日大医学雑誌
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76 巻, 1 号
日大医学雑誌
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
巻頭言
感染症シリーズ
特集
  • 武井 正美
    2017 年 76 巻 1 号 p. 7
    発行日: 2017/02/01
    公開日: 2017/03/21
    ジャーナル フリー
  • 八田 善弘
    2017 年 76 巻 1 号 p. 8-10
    発行日: 2017/02/01
    公開日: 2017/03/21
    ジャーナル フリー
    免疫チェックポイントは本来は,過剰な免疫応答を起こさないようにするnegative feedback 機構である.しかし,一部の癌腫はこの機構を利用して免疫逃避を行っている.この機序に関与するT 細胞上のCTLA-4,PD-1,および腫瘍細胞に発現しているPD-1 のリガンドであるPD-L1 に対する抗体が開発され一部は臨床応用が始まっている.これらの免疫チェックポイント阻害薬はがん治療の方向性を大きく変えつつあるが,今後はどのような症例に効果が現れるのかを見極め,適切に使用していくことが求められる.
  • 小林 寿美子
    2017 年 76 巻 1 号 p. 11-14
    発行日: 2017/02/01
    公開日: 2017/03/21
    ジャーナル フリー
    進行がんの新規腫瘍免疫領域として制御性T 細胞の除去治療が期待されている.始まりは自己免疫疾患やアレルギーや造血幹細胞移植後において制御性T細胞の誘導はそれぞれの病態を改善することであったが,腫瘍領域においては,この細胞群は真逆に機能していることが判明した.これにより腫瘍内に浸潤しているあるいは周辺に存在するこの細胞群を除去することにより腫瘍免疫を高めることがわかってきた.これとは別に膠原病において,T 細胞やサイトカインの減弱による病態改善として多くの抗体やタンパク製剤が使用可能となっている中で,新たにB 細胞を直接間接的に制御することにより病態改善が期待できることもわかってきた.T 細胞,B 細胞の制御によるそれぞれ新たな免疫担当細胞の制御がさらに重要になってきた.
  • 三浦 勝浩
    2017 年 76 巻 1 号 p. 15-18
    発行日: 2017/02/01
    公開日: 2017/03/21
    ジャーナル フリー
    抗体薬物複合体antibody-drug conjugates (ADC) は主にがん治療に用いられる新しいクラスの治療薬である.抗原特異的なモノクローナル抗体を利用して強力な殺細胞薬を選択的に腫瘍細胞に作用させるアイディアは古くからあったが,抗体作成技術や抗体と殺細胞薬を共役させるリンカーの開発により,近年になり臨床応用が可能となった.ADC はCD33 陽性急性骨髄性白血病治療薬であるgemtuzumab ozogamicin をはじめ,近年ではホジキンリンパ腫および全身性未分化大細胞型リンパ腫治療薬であるbrentuximab vedotin とヒト上皮成長因子受容体2 陽性乳がん治療薬であるtrastuzumab emtansine (T-DM1) と相次いで上市されその効果が評価されている.ADC はさらに現在多くの薬剤が各開発段階にあり,今後がん治療における重要な役割が期待されている.
  • 入山 規良
    2017 年 76 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 2017/02/01
    公開日: 2017/03/21
    ジャーナル フリー
    様々な悪性腫瘍において宿主の免疫能が治療効果や予後に重要であることは知られている.悪性疾患のうち,造血器悪性疾患においては化学療法が治療の主体であり,抗癌剤や分子標的薬を用いて根治もしくは病勢コントロールを図る疾患が多い.分子標的薬の開発による治療の進歩はめざましいが,近年はさらに免疫チェックポイントを標的とした免疫制御療法が開発され臨床応用,もしくは開発が進んでいる状況である.免疫制御を意図した薬剤は抗体製剤が主体であり,小分子化合物において免疫効果を高めることを意図して開発されたものは皆無である.しかしながら,小分子化合物において抗腫瘍効果とはまた別に,副次的な効果として免疫活性化作用が認められ,治療効果と関連することが知られている薬剤がある.多発性骨髄腫における immunomodulatory drugs であるサリドマイド,レナリドミド,ポマリドミドおよびフィラデルフィア染色体陽性白血病に対するダサチニブがそれに該当する.これらの薬剤の免疫制御作用は基礎的な研究結果の裏づけだけではなく,臨床的にも意義が見出され,現在では一般的な知見とされている.ここでは,これらの薬剤における基礎的な免疫制御作用および臨床的意義について概説する.
