理論と方法
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17 巻, 2 号
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特集 社会学におけるクラスター分析と多次元尺度構成法
  • 岡太 彬訓, 平松 闊
    2002 年 17 巻 2 号 p. 133-134
    発行日: 2002/10/31
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
  • 中尾 啓子
    2002 年 17 巻 2 号 p. 135-149
    発行日: 2002/10/31
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
     階層帰属意識の規定要因に関する先行研究によると、個人の階層的地位とともに生活水準に関する意識が主要な要因とされている。本稿では、「上」・「中」・「下」などの階層帰属意識のカテゴリーとして判断される階層帰属意識には、階層的地位についての自己評価と生活水準に関する意識の双方が相互に関連しながら反映されている様相を追究する。クラスター分析手法を用いて2000年度JGSS調査データを分析した結果、自己地位の評価と生活意識に関して共通した意識パターンをもつ人々からなるクラスターが導きだされた。そして、それらはそれぞれ異なった意識パターンを共有し、さらに「上」・「中」・「下」といった帰属階層と対応するクラスターであることが示された。本稿では、これらの結果に基づいて、クラスターに共有されるパターンからそれぞれの帰属階層に特有の意識を解釈していく。
  • 木村 好美
    2002 年 17 巻 2 号 p. 151-165
    発行日: 2002/10/31
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
     本稿は、過去の主な職業による老後の所得格差について検討を行った。60歳以上の「過去に就業経験があり、現在無職」である男性サンプルについて、「過去の主な職業」と老後の所得の関連を年齢層ごとにみた結果、専門職・大企業ホワイトのすべての年齢層、中小企業ホワイトおよび大企業ブルー、自営業ホワイトの一部の年齢層において平均年間所得が300万円以上の高所得層が存在すること、自営業ブルー・農業はおしなべて低所得であることが確認され、職業的地位により、老後の所得が大きく異なることが明らかになった。さらにMDPREFを用いた分析では、専門職・大企業ホワイト・大企業ブルーが近くに位置づけられ、これに60-64歳における大企業ブルーの所得上昇、70-74歳以外では中小企業ホワイトよりも大企業ブルーの所得が高いという知見を併せると、ブルー・ホワイトという職種の差を超えた、中小企業に対する大企業の優位性が示唆されたと考えられる。
  • 岡太 彬訓
    2002 年 17 巻 2 号 p. 167-181
    発行日: 2002/10/31
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
     社会学におけるクラスター分析法やMDS(多次元尺度構成法)の応用を概観し、手法の適用上で注目すべき点や問題点をとりあげ、これらの手法をより適切に利用し、また、より有意義な結果を導くにはどうすればよいのかを述べる。最初に、社会学に限らず、クラスター分析法やMDSの応用で一般的に留意すべき点、あるいは、多くの応用に共通して認められる問題点を述べる。次に、社会学における応用に焦点を絞り、それらの応用の特徴と具体的な問題点を述べ、問題点をどのように解決していけばよいのかを示唆する。次に、主として社会学で発達してきたクラスター分析法やMDSの手法、および、それらの利用方法に言及する。最後に、クラスター分析法やMDSの社会学における応用について、今後の展開の可能性を述べる。
学会賞受賞講演
  • 小林 盾
    2002 年 17 巻 2 号 p. 183-194
    発行日: 2002/10/31
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
     数理社会学は,社会規範の発生メカニズムを扱うことができるし,むしろ積極的に扱っていくことが期待されている.社会規範は社会のセメントとして役立っているが,これまで社会学は「すでにあるもの」と仮定することが多かった.しかし,もし社会規範がどう生まれて変化していくのかをあきらかにできないと,ひとびとの行動や社会現象を理解するときに誤解する危険がある.いっぽうもし解明すれば,秩序問題という社会学の根本問題を解決できるであろう.そこで,1つの有望な戦略として,社会規範の発生を「選好形成」と捉えて,社会規範の内面化をモデル化することを提案する.そうすることで,理論的には合理的選択理論やゲーム理論の成果を継承できるし,方法論的にはマイクロな行動をマクロな構造へと架橋できる.そのとき,「ピンポイントの数理モデル」を立てて,研究対象を狭く深く限定することがふさわしい.こうした検討をとおして,「望ましい社会とはなにか」という問いにも,貢献できる可能性がある.
原著論文
  • ―ゲーム理論的視点からの試論―
    河野 敬雄
    2002 年 17 巻 2 号 p. 195-209
    発行日: 2002/10/31
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
     社会問題としての大学入試制度を分析する枠組みとして,「複数の意思決定主体が複数の選択肢を持ち,かつ相手の選択肢の結果を想定した上で,何らかの意味における合理的な選択をするメカニズムを分析する枠組み」としてのゲーム理論的視点が有効であることを大学審議会報告(1993)等の分析を通して明らかにする。
     次に,大学審議会答申(2000)の提唱する「資格試験化」と「受験機会の複数化」に関して,(1)試験を資格試験とみなした場合,(2)2回受験可能な現行の2次試験の場合,(3)センター試験で2回の得点の良い方の点数で比較する場合,を確率変数を用いて表現される数理モデルに基づいて検討する。結果として,特に(3)の場合,答申の意図する「主観的合理性」が必ずしも客観的評価に耐えられないことを指摘する。
  • 野村 竜也
    2002 年 17 巻 2 号 p. 211-226
    発行日: 2002/10/31
    公開日: 2009/02/10
    ジャーナル フリー
     本稿では、二重拘束が思弁的概念定義に留まっていることを省察し、改めて社会心理学的・社会学的モデルの観点から再構築することにより、その源であるサイバネティクスに立ち返って曖昧性を低減したシステムモデルを提供し、家族システム論において新たな含意を得ることを目的とする。そのために、二重拘束を関係システムにおけるポジティブ・ネガティブのフィードバックの安定状態として捉える長谷のアプローチ、およびHochschildの感情規則論を基に二重拘束を感情のギャップとして捉える山田の示唆を、社会心理学の三者関係における認知的斉合性の理論を用いて形式的に表現する。
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