脳と発達
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18 巻, 6 号
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  • 大塚 親哉
    1986 年 18 巻 6 号 p. 446
    発行日: 1986/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 畑中 武志, 杉本 健郎, 安原 昭博, 小野 厚, 谷内 昇一郎, 松崎 修二, 岩瀬 帥子, 小林 陽之助
    1986 年 18 巻 6 号 p. 447-451
    発行日: 1986/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1979年から1983年の5年間に出生し, 新生児期にCTにて頭蓋内出血 (ICH) の診断を受けた症例の中で, 1年半以上経過観察を行った41例について, てんかん発作の臨床面から検討した.染色体異常は対象から除外した.症例の内訳は, 脳室内出血 (IVH) 17例, クモ膜下出血を含めた硬膜下出血 (SAH/SDH) 24例であった.IVHの6例 (35%) がてんかん発作を起こした.発作型は, 2例が全身性強直間代発作, 3例が部分発作の全汎化, 1例がtonic spasmsであった.けいれんの発症年齢は平均1歳4カ月で, 半数に発熱を認めた.発作間歇時の脳波では, IVH 17例中9例に異常があり, その内6例で中心および頭頂領域に棘波を, 1例でHypsarhythmiaを認めた.SAH/SDHの24例では1例のみに, 退院後に反復性のけいれんおよび脳波異常を認めた.
  • 下角変化を中心に
    栗原 まな, 山下 純正, 三宅 捷太, 山田 美智子, 岩本 弘子
    1986 年 18 巻 6 号 p. 452-458
    発行日: 1986/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    当院通院中のてんかん児242例と, 神経疾患はないと考えられるコントロール児 195 例のCTを分析した.高尾らの正常値を用いて14カ所の計測を行い, 14カ所とも正常値を示したてんかん児125例 (N群とする) とコントロール児195例との間で下角面積の検討を行った.コントロール児の下角面積比 (下角面積/対応半球面積) は低年齢程大きく, てんかん児の下角面積比はコントロール児より大であった.下角拡大例はコントロール児で2/195例 (1%), てんかん児 (N群) で44/125例 (35%) にみられ, 発作型別に差はなかった.下角拡大を認めたてんかん児では行動異常を示すものが多く, かつ難治例が多かった.
  • 内藤 悦雄, 戸島 健治, 黒田 泰弘, 武田 英二, 宮尾 益英
    1986 年 18 巻 6 号 p. 459-463
    発行日: 1986/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    先天性高乳酸血症の欠損酵素の一つであるピルビン酸脱水素酵素複合体 (PDH complex) には活性型と不活性型とが存在する.そこで先天性高乳酸血症患者から得た生検筋と培養皮膚線維芽細胞におけるPDH complexの活性型活性と活性型と不活性型とをあわせた全活性とを測定し, PDH complex欠損症の酵素診断上の問題点について検討した.培養皮膚線維芽細胞を用いた場合にはPDH complexの活性型活性の測定によりPDH complex欠損症の診断が可能であった.しかし生検筋を用いた場合にはPDH complexの活性型活性は生体の状態により著しく変化するので, 確実な酵素診断を行うためにはPDH complexの全活性を測定することが必要であった.
  • 下泉 秀夫, 宮尾 益知, 澤 立子, 市橋 光, 山本 佳史, 田中 修, 柳沢 正義, 鴨下 重彦
    1986 年 18 巻 6 号 p. 464-469
    発行日: 1986/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    我々はTay-Sachs病の2例に, 経時的頭部X線CTおよびMRI (magnetic resonance imaging, 磁気共鳴映像法) を行い, 興味深い所見を得た. (1) CTでは, 早期より両側視床および基底核の高吸収域を認め, 以後大脳白質の低吸収域を認めるようになり, 末期には後頭葉および一部前頭葉に石灰化を思わせる高吸収域を認めた. (2) MRIでは早期よりIR法にて大脳灰白質が帯状の強い高信号域の部位として, 大脳白質が低信号域として表わされ, SE法では灰白質と白質の差が少なくなり, その境界が不明瞭だった.MRI所見の変化は, 病理学的所見をより正確に表わし, さらにある程度その生化学的性状まで表現しているものと考えられた.
