脳と発達
Online ISSN : 1884-7668
Print ISSN : 0029-0831
ISSN-L : 0029-0831
13 巻, 1 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • 長畑 正道
    1981 年 13 巻 1 号 p. 2
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 3年以上経過観察例について
    関 亨, 山脇 英範, 鈴木 伸幸
    1981 年 13 巻 1 号 p. 3-10
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    要旨1963年1月より1975年5月までに慶大小児科において経験し, 3-14年にわたり経過観察しえたミオクロニー発作20例 (男子11例, 女子9例) を臨床経過により下記の4病型に分類し, 臨床発作の転帰, 脳波所見 (基礎波, 発作性異常波) の変容, 知能・発達障害の有無につき検討した.
    I型: ミオクロニー発作のみの経過 (10例, 50%).
    II型: 大発作→ミオクロニー発作 (2例, 10%).
    III型: Lennox症候群の一部発作型としてのミオクロニー発作 (3例, 15%).
    IV型: 点頭てんかん→ミオクロニー発作±他の発作型 (5例, 25%).
    1) 臨床発作の転帰
    調査時20例中発作消失15例 (75%), 減少3例 (15%), 不変2例 (10%) であった. 発作消失例を発作消失期間別にみると, ≧3年7例 (35%), 2年11カ月-2年1例 (5%), 1年11カ月-1年3例 (15%), 1年以内4例 (20%) であり, 2年以上発作消失率は40%であった. 2年以上発作消失例を臨床病型別にみると, I型+II型は12例中7例 (58%) と半数強を占めたのに対し, III型+IV型では8例中1例 (13%) のみであったが, 推計学的には両者の間に有意差を認めなかった. また, 2年以上発作消失例は, 知能・発達正常例では8例中6例 (75%), 遅滞例では8例中2例 (25%) であり, 両者の間には推計学的に有意差を認めなかった. なお, 経過観察中全例に他の臨床発作型の出現を認めなかった. 合併発作型は, 症例により不変, 減少あるいは消失を示したが, ミオクロニー発作の消長とほぼ同様の傾向を示す症例が多かった.
    2) 脳波所見
    最終脳波記録における覚醒時基礎波は, 正常2例 (10%), slightdysrhythmia11例 (55%), moderate dysrhythmia 4例 (20%), marked dysrhythmia 3例 (15%) であり, 初回脳波所見に比し大差のない成績であった. なお, 臨床病型別では, I型, II型はslight dysrhythmiaが多数を占めたが, IV型は全例moderateあるいはmarked dysrhythmiaを示した.最終脳波記録における発作性異常波は, 全般性の多棘徐波複合, 速棘徐波複合, 遅棘徐波複合, modified hypsarhythmia, 局在性棘波などを含め20例中13例 (65%) に認められた. また, 2年以上発作消失例8例中4例 (50%) に発作性異常波の出現があり, これは1年11ヵ月以内発作消失例における発作性異常波の出現率と明らかな差異を認めなかった. なお, 臨床病型別の発作性異常波の出現率は, IV型に多い傾向も認められたが, いずれも少数例のため明確ではなかった.
    3) 知能・発達
    正常8例 (40%), 境界2例 (10%), 遅滞10例 (50%) であり, I型, II型は正常例が多いのに対し, III型, IV型では遅滞例が多数を占めた.
    以上の成績をもとに, ミオクロニー発作の予後につき若干の文献的考察を行ない, 著者らのIII型, IV型はcortico-centrencephalic or subcortico-centrencephalic epileptic mechanismに属し, I型, II型はcentrencephalic epi1eptic mechanismあるいはcortico-centrencephalic or subcortico-centrencephalic epileptic mechanismのいずれかに属するであろうと推測した.
    なお, 今回著者らはミオクロニー発作を臨床病型I-IV型に分類し分析を行なったが, いずれも少数例のため明確さを欠く点があり, この点は今後例数が増加した段階で再検討を行なう予定である.
