脳と発達
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17 巻 , 6 号
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  • 鴨下 重彦
    1985 年 17 巻 6 号 p. 484
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 三牧 孝至, 鈴木 保宏, 田川 哲三, 田中 順子, 寺田 春郎, 井藤 尚之, 原田 滋子, 藪内 百治
    1985 年 17 巻 6 号 p. 485-490
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    14C-diazepamのヒト血清蛋白結合率を, 遠心濾過法により測定した. 健康成人の14C-diazepam血清蛋白結合率は98.1±0.5%(mean±SD, n=24) であった. 14C-diazepamが2μmol/lの濃度下で, 健康成人血清1mlに, バルプロ酸ナトリウムをおのおの500μmol/4750μmol/l, 1,000μmol/l加えると, 14C-diazepamの遊離型が1.75±0.42%(mean±SD, n=6) からおのおの2.78±0.64%, 3.51±0.71%, 4.05±0.75%に, 有意に増加した (P<0.001). バルプロ酸ナトリウムが14C-diazepamの遊離型を増加させる機序として, 14C-diazepamの蛋白結合部位で, 競合的に阻害することが明らかにされた. phenytoin, phenobarbital, carbamazepineはいずれも, 有効治療濃度下およびそれらを上回る濃度下でも, 14C-diazepam血清蛋白結合率に影響を及ぼさなかった.
  • 松本 昭子, 竹内 達生, 熊谷 俊幸, 宮崎 修次, 原 紀美子, 国島 典子, 渡辺 一功
    1985 年 17 巻 6 号 p. 491-499
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    言語障害を主徴としたてんかん性脳症の1症例の臨床経過について神経心理学的・臨床脳波学的検討を行った. 言語障害は表出言語の著明な減少と口頭言語の聴覚的理解の障害が特徴であり, いわゆる全失語に類似した. 言語症状の悪化と脳波の全汎性遅棘徐波複合の出現とは明らかな相関があったが両者には時間的なずれが認められ, 発作波の減少が言語障害の改善よりも先行した. 発作時脳波で非定型欠神, 終夜睡眠脳波でelectrical status epilepticus during sleep (ESES) が確認された. 本症例の病態は皮質下病変を基盤にした皮質・皮質下両者の関与する広汎なてんかん性脳症と考えられた. Landau-Kleffner症候群との関連について考察した.
  • 杉江 陽子, 洲鎌 倫子, 洲鎌 盛一, 香坂 忍, 渋谷 富雄, 杉江 秀夫, 福山 幸夫
    1985 年 17 巻 6 号 p. 500-506
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児の遺伝性運動・感覚性ニューロパチー (HMSN) 4例を経験し, うち3例に腓腹神経生検を行った. 臨床および病理学的検討の結果, 2例は典型的なDyck分類HMSN type Iの兄弟例. 他の2例はHMSN type IIと思われた.
    病因論的にDyckらはHMSN type Iの軸索障害一次説を提唱しており, 自験例兄弟例においても症状の重症度と腓腹神経軸索萎縮の程度が相関する所見が得られ興味深かった.
    またOuvrierらはDyck分類にあてはまらない機能的予後不良な小児発症のHMSNを報告したが, 自験例のHMSNtypeHと思われる2例は, Ouvrierらの報告例の特徴を一部備えており, 今後も慎重な観察を要すると思われた.
  • 金山 学, 杉山 成司, 森下 秀子, 石川 達也, 和田 義郎, 秋山 正
    1985 年 17 巻 6 号 p. 507-513
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    バルプロ酸 (VPA) 服用患者におけるミトコンドリアの機能に与える影響をみるため, 血中のアンモニア, カルニチン, 乳酸, ピルビン酸, アミノ酸, 3-ヒドロキシ酪酸, 遊離脂肪酸値の変動について検討した. 対象38名 (2~17歳) をVPA単独服用者9名 (単剤群), VPAと他の抗てんかん薬との併用者11名 (併用群), 他の抗てんかん薬のみの服用者18名 (対照群) の3群に分け, 比較した.
