日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
9 巻, 4 号
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  • 毛管上昇性に及ぼす無機塩の影響について
    西内 豊道
    1962 年 9 巻 4 号 p. 155-158
    発行日: 1962/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    ソフトクリーム用安定剤としての性能を検討する目的で,Na-CMC, Na-Alg, PGAの無機中性塩溶液に対する水和安定性を比較するため,それらの各種濃度無機塩溶液の濾紙毛管上昇距離を測定し,つぎの結果を得た。
    (1) NaCl, NaNO3, Na2SO4およびNa2SiO3(PGAの場合を除く)のごとき1価のcationであるNa+の塩類溶液においては,各種安定剤ともそのanionの種類およびイオン価数に無関係に,少なくとも塩濃度1.8%くらいまでは大体水和性に変化がなかった。
    (2) PGAはNa2SiO3水溶液中でやや水和性が減少した。
    (3) CaCl2水溶液中ではNa-CMCは水和性がやや減少するが,PGAはきわめて安定であり,ソフトクリーム用安定剤として適しているように考えられる。Na-Algは濃度がある程度以上で,Ca濃度が小さいときはゼリー化をおこすが,この性質はソフトクリーム製品の保型性を増し,長期間保存の場合のクリーム容積の収縮,組織の粗状化防止などに好影響を与えると思う。Na-Algの濃度が小さいかあるいはCa濃度が大きいときは,Ca-Algはゲル化,凝結し,水和性を失なう。
    (4) FeSO4水溶液中では,Na-CMCは水和性が減少し,Na-AlgおよびPGA (0.47%溶液)は塩類濃度約0.4% (Fe濃度約0.15%)以上で急激に水和性が減少する。
    (5) FeCl3水溶液中では,Na-CMC, Na-Algは少量の塩類によっても容易に水和性を失なう。またPGAは0.47%溶液ではやや水和性を失ないやすかったが,0.12%溶液では少なくとも塩類濃度1.7% (Fe濃度約0.6%)までは変化がなかった。
    (6) 本実験結果だけからソフトクリーム用安定剤としての適,不適を論ずると,まずNaClの影響は比較的薄いNa-CMC溶液の場合を除き,各安定剤ともあまり大きくないので,主として乳成分中のCaの影響を考えねばならない。すなわちNa-Algは比較的多く使用し,しかもCa量が少ないときはゼリー化し,もっとも適しているが,そうでない場合はゲル化し不適当で,むしろNa-CMCの方がよい。Na-CMCは一般に無機塩類によって少し水和性が減少するが,低廉で,その水溶液は腐敗しがたく,熱にも比較的強く,低温度における粘度増加も少なくて使用しやすいなどの利点をもつている。PGAはもっとも安定で一番適しているが価格の点に問題があり,また硅酸分の多い水の使用はさけねばならない。なおNa-CMC, Na-Algは鉄分の影響にも注意すべきである。要するに各安定剤は一長一短があるので,これらを適当に配合して使用することが望ましい。
  • 渡辺 篤二, 阿部 和可
    1962 年 9 巻 4 号 p. 158-161
    発行日: 1962/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    (1) 加熱豆乳に各種の酸類を加えて得られる凝固物の性状を比較した。いずれの酸でもpH 6.0で完全な凝固を起こし,酸の添加量の増加とともにpHが下り,凝固物の性状は堅くなる。
    (2) 加熱豆乳に各種塩類を加えて得られる凝固物の性状を比較した。完全凝固を起こすための所要量(mM)はイオン価数の多いものほど少なくてよく,Na, K塩では完全な凝固は起こらず,とくに沃化物およびロダン塩では凝固は全く起こらない。
    (3) Ca, Mg塩による凝固物は上澄のpHが同一の場合他の塩類および酸類より堅さが高い。堅さの最高値は,他の塩類より低く,またそのときのpHは5.4付近であるから他の塩類よりかなり高い。
    (4) Cu, Ag, Al, Fe,その他の金属塩溶液はそれ自身pHが低く,酸に似た性状変化を示すが,堅さの最高値が酸より高く,金属イオンの影響が推定される。
  • 冷蔵障害について
    小曽戸 和夫, 飯野 久栄, 数見 秀次郎, 黒田 儀三郎, 松岡 徹夫, 蔀 花雄
    1962 年 9 巻 4 号 p. 162-166
    発行日: 1962/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    白桃大久保種を0~1℃に7~46日間冷蔵貯蔵して罐詰の製造を行なった。冷蔵障害として剥皮困難,果肉のかっ変および硬化などが生じ,これらは未熟果ほど早く現われ,加工熟度のものを冷蔵するときは,2週間までは貯蔵可能であるが,冷蔵により品質は劣化するからできるだけ短時日にとめる方がよいことが認められた。また剥皮部の顕微鏡観察を行ない,冷蔵による組織の変化を追跡した。
  • 梶本 五郎, 遠藤 義臣
    1962 年 9 巻 4 号 p. 167-168
    発行日: 1962/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    無糖練乳に油脂の酸化防止剤であるBHAをそれぞれ0.001%, 0.005%, 0.01%ずつ添加し,65℃で30分間加熱後,200mlのビーカーに100mlずつ秤取し,25℃の室温に放置しながら,放置時間と乳酸量,凝固性,揮発性塩基性窒素およびメチレンブルーの還元性の比較試験を行なった。
    (1) BHAを添加した練乳の乳酸量は無添加にくらべ少なく,その比率はBHA添加量が多いほど少なかった。
    (2) BHA添加練乳の凝固性は無添加練乳と0.001%BHA添加練乳は35時間放置で凝固し,0.005%添加練乳では70時間で凝固し,0.01%添加練乳では90時間で凝固した。
    (3) BHA添加練乳の揮発性塩基性窒素量を求めると,無添加練乳で58mg%, 0.001% BHA添加練乳で52mg%, 0.005% BHA添加練乳で48mg%, 0.01%BHA添加練乳で28.6mg%であった。
    (4) メチレンブルーの還元性を比較すると無添加練乳がもっとも早く還元された。
  • 山田 耕二
    1962 年 9 巻 4 号 p. 169-181
    発行日: 1962/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1962 年 9 巻 4 号 p. 182-188
    発行日: 1962/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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