  • 2家系6症例の臨床像並びに電気生理学的知見について
    中野 省三, 北條 博厚, 片岡 健吉
    1981 年 13 巻 1 号 p. 11-18
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    筋強直性ジストロフィー症の2家系6症例 (両家系とも兄妹及びその母親) について報告した. いずれの症例も顔面筋, 胸鎖乳突筋及び四肢遠位部に筋萎縮及び筋力低下を認め, 叩打により筋強直を認めた. 白内障は5例に認め, 血清CPKは同一家系の3症例では高値であったが, もう一方の家系の3例は正常範囲であった. 血清IgGは2例で低値であった. 精神遅滞は小児例4例に認め, 新生児期発症と思われる2例の方が重度であった. CTスキャンでは全例に脳萎縮像を認めた.
    筋生検は2例に行ない, 筋線維大小不同, 核鎖状配列を認めた. 腓腹神経生検では異常は認めなかった.
    筋電図検査では, 腕橈骨筋を中心として上腕二頭筋, 前脛骨筋などで全例に筋強直電位を認めた. fasciculation, fibrillationは認めず, 神経筋単位のamplitude, durationは正常に保たれ, 一部に多相性変化を認め, 軽度の神経原性変化が疑われた.
    末稍運動神経伝導速度は尺骨神経, 腓骨神経において有意に低下していた. 知覚神経伝導速度は, 腓腹神経及び手根-肘窩部の正中神経では正常であったが, 指-手根部の正中神経では有意に低下していた.
    筋強直性ジストロフィー症が多彩な臨床症状を呈することは報告されているが, 運動, 知覚を問わず末稍神経障害も起こり得ることを文献的考察を加えて示した.
  • ACTH療法の有効性について
    内田 瑛子, 唐橋 実, 高木 徳郎
    1981 年 13 巻 1 号 p. 19-29
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    West症候群 (以下WS) 61例 (生存例48例, 死亡例13例) の精神発達, 運動発達, 発作についてそれぞれの予後を検討した.
    精神発達予後では正常または境界例14例 (23%), 知能障害例47例 (77%) で, そのうち死亡例13例はいずれも高度の知能障害を有していた. 運動発達予後では正常例20例 (33%), 運動障害例41例 (67%) であった. 発作予後では消失例23例 (38%), 存続例38例 (62%) で, 発作消失例は精神発達, 運動発達の面でも予後がよかった. 追跡時脳波は52例について検討したが, 正常または境界例 (以下n. or b.) 8例 (15%), 局所所見 (以下f.) 19例 (37%), 中心脳性所見 (以下c.) 25例 (48%) であった. 追跡時脳波と上述三者の予後との間には密接な関係があり, n. or b.≧f.>c. の順で予後がよかった. 初回時脳波からWSの原因及び予後を推測する事は不可能であった. しかし経時的に脳波所見の変化を追跡すると治療開始後3ヵ月してなおc. を示す例は最終時迄継続してc. を示し, 従ってその例は予後不良と推測する事が可能であった.
    次に精神発達予後に影響を及ぼす諸因子について検討した. 特発性WS (24例) は症候性WS (37例) より予後良好であった (P<0.001). 特発性WSでは発症年齢の予後への影響は認められなかったが, 症候性WSでは発症年齢が小さい程予後が悪かった (P<0.005). 早期治療については特発性WSでは有効であった (P<0.05) が症候性WSでは有効性は認められなかった. ACTHの早期治療開始による予後への効果, 並びにACTH療法と他剤療法との予後への効果の差については, 特発性WS, 症候性WSいずれにおいても有意性は認められなかった. 即ちACTH療法がWSに対するfirst choiceであるという積極的な根拠は得られなかった.
  • 諸岡 啓一, 宮路 太, 高索 映子, 伊古田 裕子, 伊古田 賢治, 宮前 達也
    1981 年 13 巻 1 号 p. 30-38
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    乳児期早期から大泉門が緊張性で頭蓋内圧亢進が示唆され, RIシステルノグラフィーで有効半減期の延長がみられた12例について検討した. 臨床的には障害群, 運動発達遅滞群, 正常群の3群に分けられた. 大泉門は全例正常平均値より大であった. 男児の頭囲は殆どの例で平均値より大であった.
