理論と方法
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13 巻, 2 号
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特集 行為と構造
  • 佐藤 嘉倫
    1999 年 13 巻 2 号 p. 135-136
    発行日: 1999/01/31
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
  • 山口 一男
    1999 年 13 巻 2 号 p. 137-153
    発行日: 1999/01/31
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
     本稿は合理的選択の論理と行為の数理モデルを用い混合交換ネットワークにおける勢力分布の主な決定原理を明らかにする。混合交換ネットワークとは代替的な関係と補完的関係を共に持つ行為者の存在する交換ネットワークである。またそれらの原理を論理的に明らかにする具体的例示として少年2人少女2人よりなる15の異なるデイトネットワークを分析する。
  • Yoshimichi SATO
    1999 年 13 巻 2 号 p. 155-168
    発行日: 1999/01/31
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
         The rational approach and the emotional approach coexist in the study of trust. They are too diversified to synthesize, so we start with one approach-Coleman's expected utility model of trust-and relate it to the other approach. There are two problems about his model, however. First, it does not answer why the trustor cannot expect the trustee's response for sure, Second, he does not build a formal model to support his statement that communication among trustors makes the trustee more trustworthy. We build game theoretic models to solve the above problems. We assume in the first model that there are two types of the trustee-honest and greedy-and that the trustor does not know which type is realized. The equilibria of this game reproduce the results of Coleman's formulation. Then, we build the second model with N trustors and one trustee to explain the effect of communication on trust. We add an assumption that there are communication channels among trustors through which information about past interactions between the trustors and the trustee flows. One equilibrium of this game shows that even the greedy trustee chooses to be trustworthy・ This can be interpreted as the effect of communication on trust relations.
  • ─権力構造を産む行為の進化ゲーム的分析─
    数土 直紀
    1999 年 13 巻 2 号 p. 169-182
    発行日: 1999/01/31
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
     本稿の目的は、一部の人々が利他的な動機から協力行為を採り、それ以外の人々が利己的な動機から裏切り行為を採るような社会構造が導かれるメカニズムを解明することである。本稿では、進化ゲームモデルを用いて、次のような諸命題を明らかにした。1)ゲームの継続確率が低い状態でプレイヤーが利得関数を選択できると仮定したとき、ある一定の割合で利他的な動機から協力行為を採るプレイヤーが必ず現れ、その状態で安定する。2)その場合、利己的な個人は、利他的な個人を搾取している。以上の結果から、利己的な個人が利他的な個人の協力行為にただ乗りする権力構造が、行為者間の制約のない相互行為から産出されうることが結論される。
  • 安田 雪, 徳楽 宙
    1999 年 13 巻 2 号 p. 183-192
    発行日: 1999/01/31
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
     行為論的構造主義と構造論的行為主義との理論的立場の溝を埋めるためには、行為と構造との相互依存、相互規定性の関連を明らかにせねばならない。本論では構造を、時間的、実体的に比較的安定した要素間の関係と定義し、構造は行為と行為の間の関係としてネットワークに抽象化することが可能であることを論じる。さらに、ボナチッチ中心性を、構造と行為の再帰的関係が明示されている事例としてとりあげ、行為の理解には当該行為の構造特性の理解が必要であり、ミクロレベルの行為とマクロ構造との両概念を包括するネットワークの概念の重要性を論じる。
原著論文
  • ─予期理論的権力の規範的考察─
    河村 倫哉
    1999 年 13 巻 2 号 p. 193-207
    発行日: 1999/01/31
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
     これまで社会学では数々の権力暴露が行われてきたが、暴露された権力の「望ましくなさ」も考察される必要がある。そこで本稿では、宮台[1989]が発見した服従者と権力者の選考構造をもとにして「公平」の観点から権力の望ましくなさを判断する。まずは社会的選択理論によって、当事者の序数的選考プロファイルだけをもとに考察する。そこでは、Blau[1975]とHarel & Nitzan[1987]によるリベラル・パラドックスの解法が有益であり、その結果、望ましくない権力自体が存在しない、という結論が得られる。そこで基数的効用にまで情報的基礎を拡張するならば、「切実性」の公準を考えることによって、望ましくない権力を弁別することが可能となる。では、このような望ましくない権力を、実際の権力ゲームにおいても回避できる方法はないだろうか。そこで、服従者に権力者に対して補償を行う余地を認めるならば、ゲーム的状況においても服従者が依然として切実に望ましいと思う社会状態を達成することができる。ただし、それには補償額に関する両当事者の評価がある条件を満たしていなければならないが、いずれにしても、権力が望ましくないケースは限られているといえる。
  • 神山 英紀
    1998 年 13 巻 2 号 p. 209-224
    発行日: 1998/01/31
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
     これまでに、「行為者の間に『異質性』が存在する社会的ジレンマ」を、モデル化することの重要性が認識されてきている。この論文では、まず、一般的に、そのモデルを、2選択肢N人ゲームとみなしたときの純粋戦略ナッシュ均衡の条件を明らかにする。次に、その具体的な例として、「放置自転車」に関する社会現象をモデル化し、その均衡を求める。この例においては、駅から住居までの距離が行為者間で異なることを考慮し、互いに異なる利得関数をもつプレイヤーによるN人ゲームとして、状況がモデル化されるのである。そこでは、(1)行為者の一部が協力を選択し、残りの行為者が非協力を選択するという状態が均衡となること、(2)最も「協力的」な行為者のもつ利得関数が、その均衡の存在にとって決定的なものとなること、(3)行為者の間の異質性を平均した、利得関数が同一であるモデルでは、その均衡は存在しないこと、(4)導かれた均衡は、それよりも協力者数が少ないどのような状態よりも、パレートの意味でより望ましいこと、が示される。
  • ─闘争回避に役立つシグナルの進化─
    大浦 宏邦, 蔵 琢也
    1998 年 13 巻 2 号 p. 225-240
    発行日: 1999/01/31
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
     霊長類の社会に広く見られる順位制の成立メカニズムについて、「正直な」情報伝達という視点から検討した。
     順位制には、群れ内部における闘争レベルを引き下げる機能があるが、非対称持久戦の理論によれば、お互いの強さと資源の価値が正確にわかる場合は、闘争が引き合わない個体が資源をあきらめる戦略がESSになることによって、闘争が回避されることが知られている。この場合、闘争回避の問題は情報の問題に帰着する。本研究は、自らの強さと自らにとっての資源の価値を「正直に」相手に伝えるシグナルが進化する可能性を検討した。その結果、(1)シグナル発信の限界コストが正でそれが強い個体ほど小さくなる場合、強さを相手に伝えるシグナルが進化しうること、(2)「弱みを見せるハンディキャップ」を仮定した場合、資源の価値を伝えるシグナルが進化しうること、が明らかとなった。これらの結果は、順位制を非対称持久戦のESSとシグナリング理論の組み合わせで説明出来る可能性を示している。
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