日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
41 巻, 2 号
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  • 鈴木 信雄, 畠 伸彦, 田中 雅子, 加藤 敏郎, 古東 宣勝, 山澤 正勝
    1994 年 41 巻 2 号 p. 87-93
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    鳥ガラからデボーンニングマシーンを用いて調製されたチキンミート(DCMP)についてその品質評価のための基礎資料を得る目的で一般成分含量,タンパク質組成およびゲル形成能に対する加熱温度・時間の影響を調べた.
    (1) メーカーの異なる5種類のDCMPは,脂質含量,タンパク質含量に大きな差が認められた.
    (2) ゲル形成能の大きいDCMPほど塩溶性タンパク質含量が多い傾向が認められた.
    (3) チキンペーストのゲルは加熱温度60℃付近において最も高いゼリー強度を示した.
    (4) チキンペーストゲルのSDS-PAGEによると, 50及び60℃の温度帯でミオシンヘビーチェン(MHC)の減少が観察され, MHCは50℃においては,分解, 60℃では逆に,多量化すると言う特異な変化を示した.
  • 椎名 武夫, 河野 澄夫, 山下 昭道, 岩元 睦夫
    1994 年 41 巻 2 号 p. 94-101
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    カット野菜の品質保持の上で非常に重要な低温管理について検討した.すなわち,カットキャベツについて冷却時の微生物による汚染を避けるため,密封包装後冷水で冷却する方式,および仮包装の状態で真空冷却する方式について検討するとともに,蓄冷材と断熱容器による低温配送システムについて検討し,以下の結果を得た.
    (1) 冷水冷却において,カットキャベツの品温は指数関数的に低下し,片対数グラフの普通軸に時間を,対数軸に(各時間の品温-冷水温度)/(初期品温-冷水温度)の値をとると両者は直線関係にあった.
    (2) 非定状熱伝達の解法の一つであるGurney-Lurieの図解法により包装単位と冷却時間との関係について解析を行った.初期品温が25℃のカットキャベツを5℃まで30分以内に冷却するためには,球状包装で直径が7.0cm以下(減圧包装),平板状包装で厚さが5,7cm以下(減圧包装)にする必要があることが明らかになった.
    (3) 減圧包装は冷却速度を大きくする効果があった.
    (4) 真空冷却においては真空槽内の圧力を制御することにより冷却速度を任意に設定することが出来る.
    (5) 真空冷却は包装単位が大きくなっても冷却速度が大きい,冷却むらを生じない,品質が良いなどの特徴があり,カット野菜の冷却に適している.
    (6) 外気温が30℃の環境下でも,発泡スチロール容器と氷を用いた保冷システムにより,カットキャベツの品温を12時間程度5℃以下に保持することができた.
    (7) 容器内全体のカットキャベツの品温上昇および,保存後の品質変化(褐変)を完全に抑えるためには容器の全体に氷を詰める必要がある.
  • 安本 光政, 岡崎 隆志, 稲熊 隆博, 小林 猛
    1994 年 41 巻 2 号 p. 102-107
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    液化二酸化炭素を用いて,黒胡椒からの辛味成分であるピペリンおよび揮発性成分の抽出について検討を行った.その結果,液化二酸化炭素による黒胡椒の抽出において,超臨界二酸化炭素による抽出とかわることなく,揮発性成分を短時間で抽出することができ,さらにエントレーナーとしてエタノールを用いることにより,ピペリンも超臨界二酸化炭素抽出(300kg/cm2, 40℃)とほぼ同量の二酸化炭素で抽出可能であることが明らかになった.
  • 加藤 丈雄, 土井 梅幸, 米山 由紀子, 杉本 勝之, 中村 良
    1994 年 41 巻 2 号 p. 108-115
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    発酵ソーセージなどの発酵肉製品を安全に製造するために,食肉及び食品加工品から低温発酵能を有する乳酸菌を分離し,スターターとしての適性と有害微生物の生育阻止について検討した.
    1) 市販牛肉より低温発酵能を有する乳酸菌Lactobacillus sp. SK-1001を分離した.
    2) Lactobacillus sp. SK-1001は発酵肉製品用スターターとしての基本的適性を有した.実験用のビーカーソーセージを用いて検討した結果, Lactobacillus sp. SK-1001は5℃及び10℃でソーセージを発酵できることが認められた.
