理論と方法
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8 巻, 1 号
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特集 アクセルロッド・パラダイムの展開
  • 山岸 俊男
    1993 年 8 巻 1 号 p. 1-2
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
  • An Experimental Study
    Peter KOLLOCK
    1993 年 8 巻 1 号 p. 3-18
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
         The purpose of this study is to investigate how cooperation might emerge given the following circumstances: the presence of social dilemmas (in which individually rational behavior leads to collectively irrational outcomes), the absence of perfect information, and the possibility of degrees of cooperation. This investigation includes an analysis of accounting systems in exchange relations and argues for the benefits of a relaxed accounting system under the conditions enumerated above. The problem is examined in an experimental study in which subjects interacted with a variety of simulated actors. The highest levels of cooperation and the greatest earnings resulted when subjects interacted with simulated actors using a strategy that involved some form of relaxed accounting system. In addition, simulated actors using a relaxed accounting system did as well or better for themselves than simulated actors using more restrictive strategies.
  • ―ネットワーク型囚人のジレンマにおける戦略選手権―
    林 直保子
    1993 年 8 巻 1 号 p. 19-32
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
     これまで行われてきた囚人のジレンマ(PD)研究は、PDを孤立した2者関係として捉えるにとどまり、集団内に存在する2者間におこる状況として捉えることをしてこなかった。本稿では、3者以上の集団と、その中に生れる複数のPD関係を考えることにより、従来のPD研究の限界を克服することを目指している。そのために本稿では、集団の各成員が自分のつきあう相手を選択し、相互指名によってPD関係が成立するという状況――「ネットワーク型囚人のジレンマ」を設定する。このような状況では、特定の2者間に将来の関係が保証されていないために、PDにおける戦略的行動によって相互協力関係を築くことは難しくなる。従ってこのような選択的交際状況においては、孤立した2者PDにおける相互協力達成のためには最も有効であるとされてきたtit-for-tat(TFT)戦略は、そのままの形で有効性を発揮することはない。本稿では、ネットワーク型PD状況ではどのような戦略が可能で、また有効なのかということを調べるために、Axelrod(1984)が同一相手との反復PDにおいて行った「戦略のコンピュータ選手権」という方法をネットワーク型PDに用いた。その結果ネットワーク型PD状況で最も有効な戦略は、相手の裏切りに対しては非指名という形で対応するout-for-tat(OFT)戦略であることが明らかにされた。このOFT戦略は、TFTと非常に良く似た性質をもつ戦略であり、対象選択レベルに適用されたTFTと言うことができる。
  • ―インブリーディング・バイアスが集団安定性条件に及ぼす影響について―
    高坂 健次, 辻 竜平
    1993 年 8 巻 1 号 p. 33-50
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
     アクセルロッドはシミュレーション・ゲームと数理モデルの双方向から、しっぺ返し(応報:TFT)戦略が強いことを示唆した。しかし、その推論過程については、期待利得の考え方、割引率の考え方などに問題があるように思われる。本稿はアクセルロッドの集団安定性理論においてはアドホックにしか取り上げられていなかった「内輪づきあい」の概念を、偏ネット理論で用いられているインブリーディング・バイアス概念によって理論的に取り込み、それが集団安定性条件に影響を及ぼす仕方を中心に検討する。その結果、TFTもアクセルロッドが強調するほどには強い戦略ではないことを示す。
  • 山岸 俊男
    1993 年 8 巻 1 号 p. 51-68
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
     本稿ではまず、社会的ジレンマの利得構造がNPDからNAGへと変換されるいくつかの形態――Pruitt & Kimmel(1986)により想定されている主観的変換、道具的協力による保証(Yamagishi, 1986a, b)、TFT戦略、引金戦略、条件付き戦略の組合わせ、PDネットワークにおけるコミットメント形成、等――が示され、次に、協力・非協力の選択がサンクショニングの選択と一貫する場合にも、同様の利得構造の変換が起こることが明らかにされている。このような形態をとったNPDからNAGへの利得構造の変換は、そのためのコストがほとんど必要ないため、2次的ジレンマ問題(Yamagishi, 1986a, b)解決の方法を提供することができる。
論文
  • ―海野類型の拡張から―
    三隅 一人
    1993 年 8 巻 1 号 p. 69-88
    発行日: 1993/04/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
     社会的ジレンマの数理モデルは数多く開発されているが、それらの間の関係は必ずしも明確ではない。本稿は海野による類型化を拡張しながら、その問題にアプローチする。海野が用いた類型軸は、資源単位の有無、保存と供給、確率論的モデルと決定論的モデルの3つである。われわれはまず、資源単位に代えて「単位作用」という概念を提唱する。これは便益や損失の共通単位を資源から作用に一般化したもので、そこからいくつかの単位作用条件が設定される。また確率論的―決定論的の軸は、臨界点(供給点)の設定の仕方が確率的か確定的か、という軸に修正される。この2つの修正軸に保存と供給の違いを加えることによって、12通りの類型が導き出される。われわれはそのうちの8つの類型に対して、従来の諸モデルを統一的に関係づけうるような一般モデルを提唱する。その過程で、海野類型において資源単位のある保存モデルとして提唱された「海野の共有地のジレンマモデル」と「Hamburgerの収奪ゲーム」の定式化に誤りがあること、また新しい類型の中に社会的ジレンマに対する制御を前提にしたモデルが現れること、等が明らかにされる。
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