日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
41 巻, 6 号
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  • 食品の匂い用語のキャラクタリゼーションに関する研究(第7報)
    伊東 裕子, 下田 満哉, 筬島 豊
    1994 年 41 巻 6 号 p. 401-406
    発行日: 1994年
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    15種類の匂い標品を用いて,素人パネルに対して匂いの質的評価についての訓練を行った.女子短大生10名をパネルとして,各匂い標品作製の基礎となった匂い用語を説明した後,実際に匂いを嗅ぎ,その匂い特性を43個の匂い用語を用いて5段階評価させた.この訓練を各匂い標品について5回繰り返した.
    (1) 匂い用語に対するパネルの応答パターンを数量化理論第III類で解析した結果,訓練を重ねることによってパネルの反応は収束し,匂い特性A, E, F, G, H, I, J, L, M, Nでは基礎となった匂い用語に対するイメージに近づいた.B, C, D, K, Oではイメージと官能検査結果にかなりの相違が認められたが,匂いの評価に関しては2か月後でも充分に記憶されていた.
    (2) 数量化理論第III類によって得られたサンプルスコアの二次元配置図において, 15種類の匂い標品は原点を中心とした円状に配され,「価値」の高低と「揮発性」の大小によって意味付けることができた.各サンプルスコアは訓練により中心から遠ざかるような位置に移動し,各匂い標品の特徴を際立たせる形で収束した.
  • 奥山 正一郎, 魚住 充男, 冨田 守
    1994 年 41 巻 6 号 p. 407-412
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    サワークリームの製造方法において,クリームの脂肪含有率,均質化圧力が物性に及ぼす影響をテクスチャー,離水,熱安定性などの観点から検討し,次の結果を得た.
    (1) クリームを均質化した時,脂肪球の平均粒子径は均質化圧力の対数に対して直線的に小さくなった.同じ均質化圧力では脂肪含有率が高いほど粒子径は大きかった.
    (2) サワークリームのテクスチャー解析から次のことが分かった.
    1) プランジャーの上下移動2mmでは非破壊の, 10mmでは破壊後のテクスチャーが測定できる.
    2) 硬度は非破壊,破壊の場合とも均質化圧力が高くなるほど上昇し,同じ圧力では脂肪含有率が高いほど硬度は高くなった.
    サワークリームをディップとして使う場合,ポテトチップなどですくって食べることが考えられる.この場合,ポテトチップが折れないことが条件となり,上下移動10mmでの硬度が2×104N/mm2以下が適していた.均質圧力の限界は脂肪含有率20%では約10-1MPa,30%では約5-1MPa, 40%では約1.5-1MPaであった.
    3) 凝集性については上下移動10mmの場合は,プランジャーにサワークリームが付着し1回目の上昇時にサンプルに穴があいてしまうため,測定値に信頼性が無かった.移動2mmの場合の凝集性は各脂肪含有率とも均質化圧力が高くなるほど減少し,同じ圧力では脂肪含有率が高いほど低い値を示した.また硬度が高くなるほど減少し,同じ硬度では脂肪含有率が高いほど凝集性は高くなった.
    4) 上下移動2mmの場合はサワークリーム表面の付着性が測定でき,均質化圧力を高くすると付着性は低下した.同じ硬度では脂肪含有率が高いほど高くなった.10mmでは,プランジャー側面,底面にサワークリームが付着し引上げられるためサワークリーム内部の付着性が測定でき,硬度が高いほど高い数値を示し,同じ硬度では脂肪含有率が高いほど高い数値を示した.
    (3) 離水の傾向は,同じ脂肪含有率では均質化圧力が高く硬度が高くなるほど減少した.同じ硬度では,脂肪含有率が高いほど減少した.ケーキのフィリングに用いる場合,ある程度の硬度と離水が生じにくいという条件が要求されるので,均質化圧力は高く,脂肪含有率が高いほうが望ましいことが分かった.
