理論と方法
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9 巻, 1 号
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特集 政治への数理・計量的アプローチ
  • 宮野 勝
    1994 年 9 巻 1 号 p. 1-2
    発行日: 1994/04/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
  • ―「二層ゲーム」における交渉者選択過程―
    飯田 敬輔
    1994 年 9 巻 1 号 p. 3-20
    発行日: 1994/04/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
     国際交渉と国内政策決定過程のモデルを融合するという目的で提出された「二層ゲーム」の理論では国内行為者の選好を国際合意に反映させるメカニズムとしておもに「批准」というプロセスに焦点が当てられてきた。しかしこれと同じ目的を達成するためには、交渉に先だって国内行為者が交渉担当者を選択するというプロセスも考えられる。本稿はダウンジアンモデルの変形とルービンシュタインバーゲニングモデルを組み合わせることにより、交渉者の選挙過程によっていかに国内行為者の選好が国際交渉に反映されるかを分析する。このモデルによれば、交渉力を高める目的で「中道」の選挙民が「中道」ではなく「タカ派」の交渉者を起用する「可能性」があることが分かり、このような「非直観的」結果の必要条件も明らかになる。
  • 栗田 宣義
    1994 年 9 巻 1 号 p. 21-37
    発行日: 1994/04/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
     政治的暴力とは、多数の人びとによる政治的で明確な敵手を有した暴力的叛乱である。従来、相対的剥奪仮説、集合行動仮説、資源動員仮説、大衆社会仮説、紛争伝播仮説、不平等仮説、世界システム周辺仮説といった複数の理論モデルが、競合しつつ、政治的暴力の生起を説明してきた。これらの仮説群は、筆者の提唱する (1) 心理・文化分析―関係・構造分析、(2) 個別分析―エコロジカル分析という二軸の基準によって、(a) ミクロ政治心理学説、(b) ミクロ政治社会学説、(c) マクロ政治心理学説、(d) マクロ政治社会学説、の四類型に分類される。この分類作業と各仮説の検討を通じて明らかにされたのは、四つの学説は対立関係にはあらず、むしろ相互補完的であることだ。本稿は、これらの理論的作業を通じて、計量分析を前提とした政治的暴力の総合的理解を進めることを目的とした試論である。
  • ―社会運動の合理的選択理論と政治社会学―
    木村 邦博
    1994 年 9 巻 1 号 p. 39-54
    発行日: 1994/04/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
     「オルソン問題」と「資源動員論」との理論的な関係を明らかにすることによって、社会運動・集合行為の研究における合理的選択アプローチと政治社会学的アプローチとの結節点を探る。Mancur Olsonが『集合行為論』(1965)の中で扱った主題は、集合財供給に対する集団規模の効果、行為者間の異質性の効果、選択的誘因の効果、の3点に要約される。この3つの主題に対する資源動員論からの批判と合理的選択アプローチによるフォーマライゼーションの試みとをレビューする。集団規模の効果に関しては、合理的選択アプローチから導き出された理論的帰結を、資源動員論において取り上げられてきた社会運動の事例と照らし合わせることが課題である。また資源動員論では、選択的誘因の効果や行為者間の異質性の効果の考察にあたっては、複数集合財・複数集団の存在が想定され集団間での対立・協力関係が視野に収められている。このような視点を共有した数理モデルを用いて、資源動員論によるOlson批判の理論的検討を行うことも、重要な課題である。
  • 宮野 勝
    1994 年 9 巻 1 号 p. 55-69
    発行日: 1994/04/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
     複数議席の選挙システムにおける、有権者の選挙結果への影響可能性を考察する。複数議席の選挙においては1議席の選挙では生じないいくつかの新たな問題が生じる。とくに選好の対象が候補者個人から候補者の組に変わるため、予想の役割が深化し、新たな戦略的な配慮が必要になる点を考察した。また、実際に、議席数2・候補者数3という最単純ケースをとりあげ、最も単純な計算方式である多項分布モデルで影響力の計算を試みた。
     シミュレーションの結果、この仮定の下では、1議席2候補の選挙に比べ、2議席3候補の選挙の方が、有権者の影響力は大きいことがわかった。選挙結果に対する影響可能性を考慮する有権者が多ければ、1議席2候補の選挙よりも2議席3候補の選挙の方が投票率が高くなることになる。
     また、2議席3候補の選挙において、1人1票の場合と1人2票の場合を比較した。直観的には1人2票の方が影響が大きいと予想したが、両者で大きな差はなく、予想とは逆にわずかながら1人1票の方が影響力が高かった。
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