脳と発達
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13 巻, 4 号
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  • 竹下 研三
    1981 年 13 巻 4 号 p. 286
    発行日: 1981/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 小出 信雄, 木村 滋, 渡部 準, 羽根田 敏, 武部 幸侃, 横山 雄
    1981 年 13 巻 4 号 p. 287-294
    発行日: 1981/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ヵ月から15歳のてんかん児, 大発作 (GM) 群43名, 部分発作 (P) 群50名の頭部CTを検討した.
    (1) CT異常はGM群の19%, P群の40%に認め, 周産期などに何らかの既往歴を有する例や知能障害を有する例に高率であった.
    (2) P群のCT所見と脳波所見の関係は, 限局性脳波異常を示した44例中13例 (30%) にCT局所異常を認めたが, 部位間の一致率は低く (4/44), 特に限局性発作波を示したものでは低かった (2/40). しかし, 背景活動の持続性限局性異常を示した15例では, CT. 脳波間の異常部位一致率は73%と高かった.
    (3) 2歳以上でのbicaudate cerebroventricular index (B-CVI) は対照群19名で10.0±1.2 (平均値± 標準偏差) であった. 脳室狭小を対照群の5%, GM群の17%, P群の27%に認めた. 脳室狭小群では発作抑制例がやや多かった. 発作初発からCT検査までの期間. 投薬期間・脳波所見のいずれも脳室狭小と相関をみなかった. 他方, 視観的脳萎縮とB-CVIの数値はよく一致した.
  • 玉井 勇, 太田 秀臣, 武井 忠夫, 前川 喜平
    1981 年 13 巻 4 号 p. 295-303
    発行日: 1981/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    点頭てんかんの治療において, 合成ACTH-Zは第一選択治療剤とされてきた. しかし本剤により頭部コンピューター断層写真 (CT) 上に著明な退縮像を示す事が周知となり, 本剤の乳幼児に対する治療は再評価を要する時期に来たと思われる. このため本剤の薬用量, 治療時年齢, 精神発達の予後およびCT上の退縮像との関係を前回の症例報告1) に続いてさらに多くの症例で検討を行なった.
    対象は合成ACTH-Z治療を受けた点頭てんかんおよびレノックス症候群の29例, ネフローゼ症候群でprednisoloneのパルス療法を行なつた2例, 合成ACTH-Zを使用せず, 抗痙攣剤のみで経過観察を行なった1例で以下の結果を得た。
    1) CTの経時的観察を行なった点頭てんかん9例総てに治療直後CT上に退縮像が見られ, 治療終了後回復傾向が見られた. 退縮像は年齢が幼若, 大量投与, 治療前にすでに退縮像の見られた症例で著明となる傾向が見られ, 今後さらに多数例で検討を要すると思われた
    。2) 過去に合成ACTH-Z治療を受けた点頭てんかんおよびレノックス症候群の20例中18例に知能障害が見られた. しかし本剤治療以前にすでに発達遅延を示していた症例も多く, 本剤と知能予後との関係は今後なお検討を要すると思われた.CT正常例は8例あり, CTで退縮像を示した症例では前頭部退縮像, シルビウス溝の拡大が多く見られた. しかし基礎疾患を考慮すると本剤治療より長期間経過した症例ではCT上での影響はあまり残存しないようであった.
    3) Prednisoloneのパルス療法を受けた2例 (ともに4歳) のネフローゼ症候群においてCTの経時的観察を行なったところ, パルス療法後著明な脳溝の拡大と軽度の脳室の拡大が見られた。
    しかしパルス療法終了それぞれ6ヵ月後と10ヵ月後の脳波, 精神運動発達に異常は見られなかった.
    4) 合成ACTH {を使用せず抗痙攣剤のみで軽快し, CTに著変を見なかった点頭てんかんの1例を経験した.
    以上の結果より, 合成ACTH-ZによるCT上の退縮像と精神運動発達の予後への影響の関係を考えると, 年長児ではあまり影響が無かったように思われた. 1~2歳以下の幼若児では完全な退縮像の回復の見られなかった症例があり, なお未解決な問題を残していると考えられた.
    このため点頭てんかんの治療においては合成ACTH-Zは第二選択治療剤として考え, 従来より少量, 短期間, CT像に注意して使用する事を我々は考えた.
