脳と発達
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15 巻, 4 号
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  • 半田 肇
    1983 年 15 巻 4 号 p. 278
    発行日: 1983/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 橋本 俊顕, 日浦 恭一, 遠藤 彰一, 田村 保憲, 宮尾 益英, 福田 邦明, 桑村 圭一, 田山 正伸
    1983 年 15 巻 4 号 p. 279-289
    発行日: 1983/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    重篤な脳奇形 (severe microcephaly with encephalocele, hydranencephaly) の睡眠ポリグラフについて検討した.
    severe microcephaly with encephaloceleでは剖検にて間脳の組織が認められなかつた.睡眠ではASの減少, 持続の短縮, 出現リズムの乱れがあり, QSも少なく, ISが大部分を占めていた.
    hydranencephalyではASの出現頻度, 持続, リズムに異常はみられなかつた. 経時的観察ではQSの減少, ISの増加がみられた. 睡眠・覚醒リズム, 血漿cortisol分泌リズムに異常がみられたが, 血漿GHの分泌は睡眠時に増加していた.
    睡眠中の体動ではsevere microcephaly with encephaloceleでGMおよびLMの減少があり, hydranencephalyではGMの頻度は軽度増加, LMは減少していた. GMは四肢の同期する動きが大部分であった. Trmは両例とも増加していた.
    以上の結果について考察を行つた.
  • 鈴木 暘子, 宍倉 啓子, 大澤 真木子, 平山 義人, 茂木 令子, 三石 洋一, 山口 規容子, 福山 幸夫
    1983 年 15 巻 4 号 p. 290-300
    発行日: 1983/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    高ピルビン酸, 高乳酸, 高アラニン血症を示し, 生検肝組織のピルビン酸脱水素酵素複合体の著明な活性低下を認めた2症例の生検筋組織の組織, 組織化学, 電顕的検討を行った.
    両例ともに, 線維の大小不同, 散在性のragged-redfiberを認め, 1例ではズダンIII染色で脂肪滴の増多を多くの線維に認めた.組織化学的には, 酵素活性の低下なく, 酸化酵素染色でragged-redfiberにおける活性の増強を認めた.
    電顕的には, ミトコンドリアの筋鞘膜下の集積があり, 更にミトコンドリアの大小不同, クリスタ配列の異常, myeline figure, electron densebody, 結晶状封入体を認めた.1例では上記所見に加え, 筋線維内のグリコーゲン顆粒の蓄積と, ミトコンドリア周辺の脂肪滴の増多を認めた
  • 松岡 収, 村田 良輔, 金 正義, 武田 公子, 上田 亨, 一色 玄, 高木 俊一郎
    1983 年 15 巻 4 号 p. 301-309
    発行日: 1983/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    普通学級通学中のてんかん児30名を対象にテレメーター装置を用いて水泳中の脳波を記録し, 棘波および背景脳波の変化を検討した.
    検査当日, 15名に棘波の出現がみられたが, 水泳中脳波で棘波の増加した症例はなく, 特に完全記録された10名では, 平均棘波出現率を各閉眼状態で比較すると, 水泳前9.2%, 第1回水泳中4.1%, 第1回水泳後9.2%, 第2回水泳中2.4%, 第2回水泳後6.4%と明らかに水泳中において, 棘波の出現は減少していた.水泳負荷後では, 第2回水泳後に10名中7名に棘波の減少が認められた.
    背景波の変化については, ATAC 450 Cによるpower spectrum解析を行った.水泳中ではalpha帯域の高周波化とpower値の低下, 水泳負荷後ではalpha帯域の高周波化とpower値の増加が認められ, 視察的な脱同期化傾向および徐波成分の減少と一致するようであった.
  • 乳幼児期発症群と年長児期発症群との比較検討
    福岡 秀和, 高木 卓爾, 水野 志朗, 若林 繁夫, 永井 肇, 石川 達也, 中西 雅夫
    1983 年 15 巻 4 号 p. 310-316
    発行日: 1983/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児硬膜下膿瘍7手術例の長期予後について報告した.発症時年齢は生後1ヵ月目から15歳までであり, 性別では男児5例, 女児2例であった.7症例のうち, 1例は術後4年目に肺炎で死亡したが, 他の6例はいずれも術後5年以上生存している.著者らは発症時期により, 乳幼児群と年長児群に分け, 両者の予後をCT, 脳波, 知能検査, 日常生活の面から比較検討した.