    3) 低温発酵によって,ビーカーソーセージ中のS.aureus, E. coli, P. fluorescensは減少した.また, Lac-tobacillus sp. SK-1001の抗菌活性はその生産する乳酸と微量の酢酸によると推定された.
    4) 試作試験を行った結果, Lacbacillus sp. SK-1001は発酵ソーセージ及び発酵ハムの低温スターターとして使用できることが認められた.
  • 夏堀 育子, 島田 博彰
    1994 年 41 巻 2 号 p. 116-119
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    主樹脂がアクリル変性エポキシ樹脂である樹脂中のエチルアクリレート量とレモンフレーバー成分の収着量との関係を調べたところ,エチルアクリレート量と成分収着率の合計量には正の相関があり,フレーバー成分は,相溶し易いエチルアクリレート部に多く収着される傾向が見られた.
  • 堀江 秀樹, 向井 俊博, 後藤 哲久, 永田 忠博
    1994 年 41 巻 2 号 p. 120-122
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    煎茶,ほうじ茶,紅茶,ウーロン茶,プアール茶の浸出液の27Al-NMRスペクトルを測定し,浸出液中のアルミニウムの存在形態を解析した.その結果,これらの茶浸出液中のアルミニウムの存在形態は主として,アルミニウム1モルに3モルのシュウ酸が配位した錯体及び,アルミニウムにシュウ酸とフッ素が配位した錯体であることが推定された.
  • 永井 利郎, 西村 和典, 鈴木 英也, 番場 康夫, 佐々木 裕, 木内 幹
    1994 年 41 巻 2 号 p. 123-128
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    従来よりも旨味の強い納豆を製造するために,土壌,稲わら等からプロテアーゼ活性の高い枯草菌をスクリーニングした.その結果,プロテアーゼ活性が高く(121U/ml),旨味の強い納豆を製造する菌株(NN-1)が分離された.更にNN-1は蒸煮大豆,あるいは液体培地のいずれにおいても市販納豆種菌以上に粘質物を合成した.NN-1は粘質物生成に関与しているといわれているγ-グルタミルトランスペプチダーゼを液体培地中に分泌しており,その活性も1060国際単位/lであり,市販納豆種菌よりも高かった. NN-1はBacillus subtilisと同定された. NN-1で製造された納豆は市販種菌で製造された納豆よりも遊離アミノ酸が2倍程度高く,旨味と粘性に関する官能検査でも高い評価が得られた.
  • 石川(高野) 祐子, 大宮 あけみ, 垣内 典夫, 樫村 芳記, 吉岡 博人, 金子 勝芳
    1994 年 41 巻 2 号 p. 129-134
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    台風による落下被害果実を用いて果汁を製造し,慣行収穫期の果実を対照として,香気成分特性を明らかにした.
    中生品種の‘紅玉'のように,落下時点ですでに成熟期に入っていたと考えられた果実の場合には,完熟果実と比べてもほぼ遜色のない果汁が得られ,落下損傷による異臭の発生なども認められなかった,これは果汁中の香気成分含量からも裏付けられ,定量できた44成分の総含量には,あまり差が認められなかった.また,オーダーユニット総計では完熟果汁の方が高い値を示したが,官能的にはほとんど同等の品質であった.よって,果汁原料として十分に利用できるものと考えられた.一方,晩生品種の'ふじ'では落果果汁で沈澱物が生じるなど,完熟果汁に比べ品質が劣っていた,また,香気成分含量も落果果汁は完熟果汁の4分の1以下と非常に少なかった.オーダーユニット総計でも同様に落下果汁はかなり低い値を示し,香り立ちが著しく悪く,デンプン臭も感じられるなど,香気成分上からも果汁品質の劣ることが明らかに認められた,そのため,清澄果汁かブレンド用果汁として利用する以外に方策はないものと考えられた.
