非常に純粋な意味の官能テストの形式は踏まなかったが,本試験の結果として,つぎのことがいえると思う。
(1) 6ヵ月の貯蔵では4号白罐に貯蔵した場合,補糖でも無補糖でも,パッション果汁の外観,香味とも大差は生じない。1年貯蔵後には補糖と無補糖では外観にはほとんど差が生じないが,香味は補糖区の方が若干まさる。
(2) 6ヵ月貯蔵後における圧搾法で得た果汁と,果肉混合果汁との差は,ともに貯蔵による品質低下はさほど認められない。しかし1ヵ年後では果肉混合果汁の方が香味の維持は良好である。
(3) 6ヵ月貯蔵後におけるソルビット添加の効果はかなり明らかなようで,パッション果汁特有のいわゆるあくどさというか嫌味を和らげる効果が認められた。一方1ヵ年後では香味の維持に若干の効力が認められた。
(4) 圧搾法の果汁と,果肉を含んだ果汁との性質の差はかなりいちじるしく,前者は色沢も薄く,ほとんど透明で,香味も少ないが,なごやかな万人向きのものとなり,後者は色沢,香味強烈で個性的である。この性質は6ヵ月後まで維持された。しかし1ヵ年後においては前者は補糖し,ソルビットを添加したもののほかは,香気がやや弱すぎる感じである。
ソフトドリンクスに対するソルビトールの添加量は3%が適当であることは別の試験により確かめた。
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