脳と発達
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16 巻, 6 号
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  • 大田原 俊輔
    1984 年 16 巻 6 号 p. 426
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 後藤 和利
    1984 年 16 巻 6 号 p. 427-434
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    人工呼吸下に非動化麻酔ネコを用い, 動脈血圧・呼気ガスO2およびCO2濃度並びに横隔神経活動を連続記録しつつ2種類の実験を行った. (1) 延髄のN. retroambigualis (NRA) より呼吸性ニューロン活動を導出し, 延髄腹側表面のintermediate area (IA) を電気刺激すると, 動脈血圧は低下し, 横隔神経活動およびNRA吸息性ニューロン活動は増大し,(2) 逆に, NRAを刺激すると, 動脈血圧は上昇し, IAニューロン平均発射頻度は増大した. IAとNRAとの間には機能的連関が認められ, その関係は相互に促進的であり, 結合様式は多シナプス結合であると考えられる.
  • III. Total asphyxiaによる行動学的変化
    吉岡 博, 越智 雅晴, 吉田 昭, 飯野 茂, 藤原 克彦, 石村 和久, 西村 理, 楠 智一
    1984 年 16 巻 6 号 p. 435-440
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    新生児低酸素症に起因する脳障害によって行動異常や情緒障害が生ずることが推測されている. そこで, total asphyxia (TA) マウスについて行動学的検索をおこない, 以下の結果を得た.
    1) TAマウスはopen-fieldテストによるambulationで多動を示した.
    2) TAマウスはtouch-escape, provoked bitingなどにより情動過多を示した.
    3) Wire maneuverにより協調運動障害を示した.
  • 0~3歳の脳波からみた長期予後
    松本 昭子, 渡辺 一功, 杉浦 ミドリ, 根来 民子, 高江洲 悦子, 岩瀬 勝彦
    1984 年 16 巻 6 号 p. 441-444
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    昭和38年から51年までに名大小児科を受診し, 6歳以降の予後の明らかとなった1歳未満発症のけいれん性疾患のうち, 機会性けいれん, 熱性けいれんを除いた284例を対象にした. そのうち0歳から3歳までの脳波記録が得られたのは, 0歳167例, 1歳102例, 2歳93例, 3歳76例であった. 0から3歳までの乳幼児期の脳波の予後推測因子としての意義について検討した.
    焦点性棘波が2歳までにみられる場合は予後不良で, 発作消失率は35%に過ぎないが, 3歳で焦点性棘波を持つ場合には65%で発作が消失し, 発作波なしの群との間に差がみられなくなった.反対に0歳で発作波を有しないものの76%が正常精神運動発達を示したが, 年齢が長ずるに従ってその率は低下し, 発作波ありの群との間に差が見られなくなった. したがって年齢が0から3歳と高くなるに従って, 脳波の予後推測因子としての意義は低下するといえた.
  • 熊谷 俊幸, 竹内 達生, 原 紀美子, 宮崎 修次, 利光 貞次郎, 塩野谷 隆義, 小松 喜代, 水谷 直樹, 渡辺 一功
    1984 年 16 巻 6 号 p. 445-449
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    メチルヒスチジンは筋肉のアクチンとミオシンの崩壊により産出されるアミノ酸で, 血中で再利用されずにただちに尿中に排出されるため, 筋蛋白の崩壊度を示す指標として利用できる. われわれは, 小児神経筋疾患21例, 対照9例について尿中3-メチルヒスチジン (クレアチニン比) を測定した.
    対照では34.7±3.6mg/gクレアチニンであったのにくらべ, Duchenne型筋ジストロフィー症 (5例) で67.4±10.9, 福山型先天性筋ジストロフィー症 (6例) で73.4±9.9, Werdnig-Hoffmann病 (5例) で68.8±15.9mg/gクレアチニンといずれも有意の高値を得た.
    他の筋疾患でも対照とくらべ, 高値が得られ, 本方法は神経筋疾患診断上, 有用と考えた.
