日大医学雑誌
Online ISSN : 1884-0779
Print ISSN : 0029-0424
ISSN-L : 0029-0424
72 巻, 6 号
日大医学雑誌
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
画像診断シリーズ
総説
原著
  • 猪野 崇, 秦 光賢, 本間 琢, 中田 金一, 谷口 由樹, 折目 由紀彦, 秋山 謙次, 三俣 昌子, 塩野 元美
    2013 年 72 巻 6 号 p. 312-319
    発行日: 2013/12/01
    公開日: 2014/12/30
    ジャーナル フリー
    目的: 今回我々は大動脈外科における新しい 脳保護法及び体外循環法として軽度低体温循環停止・急速冷却復温法を考案した.従来法は,20°C の超低体温とし,復温も緩徐に行うことが一般的であった.我々は 28°C の軽度低体温・循環停止からの急速な温度変化によっ ても脳に対して影響しないと推測し,実験的検討を行った.方法:体重,約 40 kg のブタを用いて完全体外循環モデルを作成し,実験モデルを以下の 3 群 (各 n = 10) に分類した.A 群:直腸温 20°C の高度低体温で 20 分間の循環停止後,直腸温と人工心肺送血温の差を 5°C 以内に保ち,緩徐に 37°C まで復温する.B 群:28°C の軽度低体温で 20 分の循環停止後 A 群と同様に復温する. C 群:28°C 軽度低体温で 20 分の循環停止度後,38°C に加温した血液を送血することにより急速に復温する.人工心肺開始前,冷却完了時,復温開始時,復温完了時の 4 時点における血液生化学検査,CK-BB, S-100 及び脳組織血流,脳酸素分圧,頸静脈酸素飽和度について比較検討し,実験終了時に大脳皮質・海馬組織を採取し,病理学的に検討した.結果: 血小板数は復温完了時において A 群 が他の 2 群に比較し有意に低値であった.各測定時において BUN, Cr は群間に有意差はなかったが,復温完了時において AST は C 群が他の 2 群に比して有意に低値であり,LDH は A 群が他の 2 群と比較して有意に高値であった.CK-BB, S-100 は血中,髄液中ともに A 群が他の 2 群と比較して有意に高値であった.脳組織血流量は冷却完了時,復温開始時,復温完了時において A 群が他の 2 群と比較して有意に低値であった.脳酸素分圧に関しては復温開始時において,A 群が他の 2 群と比較して有意に低値であった.脳組織における細胞変性数は 3 群間で有意差は認められなかった.結論:28°C の軽度低体温循環停止に続く急速復温法は脳組織に対する影響は少なく,血液凝固障害の予防のためにもより有効な方法であると考えられた.
  • 高世 秀仁, 桑名 斉, 岡安 大仁
    2013 年 72 巻 6 号 p. 320-325
    発行日: 2013/12/01
    公開日: 2014/12/30
    ジャーナル フリー
    介護療養病床における終末期高齢者に対する皮下輸液の効果を静脈輸液と比較して検討した.対象は2007 年から 2010 年に介護療養病床で終末期に輸液治療をおこない死亡退院した 92 例. 基礎疾患は脳血管疾患 48 例 (52.2%),認知症 11 例 (12.0%),悪性腫瘍 5 例 (5.4%).皮下輸液 (HDC) 群と静脈輸液 (IV) 群で終末期の輸液期間,輸液量,臨床経過を後ろ向きに検討した.HDC 群24 例,年齢の中央値 85 歳,IV 群 68 例,年齢 84 歳.HDC 群で基礎疾患に認知症が多かったが,死因は有意差を認めなかった.輸液期間は HDC 群 36.5 (5-107) 日,IV 群 34.5 (3-158) 日で有意差なく,輸液量は HDC 群 500 (250-700) ml /日,IV 群 750 (500-1200) ml /日でHDC 群が有意に少なかった.下肢,背部等の浮腫はHDC 群の 9 例 (7.5%),IV 群の 39 例 (57.4%) に認めたが有意差はなかった.両群とも穿刺部の腫脹,発赤,疼痛,感染などの有害事象はなく,IV 例 10 例で静脈確保が困難で皮下輸液に変更した.介護療養病床における終末期高齢者に対する皮下輸液は静脈輸液と同等の延命効果と安全性を認めた.
  • Shishikura Fumio
    2013 年 72 巻 6 号 p. 326-334
    発行日: 2013/12/01
    公開日: 2014/12/30
    ジャーナル フリー
    The author previously established a molecular tree based on the cDNA-derived primary structures of globins in two giant tortoises, Geochelone nigra and G. gigantea. The divergence time was estimated to be 15-21 million years ago. In the present study, the author reexamined the divergence time of these two species using another source of genetic information--globin-introns--including those from the Chaco tortoise (G. chilensis), a close relative of G. nigra. The previously determined divergence time was supported by the findings of this intron study. However, the inter-relationships based on the intron nucleotide sequences of the globins from the three Geochelone species remain controversial, because it is difficult to determine which of the three is the ancestral species. In addition, the nucleotide sequences reveal the following interesting characteristics: (1) an abnormal GC dinucleotide sequence located at the 5'-splicing site of the second intron of αD globins instead of a consensus GT--this finding is common to all studied Geochelone species; (2) a repeated sequence 5'-GCCCCGCGCCCCGC-3' found only in the first intron of the G. nigra a A globin gene, is a unique feature distinguishing the Galapagos giant tor-toise from the other Geochelone tortoises that have non-repeated GCCCCGC sequences.
feedback
Top