日中言語文化
Online ISSN : 2436-4517
Print ISSN : 2435-273X
ISSN-L : 2435-273X
最新号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 大連大学日本語学科を例として
    楊 華
    2025 年19 巻 p. 1-7
    発行日: 2025/12/15
    公開日: 2026/02/15
    ジャーナル オープンアクセス
    近年来、中国の日本語教育は大きな危機と挑戦に直面し、AI発展の衝撃、就職先の需要鈍化、卒業生数の飽和などが主な理由である。そのため、各大学の日本語学科は転換と発展を図っている。2022 年、中国教育部は「地域国別学」を一級学科として設置し、その学際性・総合性の特徴を強調した。これも外国語教育における重要な改革方向の一つとなっている。大連大学日本語学科は国家級一流本科専門として、「日本語+」という複合型人材の育成、教授法の革新と「課程思政」の融和、「地域国別学」の推進などの面から、既存のカリキュラム体系を改革し、「地域国別学」修士課程の申請を行うなど、積極的に模索をしている。
  • 南開大学漢言語文化学院留学生を例に
    劉 佳, 劉 一然
    2025 年19 巻 p. 9-21
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/02/15
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、12週間の京劇教育実験を通じて、中国における外国人留学生の中国語発音の向上効果を考察するものである。具体的に、実験群と対照群に対して前後テストをこなった後、横断的・縦断的研究を実施する。声調誤差については、音響学ソフトウェアで検証する。その結果、実験群の点数は18.1%向上し、対照群の2.9%を大きく上回るとともに、発音の停止や接続、流暢さ、強弱などの面で顕著な向上が見られた。そして、本研究は、京劇トレーニングが声韻や声調の専門的な練習、程式化された独白、拍子リズム、場面の会話練習を通じて、発音の正確さ、語調の自然さ、言語の流暢さを効果的に向上させるため、音声の矯正と文化の浸透という二つの価値を兼ね備えていることを示す。
  • 唐 磊, 鄭 新爽
    2025 年19 巻 p. 23-32
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/02/15
    ジャーナル オープンアクセス
    This study aims to explore the effectiveness of the Llama 3.1-8B model in generating plain Japanese texts within medical contexts through fine-tuning. A dataset for model training was constructed based on representative Japanese medical plain Japanese materials, and the Llama 3.1-8B model was fine-tuned using this dataset. Subsequently, the model’s ability and performance in generating relevant texts for medical scenarios were evaluated by analyzing the generated content and using metrics such as accuracy, F1 score, ROUGE series, and BLEU-4. The results show that despite issues like a small amount of inaccurate content and grammatical errors, nearly 80% of the content is reasonable, accurately expressed, concise, and easy to understand. The model performs more satisfactorily in short sentence generation tasks, but its feedback effect on long text generation instructions is suboptimal. The findings indicate that research on plain Japanese based on model fine-tuning has certain feasibility, though optimization of data scale and training data is required to enhance its accuracy and stability.
