日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
41 巻, 8 号
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  • 衛藤 英男, 呉 建生, 八木 昭仁, 河野 高士, 木島 勲, 伊奈 和夫
    1994 年 41 巻 8 号 p. 531-535
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    高圧処理によるワサビ中のカラシ油類の安定化について実験した.
    (1) 高圧処理によって,沢ワサビに含まれているミロシナーゼの酵素活性が高あられ,ペルオキシダーゼおよびリパーゼの活性は低下した.西洋ワサビにおいては,ペルオキシダーゼ,リパーゼの活性はほとんど変化なく,ミロシナーゼ活性のみが低下した.
    (2) 高圧処理を行っても,生成するカラシ油類の種類には変化は認められなかった.しかし,無処理試料に対し,カラシ油のピーク面積比は低く,特に,パルミチン酸量の極端な減少が観察された.
    (3) タンパク質の添加では,グルテン添加でカラシ油類の揮散・分解が抑制されることが分かった.アルブミンの添加では効果は認められなかった.
    (4) タンパク質添加による高圧処理において,沢ワサビでは,グルテン添加でさらにカラシ油類の揮散・分解が抑制されたが,西洋ワサビは,グルテンおよびアルブミン添加でも揮散・分解抑制の効果がみられなかった.
  • 岡崎 尚, 米田 達雄, 鈴木 寛一
    1994 年 41 巻 8 号 p. 536-541
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    加圧・加熱併用処理による耐熱性細菌胞子の殺菌について検討した. 100MPa~400MPaの加圧下で25℃~65℃および90℃~105℃の加熱処理を5~70分間行い,生存胞子数を測定した.
    (1) 35℃~65℃の中温域で400MPaの加圧を併用すると,細菌胞子の死滅が進行し,生存胞子数と処理時間の関係は両者の対数に対して直線となった.
    (2) 90℃~108℃の加熱に加圧を併用すると,加熱開始初期の昇温期間に急激に胞子数が減少した.この減少は,圧力が高くなるほど著しかった.昇温後の定常加熱においては,生存胞子数と処理時間の関係は一次反応的となり,その死滅速度定数は圧力が高くなるほど大きくなった.
    (3) 加圧・加熱併用処理における細菌胞子の死滅速度は, 99℃~108℃の範囲でアレニウス式に従ったが, 99℃~90℃の範囲では死滅速度の温度依存性は小さくなった.
    (4) 加熱に加圧の併用によって細菌時間の短縮または殺菌温度の低下が可能になることが示唆された.
  • 西 賢司, 加藤 良, 冨田 守
    1994 年 41 巻 8 号 p. 542-549
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    圧力による芽胞の活性化を目的として, Bacillus属芽胞に加圧処理を施し,その活性化効果を検討した.得られた主要な結果は以下の通りである.
    (1) B. subtilis ATCC 6633を用いて牛乳中での加圧による活性化を検討したところ,加熱を用いた場合よりも良好な活性化効果が得られた.この効果は加圧温度の上昇及び加圧時間の延長とともに増大したが, 50MPaから200MPaまでの圧力変化に対しては顕著な差は見られなかった.
    (2) 加圧処理によって活性化されたB. subtilisの芽胞は大部分が保持中1時間以内に発芽し,耐熱性を失った.また,活性化されなかった芽胞は6時間の保持によっても発芽しない.非常に休眠性の高いものであった.
    (3) 加圧処理によって活性化されたB. subtilis芽胞の発育曲線は保持開始から緩やかな増加を示すが,対数増殖期の開始に要する時間については通常の発育曲線の場合と著しい違いはなかった.
    (4) 加熱による活性化が困難であったB. Polpmyxa NIAH-474及びB. licheniformis IAM-1l054の芽胞に対しても圧力による活性化効果が認められた.
  • 鈴木 敏博, 本杉 正義
    1994 年 41 巻 8 号 p. 550-556
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    かつお節エキス成分の焙乾工程中の変化について検討し以下の結果を得た.
    (1) エキス窒素は焙乾工程により変化せず約2.8%でほぼ一定であった.エキス窒素のかつお節全窒素に占める割合も約19%で一定であった.
    (2) 遊離アミノ酸および関連物質ではヒスチジン,タウリンおよびアンセリンが主要成分であった.ヒスチジンは焙乾により減少することが認められた.それ以外の遊離アミノ酸はほとんど変化しなかった.
    (3) クレアチンおよびクレアチニンがエキスに比較的多く含まれていた.焙乾中にクレアチンは徐々に減少し,クレアチニンは徐々に増加した.
    (4) ヌクレオチドの主要成分はIMPとAMPであり,焙乾中ほとんど変化しなかった.