    (4) サワークリームを加熱した場合の熱安定性をカードの量から推定した.どの脂肪含有率とも1段目に10-1 MPa以上の圧力をかけるとカード量は急激に増え,料理のソース原料として加熱処理をするサワークリームでは, 10-1MPa以上の圧力をかけないほうが良いことが分かった.
  • 巨大胚米,香り米,高アミロース米,低アミロース米,大粒米について
    不破 英次, 朝岡 正子, 新谷 宏高, 重松 利典, 大柴 正之, 井ノ内 直良
    1994 年 41 巻 6 号 p. 413-418
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    1988年から1991年に栽培,収穫された13種類30試料の米の胚乳より澱粉を調製し,その特性を物理化学的方法により調べた.用いた米穀粒は巨大胚米,香り米,高アミロース米,低アミロース米,大粒米である.澱粉のアミロース含量は10%から30%の間であった.低アミロース米である道北53号と香り米であるサリークィーンは異なる栽培年によりそのアミロース含量がそれぞれ7%, 4%異なっていた.北海道で栽培されたものと高アミロース米であるホシユタカの澱粉はその糊化温度が低く,また,栽培年の違いによる糊化開始温度の差はサリークィーンにおいて最大であり, 5℃であった.ホシユタカの澱粉は75℃における溶解度が他品種のものより大きかった.また,低アミロース品種の澱粉は高い膨潤力を示し,このことはこれらの澱粉の吸水能が高いことを示唆している.
  • 一般成分と無機質量について
    川井 英雄, 松沢 睦子, 伝川 祐子, 佐々木 弘子, 春日 敦子, 青柳 康夫
    1994 年 41 巻 6 号 p. 419-424
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    生産地の明らかな菌床栽培のヒラタケ25検体およびマイタケ16検体の子実体とその菌床培地を収集した.一般成分と無機質量を測定し,菌床成分の子実体成分への影響について検討した.
    ヒラタケでは,培地窒素量と子実体タンパク質量との間に有意な相関がみられた.菌床から子実体への無機質の濃縮はカリウム(3.20倍),ナトリウム(1.64倍),リン(1.70倍),銅(1.90倍),亜鉛(2.38倍),カドミウム(2.75倍)でみられた.培地と子実体との間に有意な相関がみられたのはカドミウムのみであった.
    マイタケにおいては,培地窒素量と子実体タンパク質量との間に有意な相関はみられなかった.菌床から子実体への無機質の濃縮はカリウム(16.51倍),ナトリウム(6.59倍),マグネシウム(1.24倍),リン(4.04倍),銅(3.37倍),亜鉛(4.10倍),カドミウム(9.26倍)でみられたが,銅についてのみ菌床と子実体との間に有意な相関が認められた.
  • 宮本 文夫, 佐伯 政信, 芳澤 宅實
    1994 年 41 巻 6 号 p. 425-432
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    丸干しイワシ製造工程中のH2O2の挙動及び最終製品における残存について検討した.
    (1) 塩漬け及び漂白工程後のマイワシにおけるH2O2の残存は浸漬液へのH2O2添加量が1000μg/ml以上の条件のものに認められ,残存量は0.2~71.9μg/g (浸漬液への添加量に対する残存率は0.02~1.44%)であった. H2O2の残存にはH2O2添加量や製造方法の他に食塩水の濃度も強く関与していた.水洗工程後のマイワシにおけるH2O2の残存は5000μg/mlの添加条件のみに認められ,残存量は0.4~1.2μg/g(残存率は0.008~0.024%)と微量で,水洗工程で97.7%以上の残存H2O2が除去された.乾燥工程後には調製した全ての丸干しイワシでH2O2の残存は認あられなくなった.マイワシ中のH2O2の除去については乾燥工程の方が水洗工程より除去効率が高いものと考えられた.
    浸漬液への添加量が5000μg/ml以下であれば,丸干しイワシ製品中にはH2O2の残存は認められないことから, 30~750μg/mlのH2O2添加浸漬液を用いて製造した丸干しイワシからの残存H2O2の検出報告については, H2O2処理した丸干しイワシで生成した脂質過酸化物がヨウ素滴定法でH2O2と誤認されたものと推察される.