    結果: VPAは単剤群で16.2±3.8mg/kg/day, 併用群で19.7±6.5mg/kg/dayの比較的少ない投与量であったが, 対照群に比し, 乳酸, ピルビン酸, アラニンが単剤, 併用の両群で上昇し, 更に併用群ではカルニチンの低下とアンモニアの上昇も伴っていた. 以上から, VPA服用者は単剤群, 併用群に拘らず, ミトコンドリアの機能に悪影響を受ける可能性のあることが示唆され, ことに併用群でその傾向が目立った.
  • 飯野 茂
    1985 年 17 巻 6 号 p. 514-524
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Partial asphyxiaによる新生仔出血性脳病変の作製方法および急性期脳病変につき検討した.
    生後1日目のJcl: ICR系マウスに5%酸素-95%窒素混合ガスを8時間負荷したところ34%の例が生存し, 生存したマウスの59%に大脳皮質出血が出現した. この脳出血は左右対称にまず頭頂葉に出現し, 程度が強くなるにしたがって前頭葉, 後頭葉に広がるという一定の傾向を示し, その分布から中大脳動脈由来のものと思われた. 脳出血の有無および程度はマウスを屠殺せずとも透光試験により薄い頭皮を透して確実に判定することができたため, 頭皮上から出血の出現時期を観察したところ負荷終了後2時間30分から4時間であった. またこの脳出血は生存したマウスのみに生体反応として出現した.
    負荷終了後6時間の時点で脳を組織学的に検索したところ, 大脳皮質の出血の程度は脳全体の傷害の程度とよく相関していた. 仮死により最も強い傷害を受けた部位は大脳皮質, 海馬, 線状体であり, なかでも大脳皮質の病変は最も多彩で, 層状病変や襖状病変といったヒトの低酸素性乏血性脳症でみられる特徴的所見などがみられた. 本実験系マウスにおける脳病変の分布から, 脳傷害は主として低酸素自体よりむしろ低酸素に伴って生じた乏血によってもたらされたものと考えられた.
  • 飯野 茂
    1985 年 17 巻 6 号 p. 525-533
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    生後1日目のJcl: ICR系マウスに5%酸素-95%窒素混合ガスを8時間負荷して作製した非出血マウス, 3種類の脳出血マウスの死亡率は, 急性期の出血の程度が強いほど高かった.
    身体発育は非出血群, 軽度出血群では対照群と差がなかったが, 中等度出血群では後にcatchupを示したものの, 体重は有意に低値を示した. いっぽう, 重度出血群は体重, 体長ともに全経過を通じて有意に低値となり発育不全を呈した.
    最も有意に低値を示した臓器は大脳で, 重度出血群には水頭症, 小頭症, 孔脳症, 多嚢胞性脳軟化症など, ヒトの脳性麻痺児, あるいは重症心身障害児にみられる神経病理所見が出現した.
  • 吉田 昭
    1985 年 17 巻 6 号 p. 534-547
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    哺乳期マウスの出生から20日見まで (M1-20群) の20日間, 出生から10日見まで (M1-10群), 生後11日目から20日見まで (M11-20群) の10日間, 出生から5日見まで (M1-5群), 生後8日見から12日見まで (M8-12群) の5日間に低栄養を負荷し, 各群ともその後に栄養を回復させることによって抑制された脳発育状態が回復しうるか否かについて脳重量および小脳神経細胞増殖動態の面から検討した.
    生後120日目の脳重量, 30日見の顆粒細胞数はM1-5群では完全な回復を示したが, M1-10群では10日見からの栄養の回復により14日目の世代時間が対照群の値に追い着いていたにもかかわらず, 脳重量・顆粒細胞数はともにそれまでの抑制を取り戻せず完全な回復は示さなかった. M1-20群では10日見, 14日見の世代時間が対照群より延長しており, その結果, 脳重量・顆粒細胞数ともにM1-10群より更に低値を示した. また, 同一期間の低栄養を哺乳期の中で負荷したM1-5群とM8-12群の脳重量についてはM8-12群の方が, M1-10群とM11-20群の脳重量についてはM11-20群の方が20日見, 60日目ともに低値であった. さらに, 5日間負荷のM8-12群と10日間負荷のM11-20群の60日見の脳重量を比較すると, M8-12群の方が低値を示した.