    硬膜下穿刺により少量の排液をみた症例もあるが, 硬膜下液貯留がこれらの原因であるとは考えられなかった. 血管写上無血管野なし. CTスキャンでは軽度の脳表萎縮, 脳室拡大像を示すものもあったが, 水頭症は否定的であった. 臨床的には1例は巨脳症, 4例は良性頭蓋内圧亢進症としてよいと考えられた. 本態は脳表のクモ膜絨毛にも障害があるための髄液吸収障害であろうと推測した.
  • 杉江 秀夫, 清野 明子, 杉江 陽子, 山口 規容子, 横田 和子, 福山 幸夫, 丸山 博
    1981 年 13 巻 1 号 p. 39-46
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    値を利用し, 新生児・乳児の脳白質, 灰白質の経年的変動を検討した. 日立製CT-H250を使用し, orbito-meatal lineと平行で松果体を通るスライスにおける白質 (脳室前方の前頭野), 灰白質 (視床, 尾状核頭部) の各々のCT値を, 脳室前方の前頭野, 視床では6.6mm×6.6mm (36画素), 尾状核頭部では5.5mm×5.5mm (25画素) の面積で計算し, 左右を平均しその標準偏差を求めた. 神経学的異常を認めない新生児・乳児13例 (男8例, 女5例, 年齢17日-11ヵ月) を対象とした.
    結果:
    1) 白質CT値は, 新生児期に低く, 生後3ヵ月まで急増, その後ほぼプラトーとなった.
    2) 灰白質は白質と同様の傾向を示すが, 生後3ヵ月までのCT値の増加度は, 白質に比べなだらかであった.
    3) 白質と灰白質のCT値の差は生後2ヵ月で最小を示した.
    4) 灰白質/白質×100 (G-W ratio) はやはり生後2ヵ月で最低値112を示した.
    5) CT値の経年的変動は主に脳内水分量の変化に起因すると考えられる.
    6) CT値の経年的変動パターンの検討により, 発達障害のチェック, 予後判定などに応用できると期待される.
  • 玉利 秀夫, 松倉 誠, 松田 一郎, 上木原 由美子, 上田 啓司, 大塚 博史
    1981 年 13 巻 1 号 p. 47-52
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    5歳男児のacuteSSPEの1例を報告した. 症状は右片麻痺より始まり, 発症後7日目に意識障害が出現し, 14日目には昏睡状態となった. 臨床所見より経過中, 脳血管障害や急性脳炎も疑われたが, 髄液中麻疹抗体が上昇し, 脳波上suppression burst patternが存在したことよりacute SSPEと診断した.
    この診断は, 剖検において典型的なSSPEの病理所見を認めたことより確定された.
    免疫学的には, 軽度の細胞性免疫の低下と剖検における胸腺の低形成が認められた.
    初発症状に加え, 脳波及び頭部CTスキャンの所見の推移より, 病初期においては病変は前頭部に優位であったことが推察された.
    我々はこの症例の経験より, 片麻痺で発症し急速に昏睡に陥る症例においてもacuteSSPEを鑑別する必要があると考えた.