  • 羽根田 敏, 武部 幸侃, 小出 信雄, 木村 滋, 横山 雄
    1981 年 13 巻 4 号 p. 304-310
    発行日: 1981/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1) Valproate sodiumシロップを定期的に服薬中のてんかん, 又は痙攣を有する2カ月~9歳の小児, 約80名を対象にvalproic acid (VPA) の血中濃度を測定した.
    2) VPA最低血中濃度 (Cmin) は午前第1回服薬直前にみられ, 最大血中濃度 (Cmax) は服薬後2時間前後にみられた. また変動率F (%) = ((Cmax-Cmin)/(Cmax+Cmin)) ×200はCminと逆相関を示した. またCminが100μg/ml以上になると変動率は約20-25%とほぼ一定値をとることが判明した.
    3) VPA血中濃度は服薬開始2日~4日目でピーク値をとり, その後減少し6日以後平衡状態となった. 平衡状態での血中濃度に対するピーク値の血中濃度比は年長児に比べ乳幼児で高い傾向があった.
    4) Cminでの血中濃度, 1日体重当り投与量比 (L-D比) はvalproate sodium単独投与群が多剤併用群に比べ高かったが, 両群とも投与回数による差はみられなかった.
    5) valproate sodium単独投与群Cmin, Cmaxともに投与量との間に良い相関関係がみられた. Cmaxの測定には服薬後2時間が便宜上有用であった.
    6) 有効血中濃度 (Cmin) は35-40μg/ml以上の範囲にあると思われたが, 臨床的には60μg/ml前後にするのが良いと思われた.
    7) VPA唾液中濃度は検出されなかった.
  • とくに前頭部low density areaについて
    大野 喜久郎, 岡部 保, 稲葉 穣, 松島 善治, 高橋 俊平
    1981 年 13 巻 4 号 p. 311-317
    発行日: 1981/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    最近1年間に連続して行なった外傷を含む小児神経疾患100例のCT scanを検討し, 次の結果を得た.
    1) 2歳以下の乳幼児で前頭部のlow density areaが高頻度に認められ, とくに生後6ヵ月から1歳までに多い傾向を示した. この傾向は各疾患別の検討でも同様であり, 2歳以上の小児では臨床的に症候, あるいは症状を呈するにもかかわらず, 前頭部low density areaは極めて少ない頻度を示した. またfollow-up CT scanを行なった症例でも, 生後6ヵ月から1歳時に再検したCT所見上, 前頭部low density areaの増強を示す症例が多かった. これはその傾向が頭蓋骨と脳の発達過程の生理的関係を予想させるものであり, CT所見の年齢的傾向を考慮すべきことを示唆していると考えられた.2) 慢性硬膜下血腫 (水腫) 症例では, 前頭部low density areaの形, 厚さ, および左右差などに特徴的所見を認め, またsulciの形態などの鑑別診断上有用な共通の陽性所見を呈した.
  • 松沢 一夫, 関 章司, 藤田 秀樹, 清水 信三, 本間 哲夫
    1981 年 13 巻 4 号 p. 318-328
    発行日: 1981/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    発育, 聴力ともに正常である新生児から成人までを9年齢群に分けて, 聴性脳幹反応 (auditory brain stem response, ABRと略) の発育にともなう潜時と振幅の変化について標準値を作成した. ABRはI波からVII波までの陽性のピークをもつが, I, III, V波は潜時, 振幅ともに安定して出現した.
    I波の潜時は生後2ヵ月で成人の潜時に等しくなったが, III波は2歳, V波は3歳で成人に等しくなった. 一方, 振幅は潜時に比較すると個人差が大きく, 各群での標準偏差も大きかつた. I波の振幅は新生児から成人までほぼ一定していて各群間で有意差がなかった. III波の振幅は新生児から3歳児までは総てのピーク中で最大であったが, それ以降はIII波よりもV波の振幅のほうが大きかった.
    また, このうち7例については, 出生後1週以内から2歳まで, 継時的にABR検査を行ない, その縦断的変化を観察した.ABRの波形には個人差があり, 同じ月・年齢でもそれぞれ異なっていた. しかし, 同一例の波形は, 発育による潜時の短縮および振幅の変化はあるものの, 特徴的であった.
    ABRの七つのピークはそれぞれ異なった出現域値を示した.音圧が上昇するにつれて, まずV波が15dBで出現し, 続いてIII, VI波が35dBで出現した. I, II, VII波は55 dBの高音圧ではじめて現れ, IV波は75 dBでV波から峰分かれした.