  • 松浦 伸郎, 加藤 栄司, 小松 良治, 山本 正士
    1986 年 18 巻 6 号 p. 470-476
    発行日: 1986/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    細菌性髄膜炎は無菌性髄膜炎と比べ, 髄液の乳酸脱水素酵素 (CSF-LDH) 活性が上昇し, 髄液glutamic oxaloacetate transaminase (CSF-GOT) 活性も上昇する.著者らはCSF-LDH, CSF-GOTがともに細菌性髄膜炎の鑑別診断に役立つこと, また起炎菌を確認した細菌性髄膜炎の髄液中のラテックス凝集法によるC反応性蛋白 (CSF-CRP) が細菌性髄膜炎の診断に有用であることを述べた.
  • 石田 也寸志, 長尾 秀夫, 森本 武彦, 黒江 兼司, 高橋 貢, 羽原 心治, 永井 宏尚, 松田 博
    1986 年 18 巻 6 号 p. 477-483
    発行日: 1986/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児脱髄疾患の治療にはステロイドホルモンやACTHが使用され, その有効性が認められている.著者らは, 9歳および10歳発症の多発性硬化症2例, 11歳発症の急性散在性脳脊髄炎1例に, メチルプレドニゾロンによるパルス療法を施行し, 臨床症状, 脳波, 頭部CT等への影響について検討した.1) 臨床症状はパルス療法開始後数日以内に著明な改善が認められた.2) 脳波で認められた徐波化は1カ月以上を経て徐々に改善された.3) 多発性硬化症2例における頭部CT所見では, リング状増強効果はパルス療法により消失し, 低吸収域を残すのみとなった.4) 副作用として重篤なものはなかった.以上の結果から小児脱髄疾患の治療としてパルス療法は有効かつ安全な治療法であると思われた.
  • 楢崎 修, 楢崎 明珠
    1986 年 18 巻 6 号 p. 484-489
    発行日: 1986/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    6カ月児健診を利用して, 福岡市中央区におけるshuffling baby (以下SB) の地域調査を行った.
    1) アンケート回収数1,470人 (回収率88.4%) のうちSBは45人 (3.1%) で, その大半は周辺群であり, 中核群は12人 (全体の0.8%) にすぎなかった.
    2) 「いざり」の家族歴は17人 (38%) に見られた.
    3) SB中核群の方が周辺群に比べ「いざり」の持続が長く, 歩行開始も遅れ, 筋緊張低下の頻度も高かった.
    4) 病院受診群も含めれば,「いざり」を呈する乳児の発達は幅広いスペクトルを示した.
    5) 夏前後に出生した乳児にSBの発生が有意に多く, 環境要因の存在が推測された.
  • diffuse α waveのスペクトル解析および電気生理学的検討
    田中 朋子, 冨田 豊, 西村 悟子
    1986 年 18 巻 6 号 p. 490-497
    発行日: 1986/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    昏睡状態に陥ったadrenoleukodystrophy (ALD) において脳波上diffuse α をみとめ, アルファ昏睡と診断した.ALDにおいては, 病初期よりアルファ波は消失しているため, 本症例のアルファ波は, 正常に出現する生理的なアルファ波とは異なると考えられた.本例のアルファ昏睡の誘因はフェノバルビタール中毒と推定した.
    本症例について, 脳波のスペクトル解析, 電気生理学的検討を行った結果, アルファ波の出現の背景には, 大脳主に白質系の機能低下が存在したが, 脳幹および脳幹網様体系の機能低下は軽度であった.またアルファ波は単一の起源によりびまん性に伝播したと推測された.
