在胎22週のSanfilippo B症候群胎児を病理学的, 生化学的に検索した. その結果は, 1) 光顕では中枢神経系, 内臓臓器とも胎齢相当の発達で各臓器とも著変を認めなかった. 2) 電顕的には, 大脳皮質, 白質, 小脳皮質の細胞内に封入体を認めなかったが, 小脳白質, 橋の神経突起にmembranous bodyが認められ, 橋脊髄の神経細胞, グリア細胞内にelectron-lucent vacuoleがみられた. electron-lucent vacuoleは肝, 腎, 肺, 脾, 膵などにも認められた. 3) 生化学的に, 患児の臓器のウロン酸量は高く, 大脳皮質で対照群の1.5倍, 肝で3倍, 腎で5倍であった. 以上の結果より, 封入体とウロン酸量は相関し, 中枢神経系では封入体は細胞の成熟に伴って生じると考えられた.
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