脳と発達
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15 巻, 1 号
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  • 長畑 正道
    1983 年 15 巻 1 号 p. 2
    発行日: 1983/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 石田 喬士
    1983 年 15 巻 1 号 p. 3-14
    発行日: 1983/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児期の中枢神経系の発達過程を客観的に評価する目的で新生児から成人に至る158例の健常人のSEPを検討し, 以下の結果を得た.
    1. 新生児期のSEPですでに成人と同数の頂点が認められた. しかし新生児以後も波形は発達的変化を示し, 成人波形が完成するのは6歳頃であった.
    2. N1潜時は生後4ヵ月までに急速に短縮し, 6-9歳群で最短となり, 以後はむしろ年齢増加にともなつて成人まで延長傾向を示した.
    3. 後期成分の潜時は生後2-3ヵ月で著明に短縮した. したがつて小児の中枢神経系の発達過程においてcritical periodといえる生後2-3カ月でSEPは発達を評価する有用な方法であると思われた.
    4. 一般的に小児における振幅は成人に比し高振幅であった.各振幅はそれぞれ異なつた年齢群で最大振幅を示すが, 総ての振幅は9歳以後経年的に減少傾向を示した.
    これらの知見はSEPが中枢神経系の機能的な発達の評価に有用な方法であることを示しており, 各年齢別の測定値は臨床的に標準値として応用されうると考える.
  • 精神発達および運動障害との関係について
    二木 康之
    1983 年 15 巻 1 号 p. 15-25
    発行日: 1983/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    超音波ドプラ法により, 正常小児35例, 心身障害児106例 (脳性麻痺児79例, 精神発達遅滞児19例, 重度心身障害児8例) を対象として内頸動脈の平均最高流速 (A/L), 心拡張末期最高流速 (d) を測定して次の結果を得た.
    1. 脳性麻痺群では各病型ともに血流速の低下がみられ, この低下は重度の運動障害を持つ症例で顕著であつた.
    2. 精神発達遅滞群ではIQ (DQ) 25以下の症例で血流速の低下がみられた.
    2. 精神発達遅滞群ではIQ (DQ) 25以下の症例で血流速の低下がみられた.
    以上の結果から, 脳障害をもつ小児では脳血流が低下しており, この低下は脳障害の程度が強いほど高度であることがしめされた.
  • 高木 誠一郎, 黒川 徹, 合屋 長英, 沼口 雄治
    1983 年 15 巻 1 号 p. 26-33
    発行日: 1983/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    CTスキャン所見のうち, 頭蓋内異常石灰化像をその部位と形態により7型に分類し, 22例の小児について検討した. すなわち分類は, I型: 脳実質外, II型: 大脳半球, III型: 脳室周囲, IV型: 基底核, V型: 脳幹とし, II型についてはさらに孤立性, 多発散在性, 広範性に細分類した.これらの各型はそれぞれ基礎疾患・症状・神経学的所見・頭蓋単純レ線所見・脳波所見と関連性があり, 診断上有意義なものと思われた.
    石灰化の診断にあたってCTスキャンはきわめて有用であった.すなわち, 頭蓋単純レ線においては石灰化が認められたものはこれら22例中9例 (41%) にすぎなかった. また頭蓋単純レ線に比し, より早期から確認でき, 石灰化の個数・範囲がより正確に把握できた.しかし一方では, 石灰化を認めるものの診断不明あるいは症状との関係が不明瞭な症例もあった.
  • CT像との対比について
    中井 挙子, 高嶋 幸男, 吉田 春彦
    1983 年 15 巻 1 号 p. 34-39
    発行日: 1983/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    生後5ヵ月より点頭てんかん発作をきたし, CTにて無脳回症と診断, その特徴的顔貌・経過よりlissencephaly syndromeとして先に報告した.今回剖検所見が得られたので, CT所見との比較検討をし報告する
    1歳7ヵ月の病理解剖所見では, 肉眼的脳所見として (1) 無脳回で表面平滑な形状を示し頭頂部にくびれがみられる,(2) シルビウス溝は後方にのみ陥入 (弁蓋形成不全),(3) 透明中隔腔,(4) 側脳室前角に比し後角が大,(5) 大脳白質では前頭葉が厚く後頭葉ではより薄い,(6) 大脳皮質が厚く皮髄境界が不明瞭などがCT像にも認められ, CTの診断的有用性を確認した. その他種々の奇形 (総腸間膜症, 左重複尿管, 右重複腎孟及び重複尿管) を伴っていた
    Golgistudyでは大脳皮質の層状形成異常に加えて, 神経細胞の配列の異常と発達不全または早期停止の所見がみえた.
    本症例の成因として, 母親が妊娠初期に不明の発疹症があり, 何らかの胎内感染の可能性が考えられた.
  • 小出 信雄, 武部 幸侃, 木村 滋, 渡部 準, 羽根田 敏, 三橋 善比古, 山本 雅章, 吉村 教皋
    1983 年 15 巻 1 号 p. 40-46
    発行日: 1983/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Menkes' kinky hair diseaseで全身の強直発作あるいはミオクロニー発作を認めた3ヵ月男児例について臨床経過, 治療結果, 検査成績を報告した.
