日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
41 巻, 1 号
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  • 山内 宏昭, 兼重 寛, 藤村 昌樹, 納庄 康晴, 橋本 慎一, 西山 敏彦, 児玉 邦彦, 小林 猛
    1994 年 41 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    一定条件で製パンした3種類のストレート法食パンについてCORNFORDら11)のモデルを用いて老化についての速度論的解析を行った結果,以下のことが判明した.
    (1) 油脂にはパンの老化速度抑制効果はほとんどなく,モノグリのそれも老化速度を対照のパンの約6割に抑制する程度である.
    (2) 油脂の老化(硬さの変化)抑制は,パンの内相構造の細密化による限界硬差(硬さの限界値と初期値の差)の低下効果である.
    (3) モノグリの老化速度の低下は,主にパン中のアミロペクチンの老化速度の抑制効果であり,老化(硬さの変化)の極端な抑制にはデンプンの老化速度抑制以上に限界硬差の低下効果の寄与が大きく,その主要因はパン中のデンプンの糊化,溶出抑制による溶出デンプン量の抑制である.
  • 森高 初恵, 西成 勝好, 中浜 信子, 福場 博保
    1994 年 41 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    ジェランガム単独およびKCl, CaCl2添加ジェランガムのゲル化に及ぼすグルコース,スクロース,尿素及び塩酸グアニジン添加の影響について貯蔵弾性率の測定を行い検討した結果,グルコースおよびスクロースはジェランガムのゲル化を阻害した.尿素は架橋領域の水素結合を切断し,分子間の結合力を小さくしたが,過剰塩添加ゲルにおいて尿素は過剰塩によるゲルの構造変化を妨げ,ゲル化を促進した.イオン性の水素結合切断剤である塩酸グアニジンの低濃度添加では,グアニジニウムイオンの作用によりジェランガムのゲル形成能は増し,高濃度添加ではジェランガムのゲル形成能は低下した.
  • 山田 幸子, 谷 喜雄, 大辻 一義, 中村 一郎
    1994 年 41 巻 1 号 p. 17-24
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    (1) 冷凍パイ生地に発生する黒斑を光学および電子顕微鏡で観察したところ,微生物の繁殖によるものではなく,〓の存在部位に黒斑が認められた.このことから,〓中のPolyphenol oxidase が黒斑に関与しているのではないかと考えた.
    (2) 〓より得た粗酵素Polyphenol oxidase の活性はpH3.0, 4.0, 6.5で高く,数種の酵素が混在すると思われるが硫安分画による分離は困難であった.
    (3) 小麦粉を110℃で加熱してパイ生地をつくると黒斑は認められなかった.また〓を0.01%加えた小麦粉を用いると黒斑の数は著しく増加したが,110℃で加熱した麸を加えると黒斑増加は認められなかった.
    (4) 小麦PPOはpH6.5において,用いたすべての還元剤(亜硫酸ナトリウム,グルタチオン,ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム,アスコルビン酸,ジチオスライトール,パルミチルアスコルビン酸)(10mM)によって完全に阻害された.これらの還元剤をパイ生地に0.1%添加することによって,いずれの場合も黒斑形成は完全に抑制された.また食感にもほとんど影響はなかった.
    (5) アクリルアミドゲル電気泳動後のゲル上での活性染色により,小麦PPOには少なくとも6種のアイソザイムが存在することを確認した.
    (6) 制限量の還元剤存在下での活性染色により,黒斑形成に関与しているPPOアイソザイムは基質がDOPAであると仮定した場合,比移動度O.13のバンドであることが示唆された.
    (7) パイ生地の黒斑形成におよぼす他の因子にっいて検討したところ,システイン,にんにく汁(アリルメルカプタン)に阻害効果が認められた.逆にリジンは黒斑形成を促進した.
  • 溝井 雅子, 澤山 茂, 川端 晶子
    1994 年 41 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    玉葱の食物繊維について,定量法,固さとの関係,貯蔵倍おる変化を検討し,以下の結果が得られた.
    1. 玉葱の総食物繊維量は, PROSKYらの酵素-重量法が貝沼変法よりも1.2~1.3倍高い値を示したが,両定量法による各値は有意な相関関係倍あった.
    2. 総食物繊維量と針入度の間には危険率5%で有意な負の相関関係が認められ,総食物繊維量が多い玉葱ほど針入度は低く,固い性質を示した.
