日本内分泌外科学会雑誌
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目次
編集委員会
特集1
特集2
症例報告
  • 林 優花, 三島 英行, 伊藤 吾子, 八代 享
    2025 年42 巻3 号 p. 178-182
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/17
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    甲状腺・副甲状腺手術において反回神経麻痺は重大な合併症のひとつであり,術前より片側声帯麻痺を認める症例では,手術により非麻痺側の反回神経麻痺が生じた際に一時的であっても気管切開を必要とする可能性が高くなり,患者のQOLに大きく影響する。そのため手術による両側声帯麻痺を避けるために,術前の声帯評価は必須であり,術中神経モニタリングによる反回神経,迷走神経の同定,健全性の確認が必要不可欠である。術前評価において声帯麻痺を認める場合,多くは腫瘍性であるが,10%から37%程度の割合で誘因なく一側性あるいは両側性に特発性声帯麻痺を認めることがある。バセドウ病術前に片側の特発性声帯麻痺を認めたが4カ月後に自然改善を確認し手術を施行した症例を経験した。特発性声帯麻痺の回復例の多くは6カ月以内に自然回復するといわれており,術前評価において特発性声帯麻痺が疑われた場合,待機手術が可能な場合には手術を延期し,経時的声帯評価が望まれる。また声帯評価には超音波検査が非侵襲的でありスクリーニング検査として有用である。

  • 五月女 恵一, 齋藤 慶幸, 加藤 良平, 前田 日菜子, 柳澤 貴子, 原田 優香, 前 ゆうき, 小木曽 匡, 迫 裕之, 矢部 信成, ...
    2025 年42 巻3 号 p. 183-189
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/17
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    甲状腺腫瘍に対する穿刺吸引細胞診(fine needle aspiration cytology:FNAC)後に,稀に梗塞壊死をきたす症例があることは知られている。今回,FNAC後腫瘍全体が梗塞壊死していた膨大細胞腺腫の1例を経験した。症例は38歳女性。左葉腫瘤に対し,前医のFNACにて膨大細胞腫瘍(oncocytic neoplasm:OCN)と判明した。FNACから38日後に突然左頸部から顔面,前胸部にかけて高度な疼痛が出現した。FNAC後51日目に腋窩アプローチにて内視鏡下甲状腺左葉切除を施行した。反回神経は容易に露出可能で,安全に完遂できた。組織学的に広範な凝固壊死にてviableな腫瘍細胞は認められないが,最終診断としては「凝固壊死を伴う膨大細胞腺腫」であった。FNAC後に腫瘍の梗塞壊死が生じることがあり,頸部症状の発現があった場合は,念頭に置く必要があると考えられた。

  • 葛山 堅斗, 佐藤 伸也, 辰島 大介, 福田 高士, 森 祐輔, 橘 正剛, 進藤 久和, 高橋 広, 永山 雄二, 武 伸行, 永田 旭 ...
    2025 年42 巻3 号 p. 190-195
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/17
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    甲状腺乳頭癌リンパ節再発の上縦隔郭清後に,右リンパ管の遅発性損傷によって右胸水貯留を生じた1例を経験したので報告する。症例は54歳女性。甲状腺乳頭癌に対して,前医にて甲状腺全摘術およびD3b郭清術を施行されたが,術後リンパ節再発を指摘され当院紹介受診となった。術前検査では右鎖骨裏に最大径4cmの転移リンパ節を認め,その他多数のリンパ節腫脹を認めた。明らかな遠隔転移は認めなかった。右外側区域および上縦隔のリンパ郭清を施行し,術後病理結果では複数のリンパ節が転移陽性でありpN1b-2の診断であった。術後11日目に退院となったが,術後3カ月目に呼吸困難が出現し外来受診。右胸水の貯留を認め,入院後ドレナージを行った。胸水は漿液性で,乳糜漏や再発を疑う所見は認めなかった。右手第1-2,第4-5指間からリンパ管シンチグラフィを施行し,右静脈角付近でリンパ漏を生じ,右胸腔内に流入している所見を認めた。その後,胸膜癒着術にて症状は改善した。

  • 丹羽 隆善, 山下 智, 小西 孝明, 良本 貴子, 森園 亜里紗, 原田 真悠水, 笹原 麻子, 佐藤 綾花, 市田 晃彦, 阿部 浩幸, ...
    2025 年42 巻3 号 p. 196-202
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/17
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    甲状腺機能亢進症の治療薬であるメチマゾール(Methimazole;以下MMI)とプロピルチオウラシル(Propylthiouracil;以下PTU)には無顆粒球症など多くの有害事象が知られている。薬剤性肝障害は両薬剤ともにみられるが,PTUによる薬剤性肝障害はより重篤であり,肝移植を要した症例や死亡例が報告されている。

    われわれは,再燃したBasedow病に対してMMI再投与開始から7カ月の経過で劇症肝炎を発症し,生体部分肝移植,甲状腺全摘出術を実施した症例を経験したので報告する。

    MMIによる薬剤性劇症肝炎の報告は少ないが,その他肝障害を惹起する因子や併存疾患はみられなかったため,MMIが劇症肝炎の一因となった可能性が高いと推察している。

  • 福間 佑菜, 野村 長久, 景山 千幸, 常 梓, 三上 剛司, 緒方 良平, 小池 良和, 岩本 高行, 田中 克浩, 平 成人
    2025 年42 巻3 号 p. 203-207
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/17
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    咽頭食道憩室は比較的稀な疾患であり,甲状腺腫瘍と誤診される場合がある。甲状腺腫瘍で紹介となったが,超音波検査で咽頭食道憩室と診断した2例を経験したので報告する。

    症例1は59歳男性,甲状腺右葉腫瘤で紹介された。頸部超音波検査では甲状腺右葉下極に埋没する10mm大,境界明瞭平滑,等エコーの腫瘤様病変を認めた。病変辺縁には低エコー帯を認め,食道憩室と診断した。症例2は55歳男性,CT検査で甲状腺左葉腫瘤を認め,紹介された。頸部超音波検査で左葉下極から気管近傍に33mm大,境界明瞭平滑,内部に点状高エコーを伴う等エコーの腫瘤性病変を認める。病変辺縁には低エコー帯を伴い,食道憩室と診断した。2症例とも偶然にもCT検査が施行されており,頸部食道憩室に合致した所見であることが確認できた。咽頭食道憩室の診断に頸部超音波検査は極めて有用で,病変辺縁の低エコー帯といった特有の所見を認めれば,超音波検査のみで本疾患を疑うことが可能であり,不要な検査が回避できると考える。

臨床経験
  • 福田 恭彦, 笹井 久徳, 小池 良典, 大西 恵子
    2025 年42 巻3 号 p. 208-212
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/17
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    症例は70代の男性。X年1月に右腎細胞癌に対して右腎摘出術を施行した。その後,X+8年より甲状腺左葉に結節が指摘され経過観察となっていた。しかし,X+14年8月の胸部CTにおいて,甲状腺左葉の結節が5cmに増大し,さらに左頸部にリンパ節腫大を認めたため,当科紹介となった。甲状腺およびリンパ節に対して穿刺吸引細胞診,免疫染色を施行したところ,いずれも腎細胞癌の転移を疑う所見が得られた。X+14年9月に,甲状腺左葉峡部摘出術および左D2b郭清を施行し,術後経過は良好であった。術後病理検査では淡明細胞型腎細胞癌の診断であり,左頸部リンパ節からも腎細胞癌の転移が認められた。

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