  • 小枝 達也, 石井 尚吾, 冨田 豊, 大野 耕策, 高嶋 幸男
    1986 年 18 巻 6 号 p. 499-504
    発行日: 1986/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    読み書きが著明に障害され, 計算障害, 左右失認, 視空間失認はなく, 発達性失読失書症と診断した2例を報告した.神経心理学的に, 症例1は聴覚-音声回路の認知障害が考えられ, 症例2では聴覚系と視覚系のdisconnectionが考えられた.利き手と両耳分離能検査から症例1では右大脳半球優位, 症例2では左大脳半球優位が確証され, 視覚誘発電位ではおのおのの優位半球における反応波形の形成不良が認められた.以上から発達性失読失書症は左右大脳半球の機能的分業の発達障害が基礎にあることが示唆された.
  • L-DOPA治療前後におけるカテコールアミン代謝の検討
    下山田 洋三, 吉川 明男, 柏井 洋臣, 紀平 省悟, 小池 通夫
    1986 年 18 巻 6 号 p. 505-509
    発行日: 1986/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    5歳で発症した遺伝性進行性ジストニアの1女児例についてL-DOPA投与前後の血液・尿・髄液中のカテコールアミンとその代謝産物を測定し, 検討した. (1) L-DOPA投与前, 髄液中ドーパミンは夕方には朝の1/3に減少したが朝夕とも正常範囲内にあった.その他はすべて朝夕の差はなかった. (2) L-DOPAが有効量に達したとき髄液中ドーパミンは正常の90倍に増加した.これらの結果から本症の病因について, 脳内ドーパミンの量的な欠乏だけでは説明しきれない例のあることを示唆した.
  • 石川 丹, 福島 直樹, 我妻 義則
    1986 年 18 巻 6 号 p. 510-512
    発行日: 1986/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    左半身不全麻痺を呈する3歳脳性麻痺例にMRIを施行し, heterotopic gray matterと思われる所見を見出した.右半球において頭頂部皮質が白質内に迷入し, 半卵円中心と側脳室中心部を占有する像が認められた.右基底核においては尾状核, 被殻, 内包の分化が不鮮明であった.基底核が未分化であったことから, 本症例における奇形は胎生2~3カ月頃に発生したものと推定された
  • 須藤 和昌, 田代 邦雄, 森若 文雄, 上山 博康, 阿部 弘
    1986 年 18 巻 6 号 p. 513-518
    発行日: 1986/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    両側性の舞踏病様不随意運動を主症状とするモヤモヤ病の1小児例を呈示した.症例は8歳男.入院の7週間前, カゼ症状および気管支喘息症状にひき続き両側性の舞踏病様不随意運動が出現し, 以後持続した.
    モヤモヤ病における不随意運動発現は稀なものではないが, その発現機序に対する十分な説明は未だなされていない.臨床および放射線学的所見から, 本例では両側の線条体およびそこから淡蒼球へ向かう経路が虚血により障害されたため淡蒼球に対する抑制が解除され, その結果両側淡蒼球に発生した舞踏病運動惹起インパルスが障害を免れた視床, 大脳皮質運動野および錐体路を介して両側性の舞踏病様運動を発現させたと考察した.
  • 1986 年 18 巻 6 号 p. 518
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 舘 延忠, 島崎 智子, 南 良二, 篠田 実
    1986 年 18 巻 6 号 p. 519-521
    発行日: 1986/11/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Centraicore病の12歳女児の経時的筋組織所見に関して報告した.3歳時に行った筋組織所見はcore形成およびその他の筋構造上の異常を認めずタイプI線維の萎縮と優位 (70%) とタイプII線維の肥大を示し, 先天性筋線維タイプ不均等症の所見を認めた.12歳時に行った筋組織所見は, 総て萎縮したタイプI線維に少数のcore形成を認めた.このことは, 年齢が進むに従って, タイプII線維が消失し, core形成を認めることを確認し, 先天性筋線維タイプ不均等症や筋構造に異常を認めない先天性ミオパチーも経時的に筋生検を行う事によってcore形成等, 構造上に変化をもたらす可能性を示唆した.
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