    その結果, 感染原因として副鼻腔からの感染が多い年長児期発症群は予後良好であり, 先行する硬膜下腔疾患 (硬膜下水腫) に感染したり, 髄膜炎に合併する乳幼児期発症群では予後不良であることが判明した.この理由として乳幼児硬膜下膿瘍では, 本症の発症以前にすでに何らかの脳障害が存在していた可能性のあること, 年長児に比較して感染防御機構が未熟で脳実質に与える損傷が大きいことなどが考えられた.
  • 第1編オートラジオグラフ的研究
    吉岡 博
    1983 年 15 巻 4 号 p. 317-327
    発行日: 1983/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    新生仔期の低酸素症がその後の脳組織発達におよぼす影響を3H-チミジンオートラジオグラフィーにより細胞増殖動態面から検討した.
    実験ではJcl: ICR系生後2日目の哺乳マウスに30分間無酸素負荷を行い, 生存マウスを低酸素群とし, 無処置同胞マウスを対照群とした.
    低酸素群の体重・体長は生後20日目までは増加が不良で対照群に比し有意に低値を示したが, その後は回復し有意差はなくなった. 脳重量も生後10日目では対照群に比べ11%減少していたが, 生後20日目には有意差はなくなった.
    負荷直後の低酸素群マウスの視床・小脳には神経細胞の変性が存在した. 低酸素群の分裂指数や標識率は, 生後5日目までは対照群より下まわっていたが, 7日目および10日目では対照群より高値をとり, 15日目以後には両群ほぼ等しくなった
    生後2日目の低酸素群小脳外顆粒層細胞の世代時間は対照群に比べ約2時間延長したが, それは主としてG2期の延長によるものであった. 一方, 生後7日目では低酸素群のそれは対照群に比し約2時間短縮しており, G1期の短縮がその主因であった.
    以上より, 細胞増殖動態の面で, 生後2日目における30分間の低酸素負荷がおよそ5日目まで抑制をもたらすこと, その後はcatch up現象が生ずること, そしてその抑制と回復は別の機構により行われることが示唆された.
  • 第2編定量的組織学的研究
    吉岡 博
    1983 年 15 巻 4 号 p. 328-337
    発行日: 1983/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    マウスにおいて, 新生仔低酸素症が小脳プルキンエ細胞および顆粒細胞数におよぼす影響を生後20日目に定量的組織学的手法をもちい, また大脳頭頂部皮質錐体細胞樹状突起の分岐・伸展におよぼす影響を生後20日目と60日目にGolgi-Cox法により定量的に検索した.
    低酸素群ではプルキンエ細胞数顆粒細胞数ともに減少していた. そして錐体細胞突起の分岐・伸展も生後20日員では対照群に比し全体的に乏しく, 生後60日目にいたっても, 細胞体近位の突起についてはほぼ正常近くまで回復しているものの, 遠位では突起の分岐・伸展ともに不充分であった.
  • 園部 真, 高橋 慎一郎, 大原 和夫
    1983 年 15 巻 4 号 p. 338-339
    発行日: 1983/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    3ヵ月女児でCTの増強造影法にて脳底槽の強く増強増影されるいわゆる「肉芽腫性脳底髄膜炎」“granulomatous basal menimgitis”の1例を示した.
    本症例では起炎菌が肺炎球菌と同定されており, 細菌性髄膜炎による肉芽腫性脳底髄膜炎の報告は本邦最初のものと思われる.
  • 斉藤 益子, 湊 ひろみ, 大出 集, 桃木 俊郎, 竹内 東太郎, 有泉 基水
    1983 年 15 巻 4 号 p. 340-344
    発行日: 1983/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    単純ヘルペス脳炎の脳病変は, 一般に側頭葉に限局したものが多い. 我々は, CT上広汎な脳病変を示し, 発病後2ヵ月頃に慢性硬膜下血腫をきたした9ヵ月女児例を経験した. 児の免疫能のうち血清IgAは, 発病初期に5mg/dl以下と低値を示し, 1年経過した現在も2mg/dlと低値である所から, 本症例の広汎な脳病変の病態発生には, 低IgA血症が関与していたと推察した.また, 慢性硬膜下血腫をきたした点については, ヘルペス脳炎で認められている壊死性脳炎あるいは出血性脳炎と同一の発病機序によることも考えられるが, 血腫発現時期を考慮すると, 脳炎後の脳萎縮に起因したものと推定される.
  • 青木 信彦, 兼次 邦男, 水口 雅, 栗原 栄二
    1983 年 15 巻 4 号 p. 345-349
    発行日: 1983/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Reye症候群の疑われる1例を含む3例の急性脳症において, 共通する特異なCT所見を認めた.つまり発症早期から対称的に, 視床と小脳 (主に歯状核) に低吸収域を呈し, ひきつづいて側脳室周囲にも同様の変化をきたした.
