日大医学雑誌
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72 巻, 1 号
日大医学雑誌
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画像診断シリーズ
総説
  • ―白内障手術における術野の 0.25%ポビドンヨード術中洗浄による感染症予防―
    島田 宏之
    2013 年 72 巻 1 号 p. 4-10
    発行日: 2013/02/01
    公開日: 2014/11/30
    ジャーナル フリー
    健常人の結膜には常在細菌が 60~98%の例で検出される.眼瞼や眼表面をポビドンヨード消毒,手術中に術野を生理食塩水で物理的に洗浄するだけでは,結膜常在菌を 20%程度までしか軽減することしかできない.この眼表面の細菌が器具などを介して眼内に迷入するため,白内障手術では眼内炎を 1/2,000 件 (0.05%) で生じる.眼内炎は最も重篤な術後合併症であり,適切な治療を行っても視力予後が不良な例は少なくない.眼組織に安全で殺菌効果の高いポビドンヨード濃度は 0.05~0.5%とされている.これらの基礎データをもとに,我々は0.25%ポビドンヨードで眼手術の際に術野を繰り返し洗浄することで 「術野を一時的に無菌化」 させる方法を考案した.従来のような生理食塩水で術野の細菌を物理的に洗浄する効果と,ポビドンヨードの殺菌効果を加えた洗浄方法である.これまでに多数の眼内手術にこの消毒法を用いてきたが,眼内炎発症はなく,角膜障害などの眼合併症もない.この方法は,簡便かつ安価に行え,耐性菌誘発の心配もない感染症予防法である.
原著
  • 宮本 昭彦, 渡辺 重行
    2013 年 72 巻 1 号 p. 11-18
    発行日: 2013/02/01
    公開日: 2014/11/30
    ジャーナル フリー
    2007 年に,宮本は,咽頭後壁を丹念に視診する事により,インフルエンザ濾胞を発見し,インフルエンザを早期に診断する事が可能である事を示した19).2009-2010 年の A/H1N1 2009 死亡者は,米国で約12,500 人に対して,日本では 198 例のみで (死亡率:約1/25),世界各国の中でも,日本での死亡率が非常に低かった.本邦の例では,発症後 12 時間以内に 3 割,24時間以内に 7 割,48 時間以内に 9 割がノイラミニダーゼ阻害薬を開始していたが,他国では 48 時間以内の同薬剤投与は 1 割である.早期診断と適切な治療の開始が生死を分けていると言える.Miyamoto らは,2009 年 8-10月の A/H1N1 2009 の 23 例について,観察者間のデータ信頼性 (κ) を示し,「インフルエンザ濾胞」 が従来の迅速検査に比べ感度・特異性も高い事を示した (第一期) 4).本稿では 2009 年 11 月から 2010 年 1 月 (第二期) のインフルエンザ患者 87 例について (第一期と第二期を合わせ110 例) 検討した.2 歳~82 歳 (17.7 ± 13.1 歳,中央値 14 歳) の患者が (発熱から受診までの時間が 1~48 時間,11.8 ± 8.4,中央値 12 時間),超急性期の 3 時間以内が16 例含まれる中で,インフルエンザの診断が可能であった.87 例中,初診日迅速検査陰性が 10 例,この内 8 例は初診から 2 日目に迅速検査が陽性となり,2 例は 3 日目に陽性となった.87 例中,初診日にインフルエンザ濾胞を認めない患者が 1 例あった.第二期の症例の中で,発熱から 3 時間以内という超早期の患者を診察するようになった結果,従来の Definitive influenza follicles よりも更に小さい微小な濾胞が観察された.インフルエンザ濾胞は,迅速検査が陰性の超急性期であってもインフルエンザの診断が可能であった.    理学的所見は,臨床検査・機器の進歩の中においても不変的に重要である.
  • 有馬 健, 古市 知広, 河野 通, 相澤 芳裕, 細渕 尚子, 菊池 学, 長尾 建, 平山 篤志
    2013 年 72 巻 1 号 p. 19-25
    発行日: 2013/02/01
    公開日: 2014/11/30
    ジャーナル フリー
    我々は,マイクロカテーテル (MC) をターゲットとして,慢性閉塞性病変 (CTO) のワイヤー通過を行うMicro Catheter Target Method (MC Target 法) を考案しPCI に成功した.症例は 70 歳代男性,右冠動脈 AHA segment 2-3 の CTO 病変で,順行性の MC (ASAHI Corsair) を seg. 2 の CTO 内に持ち込み,その先端に向け,逆行性にトルク伝達性が非常に高いガイドワイヤーである ASAHI Gaia Second を進めると,ガイドワイヤー先端は困難なく Corsair 表面に到達した.そして Gaia Second を極めて滑りが良い Corsair の表面を滑らせる様に進めると CTO 近位側の seg. 2 真腔内に容易に到達した.MC target 法は,簡便であり reverse CART (controlled antegrade retrograde tracking) 法を行う前に試みる価値のある方法と考えられた.
症例報告
  • 中田 中泰彦, 中島 洋介, 窪田 信行, 海賀 照夫, 間宮 孝夫, 三原 良明, 山崎 洋子, 神野 大乗, 小林 槇雄, 宮田 隆, ...
    2013 年 72 巻 1 号 p. 26-29
    発行日: 2013/02/01
    公開日: 2014/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は 50 歳女性,平成 5 年より全大腸炎型の潰瘍性大腸炎の診断で治療を継続していた.平成 19 年以降は 5-ASA 製剤の単独投与で寛解していたが急性増悪し,中毒性巨大結腸症,穿孔を合併し緊急手術を施行した.中毒性巨大結腸症は高率に穿孔を発症し,穿孔症例の死亡率は 20-40%であるため手術のタイミングを適切に判断することが重要である.また長期経過した全大腸炎型の潰瘍性大腸炎は癌化のリスクが高くなるため,二期手術の時期や術式について慎重に判断しなければならない.
教授就任講演
同窓会学術奨励賞受賞講演
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