  • 吉田 昭
    1985 年 17 巻 6 号 p. 548-557
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    哺乳期の5日間, 10日間, 20日間低栄養状態にし, その後に栄養を回復させたマウスの大脳神経細胞突起の伸展, 棘の発達についてGolgi-Cox鍍銀法をもちいて定量的に検討した.
    全哺乳期に当たる20日間低栄養状態にした場合には生後60日見においても神経突起の伸展は細胞体遠位部で不充分であった. 哺乳期のうちの10日間低栄養を哺乳期前半または哺乳期後半に負荷した場合の突起の伸展は20日間低栄養負荷よりは良好であるがなお不完全な回復を示した. 5日間低栄養状態にした場合のうち出生から5日間の低栄養では突起の伸展が完全に回復するが, 生後8日見から12日見までの5日間の低栄養では10日間低栄養負荷群より回復しているものの完全な回復を示さなかった.
    大脳神経細胞突起における単位長さあたりの棘の数は20日目で抑制されていたが60日目では完全な回復を示した.
  • 藤原 克彦
    1985 年 17 巻 6 号 p. 558-564
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    新生仔マウスの炭酸ガス (CO2) 呼吸と窒素ガス (N2) 呼吸との2種類のtotal asphyxiaにおいて死亡率, 神経病理, 小脳神経細胞の増殖動態および心電図に及ぼす影響を比較した. 死亡率ではCO2群の方がN2群より明らかに高かった. N2ガス負荷マウスの神経病理学的検索では大脳皮質, 線状体, Colliculus posteriorに神経細胞の変性をみとめた. 3H-チミジン・オートラジオグラフィーによる細胞周期の検索ではCO2群において小脳神経細胞の世代時間の延長をみたのに対してN2群では何ら変化をみなかった. 心電図の変化はN2群に比べCO2群で明らかに大きかった.
    以上の結果より脳障害はN2群よりCO2群でかなり著明であることが示唆され, このことはCO2群における細胞増殖能の変化が低酸素血症自体より代謝面の変化に起因していることを示している.
  • 石橋 俊秀, 宮尾 益知, 桃井 真里子, 鴨下 重彦, 埜中 征哉
    1985 年 17 巻 6 号 p. 565-570
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    歳時に重篤な呼吸不全をきたしたネマリン・ミオパチーの1例を報告した. 出生時より筋緊張低下, 一過性の口唇チアノーゼがあったが, 生後2カ月以降の発達は比較的良好で, 歩行開始は1歳8カ月であった. 2歳頃には体幹筋の萎縮が著明となり, 2歳6カ月時, 口唇チアノーゼを認め傾眠状態となり入院した. 入院時, 著明な高炭酸ガス血症と低酸素血症を認めた. 上腕二頭筋の筋生検で多数のネマリン小体, タイプ1線維萎縮, タイプ1線維優位とタイプ2B線維欠損を認めた. 入院後の頻回の無気肺のため気管切開による機械的人工換気を必要とした. ネマリン・ミオパチーが幼児期に急速に増悪する経過をとりうることの認識は重要であると思われる.
  • 平林 伸一, 神田 仁, 津野 隆久, 赤羽 太郎, 小口 喜三夫, 柳沢 信夫
    1985 年 17 巻 6 号 p. 571-576
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Wilson病の経過中, 上気道感染を契機に多彩な神経症状が急激に出現した16歳男子例を経験し, その主要症状であるジストニアと構音障害 (構音不能) に対しtrihexyphenidyl大量療法を試みた. ジストニアは軽減し, 歩行および書字も可能となったが, 構音不能の改善はみられなかった. 不機嫌, 気分の易変性等を経過中に認めた. また, ジストニアは午前中の方が午後より強い傾向を示したが, 髄液中ホモバニリン酸の日内変動はみられなかった.
    Wilson病での症候性ジストニアをはじめ, 小児でみられる種々のジストニアに対し, 本治療法は試みられる価値のあるものと考えられた.
