生後5ヵ月より点頭てんかん発作をきたし, CTにて無脳回症と診断, その特徴的顔貌・経過よりlissencephaly syndromeとして先に報告した.今回剖検所見が得られたので, CT所見との比較検討をし報告する
1歳7ヵ月の病理解剖所見では, 肉眼的脳所見として (1) 無脳回で表面平滑な形状を示し頭頂部にくびれがみられる,(2) シルビウス溝は後方にのみ陥入 (弁蓋形成不全),(3) 透明中隔腔,(4) 側脳室前角に比し後角が大,(5) 大脳白質では前頭葉が厚く後頭葉ではより薄い,(6) 大脳皮質が厚く皮髄境界が不明瞭などがCT像にも認められ, CTの診断的有用性を確認した. その他種々の奇形 (総腸間膜症, 左重複尿管, 右重複腎孟及び重複尿管) を伴っていた
Golgistudyでは大脳皮質の層状形成異常に加えて, 神経細胞の配列の異常と発達不全または早期停止の所見がみえた.
本症例の成因として, 母親が妊娠初期に不明の発疹症があり, 何らかの胎内感染の可能性が考えられた.
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