脳と発達
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14 巻 , 4 号
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  • 木村 三生夫
    1982 年 14 巻 4 号 p. 362
    発行日: 1982/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 工藤 英昭, 谷野 定之, 斉藤 建, 柳沢 正義, 鴨下 重彦
    1982 年 14 巻 4 号 p. 363-369
    発行日: 1982/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    3歳時に下肢の痩せ, 尖足で発症し, 進行性の肩甲下腿型筋萎縮, 頸, 肘, 踵の関節拘縮をきたし, 15歳6ヵ月で完全房室blockを伴う急性心不全で死亡した1男子例を経験した. 臨床的にはEmery-Dreifuss型肩甲下腿型筋萎縮症と診断され, 病変の主座を探るため, 第1頸髄から第4仙髄までの脊髄各レベルを詳細に検討し以下の結果を得た.
    1. 脊髄前角の神経細胞は巣性の変性脱落を示し, その変化は第5-7頸髄, 第4-5腰髄, 第1仙髄に強く, 支配筋群に一致すると思われた。
    2. 第5・7・8頸髄の前角細胞数は, controlに比し有意に減少していた.
    3. 軸索にも変性腫大を認め, 特に, 第6頸髄, 第5腰髄, 第1仙髄内側先端部にspheroidを多数認めた.
    4. 頸髄前角内側, 腰仙髄神経細胞脱落巣部に軽度から中等度のgliosisを認めた.
    5. 胸髄側角の神経細胞にもcentral chromatolysisを認めた. 以上の変化はErnery-Dreifuss型の筋萎縮症に神経原性の要素が強く関与している所見と考えられた.
  • 市場 尚文
    1982 年 14 巻 4 号 p. 370-378
    発行日: 1982/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    3-11歳の小児1,009名, 重度精神遅滞59名, 微細脳障害症候群71名の手・足・目の利き側を検討し, 利き側の混乱と脳障害との関連についての知見をえたので報告した.
    1. 厳密な意味での正常小児674名の手・目の左利きの頻度並びに利き側の混乱の割合は, それぞれ5.5%, 29.2%, 28.2%で, 年齢発達とともに減少し, 7歳以降でほぼ一定化する傾向がみられた。なお, 利き側の混乱の要因は左目利きであった.
    2. 左手利きの頻度は, 重度精神遅滞 (32.2%) においてのみ, 正常少児に比し有意の高値を示した.
    3. 左目利きの頻度は, 行動異常 (48.1%), 微細脳障害症候群 (45.1%) においてのみ, 正常小児に比し有意の高値を示した. しかし, 読字障害との関連はみられなかった.
    4. 非正常小児, すなわち学業不振・精神発達遅滞, 行動異常, 痙攣, 言語発達遅滞の既往, 重度精神遅滞, 微細脳障害症候群をもつ小児のいずれにおいても, 利き側の混乱は正常小児に比し有意の高値を示し, しかも脳障害の重篤度に応じて高値を示す傾向がみとめられた.
    5. 小児の神経学的診断上, 手・足・目の利き側の検討が, 脳障害の摘発に有用であることを指摘した.
  • 木村 清次
    1982 年 14 巻 4 号 p. 379-385
    発行日: 1982/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1歳女児の1-cell病患児の骨髄細胞を光顕, 電顕的に検討した.
    光顕では, 形質内にギムザ染色で赤染する顆粒, 空胞, および両者が混在する3種類のリンパ球がみられ, 空胞リンパ球は約20%にみられた.
    電顕では, 95%以上のリンパ球で形質内に異常封入体がみられた. その形態は,(1) 小胞の集積,(2) 限界膜で囲まれた小胞の集積,(3) 限界膜内に小胞, 膜状, 管状, 高電子密度の不定形物質の蓄積するもの,(4) 空胞のみのもの (径0.5-1.5μm) が高頻度にみられた.
    他の血液細胞での変化は少なく, 赤芽球系のerythrosomeの増加, 好中球顆粒の軽度変性が認められたのみであった.
    本例のリンパ球の封入体は, 拡張した限界膜内に小胞の集積, 膜状, 不定形物質の集積が特徴的にみられ, この点でリンパ球に封入体を持つ他の代謝病との鑑別に役立つ可能性を示唆していた.
