検査はてんかん患児の器質病変スクリーニングに最も適したものである.1,328例のてんかん患児にCT検査を行ない次の結果を得た.CT異常率は点頭てんかん68.1%, 一側性けいれん51.4%, ミオクロニー発作48.9%, 新生児けいれん44.8%, Lennox症候群48.9%, 要素部分発作24.7%, 複雑部分発作22.9%, 全身けいれん21.9%, 典型アブサンス0%, けいれん全体では31.4%であった.異常CTの大部分は脳表, 深部あるいは限局性脳萎縮であった.全身けいれんの7.9%に限局性脳萎縮が見られ, 二次全般発作の診断に役立つと思われた.脳萎縮以外の異常CTは37例 (2.8%) であった.脳腫瘍4例, 硬膜下血腫8例, 水頭症3例, 結節性硬化症4例, 非特異的脳石灰化6例, 無脳回症などの脳回異常3例, 脳梗塞3例, 脳梁欠損症2例, 脳室形成異常1例, および脳室周囲軟化巣1例がその内容である.脳腫瘍は要素部分発作に多く, 硬膜下血腫は新生児けいれんに多く, 脳奇形は点頭てんかんに多く見られた.
発作によるCT変化としては, 強いけいれん重積症では大脳半球性の脳浮腫と, その後の脳の半側性崩壊が見られた.強いけいれん発作では脳梗塞が見られ, その経過から見て脳梗塞は発作に関連して屡々起こるのではないかと疑われた.頻回のけいれん発作のある患児には一側性の側脳室下角の拡大が見られることがあり, これはアンモン角萎縮によるものと思われた.
CT検査によって予後判定を試みたが, 脳萎縮の強いものは予後が悪かったが, 正常CT像は予後の良いことを証明できなかった.
CTの治療への寄与としては, 手術可能な疾患の発見, 副甲状腺機能低下症の発見, 脳浮腫の治療による変化の観察, 抗てんかん薬の選択と量の決定, および患児の学習および訓練の適応の決定が挙げられる.
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