    3. 玉葱は貯蔵中に食物繊維が変化した. i)吊り玉後にはセルロースの増加及びペクチンの性質の変化が認められ,組織が堅固になったことがうかがわれた. ii)冷蔵貯蔵中倍はペクチンが増加した.
  • グルタミンのグルタミン酸への変換に関する磁気感受性固定化グルタミナーゼの利用性(第1報)
    小瀬古 茂樹, 久松 眞, 山田 哲也
    1994 年 41 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    グルタミナーゼは,醤油麹の加水分解液中に含まれるグルタミンをグルタミン酸に変換する.グルタミナーゼ固定化坦体の磁気分離による回収と繰り返し利用を可能とするキトサン包埋鉄粒子と結合した部分的脱アセチル化キチンからなる磁性化坦体の調製方法と酵素固定化処理条件を検討した.
    (1) 高濃度食塩中での長期間の使用に適する坦体は,食塩による損失の最も少ないキトサン包埋鉄粒子とPDACからなる磁性化坦体MC4Pと決定した.
    (2) MC4P磁性化坦体は,水溶液中でも磁力に対し高い応答を示し,磁気分離により容易な回収を可能とすることを認あた.
    (3) 固定化酵素の100%の活性発現率を示す添加酵素量は, pH7.0, 50mM燐酸緩衝液を使用したとき,単位坦体(MC4P)当たりおよそ15Unit迄であった.
    (4) 磁性化坦体MC4Pに固定化したグルタミナーゼ活性は, 15%食塩存在下で36日間安定であった.
  • 鈴木 道子, 新本 洋士, 米倉 政実, 堤 将和, 篠原 和穀
    1994 年 41 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    鶏卵黄リポタンパク質(Yolk lipoprotein, YLP)の,単球系細胞株U-937, THP-1, U-M細胞および3種のハイブリドーマ細胞に対する増殖促進効果を調べた.その結果,いずれの細胞についてもYLPは増殖促進効果を示した.
    YLPを超遠心分離によって分画し,比重の小さいほうからYS-1, YS-2, YS-3, YS-4の4画分を得た.YS-1の主成分はLDLで,わずかに他の蛋白質成分が含まれていた.また,脂質成分が乾燥重量の約80%を占めていた.YS-2, YS-3はリベチンを主成分とし,脂質はほとんど含まれていなかった.
    YS-1は強い細胞増殖促進活性を持ち,YLPよりも低濃度で増殖効果が見られた.YS-2, YS-3には細胞増殖効果はほとんど見られず,YLPの細胞増殖作用はYS-1に含まれるLDLによると結論した.
  • カットキャベツの生理・化学的変化に関する研究(第1報)
    阿部 一博, 高橋 徹
    1994 年 41 巻 1 号 p. 43-47
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    カットキャベツの品質保持を目的として,キャベツを切断後,低温下(1℃)で風乾し品質変化に対する影響を調査した.
    (1) 処理1, 2, 3, 4時間後には切断直後に対して約2,3, 4, 5% の重量減少がみられた.2時間処理直後のカットキャベツでは萎凋がみられるが,総合的には処理区と対照区に差はなかった. 1℃保持7日では両区とも外観の変化は非常に少なかったが,15日では処理区の方が評価が高かった. 20℃保持では品質変化が著しかつたが,保持期間を通じて処理区の方が変化が少なかった.カットキャベツの表面色は緑色の明らかな減少がみられた.
    (2) 保持中の化学成分はいずれも変化が少なく,また処理による影響はなかった.
    (3) カットキャベツの呼吸量は12時間で最大となった後減少しほぼ一定となり,処理区は対照区とほぼ同様であった.またエチレン生成は切断後12時間で最大となった後減少しその後ほとんど検出されなくなった.処理区の生成量は,12時間では同程度であったが,それ以外では対照区より少なかった.