  • 平田 善章, 石川 明道, 宗宮 教壹
    1985 年 17 巻 6 号 p. 577-582
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    生後16時間目に眼瞼ミオクロニーにて発症し, 全身間代性けいれんを続発し, 一時フェノバール投与にて, 発作は, 抑制されたが, 生後42日目よりtonic spasmsがシリーズを形成してみられるようになり, 脳波上, suppression burstを示したEIEE (early-infantile epileptic encephalopathywith suppression-burst) 症例を経験した. 本患児は, 生下時より顔面正中および右側頬部, 頸部に, 線状母斑を認め, 頭部CT scan上, 右側脳萎縮を示し, 重症精神運動発達遅滞を伴った線状皮脂腺母斑症候群であった. 本症例は, 線状皮脂腺母斑症候群にEIEEを合併した最初の報告例と思われる.
  • 新井 順一, 三宅 捷太, 林 美智子, 岩本 弘子, 三杉 信子
    1985 年 17 巻 6 号 p. 583-587
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    先天性パラミオトニアの1例を報告する. 患児は15歳男児で, 1歳頃より寒冷時に増強する四肢のこわばりに気付かれていた. 家系内には同様の症状を呈する者が4世代に19名認められた. このミオトニアはparadoxical myotoniaで, ミオトニアに続いて筋脱力を認める事もあったが症状は非進行性であった. また, 運動負荷後以外には筋脱力を認める事はなかった. 筋電図ではmyotonic dischargeを認めたが, 氷冷後はelectrical silenceとなった. 先天性パラミオトニアは高K性周期性四肢麻痺との異同が問題となる疾患であるが本症例では周期性四肢麻痺の既往はなかった.
  • 白國 隆行, 玉木 紀彦, 松本 悟
    1985 年 17 巻 6 号 p. 588-590
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    精神発達遅滞を呈する2歳男児の磁気共鳴画像を検討したところ, 滑脳症と思われる所見が得られた. 本所見はCT画像上でも疑われたが, 白質を強調させる反転回復法により脳回・脳溝構造の消失がより明白に確認され, CT上の脳室壁の石灰化, 透明中隔腔の存在や臨床症状も考え合わせて滑脳症と診断した.
  • 河原 仁志, 安藤 幸典, 高嶋 幸男, 門野 勉, 前田 一雄
    1985 年 17 巻 6 号 p. 590-592
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    超音波断層法を用い, 新生児の脊髄の観察を行った. 脊髄長軸方向の断面では, 脊髄はechogenic shadowに囲まれ, 中心管のechogenic shadowを中心にしたanechoicな管状部分として観察された. 横断面では, 中心に小さなechogenic shadowを有する円形のanechoicな像が得られた. 胸椎Th6~8レベルと腰椎L1~2の腰膨大部で矢状径と横径を測定した. 矢状径は胸髄, 腰髄とも早期産児より満期産に有意に大きかったが, 横径では有意差がなかった.
    正常脊髄像の脊椎管内位置や発達的変化の検討を加えていくことによって, 脊椎管内病変の超音波画像診断の有用性を増す事ができると思われた.
  • 青木 信彦, 神山 潤, 印東 利勝
    1985 年 17 巻 6 号 p. 595-596
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 桜川 宣男
    1985 年 17 巻 6 号 p. 597-599
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ハンター症候群はHunter (1917) によりはじめて臨床徴候について詳細に記載されたムコ多糖症 (第II型) である. 当時Hunter自身も本疾患が先天性代謝異常症であるとは夢想だにしなかったことだろう. 歴史的にはその2年後 (1919) にHurlerが現在の分類によるとムコ多糖症第1型を報告しているが, その特異な顔つきからこれら疾患をガルゴイリズムと呼んだ時代があった. Nja (1946) による性染色体遺伝型式を示すガルゴイリズムの存在が指摘され, ハンター症候群として区別されるようになった. Brante (1952) によりガルゴイリズムがムコ多糖症であると示唆されてから, 生化学的方面におけるめざましい発展がはじまり, 1973年BuchらおよびSjobergらによりiduronate sulfatase欠損症である事が証明された. Hunterがはじめて詳細に記載した内容は見事というしかない. この一つの論文が約半世紀の後にその欠損酵素発見に結びついた事を考えると, Hunterの臨床医家としての素晴しさに感嘆する次第である.
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