  • 鄭 新爽
    2025 年19 巻 p. 33-40
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/02/15
    ジャーナル オープンアクセス
    空間付けの時間表現に関する認知言語学的な研究においては、時間メタファー説が一般的であると思われる。しかしながら、中国語の特殊な時間表現を詳細に検討した一連の研究により、時間メタファー理論のみでは中国語の時間表現を完全に説明できない限界があることが明らかになったと考えられている。 この見解をさらに検証するため、異なる被験者グループを対象とした複数の認知実験を実施した。実験では、小説の内容が時間認知に与える影響についても検討した。時間認知に影響を及ぼす内的メカニズムを探求し、その背景にある原因を分析することにより、中国語の時間認知モデルの理論的枠組みをさらに発展させることにある。異なる被験者グループを対象とした認知実験と比較分析を通じて、中国語の時間認知の複雑性と多様性を明らかにし、認知言語学の分野に新たな視点と理論的支援を提供することを目指している。
  • 曽 勝香, 唐 磊
    2025 年19 巻 p. 41-50
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/02/15
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は地域研究の視点に立ち、日本の職場のメンタルヘルス政策に焦点を当て、KH Coder 3.0 を用いて語彙出現回数の集計及び共起ネットワーク分析を行う。また、政策過程理論の「場の理論」(Field Theory)を結びつけ、その政策体系の特徴を明らかにし、ディスコース分析を行う。結論として、日本は東アジアの「集団主義」の伝統的な文化と「官民連携」の経験に基づき、労働者を中心とする全過程にわたる政策体系を構築していることが判明された。政策の実施には、企業主導と専門家支援の連携という特徴が表れており、「政府導き・企業実行・医師保障」という構造を通じて措置を推進している。ディスコース戦略では、法律により義務を強化し、柔らかい表現で政策の柔軟性を保ち、規制の厳しさと支援の柔らかさとのバランスが維持されている。日本は東アジアの先進国として、その政策の実践は中国の職場のメンタルヘルス対策の探索に有益なアイディアを提供している。
  • 劉 蓓
    2025 年19 巻 p. 51-60
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/02/15
    ジャーナル オープンアクセス
    DeepSeekに代表されるAIツールは、教材内容を構造化して整理し、教案作成や教材準備の時間を効率化することが可能である。さらに、学習者に対する即時の評価フィードバックや個別学習支援を提供することで、教育効果の向上が期待される。しかしながら、AIの教育応用にはいくつかの課題が存在する。語彙理解や短文読解などの分野では一定の成果が認められるものの、文構成や長文読解においては処理精度に限界が見られる。また、出力内容の不安定性や、過度な依存による学習者の思考力低下という懸念も指摘されている。これらの課題を踏まえ、AIを教育現場で活用する際には、使用目的を明確に設定し、生成されたコンテンツを厳格に検証するプロセスが不可欠である。教育関係者や専門家が連携して適切な活用ガイドラインを策定し、教育目標との整合性を確保しながら、日本語教育におけるAIの効果的な応用を推進することが重要である。
  • 陳 雲哲, 許 慧晶, 張 炳蔚
    2025 年19 巻 p. 61-70
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/02/15
    ジャーナル オープンアクセス
    谷崎潤一郎は日本近代文学史における文学巨匠であり、数多くのすぐれた作品を創作した。その中には、中国古典と複雑且つ深刻な対話をなした「中国題材の作品群」が存在する。谷崎は中国との縁が深く、氏の中国への思い入れは、幼少期の中国古典文化による素養と二度にわたる中国旅行の体験に由来すると言える。谷崎潤一郎の作品には中国古典文化の要素が数多く見られ、重要な特色の一つとなっている。谷崎潤一郎の戯曲『蘇東坡』は、中国の歴史叙述と人物、逸話や典故、古典詩歌と典籍などを巧みに用いて、日本近代文人の眼に映った蘇東坡像を構築しており、中国古典文化に対する谷崎独自の解釈と再創作である。本稿は「間テクスト性」理論に基づき、本作と中国古典との関係を分析することによって、谷崎の中日文化の融合に対する深い理解と独特な表現を明らかにし、中日文学関係及び文学創作における文化的参照を理解するための新たな視点を提供したいと思う。
  • 宋 婷
    2025 年19 巻 p. 71-79
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/02/15
    ジャーナル オープンアクセス