  • 山本 祐司, 佐藤 透, 桜井 勝, 浅利 正二, 貞本 和彦
    1982 年 14 巻 4 号 p. 386-393
    発行日: 1982/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    これまで“moyamoya”病の特徴的異常血管像はCTでは描出され難いとされていたが, 我々は高分解能CT (GE・CT/T8800) を用いて, 造影方法。撮影方向を工夫した脳血管CT (cerebral computed angiotomography) を行うことにより, その異常血管像をCT画像上に描出することに成功した. その特徴的所見は, axialplaneでは “いも虫” 様, modified coronal planeでは “星雲” 状高X線吸収像であり, これに内頸動脈末端部, 前・中大脳動脈近位部の狭窄ないし造影不良を伴っている。造影方法とし七はintravenous minimum dose bolus inlectionmethod (MinDB静注法), 撮影方向としてはmodified coronal planeが優れていた.
    最近, くり返す一過性の右上肢の単麻痺を主症状とする9歳男児例において, 脳血管撮影に先だちこの脳血管CTにて本症 (片側性) と診断できた1例を経験した。本症のscreeningやfollow up studyとして脳血管CTの有用性は高まるものと思われる.
  • 今野 金裕, 三浦 義人, 鈴木 仁, 高木 徳郎, 唐橋 実
    1982 年 14 巻 4 号 p. 395-404
    発行日: 1982/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    大田原らにより提示されたearly infantile epileptic encephalopathy with suppression burst (E. I. E. E.) の5症例を経験し, それらの初期症状, 脳波, CT所見, 経過, 予後などを検討して次の結果を得た.
    1. 発症時期は生後1日-9日ときわめて早い.
    2. suppression burst patternは覚醒時においても認められる.
    3. 初発時のCTスキャンでは全例に大きな脳奇形はなく, 先天性代謝異常などの基礎疾患も認められなかった.
    4. けいれんの型は全身強直型を主体とし, その他, 持続性移動性間代性けいれん, 無呼吸発作, 異常啼泣発作などが認められた。シリーズを形成するものが3例あった.
    5. けいれんは非常に難治で予後もまったく悪く, 4ヵ月以内に死亡したものが2例, 生存中の者も全例重症心身障害児で2例がLennox症候群へ変容した.
    E.I.E.Eは発症時期および覚醒時にもsuppression burstが認められるという脳波上の特徴的な所見よりWest症候群とは明らかに区別される臨床単位であることから, 本症を大田原症候群と呼ぶことを提唱した.
  • 杉江 陽子, 杉江 秀夫, 北井 暁子, 丸山 博, 福山 幸夫
    1982 年 14 巻 4 号 p. 405-413
    発行日: 1982/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    脳性麻痺児200例のCT所見に基づいて, 脳室拡大とクモ膜下腔拡大の主観的所見と計測値の比較検討を行った. 日立製CT-H250を使用し, 計測はorbitomeatal lineと平行で側脳室前角陰影が最も明確に認められるスライスにおいて行い, 側脳室評価に1. 大脳最大横径 (b) に対する側脳室前角の左右最外側間距離 (c) の比, 2. (b) に対する側脳室尾状核部間距離 (d) の比, 3. (c) + (d) 値を指標とし, 1, 2は (イ) 計測値と標準値の差および,(ロ) 標準値からの標準偏差で表現した.第III脳室, 前大脳縦裂, シルビウス裂の評価にはおのおの最大幅を計測した. 主観的には, 拡大なし, 境界, 軽度, 中等度, 高度拡大の5段階評価をした. 主観的所見と計測値の比較検討の結果から, 脳室拡大とクモ膜下腔拡大の程度を計測によって4段階に評価する一つの基準値を提案したが, 計測上の問題点も指摘し, 計測による評価は主観的所見の参考値として求められるべきものと思われた.
  • 市場 尚文, 土肥 嗣明, 大田原 俊輔
    1982 年 14 巻 4 号 p. 414-423
    発行日: 1982/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児ウィルソン病8家系9症例につき, 臨床的脳波学的検討を行った. 病型は脳症状型4例, 肝脳型2例, 肝症状型2例, 無症状型1例であった.
    1. 全例, セルロプラスミンの低値と尿中銅排泄量の増加をみとめた.
    2. 初診時脳波では, 全例, 基礎波の異常をみとめた.行動異常, 情動障害を示した5症例においてのみ, anterior θ burstあるいは6c/s wave and spike phantomをみとめた.
    3. 経時的に脳波を追跡しえた5症例の検討でも, 行動異常, 情動障害と平行して, anterior θ burst, wave and spike phantomが推移した
    4. ペニシラミン治療により5年以上経過観察しえた5例中, 4例は予後良好で, 脳波上も改善をみとめた
    5. ウィルソン病の行動異常及び情動障害の責任病巣として, 間脳機能障害の意義を指摘した.
