ヤマノイモのかるかん原料適性を判断するため,かるかんの食味評価点と物性値との関係を検討すると共に,じねんじょ(Diosoorea japoniha THUNB),つくねいも(D. opposita THUNB)およびKaU-09(D.a1ata L.)のかるかん原料としての評価を行ない,以下の結果を得た.
(1) 市販かるかん26点について食味評価点と物性値との関連性を検討し,クリープ試験における弾性変形量が大きく,引っ張り試験で,破断点までの距離の長いほど高い官能評価を受けることがわかった.
(2) 成分含量と品質については,水分含量の高いかるかんが貯蔵中の物性変化が少なく,官能的にも好まれる傾向にあった.これは澱粉の老化が抑制されることに起因することを確かめた.
(3) ヤマノイモの粘りとかるかん原料適性については,粘りが高いほどかるかん生地の水分容量が多くなり,老化の遅い製品を作り得ることがわかった.
(4) 三種のヤマノイモのかるかん原料適性は,じねんじょが最も高く,つくねいもがこれに次いだ. KaU-09はその適性に欠けた.じねんじょの適性が高いのは,粘りが高く,アミラーゼが含まれないためと考えられた.
(5) KaU-09にはエンド型のアミラーゼが含まれ,かるかん生地の膨化性と製品の弾性変形量を低下させ,付着性を著しく高めた.このアミラーゼは60℃で1時間加熱することによって失活し, KaU-09のかるかん原料適性は向上した.
抄録全体を表示