    発行日: 1993/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    醤油麹を高温で自己消化させて得た加水分解物に食塩を溶解させて未発酵諸味を調製し,これに耐塩性乳酸菌(P. halophilus)および2種類の耐塩性酵母(Z. rouxii, C. versatilis)を接種して醤油製造を目的とする44klタンクを用いた発酵試験を行った.
    発酵方法は,改変した1槽2段階発酵方式を用いた.そこでは食塩を約13% (w/v)含む未発酵諸味に乳酸菌P. halophilusと後熟酵母C. versatilisを同時に接種して, 30℃で14日間保持し,乳酸発酵を主体とする第1段階発酵が行われるようにした.第1段階の発酵が終了した諸味を2等分して,それぞれについて等量の新鮮な未発酵諸味を混合した.その混合諸味を食塩濃度が約15~16% (w/v)になるよう調製し, 28℃で45日間,主発酵酵母Z. rouxiiによるアルコール発酵を主体とした第2段階発酵に導いた.第2段階発酵終了後,25℃で30日間の調熟期間をとった.
    諸味中で乳酸は順調に生成され,アルコール発酵は還元糖濃度が過度に減少する前に停止した.熟成香成分である4-エチルグアヤコール, 4-エチルフェノール, 2-フェニルエタノールが,第2段階発酵を終了した諸味濾液中(生揚げ)から検出され,成分バランスの良好な生揚げが3ヵ月で製造できた.
    このように製造した生揚げの成分組成は,従来法によって製造された生揚げのそれと極めて近く,官能検査によっても両者を区別することができなかった.
  • 一色 賢司, 西宮 隆, 野坂 宣嘉, 徳岡 敬子
    1993 年 40 巻 7 号 p. 525-527
    発行日: 1993/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    微生物による食性病害の未然防止ならびに食料の腐敗防止を目的として,抗菌性植物成分の検索を行った.試料として民間伝承に基づき食べ続けられている142種の植物を収集した. 70%エチルアルコールを用いて抽出し,カップ法により10種の微生物に対する抗菌試験を行った.下記の17種の植物の抽出液が, 1種または複数の微生物に対し抗菌性を示した.また,これらの抽出液の中には,黄色ブドウ球菌,サルモネラ菌,乳酸産生菌あるいはマイコトキシン産生菌の生育を抑制するものがあった.
    錨草,鳥梅,えびすぐさ,かわらよもぎ,甘草,羌活,きんもん,くらら,くわ,石解,せんぶり,そうずく,つるどくだみ,とうごま,ほうのき,むらさき,良姜.
    本研究は,農林水産省大型別枠研究「新需要創出のための生物機能の開発・利用技術の開発に関する総合研究(バイオルネッサンス計画)」,農林水産生物における生理的機能特性の解明の一環として行ったものである.
  • 小沢 好夫, 宇田 靖, 川岸 舜朗
    1993 年 40 巻 7 号 p. 528-531
    発行日: 1993/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    PTCCからの黄色色素生成において, pH4.5ではPTCCは比較的安定であり,色素の生成も僅かであった.しかし, pHが上昇するに従い, PTCCが減少し,色素形成の増加が認められた.そして,両者間に高い負の相関が存在した.一方, McIlvaine緩衝液とリン酸緩衝液とには差は認められなかった.
    鉄(II)及び銅(II)により, PTCCの分解及び色素形成は10%程度増加した.一方, 5mMアスコルビン酸の添加により, pH4.5の区では, PTCCは安定であり,色素の生成も認められなかった.しかしpH5.5以上ではアスコルビン酸無添加区(Fig.1)と比較し,PTCCの分解および色素の形成は10%程度の減少であった.
    リン酸緩衝液(pH7.2)中で生成した黄色色素をセファデックスLH-20カラムで分離することにより,色素は変色し, PC上に新しく3個の蛍光物質が現れた.それらの化合物はいずれもβ-カルボリン骨格を有することが推定された.
  • 弘中 和憲, 石橋 憲一, Naomy S. SABINIANO
    1993 年 40 巻 7 号 p. 532-534
    発行日: 1993/07/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    ナガイモのすりおろし液および粘稠液の流動特性を回転粘度計を用いて研究した.その結果,すりおろし液および粘稠液の流動特性は,せん断速度の0.1~20s-1の範囲内において,指数法則流体モデルで良く表すことができた.粘稠液の活性化エネルギーは, 1182cal/molとなった.さらに,粘稠液はせん断時間依存性を示し,著しい粘性低下が1.02 s-1以上のせん断速度でみられた.
  • 沖谷 明紘
    1993 年 40 巻 7 号 p. 535-541
    発行日: 1993/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 寺尾 純二
    1993 年 40 巻 7 号 p. 542-543
    発行日: 1993/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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