  • 高田 邦安, 埜中 征哉, 東條 恵, 有馬 正高, 米本 恭三
    1981 年 13 巻 1 号 p. 53-59
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は両上肢挙上困難を主訴とする4歳6ヵ月男児で家族内に神経筋疾患はない. 乳児期の運動発達は正常だったが, 3歳3ヵ月時より両側肩甲帯・上腕の筋萎縮と上肢挙上困難に気づかれた. 皮膚筋炎様症状はなく, その後明らかな進行は認めていない. 診察所見では知能正常で, 肩甲帯・上腕のやや高度な筋萎縮と中等度の筋力低下を対称性に認め, ミオパチー顔貌ではないが軽度の顔面筋筋力低下を伴っていた. 腱反射は低下し, 筋線維束性攣縮は認めず, 知覚系は正常であった. 検査では血清CPKの軽度上昇があり, 筋電図上時に脱神経電位を認めるが明らかな神経原性所見は得られなかった. 左上腕二頭筋筋生検では主としてタイプ2線維からなる小群集萎縮を主体とする神経原性筋萎縮の像を示した. 従来報告されている顔面肩甲上腕型神経原性筋萎縮症と比較しても, 本症例のような幼児例は極めて稀である
  • 木村 清次, 三宅 捷太
    1981 年 13 巻 1 号 p. 60-66
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    抗てんかん剤服用中に発症した再生不良性貧血の2症例を報告した. 推定誘発薬剤は, 症例1ではphenytoin, 症例2ではphenytoin, carbamazepine, ethosuximide, のいずれかと思われた. 服薬開始より, 症状発症までの期間は, 症例1では8カ月, 症例2では1年10ヵ月であり, 2症例共に, 副腎皮質ホルモン, 蛋白同化ホルモンの使用で緩解に達し, 緩解までの期間は, 症例1で6.5ヵ月, 症例2で2年3ヵ月であった.
  • 高橋 寛, 大塚 親哉
    1981 年 13 巻 1 号 p. 67-71
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は難治性痙攣および重度の精神発達遅滞を伴った4歳のフェニールケトン尿症.患児の髄液中フェニールアラニンは著しく高値で, 同時に, 脳に含まれるジペプチドのひとつであるホモカルノシン (homocarnosine) も高値であった. 髄液中ホモカルノシンの値は著者の一人高橋が測定した幼児正常値の約7倍であった.
    フェニールケトン尿症で髄液中ホモカルノシンが高値を示した症例は20例報告されている. しかし, ホモカルノシンが高値を示した機序は不明であり, 著者らは文献的考察を試みた. すなわち, 脳のフェニールアラニンが高値となったため, GABAプールとしてのホモカルノシンの代謝が障害され, 脳のGABA含有量が低下する. この症例の難治性痙攣は脳のGABA含有量の低下が原因かも知れない.
  • 太田 茂, 山野 恒一, 島田 司己, 大矢 紀昭, 岡本 和夫, 松田 功, 半田 譲二
    1981 年 13 巻 1 号 p. 72-77
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    真性思春期早発症を示す3歳6ヵ月女児に頭部CT scanを施行したところarachnoid cystが疑われ, さらに脳外科的手術によりこれを確定診断しえた.
    本児は妊娠・分娩歴に特記すべきことなく, 2歳時に水痘と流行性耳下腺炎に罹患したが, 髄膜炎症状は認めていない. この他に髄膜炎や頭部外傷の既往は認めていない. 2歳時より体格の大きいことに気づかれている.
    2歳6ヵ月頃から下着に少量の血液を混ずる帯下が付着するのに気づかれた. 3歳児検診により思春期早発症を指摘され当科へ入院した. 入院時, 乳房の隆起と乳頭の突出, さらに乳輪を認め, 外陰部には僅かな恥毛を認めた. 頭部X線写真では典型的なJ-shaped sellaと軽度の縫合開離を認めた. 頭部CTscanにて右中頭蓋窩と左後頭部のテント上に巨大な孤立性のlow density areaが存在し, 病巣の辺縁部には膜様構造がみられたことからarachnoid cystと診断した. 本学脳神経外科において二期的にまず右中頭蓋窩, 次いで左後頭部のテント上のcystに対してCP shuntを施行した. 嚢腫内貯留液は水様透明で, 糖は51mg/dl, 蛋白は14.5mg/dl, Cl 127 mEq/Lで炎症反応はなく, 腫瘍細胞は認められなかった. 嚢腫壁は組織学的にarachnoid cellを含むarachnoidであった.
  • 福山 幸夫
    1981 年 13 巻 1 号 p. 78-80
    発行日: 1981/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
feedback
Top