  • 北村 登
    2017 年 76 巻 1 号 p. 24-27
    発行日: 2017/02/01
    公開日: 2017/03/21
    ジャーナル フリー
    免疫抑制薬は副腎皮質ステロイド薬での治療で不十分な時に使用されていたが,近年は生物学的製剤や分子標的製剤も加わり,それぞれの疾患において使用法が報告され効果を挙げている.現在リウマチ膠原病疾患において使用される免疫抑制薬は,合成免疫抑制薬,生物学的製剤,低分子標的製剤に大別でき,合成免疫抑制薬は,シクロフォスファミド,アザチオプリン,メソトレキサート(MTX),シクロスポリン,タクロリムス,ミコフェノール酸モフェチル(MMF),ミゾリビン等が,生物学的製剤はTNFα 阻害薬,IL-6 阻害薬,CTLA-4-Ig,CD20 阻害薬が,低分子標的製剤はJAK 阻害薬であるトファシチニブが使用されている.各疾患別では,全身性エリテマトーデスはシクロフォスファミドやMMF が第一選択薬でタクロリムスやミゾリビンも用いられる.関節リウマチはMTX がアンカードラッグとして使用されるが,現在はTNFα 阻害薬,IL-6 阻害薬,CTLA-4-Ig も積極的に使われる.低分子標的製剤のトファシチニブも使用されるが,有害事象管理の観点から,まだ使用頻度は多くない.間質性肺炎合併の皮膚筋炎/ 多発性筋炎はタクロリムスやシクロフォスファミドパルス療法が効果的である.その他の膠原病にも使用されるが,エビデンスレベルに至らないものもあり,今後の研究に期待される.
  • 小林 ひとみ, 武井 正美
    2017 年 76 巻 1 号 p. 28-30
    発行日: 2017/02/01
    公開日: 2017/03/21
    ジャーナル フリー
    補体系は先天性免疫の中心的要素であり,先天性免疫応答と適応免疫応答の橋渡しを行っている.しかし補体系はその破壊力を宿主細胞に向けることもあり,さまざまな疾患および病態に関与している.補体系の調節は薬物探索の有望な方法と認識されており,治療方法が多数開発されてきた.2007 年3 月に米国食品医薬品局が初めて承認した補体特異的薬物である抗補体成分C5 抗体(エクリズマブ;ソリリス)は,この分野で長く待ち望まれていた突破口であった.エクリズマブは,抗C5 ヒト化モノクローナル抗体で,補体C5 に高親和性を示し,C5 からC5a,C5b への開裂を阻害することにより,終末補体活性化経路を完全に阻止し,溶血に対する劇的な抑制効果が示され,夜間発作性血色素尿症の治療の中心となった.また一方,補体制御異常による非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS) の中心的治療として注目されている.本稿では,aHUS の診断からエクリズマブの治療の最近の知見について述べる.
  • 藤田 英樹
    2017 年 76 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 2017/02/01
    公開日: 2017/03/21
    ジャーナル フリー
    乾癬はT 細胞性免疫に基づく慢性炎症性皮膚疾患である.これまで乾癬における免疫制御療法にT細胞機能を広汎に抑制するシクロスポリンが使用されてきた.近年,免疫反応に関係するサイトカインをターゲットとした生物学的製剤が多数登場し,すでに臨床の場で使用されているとともに新規薬剤の開発も進んでいる.TNF-α 阻害薬はそのような生物学的製剤としての成功例であるが,より最近の生物学的製剤は乾癬の免疫反応の中心をなすIL-23/Th17 の経路をターゲットとしている.IL-12/23p40 阻害薬のウステキヌマブやIL-17 阻害薬のセクキヌマブ・イキセキツマブ・ブロダルマブは乾癬に対して優れた効果が証明され,本邦でもすでに乾癬に対して承認済みである.本稿では乾癬の免疫制御療法の発展を,その病態理解の進歩とともに解説する.
  • 権 寧博, 丸岡 秀一郎, 伊藤 玲子, 橋本 修
    2017 年 76 巻 1 号 p. 36-39
    発行日: 2017/02/01
    公開日: 2017/03/21
    ジャーナル フリー
    肺は外界に開かれた臓器であり,様々な環境刺激に暴露されるという特性を有している.よって,複雑な免疫機構の制御異常は,環境ストレスに対する過剰な生体応答,または,脆弱性をもたらし,様々な呼吸器疾患の発症や病態の進行と深く係わっている.近年,抗体産生や細胞性免疫を制御する複数の治療法が治療オプションとして臨床に登場し,呼吸器疾患の新たな治療法として注目されている.本稿では,アレルギーの根治療法の一つであるアレルゲン免疫療法,膠原病や血管炎を原因として間質性肺炎を呈する難知性病態に対する rituximab の使用,さらに,肺癌に対する免疫チェックポイント阻害薬の最近の知見について概説する.
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