点頭てんかんの形態学的異常,特に硬膜下病変を検討する目的で,2年間に経験した新鮮例全22例にCTによる検査を行なった.22例中20例に異常が認められ,その内訳は,全汎性脳萎縮8例,脳表液貯溜7例,一側半球萎縮2例,奇型2例,脳内石灰化2例である.脳表に液貯溜の認められた7例中5例が硬膜下病変を疑われて開頭を受け,3例に慢性硬膜下血腫ないしは水腫が確認され外科的治療を受けた.この3例はいずれも周産期異常を認めず,1例は被虐待児症候群に随伴した慢性硬膜下血腫例であり,他の2例は成因不明である.CTは3例共硬膜下病変の所見の他脳萎縮像が著明であった.3例中2例に点頭てんかん発症前の脳波を記録し,全汎性低電位化を認めCT像との一致をみたが,発症時には徐波化や発作波の増強が著明となった.全22例のCT所見と脳波所見とを対比してみると,脳表液貯溜群では左右差や低電位化を示すものが多く,7例中4例は定型的なhypsarhythmiaを示さなかった.点頭てんかんの中には脳表レベルの損傷の関与する症例も多いものと思われ,原因療法を可能にするという点においても,早期の形態学的検査が必要であろうと思われる.
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