かつお節エキス成分の焙乾工程中の変化について検討し以下の結果を得た.
(1) エキス窒素は焙乾工程により変化せず約2.8%でほぼ一定であった.エキス窒素のかつお節全窒素に占める割合も約19%で一定であった.
(2) 遊離アミノ酸および関連物質ではヒスチジン,タウリンおよびアンセリンが主要成分であった.ヒスチジンは焙乾により減少することが認められた.それ以外の遊離アミノ酸はほとんど変化しなかった.
(3) クレアチンおよびクレアチニンがエキスに比較的多く含まれていた.焙乾中にクレアチンは徐々に減少し,クレアチニンは徐々に増加した.
(4) ヌクレオチドの主要成分はIMPとAMPであり,焙乾中ほとんど変化しなかった.
(5) SDSポリアクリルアミド電気泳動,ペプチド分析の結果,焙乾工程中にタンパク質が分解しペプチドが生成することが認められた.結合アミノ酸の分析結果から,それらはアラニン,ヒスチジン,アスパラギン酸,グルタミン酸,ロイシン,リジン等のアミノ酸を構成成分とするペプチドであることが推察された.
(6) エキスの緩衝能はpH 3.5~4.5が最も高く,次いでpH 8.5~9.5, pH 5.5~6.5であり,焙乾中に顕著な変動は認められなかった.
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