日大医学雑誌
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70 巻, 4 号
日大医学雑誌
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画像診断シリーズ
原著
  • 益子 貴行, 小沼 憲祥, 麦島 秀雄, 松本 太郎
    2011 年 70 巻 4 号 p. 197-202
    発行日: 2011/08/01
    公開日: 2013/10/20
    ジャーナル フリー
    ハブ毒は強力な蛋白融解活性を有することが知られている.今回,ハブ毒静脈内投与による腸管絨毛傷害モデルマウスの作成を試みるとともに,このモデルを用いて腸管上皮再生における骨髄由来細胞の関与を検討した.各種濃度のハブ毒を C57BL/6 マウス尾静脈より投与し,用量―反応試験を行った結果,2.1 mg/kg ハブ毒投与によって,可逆性の腸管絨毛傷害を再現性よく惹起できることが明らかになった.次に GFP マウス骨髄細胞を移植したマウスに対し,ハブ毒を投与して腸管傷害を惹起し,再生絨毛上皮に存在する GFP 陽性細胞を組織学的に検討した.その結果, 再生上皮に存在する GFP 陽性細胞はハブ毒投与 3, 7 日後に有意な増加を認めた.骨髄由来で上皮細胞に分化したと考えられる (GFP 陽性CD45 陰性) 細胞もハブ毒投与後に一過性増加が認められたが,上皮細胞に占める割合は 1%以下であった.以上の結果より骨髄由来細胞は腸管絨毛傷害時の上皮再生過程に一部寄与する可能性が示唆された.
  • 平山 優子, 大津 智香子, 小松 有紀子, 芳野 緑, 石井 敬基, 間崎 武郎, 村井 一郎
    2011 年 70 巻 4 号 p. 203-207
    発行日: 2011/08/01
    公開日: 2013/10/20
    ジャーナル フリー
    在院日数を指標とし Mini-Nutritional Assessment-Short Form (MNA-SF) による入院時栄養評価の有用性を検討した.2010 年 5 月 (31 日間) に日本大学医学部付属練馬光が丘病院の小児科をのぞく総ての診療科に入院した 65 歳以上の患者 236 名を対象にした.従来アセスメント [BMI, 血清アルブミン (Alb), 総コレステロール (TC), コリンエステラーゼ (ChE),リンパ球数] と MNA-SF の両方で栄養評価を行い,平均在院日数 (14 日) 以上となる可能性を比較し,MNA-SF スクリーニング値と従来アセスメントの評価項目との相関を検討した.MNA-SF の評価項目で在院日数 14 日以上となるリスク因子を抽出した.在院日数 14 日以上となる可能性は,MNA-SFは従来アセスメントと同程度に評価可能であった.従来アセスメントの評価項目と MNA-SF スクリーニング値は相関を示した.在院日数に最も影響する MNA-SF の評価項目は歩行状況であった.MNA-SF は在院日数を指標とした入院時栄養評価に有用であり,入院時の歩行状況は在院日数に影響する可能性が示唆された.
症例報告
  • 松野 高久, 加納 久雄, 木田 和利, 吹野 信忠, 川崎 篤史, 三松 謙司, 久保井 洋一, 大井田 尚継
    2011 年 70 巻 4 号 p. 208-211
    発行日: 2011/08/01
    公開日: 2013/10/20
    ジャーナル フリー
    今回我々は,2 ヶ所の腸管脱出,嵌頓壊死を起こした巨大臍ヘルニアを経験した.症例は 63 歳女性.2011 年 3 月 1 日より臍部の膨隆,疼痛が出現したため,当院受診した.精査にて臍ヘルニア嵌頓,腸管壊死穿孔,汎発性腹膜炎と診断し,緊急手術を施行した.2 ヶ所の小腸の絞扼を認め,1 ヶ所が穿孔していた.計 150 cm の広範小腸切除,回盲部切除を行った.臍ヘルニアは中高年の女性に好発する比較的稀な疾患である.また複数ヶ所の嵌頓を起こすことは非常に稀である.慢性的ヘルニアの存在は,長期的には非嵌納となった場合には,複数ヶ所の腸管脱出の可能性が高まるため,症状出現時には早期の加療が必要であると考えられた.
  • 瀬在 明, 秋山 謙次, 福島 聖二, 柏崎 暁, 高坂 彩子, 塩野 元美, 高木 康博, 永島 正明, 田中 俊行, 八幡 貴治, 渡辺 ...
    2011 年 70 巻 4 号 p. 212-216
    発行日: 2011/08/01
    公開日: 2013/10/20
    ジャーナル フリー
    国内での 90 歳代の患者に対する心臓手術は極めてまれであるが,海外の報告でもその死亡率,合併症発生率は高いといわれている.今回,重度大動脈弁狭窄症の 90 歳の患者に対し,大動脈弁置換術を行い,良好な結果を得た症例を経験したので報告する.呼吸困難を主訴に緊急入院し,重度大動脈弁狭窄症と診断された.うっ血性心不全治療後に大動脈弁置換術を行ったが,術後,下肢の筋力低下を認めたものの,リハビリにより独歩退院できた.
  • 前岡 瑛里, 池田 太郎, 古屋 武史, 星 玲奈, 橋本 真, 渡邉 揚介, 蘇我 晶子, 南郷 容子, 金田 英秀, 大橋 研介, 井上 ...
    2011 年 70 巻 4 号 p. 217-220
    発行日: 2011/08/01
    公開日: 2013/10/20
    ジャーナル フリー
    急性膵炎にて発症した先天性胆道拡張症の一例を経験したので報告する.症例は 8 歳,女児.腹痛を主訴に来院した.血液検査と画像所見より,急性膵炎および先天性胆道拡張症と診断して治療を開始した.急性膵炎に対しては絶飲食と補液,蛋白分解酵素阻害剤および抗生剤を投与による保存的治療を開始した.腹部症状・膵酵素の改善が認められたのちに,再発予防として成分栄養剤 (ED) による経腸栄養管理を行い,入院 28 日目に先天性胆道拡張症に対して肝外胆道切除・肝管空腸吻合術を施行した.術後経過は良好であり,術後 15 日目に退院となった.小児における急性膵炎では先天性胆道拡張症は主因の一つと考えられ,膵炎で発症した症例では膵炎の再発・再燃を防ぐためにも早期に根治術を行う事が必要であり,急性膵炎に対してはそれらを念頭に管理を行うことが肝要であると考える.
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