理論と方法
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10 巻, 1 号
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原著論文
  • 岡太 彬訓, 岩本 健良
    1995 年 10 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 1995/05/01
    公開日: 2016/08/26
    ジャーナル フリー
     日本の各都道府県の高等学校から各都道府県の大学への進学者数を分析し、大学への進学移動における都道府県間の関連を明らかにした。このために共通1次試験実施前・後各4年の「学校基本調査」のデータを用い、非対称クラスター分析法を適用して分析した。ここで用いた非対称クラスター分析法は、従来の非対称クラスター分析法にない2つの特長を備えている。第1は、都道府県間の非対称な進学流動関係を樹状図で表現できることである。第2は、自県内の進学者も自己類似度に基づく単独のクラスターを構成できることにより、同時に分析が可能なことである。分析の結果、共通1次試験実施前・後で大きな差異は認められず、共通1次試験実施による都道府県間の関連には大きな変化がないことを示した。共通1次試験実施前・後の分析結果での主要な差異は次の2点であった。(a)実施前は、東京、京都、大阪、愛知を中心とする4個の進学の勢力圏(大阪、愛知の勢力圏は極めて小さい)の存在を示唆したが、実施後は、東京、京都を中心とする2個の進学の勢力圏の存在を示唆した。ただし、東京の勢力圏と京都の勢力圏を比べると、前者が圧倒的に大きいことは実施前・後で変らない。(b)実施後は、自県内への進学志向の強い県が増加した。
  • ―ブール代数を用いたフォーマライゼーション―
    太郎丸 博
    1995 年 10 巻 1 号 p. 15-30
    発行日: 1995/05/01
    公開日: 2016/08/26
    ジャーナル フリー
     オイゲン・エールリッヒの著作『権利能力論』は、権利を論じた古典的な著作の一つである。本稿ではこの『権利能力論』の中心的命題を明らかにすることを試みる。まず、この著作の考察の中心は、1.生ける法の上での権利能力であり、2.しかも財産権に関するものであることを述べる。その後、このような権利能力の布置状況を規定する(とエールリッヒが論じていると解釈できる)要因として、1.家父長制、2.世帯と経済の独立、3.個人主義、の三つを挙げる。この3つの要因と権利能力の布置状況との間の関係を明確にするために、ブール代数分析を行う。ブール代数分析が『権利能力論』のような帰納法的な議論のフォーマリゼーションに有効であることを述べたあと、真理表を構成する。さらにそれをもとにして、ブール式を作る。真理表が完全でないことから、いくつかの仮説が構成出来るが、個人主義の影響を重視する仮説1と、世帯と経済の独立の影響を重要視する仮説2を、重点的に考察する。その結果、仮説の単純さと解釈上の理由から仮説2を支持する。最後に、権利能力とは、本質的には諸個人の間を秩序づけるルールではなく、‹社会・経済的な単位となる集団›の間を秩序づけるルールであることを示唆する。
  • 大河内 茂美, 深尾 誠
    1995 年 10 巻 1 号 p. 31-43
    発行日: 1995/05/01
    公開日: 2016/08/26
    ジャーナル フリー
     Simon(1952)はその論文の中で、Homans(1950)が現場研究の結果の整理から提案した社会集団についての理論の数理モデルを設定し、その理論の正当化を検討している。ここでは、PMリーダーシップ論(performance-maintenance theory of leadership)の結果を付加し、そのモデルを書き替えることを試みる。
     ここでの理論は定性的なものであり、そこで議論すべきは集団研究のPM理論において、集団の目標達成に直接結び付かないM行動を含むリーダーのPM型リーダーシップが、P行動単独のリーダーシップよりも生産性が高いのは何故か? また長期的な集団活動においてはM行動がP行動よりも優れている場合がおおいのは何故か? という疑問に答えようとするものである。(ここでP行動とは集団の目標達成に直接結び付くと考えられるリーダーの行動を意味し、それとは逆に、M行動とは集団の目標に直接結び付かないリーダーの行動を指す。)
     集団行動の理論モデルであるとすれば、すくなくとも、これらの現場からの解を満足するような均衡解の存在を示しておく必要があると考えられる。本稿では、この問題に対する解答を与えることを目的として議論をすすめている。
  • ―ファラロ=高坂モデルの拡張の試み―
    渡辺 勉, 土場 学
    1995 年 10 巻 1 号 p. 45-52
    発行日: 1995/05/01
    公開日: 2016/08/26
    ジャーナル フリー
     ファラロ=高坂モデルは、これまでその公理系の中で社会移動という観点から議論されることが少なかった。そこで本稿では、社会移動の観点からFKモデルの仮定を明示化し、あらためて分析してみることにする。ここからわかることは、個人の中で過去の階層イメージを考慮するモデルでは、過去の階層地位が現在の階層帰属意識に逆方向の影響を与えるのに対し、過去の階層地位を考慮するモデルでは順方向の影響を与えるということである。
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