    久坂部羊の代表作『老乱』は、認知症患者を抱える家庭における世代間コミュニケーションの困難を主題とした作品である。作中に描かれる世代間葛藤は主として三点に集約される。第一に、世代間の交流が困難となること。第二に、患者が「負担」として位置づけられることにより主体性を喪失し、対話が不可能となること。第三に、患者と介護者との認識の差異が衝突を招くことである。 これらの葛藤に対して、作品においては三つの和解の方法が提示されている。すなわち、書簡による交流、「共同記憶」による感情の喚起、そして患者とその病気を受け入れる介護者の姿勢である。これらの方法は、世代間関係改善の可能性を示すと同時に、認知症文学の語りの射程を広げていると言えよう。 総じて言えば、『老乱』は高齢化社会における家族倫理や世代間コミュニケーションの研究に新たな視座を提供し、認知症に対する社会的理解を深化させる上で重要な示唆を与えている。
  • 『セブンティーン』『我が涙』『水死』を中心に
    肖 氷氷
    2025 年19 巻 p. 81-88
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/02/15
    ジャーナル オープンアクセス
    大江健三郎はノーベル文学賞受賞者として、強い社会的責任感を持つ日本人作家である。大江文学の天皇制批判に関する既存研究では、作品における暴力叙述への分析が欠けている。本稿は『十七歳』(1961)、『みずからわが涙をぬぐいたまう日』(1971)、『水死』(2009)の三作品を対象に、ノルウェーの平和学者ヨハン・ガルトゥング(Johan Galtung)の提唱した暴力理論を援用し、大江作品における暴力叙述と天皇制批判のテーマとの関連性及びその変遷過程を体系的に析出する。研究は二つの核心的課題に焦点を当てる。第一に、三作品はどのような暴力叙述を通じて天皇制批判を実現しているのか。第二に、三作品における暴力叙述の通時的変遷は、作家の天皇制に対する認識の変化をどのように体現しているか。
  • 林 萍
    2025 年19 巻 p. 89-95
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/02/15
    ジャーナル オープンアクセス
    2016年、日本の現代作家である村田沙耶香は『コンビニ人間』を発表し、第155回芥川賞を受賞した。小説は多くの重要な場面で鏡像のメタファーを用い、主人公である古倉恵子と他者との間の複雑で動的な関係を暗示している。本論文では、ラカンの鏡像段階理論に基づき、作品テキストの分析と合わせて、恵子の自己同一性と疎外の展開過程を考察する。それを通じて、現代社会における「偽りの自我」の脆弱性と疎外の普遍性についての理解を深め、現代社会を生きる個人の生存苦境に示唆を提示できると考える。
  • 李 宏宇
    2025 年19 巻 p. 97-104
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/02/15
    ジャーナル オープンアクセス
    日本語の「月(つき)」は豊かなメタファー的意味を持っている。認知言語学の視点から見ると、メタファーは人間の認知メカニズムを反映している。認知言語学の重要な理論である概念ブレンディング理論は、概念ブレンディングネットワークを構築することにより、メタファー的意味の生成を有力に解釈している。本稿では、日本の文学作品から用例を選択し、概念ブレンディング理論を用いて、日本語の「月」のメタファー的意味とその形成過程を分析した。日本語の「月」のメタファー的意味は、多様性の中に共通性を備え、安定性の中で変化しており、客観的要因と主観的要因の双方の影響を受けている。
  • 映画『迎春花』の剣道を中心に
    林 楽青
    2025 年19 巻 p. 105-111
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/02/15
    ジャーナル オープンアクセス
    第二次世界大戦期、日本が主導した傀儡政権「満洲国」は、「大東亜共栄」の統治理念を宣伝するために「満洲映画協会」(以下、満映)を設立した。満映は八年間に千本を超える映画を製作し、その一例が『迎春花』である。本稿の研究目的は、当該作品に表象される日本文化要素「剣道」を分析対象とし、比較分析の方法を通じてその象徴的意義および機能を明らかにする点にある。さらに、かかる検討を通じて戦時下における日本文化の伝播経路とその影響を体系的に解明することを志向する。
  • 物語の構造と人物像を中心に
    艾 文婷
    2025 年19 巻 p. 113-132
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/02/15
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は、映画「生きる」(黒澤明、1952年)の主人公渡辺勘治と「活きる」(張芸謀、1994年)の主人公福貴における死生観の相違点に注目する。前者が生きている実感や意識を持ちながら、生命の意義という人間の存在の意味を追求するのに対し、後者は1940年代の国共内戦から1970年代の文化大革命までを歴史的背景として、民衆としての個人が生き抜いていく物語を描く。両作品はいずれも生と死に対する深い問いを中心に物語が展開されるが、映画の表現方法や文化的背景などの要素を通して、物語の構造における多層的な時間の構成および人物像の変化を考察することを目的とする。本稿の比較を通じて、日中映画における死と生の表象の異同が浮き彫りになり、同時にその普遍性と多様性が明らかとなる。
feedback
Top