    (2) 丸干しイワシ製造に使用したH2O2含有食塩水中でのH2O2の残存率が0~67.6%であったのに対し,H2O2水中の残存率は12.3~96.4%と高かった. H2O2含有食塩水及びH2O2水中のH2O2残存率はいずれも食塩濃度の影響を強くうけていた.また, H2O2含有食塩水では153μg/ml以上, H2O2水では954μg/ml以上の多量のH2O2が存在しないとマイワシにはH2O2が残存しないことが判明した.
    (3) 原料マイワシ,対照の丸干しイワシ及びH2O2を5000μg/ml添加した浸漬液で調製した丸干しイワシの全てからカタラーゼ活性が14.2~46.7U/gの範囲で検出された.この結果から,製造工程で添加したH2O2の分解及び消失は主として力タラーゼによるものと考えられ,製造条件によるマイワシや浸漬液中のH2O2残存率の差はカタラーゼの作用時間や活性度の相違が原因と考えられた.
  • 堀江 秀樹, 向井 俊博, 後藤 哲久, 川中 道夫, 下原 融
    1994 年 41 巻 6 号 p. 433-435
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    茶カテキンの簡易迅速測定を目的にバイオセンサーを開発した.チロシナーゼを固定化した膜と酸素電極を組み合わせたセンサーでは安定性に問題があった.チロシナーゼ固定化膜の代わりにゴボウの切片を用いたセンサーは,緑茶のカテキン濃度の安定な測定が可能であった.茶浸出液のカテキン濃度を測定した場合,本センサーの応答は,既存の方法による測定結果との間で良好な相関を示した.
  • フロレンス ドルウセ M., ガルシヤ バービリオ V., 長谷川 忠男, 小泉 幸道, 柳田 藤治
    1994 年 41 巻 6 号 p. 436-439
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    高価な誘導物であるリナマリンの代わりにキャッサバ樹皮を用いることにより, Aspergillus oryzaeのリナマラーゼの高活性誘導に成功した.キャッサバ樹皮によるリナマラーゼの生成の増大は,リナマリン以外のキャッサバの成分により,リナマラーゼの誘導を促進するか,又は安定化して生産を高めるものと推定された.リナマラーゼ生成の好適条件は次のようであった. 5%キャッサバ樹皮粉末を含んだツァペック培地100mlに, 108個の胞子(48時間前培養した)を接種し, 24時間, 100rpm,室温で培養した. SA-1株で1ml中0.05単位のリナマラーゼが得られた.
  • 藤井 繁佳
    1994 年 41 巻 6 号 p. 440-447
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    澱粉利用冷凍プリンの保形性及び食感を改良することを目的に,最適な天然安定剤の組み合わせ/添加率を探索した.ゼラチン,ローカストビーンガム,キサンタンガム,カラギーナン,グァーでム,ぺクチン,タマリンドガム以上7種の天然安定剤の適用を試みた.各安定剤について,直交配列表を用いた実験計画法に基づいて添加条件を割り付け, 16種の予凍プリン試作品を得た.保形性,食感及び澱粉粒径を評価して統計処理を行った結果,ゼラチンとローカストビーンガムの添加により,澱粉粒の膨潤を抑制することなく保形性が改善されることが判明した.更に,この2種の安定剤について二元配置法に基づいて試作・評価し,その最適な添加率を決定することができた.最適比率に基づいて試作した冷凍プリンは保形性及び食感とも満足できるものであった.尚,個々の安定剤の澱粉利用冷凍プリンの保形性,食感及び澱粉粒の膨潤に及ぼす添加効果に関する知見も得た.
  • 渡辺 尚彦
    1994 年 41 巻 6 号 p. 448-455
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 食品感性工学の提唱
    相良 泰行
    1994 年 41 巻 6 号 p. 456-466
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 山口 優一
    1994 年 41 巻 6 号 p. 467-468
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 山口 優一
    1994 年 41 巻 6 号 p. 468
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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