  • 福田 満, 松井 美預子, 高岡 美津子, 角田 聡子, 浜渦 善一郎, 豊沢 功
    1994 年 41 巻 1 号 p. 48-50
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    植物細胞壁の構造タンパク質であるGRPが大豆種皮に多いと推定されるので, GRPの大豆種皮および付随組織内分布と組織から分離したGRPの特性について調べた.三つの部位,棚状層および砂時計型細胞,海綿状組織,アリューロンおよび胚乳層に分けると,グリシン含有率はアリューロンおよび胚乳層で高く約37%を示し,他の部位では非常に低かったので, GRPは種皮ではなくアリューロンおよび胚乳層に存在するにとが示唆された.アリューロンおよび胚乳層のGRPは4℃ではアルカリおよび酸溶液のどちらにも抽出されないが, 80℃以上の熱水では効果的に抽出された.また熱水抽出残渣にも相当量のGRPが残存すると考えられるので,熱水で可溶化したのは細胞壁のGRPの一部であると推定される.熱水抽出画分をSephadex G-100でゲル濾過すると,約50%のグリシンと約13%のセリンを含むGRPが分離された.このGRPの推定分子量は約30kDaで
  • 福田 耕一, 加藤 登, 市川 寿, 野崎 征宣, 田端 義明
    1994 年 41 巻 1 号 p. 51-57
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    市販のスケトウダラ冷凍すり身SA級, FA級および陸上2級の計46試料について,肉糊の加熱ゲル強度(J.S.)と加熱温度との関係を検討した.その結果,加熱温度40~90℃において, J.S.は経時的に一旦増加したのち減少する傾向が認められ,加熱時間20分以降で起こるゲルの劣化からゲル劣化速度定数(KG)を算出すると, 60℃未満の加熱温度域において,上級のすり身ほど小さかつた.このことから,坐り温度(40℃)でのKGが,冷凍すり身の品質評価の指標となることが示唆された.
  • 北村 豊, 前川 孝昭, 林 弘通
    1994 年 41 巻 1 号 p. 58-64
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    焼酎蒸留廃液のメタン発酵では,廃液のC/N比が低いために,発酵阻害を引き起こすNH4+が生成・蓄積される.そこで発酵槽内に蓄積するNH4+を希釈・排出するとともに,高濃度の菌体を滞留させる.とのできる膜分離メタン発酵槽を試作して,処理実験を行った.限外ろ過(UF)膜分離装置による菌体の分離・返送が良好に行われた結果,菌体濃度は16g-VSS/lにまで高められ,メタン発酵は良好に進行した.しかし, UFの膜面洗浄操作によって菌体濃度が減少すると,メタン発酵機能は,有機酸の蓄積により低下した.一方, NH4+の生成速度に基づいて水希釈を行った原料の投入によって,発酵槽内のNH4+濃度は設定値の2000 mg/lに維持され,発酵阻害は認められなかった.本実験から,ガス収率・発生速度を最大にする有機物負荷の設計値は, 4.78~8.00kg-VS/m3・dの範囲の中から選択できること,また有機酸除去率を最大にする有機物負荷の設計値は, 2.48~4.78kg-VS/m3・dの範囲の中から設定できることが示された.
  • 山下(上敷領) 広美, 多々良 恵, 高村 仁知, 的場 輝佳
    1994 年 41 巻 1 号 p. 65-69
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    近赤外分光法によるタンパク質含量の測定を様々な種類のタンパク質に適用するために,種々のタンパク質およびポリペプチドを用いて,ペプチド結合に由来する2170nmの吸収特性について検討した.ペプチド結合数と2170nmの吸収強度との関係を比較した結果,ペプチド結合当たりの相対吸収強度には,タンパク質の種類により差がみられた.次に,牛血清アルブミンのS-S結合を還元して変性させると, 2170nmの吸収強度が弱くなった.また, pHを変化させることによりポリ-L-グルタミン酸の二次構造を変化させた場合も, 2170nmの吸収強度が変化した.このことから, 2170nmの吸収強度は二次構造により影響を受けると推測されたりそこで,二次構造既知のタンパク質を用いて,二次構造含量と2170nmの吸収強度との関係を統計的に解析した結果, α-ヘリックス, β-構造,ランダム構造は, 2170nmの相対吸収強度に対してそれぞれ2:1:1の割合で寄与することが明らかとなった.
  • 中島 忠夫, 中村 和雄, 河内 政和, 岩崎 義彦, 冨田 守
    1994 年 41 巻 1 号 p. 70-76
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
  • 青木 宏
    1994 年 41 巻 1 号 p. 77-83
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
  • 野口 駿
    1994 年 41 巻 1 号 p. 84-85
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
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