本小論は、問題解決モデル研究において発案した「主体」に関する数理モデルの説明を行なう。「主体」に関する知的機能の概念化の議論を手始めに、その主たる機能とも言うべき「認識」「学習」を論じうる「内部モデルを持つ主体」ならびに「学習過程」の形式化に言及する。
その上で、筆者らの発案した「主体」の数理モデルを説明し、その特徴を述べる。3種類の「(単調)学習過程」の考え方を説明し、数値例を示しながら、各々の学習過程の数値例を示す。「モデル空間」などの諸概念についても数学的性質とともに言及する。
「複合主体系」の定式化例として、前述の主体モデルにより構成される「階層機構モデル」を説明し、階層システム論・組織論上の特徴に触れる。いくつかの組織学習過程における数値例を示す。また、「相互作用系」の定式化例として、「ハイパーゲーム」に言及する。これら数理モデルは、ゲーミング・シミュレーション、エージェント・シミュレーションのモデル構造の基礎を供するもので、問題解決モデル研究においては、これら3種類のモデルを混合させて問題解決に迫る「混合アプローチ」が有望である。数理社会学モデルとの接点についても触れたい。
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