  • 一色 賢司, 栖原 浩, 水内 健二, 徳岡 敬子
    1994 年 41 巻 2 号 p. 135-140
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    通電処理したカキ殻カルシウムを試料として抗菌性試験ならびに食品への応用実験を行った.カルシウム製剤ならびにその主成分である水酸化カルシウムの細菌に対する最小生育阻止濃度は0.07~0.1%であり,グラム陽性菌と陰性菌との間では,抗菌効果にほとんど差は認められなかった.また,比較として行った水酸化ナトリウムでは0.09~0.15%,水酸化カリウムでは0.15~0.24%の最小生育阻止濃度であった.腐敗酵母は,細菌よりも低い濃度で生育を抑制された.実際の食品にカルシウム製剤を添加すると生菌数の減少が見られ,接種したサルモネラ菌,黄色ブドウ球菌,大腸菌,枯草菌も生育を抑制された.これらの現象は,水酸化カルシウムでも観察されたが,カキ殻のカルシウム製剤の効果には及ばなかった.従来,栄養補給の目的で使用されていたカルシウム製剤を用いて食品の微生物制御を行う可能性ならびにアルカリ領域で食品の品質を保持する可能性が示された.
  • 中尾 行宏, 山口 武信, 田口 哲也
    1994 年 41 巻 2 号 p. 141-147
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    カードランを利用して,絹ごし豆腐様の食感を呈する冷凍耐性のある加工豆腐及び凍結乾燥豆腐の実用的な調製法について検討した.
    (1) 冷凍加工豆腐はカードラン1.2%,ワキシーコーンスターチ3%を用いた最適配合組成で,カードランに適した調製法により調製できた.
    (2) 冷凍加工豆腐は麻婆豆腐,揚げだし豆腐,味噌汁,スープなどの冷凍食品に使用すると,絹ごし豆腐様の滑らかな,やわらかい食感を呈し利用できた.
    (3) 凍結乾燥豆腐はカードラン0.5%,ワキシーコーンスターチ1%を用いた配合組成で,冷凍条件を選択することにより,製造法を確立した.
  • 金子 憲太郎, 辻 匡子, 金 天浩, 乙黒 親男, 角野 猛, 会田 久仁子, 佐原 昊, 金田 尚志
    1994 年 41 巻 2 号 p. 148-156
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    日本と韓国の醤油,味噌の呈味成分を分析し,両国製品の呈味性の差異を論及した.また,その結果から両国民の食嗜好を考察した.
    1. 日本の醤油(日本醤油)は韓国の自家製醤油(韓国醤油)よりpHが低く,食塩が少なく,遊離糖と全窒素が多かった.
    2. 日本の味噌(日本味噌)は韓国の自家製味噌(韓国味噌)よりpHが低く,遊離糖が顕著に多かった.
    3. 日本醤油は有機酸が顕著に多く,乳酸とピログルタミン酸が主体だった.韓国醤油は乳酸が特に多かった.
    4. 有機酸含量はほぼ等量だったが,日本味噌はピログルタミン酸とクエン酸,韓国味噌は乳酸とピログルタミン酸が多かった.
    5. 韓国味噌の遊離糖はごく微量だった.
    6. 日本醤油の遊離アミノ酸(アミノ酸)は韓国醤油のそれの約3.7倍だった.前者はグルタミン酸,アスパラギン酸,プロリン,後者はグルタミン酸が多かった.
    7. 韓国醤油のオリゴペプチド(ペプチド)は日本醤油のそれの約2.8倍だった.前者はグルタミン酸,アスパラギン酸,プロリン,後者はプロリン,アスパラギン酸が多かった.また,韓国醤油のペプチドはアミノ酸とほぼ等量,日本醤油のそれはアミノ酸の約10%だった.
    8. 日本味噌と韓国味噌のアミノ酸はおおよそ等量だったが,前者はグルタミン酸,ロイシン,アスパラギン酸,後者はグルタミン酸,ロイシンが多かった.
    9. 日本味噌と韓国味噌はペプチドがほぼ等量で,何れもグルタミン酸,アスパラギン酸,プロリンが多かった.また,何れのペプチドもアミノ酸の約49%であった.
    以上の結果,日本醤油はグルタミン酸を主体にしたアミノ酸の味,韓国醤油はグルタミン酸とペプチドの味に特徴があると思われる.両国の味噌を比較するとアミノ酸とペプチド由来の味はほぼ同程度であるが,日本味噌は甘味が強く,酸味が異質と思われる.これらのことを塩辛やキムチでの結果と併せ考えると日本人はグルタミン酸の旨味,韓国人はグルタミン酸の旨味に併せてペプチドの味を特に好むと思われる.
  • 平成4年度技術賞
    安部 章蔵
    1994 年 41 巻 2 号 p. 157-164
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
  • 小林 彰夫
    1994 年 41 巻 2 号 p. 165-171
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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