  • 田角 勝
    1984 年 16 巻 6 号 p. 450-455
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    頭部断層エコー検査を205例の新生児に経時的に行い, 側脳室幅-大脳半球幅比 (LVW/HW ratio) を計測し, その臨床的意義を検討した. LVW/HW ratioの正常値は, 0-1日齢では0.281±0.033であり, 2日齢以後と比較して低値であった. 同一修正週数における比較では, 未熟児においてLVW/HW ratioが大きかった.
    脳室内出血では, Grade I, Hでは, LVW/HW ratioは正常児と変化なかったが, Gradem, IVでは高値を示していた. 脳室内出血後水頭症では, LVW/HW ratioは0.38から0.58であった. 脳室拡大は0.35以上を病的拡大と考えるべきだと思われた. しかしながら, 水頭症の早期発見にはあまり有用とは言えず, 経時的経過観察が大切であった.
  • 佐藤 裕, 須永 進
    1984 年 16 巻 6 号 p. 456-462
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Theophyllineが胎仔脳発育に及ぼす影響を調べるため, 妊娠家兎にaminophyllineを投与し, 以下の結果を得た. (1) 体重, 脳湿重量は, 対照群とtheophylline処置群の間に差を認めなかったが, 処置群の脳DNA量の減少と, 脳蛋白質量のわずかな増加を認めた. (2) 髄鞘の生化学的検討では, 髄鞘乾燥重量, 髄鞘総脂質量, 髄鞘総蛋白量の減少を認めた, 髄鞘脂質構成成分では, 処置群の総cholesterol値の減少と, 総リン脂質の加齢による減少や, galactolipidsの増加を認めなかった. またリン脂質構成成分ではcholine phosphoglyceridesも加齢による減少を認めなかった. 髄鞘蛋白構成成分では, 対照群と差を認めなかった. 処置群の髄鞘CNP活性値は低値を示した. 以上の成績より妊娠家兎へのtheophyllineの投与は, 家兎胎仔の脳細胞増殖の遅れと脳髄鞘形成障害をきたすものと思われた.
  • 横山 純好, 松井 忠孝, 小松 幹夫, 武田 浩枝, 中澤 道人, 三輪 正樹, 児玉 荘一
    1984 年 16 巻 6 号 p. 463-469
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    神戸大学小児科で抗てんかん剤を3年以上服薬している患児92例を対象に血清Ca, P, Al-p, 25-OH-D値を測定, 92例中80例に対してはM. D. 法によりΣGS/Dを測定した. 1) 血清Ca値は21例 (22.8%) が異常を示し, かつ服薬期間が長い程異常を示す比率が高く, 10年以上服薬群では15例中9例 (60%) が異常であった. 2) 25-OH-D値は17例 (18.5%) が異常を示し, 特に10年以上服薬群では15例中8例 (53.3%) が異常を示した.また17例中8例 (47.1%) においてΣGS/D値が平均-1.65S. D. 未満であった. 3) ΣGS/D値は80例中11例 (13.8%) が平均-1.65S. D. 未満であり, その内9例が7年以上の服薬, 8例が多剤併用例であった.また11例中8例 (72.7%) において25-OH-D値が異常を示した. 4) くる病発症の要因には多剤の抗てんかん剤を長期に服薬することが考えられ, 早期発見には血清Ca, 25-OH-D値とともにΣGS/D値の検索が有用である.
  • 市場 尚文
    1984 年 16 巻 6 号 p. 470-475
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    折れ線型自閉症の病態生理の解明のため, Rutterの診断基準にもとつく幼児自閉症28名と折れ線型自閉症22名の計50名を対象として, 臨床的脳波学的検討を行った。
    その結果, 折れ線型自閉症では特異な経過で自閉症を発症する他, 幼児自閉症に比較して脳障害を示唆する臨床的脳波学的所見が少ない傾向があること, psychic traumaと考えうる誘因を有する症例が多いこと, 予後とくに言語予後が不良であることが特徴的であった.このため, 折れ線型自閉症の成因としては, 幼児自閉症の成因とされている脳器質性障害による言語認知障害とは異なる機序が推測された.