    ABRの潜時は音圧の低下に伴い延長した. しかし, 音圧の低下と潜時延長の関係は直線的ではなく, かつ各波で異なつていた. このうちV波は域値も低く, 安定して出現していたので, V波の潜時延長を聴力損失の指標にしたが, 85dBで0.7msecの潜時の遅れがおよそ30dBの聴力損失に相当した. 振幅は音圧の上昇に伴い増大し, 55-75dBで増大する割合が大きかった.
  • 清水 寛, 馬場 宏一, 安部 治郎, 二木 康之, 藪内 百治, 尾上 幸子, 津田 直樹, 大和谷 厚, 隅 清臣, 杉田 隆博, 神尾 ...
    1981 年 13 巻 4 号 p. 329-336
    発行日: 1981/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児神経系疾患151例 (てんかん64例, 熱性痙攣21例, 重症筋無力症26例, 脳性麻痺10例, その他の神経疾患30例) に, 麻疹, 水痘, 風疹, 流行性耳下腺炎, インフルエンザ, ジフテリア, 破傷風百日咳, 日本脳炎のワクチンを行なった. 延べワクチン接種回数は510回であった.副反応は56/510 (11.0%) に認められた. 副反応としては, 発熱47/510 (9.2%), 一過性の原疾患の症状悪化9/510 (1.8%) であり, 重篤なものや, 発疹を認めなかった. ワクチン接種前後において, てんかん児の脳波変化を検討したが, ほとんど変化を認めなかった. 抗体獲得率は, 水痘83/100 (83.0%), 麻疹66/69 (95.7%), 風疹99/106 (93.4%), 流行性耳下腺炎96/97 (99.0%) で, 健康児におけるそれとほぼ同等であった.
  • 宇根 幸治, 塩永 淳子, 原口 宏之
    1981 年 13 巻 4 号 p. 337-344
    発行日: 1981/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    今回, 25例のnon-progressive ataxic syndromesの臨床像とCTスキャンでの形態学的変化との関連について検討した. 対象は2歳から19歳までの患児で男女比は11: 14であった.
    CTスキャンでの小脳萎縮の判定項目として六項目をあげ, おのおのの項目を0: 変化なし, 1: 軽度, 2: 中等度 (明らか), 3: 高度の4段階に分けて評価し, 総計を小脳萎縮スコアーとした. 小脳正中部に異常 (虫部欠損, 萎縮) を有する症例は, 全例小脳萎縮スコアーが7以上で, Situp, 四つ這いの獲得に24ヵ月以上を要し, 運動発達の遅いものが多かった.
    一方, 小脳正中部に異常のない症例は, 全例小脳萎縮スコァーが7以下を示したが, 萎縮スコアーと運動発達には関係がみられなかった. 更に, 5歳以上の症例で, 臨床的にdysequilibrium syndromeとcongenital cerebellar ataxiaに分類可能な13例のCTスキャンについて検討した結果, 正中部変化を明らかに示した6例は総てdysequilibrium syndromeであつた・しかし, 正中部変化のない7例は, 4例がdysequilibrium syndromeで, 3例がcongenital cerebellar ataxiaであった. したがって臨床的にdysequilibrium syndromesと考えられる症例には, CTスキャンで, 正中部変化を有するものと, 有しないものの二型が存在し, この二型の間には, 運動発達, 知的発達, 臨床症状に明白な差はなかった.
  • 杉江 陽子, 杉江 秀夫, 福山 幸夫
    1981 年 13 巻 4 号 p. 345-351
    発行日: 1981/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1. VPA投与中のgo例の小児の血小板数の変動について調べ, うち63例に投与前値の20%以上の血小板数の減少が認められた. 15万以下の異常減少は3例のみであった.
    2. VPA単独投与群 (I群) は4ヵ月後より減少傾向がはじまり, 他剤併用群 (II群) は1年4ヵ月頃からと遅くはじまる. 以後も, 30%減少位が持続する症例が多い. I群とII群で血小板数減少の頻度に差はないが, その程度は1群でわずかに強い傾向にあった.
    3. 性差, 年齢, 剤型, 投与量と血小板数減少との間に特に一定の関係は認められず, わずかI群女で減少傾向が強く, 1群錠剤投与例で減少傾向のはじまりが早かった.