    Reye症候群の疑われる症例と, その他の急性脳症の症例において, ほぼ同様なCT所見を呈することは, 両疾患における脳障害の関連性を示唆するものといえる. さらに, ここに提示した3症例は急性脳症における新たなsubgroupとして注目に値するものと考えられる.
  • 腎動脈の線維筋性形成異常症 (fibromuscular dysplasia) について
    寺澤 健二郎, 山口 洋一郎, 石原 修, 松石 豊次郎, 津末 美和子, 森松 稔
    1983 年 15 巻 4 号 p. 350-355
    発行日: 1983/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    反復する一過性脳虚血発作で発症し, 腎血管性高血圧症を合併したウイリス動脈輪閉塞症の4歳男児例を報告した. 脳血管撮影では両側内頸動脈末端よりウイリス動脈輪, 両側の中・後大脳動脈の一部に著しい血管の狭窄を認め脳底部には異常血管網が見られた. 右腎動脈撮影では, 起始部より管状に狭窄した所見が得られた. 高血圧症は薬物療法および腎動脈再建術などの治療に抵抗し, 右腎機能の廃絶化が確認されて, 右腎摘出術が行われた.
    摘出腎の腎動脈病理所見では, 著明な求心性の内膜肥厚が存在し, 線維筋性形成異常症 (fibromuscular dysplasia) の内膜過形成 (intimal hyperplasia) と区別しえなかった. ウイリス動脈輪閉塞症と線維筋性形成異常症の重複領域が存在することを示唆する症例と思われ報告した.
  • Generalized cortico-reticular epilepsyに関する一考察
    石川 達也, 山田 克己, 金山 学, 中里 三紀子, 粟屋 厚子, 若林 繁夫, 清水 国樹, 高木 卓爾, 杉浦 寿康
    1983 年 15 巻 4 号 p. 356-365
    発行日: 1983/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    部分発作で発症しLennox-Gastaut症候群に進展, porencephalic cystの外科的処置により改善した6歳男児を報告した.
    患児は, 3歳時に意識減損発作で発症, 脳波上, 左側頭部のfocal spikeと両側性全汎性の速波burstが認められた. 発作はその後増強し, 非定型欠神, tonic spasms等が4歳2ヵ月時より毎日頻回となり知能も低下, 間歇期脳波でdiffuse slow spike-and-wave dischargeが出現し, Lennox-Gastaut症候群に進展したと考えられた. 頭部CTで左側頭前部にporencephaliccystが見出され, 4歳6ヵ月時, 開頭術を行った。脳表が膨隆し, cystは脳実質内に存在し, そこより黄色液が約20ml採取された. 手術3日後より発作は1年間freeとなり, 脳波も著しく改善した.
    この改善は, 皮質病巣に対する処置によって, 皮質-皮質下網様体投射機構間の異常な相互連関をたち切ったことによりもたらされたと考えられ, Lennox-Gastaut症候群はgeneralizedcortico-reticular epilepsyとする考えを支持するものである.
  • 脳波異常が認められた小児ネフローゼ症候群の2症例
    市田 蕗子, 木村 晶子, 京谷 征三, 小西 徹, 浅田 礼子, 松井 美和, 紺田 応子, 谷沢 隆邦, 岡田 敏夫
    1983 年 15 巻 4 号 p. 366-368
    発行日: 1983/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    頻回再発型ネフローゼ症候群 (以下, 頻回再発型ネ症) の, chlorambucil (以下CHL) 療法を, 5歳-13歳の9例に施行したところ2例に脳波異常が出現した. 症例1は, CHL投与後15日目の脳波に汎性不規則性棘徐波結合の出現をみ, 減量とともに消失している. 症例2は, 投与後9日目の脳波に, 汎性律動性棘徐波結合の出現をみ, 投与期間8週および, 投与中止後3週の現在まで, 同様の異常波が出現している. 脳波上の変化は, これまで報告された多数の動物実験および症例報告と極めて類似するものであるが, 本邦では未だ報告例がない. CHLの神経毒性の報告が小児例に多いことおよび, ネ症の病態生理, 併用するステロイド自体の脳波への影響を考慮すると, 小児期ネ症のCHL療法では, 注意深い神経学的検索が重要と思われる.
  • 小川 昭之
    1983 年 15 巻 4 号 p. 369-372
    発行日: 1983/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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