    (5) SDSポリアクリルアミド電気泳動,ペプチド分析の結果,焙乾工程中にタンパク質が分解しペプチドが生成することが認められた.結合アミノ酸の分析結果から,それらはアラニン,ヒスチジン,アスパラギン酸,グルタミン酸,ロイシン,リジン等のアミノ酸を構成成分とするペプチドであることが推察された.
    (6) エキスの緩衝能はpH 3.5~4.5が最も高く,次いでpH 8.5~9.5, pH 5.5~6.5であり,焙乾中に顕著な変動は認められなかった.
  • 吉沢 康子, 登藤 博文, 飴谷 章夫, 上野川 修一
    1994 年 41 巻 8 号 p. 557-560
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    食用海藻9種,民間薬として用いられている生薬8種より,マウスのカーボンクリアランス亢進活性を指標に食細胞系賦活物質の検索を腹腔内投与法で行った.
    海藻からはオゴノリの熱水抽出エタノール不溶画分に投与量に依存したカーボンクリアランス亢進活性が認められた.
    生薬からはマタタビの熱水抽出工タノール沈殿画分に,アマドコロの熱水抽出エタノール可溶,不溶の両画分に亢進活性が認められた.
  • 志村 進, 都築 和香子, 伊東 禧男, 小林 昭一, 鈴木 建夫
    1994 年 41 巻 8 号 p. 561-564
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    カワラケツメイ地上部乾燥品より,リパーゼ阻害効果を有する1画分(CT-I)を採取した. CT-Iは縮合型タンニンを主体とするが,ブタノール/塩酸法によるプロアントシアニジン量はわずかであった. CT‐Iの阻害効果は4-MU oleateを基質とし,ブタ膵リパーゼを用いた反応系,ならびにトリオレインを用いた反応系ともに高い阻害効果を示した.またカゼイン存在下による阻害の消失は緑茶の主要タンニンであるエピガロカテキンガレートよりもわずかであった.またCT-Iの水懸濁液はl00℃, 1時間の処理においても酸性領域では阻害効果は安定に保たれた.
  • 安本 光政, 稲熊 隆博, 岡崎 隆志, 小林 猛
    1994 年 41 巻 8 号 p. 565-567
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    液化二酸化炭素を用いて,唐辛子の辛味成分であるカプサイシンの抽出について検討を行った.その結果,液化二酸化炭素によりカプサイシンの抽出が可能であった.また,エタノールまたは酢酸がエントレーナーとして有効に作用することが明らかになり,とくに,酢酸の効果が顕著であった.酢酸をエントレーナーとして用いることで60kg/cm2の低圧の液化二酸化炭素によりカプサイシンを約94%抽出することができ,二酸化炭素の使用量は無添加の場合と比較して約4分の1となった.
  • 辻 匡子, 金子 憲太郎, 金 天浩, 乙黒 親男, 金田 尚志
    1994 年 41 巻 8 号 p. 568-573
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    韓国の市販および自家製蕃椒醤の呈味成分を分析し,その呈味特性を考察し,併せて日韓両国民の食嗜好の差異を検討した.
    (1) 市販蕃椒醤は自家製蕃椒醤に比べて,糖が多く,低塩であった.
    (2) 何れの蕃椒醤もクエン酸とグルコースの含量が高かった.
    (3) 市販蕃椒醤はグルタミン酸とプロリン,自家製蕃椒醤はプロリンの含量が特に高かった.
    (4) 市販蕃椒醤のペプチドは自家製蕃椒醤のそれとほぼ等量であったが,前者はアミノ酸の約1/2,後者はアミノ酸とほぼ等量であった.
    (5) 何れの蕃椒醤にもうま味のあるグルタミン酸含有オリゴペプチドの存在が推定された.
    以上の結果,蕃椒醤はアミノ酸および有機酸組成の点で,韓国特有の調味料であることが分かつた.また,その甘味には糖の他,プロリンが関与していると考えられた.これらのことをキムチ1),塩辛2),味噌3),醤油3)での結果と併せ考えると日本人はグルタミン酸のうま味,韓国人はグルタミン酸のうま味に併せてペプチドの呈するうま味,苦味などの味も好むと思われる.
  • 桐 文慶, 劉 世詮
    1994 年 41 巻 8 号 p. 574-577
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    台湾産サバヒーの普通筋と血合筋から得られる加熱ゲルの強度は水晒しの工程を加えることによって2.5倍程度に増加し,保水性も改良された.志水らの定義による40℃と60℃の坐りと戻り指数を求めると,それぞれ12および33で坐り難く,戻り難い魚類に属する.しかし,この魚類の坐りおよび戻り指数の最大値はそれぞれ50および70℃に見られ,生息温度に起因するものと考えられる.
  • 中西 一弘, 田中 孝明
    1994 年 41 巻 8 号 p. 578-584
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 河端 俊治
    1994 年 41 巻 8 号 p. 585-588
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 河端 俊治
    1994 年 41 巻 8 号 p. 587-588
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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