    1. 硫酸銅の非経口投与により頭髪の黒色化, 喘鳴・湿疹・骨変化の改善と血清銅およびセルロプラスミン値などの検査所見の改善を認めた. 中枢神経症状については治療により一過性・軽度の改善を思わせたが究極的には進行性に悪化した. 脳CTスキャン所見は検査成績の正常化にもかかわらず進行性の脳萎縮を示した. 痙攣発作に対してZ-DOPAが一過性に著効を呈した.
    2. 治療により検査成績が正常化した時点で髄液カテコラミン値の異常 (dopamineの著増とnorepinephrineの減少) を認めた. 同時に測定した血清dopamine-β-hydroxylase活性は著明に低下していたことから, 本症脳内dopamine-β-hydroxylase活性の低下が推察された.
    3. 剖検で得られた組織内銅含有量は消化管で高値, 肝で低値を示し, 脳では対照に比べて白質で差はなく灰白質でむしろ高値を示した. 上記の検索結果は本症が細胞内銅転送の障害であるとする意見を支持するものであつた.
  • 下村 千枝子, 中下 誠郎, 小川 昭之, 辻 芳郎, 辻畑 光宏
    1983 年 15 巻 1 号 p. 47-51
    発行日: 1983/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Nemaline myopathyの新生児重症例について, その臨床像, 及び剖検所見についてのべた. 患児は, 4ヵ月の女児, 生下時より著明な筋緊張低下, 呼吸困難を示し, 人工呼吸器を必要とした. 患児は, 細長い顔貌, 高口蓋, 耳介変形, 蜘蛛状指がみられ, 蛙型姿勢を呈した. 以後自発呼吸があるにもかかわらず, 筋緊張低下, 及び嚥下障害のため, 人工呼吸器からの離脱がでぎず生後5ヵ月目に死亡. 生後3ヵ月目に施行した筋生検にて, タイプ1線維の萎縮を認め, 剖検時の横隔膜標本より, ネマリン小体が見られ, nemaline myopathyと診断した.
  • 行天 徹矢, 桑村 圭一, 穀内 隆
    1983 年 15 巻 1 号 p. 52-56
    発行日: 1983/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    我々は最近, 生下時より後頭部正中にみられた一見頭瘤 (cephalocele) と思われるような類皮嚢腫の1例を経験した. 腫瘤は直径約6cmの球状のやや弛緩した軟性腫瘤で, その基部には, くびれがみられた. 腫瘤の部の頭髪はやや少なく, 頭皮は完全で欠損なく, 頭皮の光沢はなかった. 腫瘤には波動を触れたが拍動性はなく, 泣いても腫瘤の緊張の増強は認められなかった. Towne撮影では後頭部inion直上に径4mmで矢状方向に細長い骨欠損を認めた. CTscanでは後頭部の腫瘤内部は脳脊髄液とほぼ同じ吸収値を示した. 手術所見は頭皮下に半透明の嚢腫壁を認め, 内容物は, やや混濁した黄色液であった. 嚢腫底部には, 後頭部に付着した毛髪を含む小腫瘍塊がみられ, 小さな骨欠損 (4mm×12mm) を介して索状物が頭蓋内硬膜に付着していた. この腫瘍塊の組織所見は類皮腫であった. 頭瘤と鑑別上, 興味あるものと考え, 若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 玉川 公子, 中島 末美, 寺内 昭子, 小出 博義, 森松 義雄, 西谷 修, 三村 明朗
    1983 年 15 巻 1 号 p. 57-66
    発行日: 1983/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    歳女と15歳男のSanfilippo症候群B型 (酸性ムコ多糖体蓄積症III B) の同胞例を報告した.
    両親はいとこ同士で長兄も同様の臨床症状を示した. 4-8歳頃より歩行障害・知的退行で発症し, 徐々に進行し, 全身の振せん・ミオクローヌス・運動失調でねたきりの状態となった. 肝脾腫大はなく, 骨形成不全も軽度であった. 尿中ヘヘパラン硫酸を主としたムコ多糖の排泄増加が認められ, 白血球・培養線維芽細胞でN-acetyl-α-D-glucosaminidaseの活性が認められないかまたは著明に低下を示し, 他のライソゾーム水解酵素活性はほぼ正常であった. 骨髄血中にみられた蓄積細胞および生検皮膚組織の電顕所見では, 多数の空胞がリンパ球・線維芽細胞・血管内皮細胞内に認められ, 少数のmembranous cytoplasmic body (MCB) 様小体が認められた. 尿中へのシアル酸排泄量は正常対照の2-2.5倍の増量を示したが, 線維芽細胞アリダーゼ活性は正常であり, 二次性のシアル酸代謝異常が考えられた.
  • CTスキャンによる脳幹部病変の検討, ならびに文献的考察
    鈴木 文晴, 中里 明彦, 伊古田 裕子, 小出 博義, 八坂 篤, 中田 義隆
    1983 年 15 巻 1 号 p. 67-73
    発行日: 1983/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Joubert症候群はJoubertら (1969) により報告され, 発作的多呼吸および無呼吸, 異常眼球運動, 精神運動発達遅延を塁し, 小脳虫部欠損, 脳幹小脳部の神経病理学的異常を伴*う稀な症候群である. 我々は本症候群と思われる1例を経験し, CTスキャンによる脳幹小脳部病変の検討を行い, 関連した症候群も含めて文献的考察を加えてここに報告する.
  • 木下 真男, 仁科 牧子, 藤岡 俊樹
    1983 年 15 巻 1 号 p. 74-77
    発行日: 1983/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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