Simon(1952)はその論文の中で、Homans(1950)が現場研究の結果の整理から提案した社会集団についての理論の数理モデルを設定し、その理論の正当化を検討している。ここでは、PMリーダーシップ論(performance-maintenance theory of leadership)の結果を付加し、そのモデルを書き替えることを試みる。
ここでの理論は定性的なものであり、そこで議論すべきは集団研究のPM理論において、集団の目標達成に直接結び付かないM行動を含むリーダーのPM型リーダーシップが、P行動単独のリーダーシップよりも生産性が高いのは何故か? また長期的な集団活動においてはM行動がP行動よりも優れている場合がおおいのは何故か? という疑問に答えようとするものである。(ここでP行動とは集団の目標達成に直接結び付くと考えられるリーダーの行動を意味し、それとは逆に、M行動とは集団の目標に直接結び付かないリーダーの行動を指す。)
集団行動の理論モデルであるとすれば、すくなくとも、これらの現場からの解を満足するような均衡解の存在を示しておく必要があると考えられる。本稿では、この問題に対する解答を与えることを目的として議論をすすめている。
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