  • 田中 司, 吉本 雅昭, 白井 清夫, 木下 節子, 渡辺 幹男, 吉村 俊朗, 辻畑 光宏
    1984 年 16 巻 6 号 p. 476-480
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    歳女児. 5歳時に運動発達遅延に初めて気づかれ, 10歳時に精査入院. 全身性, 特に大腿下1/3以下の筋萎縮, 筋力低下, 高口蓋, 凹足, 下肢深部反射消失を認めた. 筋電図でneurogenicな変化を主体にmyogenicな変化も混在していた. 筋生検では光顕で, type I fiber predominance (65.5%), type II fiberのhypertrophy, および両typeにangulated atrophic fiberを認めた. Gomori-trichrome染色でrod bodiesを多数認めた. 電顕でもrod bodiesを多数認め, その一部は中央部がelectron denseな顆粒状を呈していた. 更にcrystalloid bodiesを含む異常ミトコンドリアを認め, inclusion bodiesは層状構造とelectron denseな顆粒状物質よりなっていた. 本症の原因としてneurogenicな関与を示唆するもので, また異常ミトコンドリアを伴うものはきわめて稀で興味深い症例と思われる。
  • 水戸 敬, 中野 千鶴子, 吉野 邦夫, 高嶋 幸男, 橋本 公夫, 湯本 東吉, 田中 順一
    1984 年 16 巻 6 号 p. 481-486
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    在胎22週のSanfilippo B症候群胎児を病理学的, 生化学的に検索した. その結果は, 1) 光顕では中枢神経系, 内臓臓器とも胎齢相当の発達で各臓器とも著変を認めなかった. 2) 電顕的には, 大脳皮質, 白質, 小脳皮質の細胞内に封入体を認めなかったが, 小脳白質, 橋の神経突起にmembranous bodyが認められ, 橋脊髄の神経細胞, グリア細胞内にelectron-lucent vacuoleがみられた. electron-lucent vacuoleは肝, 腎, 肺, 脾, 膵などにも認められた. 3) 生化学的に, 患児の臓器のウロン酸量は高く, 大脳皮質で対照群の1.5倍, 肝で3倍, 腎で5倍であった. 以上の結果より, 封入体とウロン酸量は相関し, 中枢神経系では封入体は細胞の成熟に伴って生じると考えられた.
  • 線維筋形成不全 (fibromuscular dysplasia) との関連
    市場 尚文, 村川 幸, 大田原 俊輔
    1984 年 16 巻 6 号 p. 487-491
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    “モヤモヤ” 病を合併したDown症候群の女児例を報告した.
    3歳5カ月の時, 右上肢優位の全身性間代性痙攣をきたし, 右上肢の麻痺を一過性に残した. CTにて左前側頭部に楔形の低吸収域を認め, 脳波でも同部位に限局性低圧化を認めた.左内頸動脈写にて, 中大脳動脈起始部の高度狭窄と脳底部異常血管網を認め,“モヤモヤ” 病と診断した. 右内頸動脈写では, 前大脳動脈起始部と後交通動脈分岐部直上の2箇所に狭窄を認めるのみで, 異常血管網はみられなかった.
    Down症候群,“モヤモヤ” 病とfibromuscular dysplasiaの関連について文献的に考察し, Down症候群の “モヤモヤ” 病がfibromuscular dysplasiaにより発生する可能性を指摘した.
  • 白國 隆行, 玉木 紀彦, 松本 悟
    1984 年 16 巻 6 号 p. 492-494
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    生後6カ月の正常小児脳のNMR画像所見を検討しその臨床的意味づけを行った. NMR-CTの反転回復画像は小児脳の髄鞘形成過程を描出可能であり, 正常例と比較検討することで異常脳の発達年齢が評価できると考える.
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