本稿ではまず、社会的ジレンマの利得構造がNPDからNAGへと変換されるいくつかの形態――Pruitt & Kimmel(1986)により想定されている主観的変換、道具的協力による保証(Yamagishi, 1986a, b)、TFT戦略、引金戦略、条件付き戦略の組合わせ、PDネットワークにおけるコミットメント形成、等――が示され、次に、協力・非協力の選択がサンクショニングの選択と一貫する場合にも、同様の利得構造の変換が起こることが明らかにされている。このような形態をとったNPDからNAGへの利得構造の変換は、そのためのコストがほとんど必要ないため、2次的ジレンマ問題(Yamagishi, 1986a, b)解決の方法を提供することができる。
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