  • 成沢 邦明, 新井 宣博, 早川 洋, 舘田 拓, 多田 啓也
    1982 年 14 巻 4 号 p. 424-430
    発行日: 1982/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    高Phe血症をともない重篤な中枢神経症状を主徴とするBH4欠乏症の早期診断法として, 乾燥濾紙血症のDHPR活性の測定と尿中プテリン誘導体を検討した. 新生児を含めたコントロール129例のDHPR活性は242-848nmol/min/discの範囲にあり, 一方, 患者活性はほぼ0であった.濾紙血液DHPRは安定な酵素であり, 30℃10日間の保存で活性の低下をみなかった.以上の結果は本法によってDHPR欠損症が容易に診断しうることを示唆している. HVEとペイクロを用いる二次元展開法で沃素処理尿及びアスコルビン酸添加尿のプテリン誘導体を検討した結果, ビオプテリン欠乏症: Ne/B比の高値, DHPR欠損症:(BH2+B) の増加をみるがBH4を欠く, PKU: BH4の増加, という特徴あるパターンを示した. 沃素処理尿ではB, Ne, BH4の定量が可能であり, 各亜型の診断に有用である.一方, アスコルビン酸添加尿を用いてのHVEは前処理を必要とせず, 一度に多検体を処理できる点, マススクリーニングに有用な方法と思われる.
  • 尾上 幸子, 安部 治郎, 二木 康之, 田川 哲三, 三牧 孝至, 清水 寛, 藪内 百治
    1982 年 14 巻 4 号 p. 431-436
    発行日: 1982/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    特発性多発性脳神経炎の3症例を経験したので, 症例報告し, 四肢や体幹の末稍神経障害を主とする病型と比較検討した. 症例1は先行感染なく発症, 両側末稍性にIII, IV, VI, W, X, Vの第2知覚枝及び右側XIが障害されていた. 症例2は, 先行感染があり, 左側のIII, Wと, Vの第2知覚枝, 症例3は, インフルエンザ予防接種後に発症し, 両側のIII, IV, W, 粗, Vの第1, 2, 3知覚枝の脳神経に障害を認めた. 3例とも, 2ヵ月から6ヵ月以内に全治し, 予後は良好であった. 四肢の末梢神経障害を主とする病型は, 11/22例50%, Fisher症候群も含めて脳神経障害を合併したのは8/22例36%, 脳神経炎型は3/22・例14%であった.
  • 杉本 健郎, 西田 直樹, 安原 昭博, 坂根 義己, 小野 厚, 谷内 清
    1982 年 14 巻 4 号 p. 437-439
    発行日: 1982/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    最近,抗痙攣剤バルプロ酸によると思われる致死的な肝障害が問題となっている.
    症例は13歳女児でバルプロ酸の他にPB,CBZ,PHTを投与中に呼吸停止,痙攣を主訴として来院した. 血液検査でGOT,GPT,動脈血アンモニアの著増と髄液検査が正常域であることより臨床的にライ症候群と診断した. 発症2日目の肝生検で散在性の肝細胞壊死,びまん性の小脂肪滴がみられ,電顕ではミトコンドリアの腫大は少なく,マトリックスのdensityの増加とelectron dense depositsがみられ,この結果よりReye-like syndromeと診断した. なお脳症発現の10ヵ月前の検査では,肝機能は正常域であったが,血中アンモニアの上昇がみられた. バルプロ酸による高アンモニア血症,肝機能障害の詳細な機序はなお不明であるが,若干の考察を加え,自験例を報告した.
  • 有馬 正高
    1982 年 14 巻 4 号 p. 440-443
    発行日: 1982/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Wilsonの肝レンズ核変性症についての論文は自験例4例とGowers, Ormerodらの家系の患者2例を加えた詳細な症例報告である. 215頁にわたる本論文を網羅することは不可能であり, 緒言のほぼ全文とその他の一部を紹介する、ことに留めた., 若き日のWilsonの意気がこの緒言のなかにもっとも生き生きと感じられ, また, 末尾の結語に記載されている内容もほぼ含まれていたからである。臨床像と対比して病理学的特徴を述べ, さらに, 何らかのtoxic agentを想定した本論文によって, 第1例の発見者ではなかったにもかかわらず, 後世にWilson病として名を冠せられたことが理解できる.この論文は錐体外路疾患の臨床を理解するのにも役立つであろう。なお, 家族性ではあるが遺伝性ではないという記述は誤りであるが劣性遺伝の疾患に対する当時の知識を反映したものと推察される.
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