    4. 一例に臨床的小出血斑を認め, 投与中止で消失した.
  • 一次性および二次性全汎てんかんの比較
    杉江 陽子, 北原 久枝, 杉江 秀夫, 福山 幸夫
    1981 年 13 巻 4 号 p. 352-360
    発行日: 1981/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1. 小児のけいれん性てんかん発作, とくに強直間代発作に対して, VPA単独療法を行ない, 一次性, 二次性全汎てんかんの2群に分け, 発作抑制と脳波改善の2面より, VPAの効果を比較検討した.
    2. 発作抑制効果について, 一次性全汎てんかん群では, 33例中著効23例 (76.7%), 全有効例27例 (90%) と高い有効率を示した. 二次性全汎てんかん群では15例中著効5例 (35.7%), 全有効例9例 (64.3%) と, 一次性全汎てんかん群に比してやや劣ったが, 有意差はなかった.
    3. 2歳以下で発症し, 発症後VPA投与開始までの期間が8ヵ月以内であった10例では, 全例著効が得られたが, VPA投与開始が発病後4年以上経過した8例においても7例で著効が得られた.また発症年齢が2歳以上の20症例については, VPA投与開始時期が発症早期でも不変・悪化例がみられた.すなわちVPAのけいれん発作に対する効果と, 発病からVPA投与開始までの期間の長短との間に有意の関係がなかった.
    4. 発作性脳波異常に対するVPAの効果は, 一次性全汎てんかん群17例では, 著効8例, 有効4例であった.二次性全汎てんかん群13例では, 著効3例, 有効1例と少なく, 不変悪化例が9例 (69.2%) と目立ったが, 一次性全汎てんかん群との間に有意差はなかった.
    5. 脳波異常所見別にVPAの効果を見ると, び漫性発作波に対して有効性が高く (10例中, 著効6例, 有効3例), 片側性局在性発作波に対しては効果が少なかった (11例中不変悪化が9例).
    6. VPA血中濃度が40μg/mlと低い濃度でも発作消失を来した例があり, 従来の治療域下限よりさらに低濃度で発作を抑制しうる症例のあることが示唆された.
  • 岩本 弘子, 小宮 和彦, 三杉 信子, 三杉 和章
    1981 年 13 巻 4 号 p. 361-368
    発行日: 1981/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    乳児期より筋緊張低下を示し処女歩行がやや遅れ, 4歳まり眼瞼下垂, ミオパチー顔貌, 全身の筋萎縮と筋力低下を示した, 知能正常の6歳の女児について報告する. CPK正常上限, 筋電図では筋原性所見, 筋生検で一部にragged-redfiberをみ, 筋組織内に著明な脂肪蓄積を認めた. 安静時には, 高乳酸血症, 酸血症は顕著ではなかったが, 静脈性糖負荷試験および軽度の運動負荷により著明な乳酸上昇と酸血症をみた.
    生検筋および血漿中のカルニチンと生検筋のカルニチン・パルミチルトランスフェラーゼ活性は正常であった. 生検筋のpyruvate dehydrogenase complex activity (以後PDHC) は対照のほぼ1/2の低下を示した. 本児にみられたlipid storage myopathyはPDHCの部分欠損によることが疑われた.
    本児の姉は, 同様の症状と筋組織所見を示し家族性と考えられた.
  • 林 隆士, 倉本 進賢, 高木 繁幸
    1981 年 13 巻 4 号 p. 369-373
    発行日: 1981/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    我々は最近, 稀な症例である小児の脳梁脂肪腫の1例を経験した. 症例は3歳の女児である. 前頭部皮下に腫瘤が存在するために眼窩間距離の開大を主訴として来院した. この前頭部正中線上の皮下の腫瘤は前医で生検され, 脂肪腫であった. これは恐らく脳梁脂肪腫と連続しているものと考えられた. 入院時の神経学的検査では特記すべき異常所見はなく, 既往歴にも痙攣発作はみられなかった. 精神・運動発達はともに正常であった. 頭皮の皮下脂肪腫を合併する脳梁脂肪腫の報告は非常に稀であり, 以下本症の神経放射線学的特徴とともに1例を報告する.
  • II下肢装具
    山形 恵子
    1981 年 13 巻 4 号 p. 374-378
    発行日: 1981/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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